ファーム・アムラン・篆刻ギャラリー
Click Here! ホームページトップページへ戻る

        

篆 刻 と は 何 か
篆刻は書道芸術のひとつであり、約600年前に中国でおこり。四書・五経や漢詩などから語句を選び篆書体という古文字を用いて柔らかい小さな石に刻んで押した印影を鑑賞するものです。本来篆刻とは、「石、木、金属などの印材に篆書体を用いて印を刻す」ことです。一般的には篆書体だけでなく、さまざまな書体を用いて、刻したものも「篆刻」といいます。篆刻とは、「方寸の世界」とも言われ、数センチ四方の平面に、書・絵画・彫刻などの要素を盛り込んだ、東洋独特の文字芸術といえます。また、単に印面の語句だけではなく石全体に彫刻をほどこす総合芸術ともいえます。
 篆刻の印と認印と実印などとの違い
篆刻における印には、必ず「書としての筆致と美しさ」が必要です。筆を持って紙に書くように、鉄筆(印刀)を持って石に書くわけです。篆刻が、書道として存在するのも、このような理由があるからです。篆刻の印は芸術でありますが、同じ印でも捺印と実印は実用の証明印であるところに違いがあります。 

   

篆 刻 の 道 具
 篆刻台ねじタイプ 篆刻台使用例
印泥(朱肉)  ゴム製押印台
印矩 印矩使用例
 
印刀3種類6本 サラエ刀     
平 刀 切出刀(斜刃)
※ まだまだ筆や墨や紙やすりなどありますが、代表的なものを紹介しています。

         

 篆 刻 資 料
モースの硬度計 [Mohs’Scale]
石の硬さに関して,18世紀ドイツの地質学者フリードリッヒ・モースが提案した鉱物の硬軟の程度を表す尺度を,「モースの硬度計」といいます。モースは日本の大森貝塚の発見者でもあります。モースの硬度計は表面の粘り強さの指標であり、基準石同士をこすり合わせて傷がつくかつかないかという基準で数値を決定するものであり。落としたりハンマーなどで衝撃を与えた場合の壊れやすさではないので注意が必要です。滑石でも小さな粒状のものであればハンマーで砕くのは容易ですが、こぶし大などの大きさになってくると叩くと割れますが、こなごなになるというようなもろさではないということです。

 

度数 修正硬度 モースの硬度の基準   化学式  成分名  通常知られる岩石の含有物による硬度
滑石(タルク) Mg3Si4O10(OH)2   蛇紋岩に含まれる滑石は,モースの硬度計では1,したがって爪でも傷のつく弱さです。
石膏 CaSO4・H20 硫酸カルシウム  
2,5   雲母・爪・銅板・琥珀       
方解石 CaCO3 炭酸カルシウム 大理石は石灰岩が熱変成を受け再結晶したものですが、石灰岩の主組成が方解石ですから石灰石同様モースの硬度計では3,非常に柔らかい石です。
蛍石 CaF2 弗化カルシウム   
4,5   鉄くぎ      
燐灰石 Ca5[F|(PO4)3]  アパタイト    
5,5   角閃石・輝石・ガラス・ナイフの刃・やすり・へマタイト(赤鉄鉱)              
正長石 KAlSi3O8    斑れい岩は長石(6,5)・角閃石(5,6)・輝石・カンラン石(5)にて構成され。それぞれのモース硬度は()内の数字のため総合的に非常に硬い石です。
6,5   カンラン石・翡翠        
  熔融石英      
石英・水晶 SiO2 二酸化珪素 花崗岩は,石英(7)・長石(6)・雲母(2.5)に構成され。それぞれのモース硬度硬く雲母の割合が少ないので極めて硬い石です。
黄玉・トパーズ Al2SiO4(F,OH)2    
  10 ザクロ石      
  11 熔融ジルコニア      
12 鋼玉・コランダム(サファイア、ルビー) Al2O3  アルミナ  
  13 炭化ケイ素      
  14 炭化ホウ素      
10 15 金剛石・ダイアモンド  C  炭素  
水晶と翡翠はほとんど変わらないくらい固いので彫るのはなかなか大変です。琥珀などは軟らかく彫りやすいが、保管が大変です。気をつけないと欠けますし変質する恐れが大きい。篆刻用の石材はおおむね硬度が3〜6ありますから、よほど固い硬度7以上でなければ彫ることはできると思います。ただ無理な場合もあるので、軟らかくても彫る以前に割れやすかったりすると駄目な場合があります、固過ぎる石も下手に削ると割れます。ねばりがないと駄目といえます。

    

マイ 篆 刻 ギャラリー        © ア ム ラ ン 

     

