2007. 8. 30. Thu 自己回復 先週から、貧血症状が強い。 腎臓の働きの一つに、造血を助けるというのがあって、私の場合それが完全にぶっ壊れているらしい。 同じ腎臓患者でも、壊れている度合いの大きい分野というのはそれぞれみたいだけど、私の場合、まだ他の機能が正常なうちから、造血機能だけはめちゃくちゃだった。 腎臓さんがやってくれないので、外からそれらしき薬を投与して赤血球を増やすしかないのだけど、この薬の量の調節がまた微妙で、ずっと続けて入れていると血が「これでもか!」ってぐらい濃くなるし、やめれば、あれよあれよという間にど貧血に陥る。 で、どうも今そのど貧血状態らしく、階段を上ってはへこたれ、今日なんか、モップで床を拭いたり、1kg入りのスパゲティの袋を持ち上げて棚にしまっただけで息が切れてる始末。ああ、情けなや! さすがにこのレベルになれば誰でも体長の悪さを実感するだろうけど、ちょっと困るのは、私の場合、このレベルに達するはるか前から自覚症状を覚えてしまうのだ。 貧血に限ったことでなく、血圧が上がったとか、体が水分不足になってる、あるいは水分過剰になってるなどなど。 悪いことではないのだろうけど、それでときどき辛い思いをしてしまうこともある。 透析治療というのは、ある意味非常に機械的なものだ。 自力で水分調節ができないから、予め基本の体重を決めておいて余ってる分の水分を除去する。 が、体重なんて普通平気で増えたり減ったりするからね。 でも私たちは月に一度レントゲンで調べてみないことには太ったも痩せたも分からないのだ。 あまり敏感でない人はそれでもどうってことはないのだが、私ときたら、100グラム200グラムの引きすぎ、残り過ぎが機になってしかたがなく、ひどいときは翌日の体長にビンビン響く。 血圧が上がれば精神的にどうにかなりそうだし、こういう患者は医療スタッフにしてみれば、とてもやっかいなのだと思う。 おまけに私は緑内障持ちで、眼圧コントロールもたいへんだ。 ほんとにやっかいの塊なんだけど、好きでやっかいの塊になってるわけではない。 今までそれでずいぶんいやな思いをしてきた。 自覚症状をうったえたときに、そんなはずはないとか、考え過ぎだとか言われることが不安で、調子が悪くても黙って耐えていることも多かった。 自己表現力のなさもあり、不安とか、誰にも心底痛みを受け止めてもらえない苦痛から、たびたび心のバランスを崩した。 あれから1ヶ月が経とうとしている。 気持ちとしては、もうずいぶん昔のことのように思えてきたのだけど、つい今月の初めなんだよね。 今週からHDF(血液濾過透析)という方法で治療を始めた。 これは主に長期の患者さんで、間接や血管などに合併症が出ている人に施される治療方なんだけど、血圧が下がる、頭痛がするなどのいわゆる「不均衡症候群」が出る人にも有効であるらしい。 私のように緑内障を持ってる患者も、普通の透析では、不均衡の症状の一つとして眼圧が上がって眼をいっそう傷めてしまうので、この療法は有効であると、ネットに載っていた。 病院にとっては、HDFはお金ばっかりかかってたいへんなのだと思うけど「やってみませんか?」と持ちかけてくださって、ありがたい。 透析始めて、眼もだいぶ壊れたけど、たとえ光の一点になっても、やっぱり見えている世界はすばらしいからね。 貧血のこと、眼圧のこと、その他いろいろ口に出しても 「敏感なのは良いことなんですよ」 と、全て受け止めてくれる。 こんな言葉を与えてもらえば、少々調子が悪くたって、パニックに陥ったり泣いたり叫んだりすることもなく、笑顔で乗り越えていける。 私の右横の床、ふかふかのマットの上に体を投げ出してノエルが眠っている。 ここでは誰も「あなたのためにノエルまで入れてあげたんだよ」とは言わない。 「ここに来たい患者を受け入れるのはあたりまえのこと。最善の治療を行うのもあたりまえのこと」 「あなたが来てくれて、私たちもすごくいい勉強させてもらってると思うよ。」 ドクターやスタッフたちのこんな言葉に触れるたび、病んでいた私の心が癒されていく。 急速に、自分が回復しているのが分かる。 こんな環境に恵まれて、支えてくれる人たちに囲まれて、本当に幸せだと思う。感謝でいっぱい。 2007. 8. 28. Tue 何がそんなに怖いのか? 毎年恒例の、学校の一斉放送点検があった。 