梭喜印影 梭一字白文印影 三連環鈕正面
karya工房陰陽混合印影 郁一字印影 三連環鈕横
柚一字白文印影 京梧白文印影 千一字菱形印影
天翔佳亜也印影 醒一字印影 千琉白文印影

      

 篆刻の基礎知識 

                                                          

 篆書の書体  
 種 類  時 代  説 明
甲骨文(こうこつぶん) 殷(商)時代 亀甲、獣骨に刻んだ占いの記録文字
金文(きんぶん)  殷〜春秋戦国時代 青銅器に刻まれた文字
大篆(だいてん) 周〜春秋戦国時代 殷の後の周の時代の文官が創作した非常に複雑な文字
小篆(しょうてん) 秦〜漢時代 秦の始皇帝が制定統一し、封印として用いられた文字
印篆(いんてん) 漢時代 繆篆(びゅうてん)とも称し、方形の印に合う、印専用の文字
古璽(こじ)   古い印という意味で各時代の印章で現代に伝わるもの

 

※篆刻をする場合、ひとつの印に複数の書体を用いて刻すこと(金文の中に小篆や印篆をまじえること)はタブーとされています。ただしあまりに異なる書体は全体のバランスを崩しますが、装飾的なバランスを考えたときにはアクセントとして配置したり。字体そのものも多少はデフォルメしたほうが印面のバランスがとれて芸術性が高くなることもあるので好みで刻してかまわないと思います。大篆は刻された例はあまりみかけず、資料もきわめて稀です。 

      

  印の種類
姓名印
(せいめいいん)
姓名を彫った印で、白文(文字の部分を彫ったもの)が多い。名のみのものもあるが、姓だけを刻した例は、あまり見かけない。
字印
(あざないん)
男子は元服(成人)すると、実名とは別に、一人前の人間として用いるときの名前をつけた。これを「字(あざな)」といいます。女子の場合は、婚約してから、つけることもあり、あだ名の語源ともいわれている。
雅号印
(がごういん)
姓名印や字名印のふたつとは別の風雅な名前の印。姓名印と併用することが多いため、朱文(文字の部分を残して彫ったもの)が多い。
斎堂館閣印
(さいどうさんかくいん)
家屋、書斎、茶室、楼閣などの(庵号)号を刻した印。
詩句印
(しくいん)
好みの詩句や文章などを刻した印。
収蔵印
(しゅうぞういん)
所有者が、書籍、絵画、法帖、拓本、などに捺す印。本に捺したものは蔵書印と称される。
収蔵鑑賞印
(しゅうぞうかんしょういん)
様々な収集物に対して収蔵家(コレクター)が収集物を手にした喜びを表現して捺す。
図象印
(づしょういん)
秦・漢時代に、青龍・朱雀・白虎・玄武の四神の姿を印にして、間に自分の姓名をいれた印であるが、動物と文字、あるいは文字だけの印。
住所印
(じゅうしょいん)
住所を刻した印。楷書、行書、隷書が多い。
吉語印
(きちごいん)
おめでたい言葉を刻した印。
肖形印
(しょうけいいん)
絵のみまたは、絵と文字を刻した印。
干支印
(かんしいん)
十干(甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸)と、十二支(子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥)との組み合わせで、年号を、表記する印。60種類になる。一般的には小さい印が多い。

         

 書画等の作品に捺す場所 
一、引首印 
(いんしゅいん)   
書幅の頭書に捺す印で、長方形のものや、楕円、ひょうたん型の斎堂館閣印を用いるが、現在では、詩句印を使用することもある。
二、姓名印 落款印。署名の真下に捺します。
三、雅号印 落款印。署名の真下に捺します。
四、押脚印 
(おうきゃくいん)
書画幅の右下に捺す印で、詩句印を多く用いる。省略されることもある。

    

石材いろいろ・寿山石・青田石・滑石・大きさもいろいろです。
掲載写真の中央の背の高い石と赤い石の左の石と手前の小さい二つの石が寿山石・右端と二つ目の大きな石とその前の石が青田石・中央の赤い石が肖山紅です
左端の長方形の石は質が悪いのですが東北凍です。

                                        

石 材 資 料
   
印材の石材は彫るだけではなく、鑑賞するのも楽しいものです。種類と特徴の紹介資料です。
   
モースの硬度で3〜7とばらつきがあるが、巴林が軟らかく、寿山は水晶よりも固いとしかいいようのない石が稀にあります。 
   
寿 山 石(じゅざんせき)
掲載写真の中央の背の高い石と赤い石の左の石と手前の小さい二つの石。
一番安価な石で、いい物に当たれば大変彫りやすい物がある。ただし質が安定しない。どんな石もそうですが、当たり外れが出やすい石です。安いので練習に数をこなすのなら沢山彫れます。色によって様々な名称がある石。彫るときは石の結晶の方向と不純物の粒に注意しないと割れたりうまく字が彫れず歪まざるを得ない場合や印刀の刃が欠けますので要注意です。
青 田 石 (せいでんせき)
掲載写真の右端と二つ目の大きな石とその前の石。
篆刻を習いに行くと必ず彫るのがこの石です。一番ポピュラーな石で、本来いろいろな色が混じった石です。最近はうすい緑色をした石が多い。粘りがあり様々な字体を刻しやすい。色の色々混じったものを彫ると楽しい石です。粘るわりには、けっこうすなおに彫れるのがこの石の特徴で、素朴な彫り味がだせる。最近は価格が安定しているようです。
巴 林 石 (ぱりんせき)
白っぽいものが比較的安価で柔らかく、ねばりがあって軽い感じの石です。玉根石とか山東石等の名前がついている場合もありますが、同じ石です。透明感のある石が少し値段が高くなります。印を彫って贈答用には見た目も美しいので良い石です。寿山の薄い色の石や青田石の黄味がかった石のようなものや赤みがかったものあり。デパートや書道店の印材売り場でも間違えて展示していることがよくある。
巴林彩凍石 (ぱりんさいとうせき)
美しい凍石などが沢山混じっていて最近はあまりみかけない、価格はやや高い。通常の巴林よりも硬く凍石の粒が印面に混じっていると丁寧に彫らないと印刀の刃を欠く場合があります。
東 北 凍 (とうほくとう)
遼寧凍という場合もある。少し透明感があり、うすい緑色をしている。大変粘りのある石で。小さなサイズの印や細い線を出すときなどに楽です。粘りがあるので割れにくい、粘りがあるぶん大きな印を彫るときは手間取る。この石の良い物は白くて透明感のある燈光凍と呼ばれているものがある。凍石というと石の外見的な状態が透明感があってガラスのようだという意味なのですが、一般的に凍石と呼ばれるのはこの石。
肖 山 紅 (しょうざんこう)
掲載写真の中央の赤い石がそうです。
寿山系の赤い石、紅高山などによく似た石。硬そうであるが結構柔らかく、線が素直に流れる石。比較的大きめのサイズに白文を彫るのに向いている。
広 東 緑 (かんとんりょく)
緑が大変美しい石で、色々な緑のパターンがあり。独特な彫れ方をし、ガラス質な感じである。自然にサビが付き。ふくよかな線質がでる。この性質を利用するとおもしろい印になる。
田 黄 石 (でんおうせき)
石印材の中では最高の印材と言われる。寿山で採れる石で、寿山郷と呼ばれる数キロ四方の山の中、その中の田黄坂と呼ばれる場所、水田の中で採れるといわれ、現在はもう鉱脈が尽きたともいわれている。なかなか手に入りにくい石で。光沢、手触り、しっとりとした、なんともいえない趣のある石です。
芙 蓉 石 (ふようせき)
寿山の月洋郷と言う所で採れる石。この石はかつて落盤事故で坑道がつぶれ、なかなか手に入れ難い石だったが、見かけるようになった。安価になってきているが、寿山系の石では、三千円台と高いかもしれない。そのため、安い高麗石で似た模様の石を芙蓉石と偽って売る悪質な業者もいるので要注意、高麗石は軟らかく硬さが違います。
ウィグル平頭石
あまり見かけない石で単に平頭という名称で売られている場合がある。掘れる場所が内モンゴルの奥で玉と近い色合いの緑色の石がごくまれにあるが、グレー系の透明な感じの石が多い質的には巴林と変わらず、軟らかい。
墨 緑 石 (ぼくりょくせき)
四川で産出する、緑を帯びた味わいのある黒色の石で羊羹のような透明感がありながらもガラス質な硬質の趣がある品のよい石。
玉 (ぎょく)
篆刻用の石とは言い難い高級品であり、硬い石で翡翠や水晶と変わらない。この石を鉄の印刀で彫るのは至難の技であり印刀が欠けます。色は白く透明感のあるものが最高級品で緑のものや少し赤みのかかったものもある。
昌化鶏血石(しょうかけいけつせき)
赤色系の石で鶏の血のように鮮烈な色のでる美しい石。昌化と言うのは地名でその場所から出る昌化石の種類の中のひとつです。結構高価な石です。赤い血の色の部分は硬く全般的に彫りにくい石です。全く刃の立たない物もあるので要注意。鑑賞向きです。
巴林鶏血(ぱりんけいけつ)
内モンゴルで採れる巴林石の一種で昌化鶏血と比べると少し落ち着いた赤さの石。この石は彫りやすく、見た目も綺麗なため鶏血系の石では贈答に適している。観賞用としても良いと思います。
高 麗 石
朝鮮半島で産出する非常に軟らかい石です。粘りがありますが、表面が爪でも傷がつきますので取り扱いに注意が必要です。鈕が彫りやすい石です。
そ の 他 
ヒマラヤ凍石・四川凍石(倚天石)・緑凍石・木目石・臨海石・甲板石・乳白石などがある。