一人3〜4箇所の担当箇所を割り当てられ、そこで3種類の放送の聞こえ具合をチェックする。 私は2階の自立活動室、生徒改質、そして西側会談の担当。 自立活動室へ行き、生徒の椅子に座って放送開始を待った。 「キンコンカンコーン、職員室からの放送です」 と流れてきたら、それまで床に伏せて暑そうにしていたノエルが、むくっと起き上がって、耳を膨らませて固まってしまった。 どうしたのかな? 続いて校内電話と、事務室からの放送が流れた。 は〜、は〜、は〜 ノエルの息が荒い。暑さのせいではなさそう。微かに体が震えている。 「では次の点検箇所へ移動してください」 と支持があったので立ち上がると、これで怖いことから開放されたとでも言うように、ノエルも立ち上がり、大喜びでついてきた。 しかしもちろん終わりではなく、次の部屋の点検が始まるのだ。 するとノエルはまたまた固まり、は〜は〜、ブルブル… 階段の点検のときは私が少しずつ移動するのに合わせて自分も動き、私の傍を少しも離れない。 いったいどうしたというんだ? 放送なんか毎日毎日いくらでも聞いているのに、実に妙だ。 まぁ、普段誰かを呼び出すときや何かのお知らせのときと違って、やや硬い感じの放送だったから、不気味に思ったのかも知れないけど、とても不思議なノエさんでありました。 2007. 8. 23. Thu 工事現場 学校付近の道路で、下水管を張り巡らす工事をしている。田舎だから今まで下水道が整備されてなかったらしい。 夏休み前から、あちらこちら道路を掘り返して、毎日通勤路の様子が変わるからたいへんだ。 生徒が出てくるまでには少しは落ち着くのだろうか? 学校への行き帰り、工事現場の人が手を貸して道路を安全に通らせてくれる。 たぶんノエルなら自力で安全に誘導してくれるのだろうけど、せっかくなので助けを借りて、ノエルをお散歩犬状態にしてリードで横につけて数十メートルを歩いている。 今朝は大きなトラックが2台ほど、道路上を右往左往していた。 そのうちの1台が私の目の前で止まった。 運転していたのは、若い作業員だったらしく、すぐに先輩の作業員がすっ飛んできて 「W君!その点字ブロックに車止めたらだめ。奥にずらして、はい、速く速く!」 と支持を出した。 どっちみちこの人に誘導していただいてるのだし、既に点字ブロックなんてトラックに踏んづけられてガチャガチャに破損しちゃってるんだけど、この方の正義感には感謝である。 帰りは職場を出るのが遅くなり、急ぎ足でバス停に向かった。 やぁ、間に合うかなぁ?やばいぞ〜… 正門を出るとすぐに工事現場だ。道路の右半分を工事してる感じで、これなら左歩行の私たちは問題なく通れそう。 タッタカターと歩いていたら、突然声をかけられた。 「工事してますからねぇ。左側を通ってくださいねぇ。はい、ゆっくりでいいですよ〜。」 ええっと、私はもとから左側を歩いてたんだけどなぁ。それにゆっくりでいいと言われても、私のほうにゆっくりではいけない事情があるんだが… 別段何にもなさそうな左側の通路を歩ききったところで 「はい、ここからは右側の点字ブロックを歩いていいですよ。」 と、道路を横断する向きに立たされた。 「ああ、いえ、盲導犬はもとから左歩行なので、このまま行きます。」 と答えたけど、なんかこっちが決まり悪くなった。 いやはや、暑い中の工事&みんなの安全確保、ご苦労様です。 2007. 8. 17. Fri 不意打ちです 書くタイミングを逃して、数日前のことになってしまったのだけど、久々に入店拒否に遭いかけた。 実際には私に対して不快な言葉が投げられるようなことはなかったんだけど、店を出るときに、レジの女の子に聞いて分かったのだ。 ハプニングがあったのは、「宮交シティー」の中のレストラン街の某店舗。 普段めったにあちらのほうへは行かないけど、買い物の用事なんかもあったので久しぶりにそのレストランにも行ってみた。 めったに行かないとはいっても、まったく行ったことがないわけでもなく、ノエル同伴で少なくとも4回は入っている。 そのお店の位置がよく分からなかったので、宮交シティーのとあるお店で尋ねると、そこの店員さんが親切に連れていってくれて、レジの子に私たちの世話をするように頼んでくれた。 そこでしばらく待たされた。お昼時だったから席が空いてないんだろうと思った。 やがて「こちらへどうぞ」と、いつもと変わらない感じで案内され、食事も美味しくいただいた。 