   

 篆刻豆コラム
  
印材の目利きとは!?
 篆刻をやっていて悩むのは印材の確保です、石の名前はいろいろあるのですが、実質的には寿山石と青田石と巴林石と凍石の四種類に大分類して考えたほうがいいと思います。
田黄石だの芙蓉石などにこだわりとお金のある方は高価な石をいろいろためされるのも結構ですが、一般的には寿山と青田があれば篆刻はできます。
補聴器と一緒で篆刻の印材は存在自体がポピュラーとは言い難いので書道専門店でもなかなかいいものや種類がありません。
デパートや画材専門店の販売スタッフでさえ知識があるわけではないので。
寿山石の中に青田石が混じっていたり、青田石の中にどうして凍石があるのだというごったまぜで展示販売していたりと杜撰な店が多いです。一度老婆心で教えたことがあったのですが、自分はプロの売り場スタッフだとばかりに権威をふりまわして言うこと聞くどころか「あんた(アムラン)みたいな素人は私達プロの言うとおりでまちがいないの」と、とりつくしまもないスタッフが日本全国どこへいっても同じで。
なんだか補聴器販売店と同じだなあと苦笑しました。アムランは見た目が若く見えるらしいのと、普通は篆刻は高齢者の趣味と思われているらしく、年齢に比べて23年という篆刻歴に驚かれます。
それに石に関して言わせていただくとプロなんだけどね、売り場でケンカするのも見苦しいので「はいはいお説ごもっとも」ということにしています。
そのかわりもうけさせていただいております。実は1000円で売れる石を100円で売っていたり、200円の石を700円で売っていたりすることがざらにあります。つまり石の価値が全くわかっていないんですね。だから損しない買い物をすることにしています。
 最近の掘り出し物は販売店のスタッフは青田石ですと主張していましたけれど巴林の上物が混じっていたんですね(20ミリ角)250円だったのですが、買って帰って印刀入れたら間違いなく巴林で、たぶん2000円出しても買えない高級品質の石ですね。
後日まだあったので販売スタッフには教えないでそのままの価格で買い占めてきました(苦笑)3本ですけどね。
 逆に適正価格は300円なんだけどどうして850円なわけというケースも沢山あるので印材確保は大変です。販売店の人間に何を言っても無駄なので価格に見合った良いものを入手するように心がけています。価格的には安価なので品質にムラがあるのが難ですけれども寿山がおすすめですね。
青田石は18ミリ角で200円なら適正価格で良心的な店と思っていいと思います。要注意なのは青田石にランクづけて販売している店です。
普通の青田石と青田石上物とかA級といった表示をしてランクを分けて販売している店は要注意です。
青田石上物のほうには青田石がちゃんと入っていますが、普通のほうには安い寿山を青田石と偽って高い価格を表示している店がけっこうあります。
特に大阪と横浜の店は公正取引委員会に不当表示で告発したいほどの店が多いので、買うときは自分の目と手で持って。石の名前にごまかされずに価格をみて、納得できて自分の気に入った石を買ってください。
えっなんで告発しないかって?それは買い手が得するためです。掘り出し物をどんどん買って不当表示の物を買わないで販売店に損させればいいんですよ(苦笑)。
 適正価格とは!?
 適正価格の情報については、篆刻用の石はほとんど中国からの輸入です。なので為替相場の影響もありますし大きさにもよりますので確定的なことはいいづらいのです。
けれども目安としては寿山で5ミリ角で10円・18ミリ角で100円50ミリ角クラスでも200円なら普通です。
青田と巴林は難しいのですけれども青田で寿山の倍くらい。
巴林で三倍が目安で各クラスの大きさでプラスマイナス30円程度であれば良心的な店と判断してよいと思います。
「うちの店の石は質がいいからその辺の青田や寿山とは違って高いんですよ」と薀蓄を語るスタッフのいる店では買わないことをお勧めします。
お客様にきちんと石を触らせて静かに鑑賞させてくれて、価格も「まあいいでしょう」と思えるお店から購入してください。意外な掘り出し物が手に入るかもしれません。
石だけは宝石もそうですが、自分の目と手で確認して買うことをお勧めします。
 お買い得はダイソーの百円均一の20ミリ角の石です、100円では絶対買えない超お買い得品がそろっていますので、在庫を発見次第買い占めています。
5000円の石が105円で買えますから、嬉しいを通り越して美味しいです。流石に田黄石はありませんが、芙蓉石と墨緑石に肖山紅の20ミリ角が105円は泣きました。