帰るとき、レジでお会計をしながら、女の子が、ワンちゃんおとなしいですねと話しかけてきた。彼女は高校生のころ、盲導犬の訓練師になろうかと真剣に考えて、いろいろ調べたことがあるという。 「実は入ってこられたときに、店長が犬は困るっていったんですよ。だから私が盲導犬のことを説明して入れてもらったんです。」 「そうだったの?ありがとう。」 この人がいなければ、かなりもめもめの騒ぎになってたのかも知れない。それにしても、店長がって?店長変わったのかな? 何度も来たことがあるからって油断してはならんのですね。たまには足を延ばして、顔を忘れられないようにしておくことも、盲導犬理解には必要なことなんだろう。 今や自分ちのダイニングみたいに出入りしているうちの裏のファミレスだって、ノエルが来たころには非常に悪質なやり方で入店拒否をしていたのだ。 いったいいつになったら、本当にどこにでも「大丈夫かな?」なんて考えたり、大丈夫と思ったところから不意打ちを浴びせられたりせずに行動できるようになるんだろうね? 2007. 8. 15. Wed 我が家のミステリー ベランダから、物干しに使ってたハンガーが消えた。 恐ろしいですね。泥棒かな? 我が家は2階、しかも高さは普通の2階より高いんだが。 けどなんで、プラスチックのちゃっちいやつばかり無くなっているんだろう? そういうやつが4本か5本あったのに、きれ〜いに消えているのだ。 もうちょっと上等な材質で、物干し竿にしっかり固定できるようになってるタイプのだけ、消えずにちゃんと残っている。 実に怪しい。 これってひょっとして、鳥さんに持っていかれたんだろうか? 森に住む鳥たちは、小枝や葉っぱで巣を作るが、街の鳥は、ハンガーや道路に放置された不燃ごみなどを使って作るという。 わざわざ鳥たちのために、外にハンガーを吊るしておいてあげる優しいおばあさんの話も聞いたことがある。 ふむふむ。 鳥さんなら、うちのベランダぐらいの高さでも、難なく入り込んで、ハンガーを持っていけるわけだね。 それに、ちゃっちいやつのほうが簡単に竿からはずれてくわえ易いだろうしね。 と、勝手に納得しているのだが、この推理はいかがでしょう? けど、鳥さんて、今頃巣なんか作るっけ? 2007. 8. 14. Tue 市役所の風景 用事があって市役所へ行った。 待ち時間があったので椅子に座ってテレビを見ていた。 丁度甲子園で地元の高校が仕合に出ていた。 待ち時間長かったけど、この時間に来たのは正解だったかも。 後ろの椅子には他所のおじさんがいて、やはりずっと野球を見ていた。 「あ!打った売った。やったぁー!」 「あららら追いつかれたが〜。」 「なんじゃ、また同点か〜。」 などと、ゲームの進行に合わせて、でかい声で独り言を言うから、実況放送や解説が不十分なテレビでも、なんだか場面が良く分かる。おじさんどうもありがとう。楽しませてもらいました。 結局仕合最後まで見て、地元の学校が勝ってばんざい!! さてと、野球を見ながら周りの様子をうかがっていたが、子供の多いこと多いこと! お盆休みを利用して役所の用事を済ませに来たのだろう。 幼稚園や保育園に通ってる子供も休みだから連れてくるしかないということなんだろうけど、騒ぐ子、泣いている子の多いのにはびっくりである。 しかもそういう子たちがなぜか申し合わせたように「ピーピーサンダル」を履いているのだ。 歩くたびぴっぴっぴっぴっ。 あっちでもこっちでもピッピッピッピ。 一人が走り去ったと思ったらまたどこからともなくぴっぴっぴっぴとやってくる。 どうなってんだ? 確かに子供って、ピーピーサンダルが大好きだけど、他に靴を持ってないわけじゃあるまいし、役所に来るときぐらい、泣かない靴を履かせてくればいいのに。 何かピーピーサンダルの音が耳に残ってしまってます。 2007. 8. 9. Thu やっぱりなぁ… 久しぶりに母から電話があった。 いつまでも黙っているわけにもいかないから、 「先週から病院替わったんだ」 と告げた。すると 「え?なんで?」 それとなく理由は言ったけど、詳しくは言わなかった。あまり刺激しても良くないし。 でも、転院した話だけで充分刺激的だったらしい。 「ええ、大丈夫かねぇ。誰先生が見てくれると?」 どうせ名前聞いたって分からないのに。N先生だよと言ったら 「ふーん。N先生ねぇ。聞いたことないねぇ。大丈夫かねぇ。」 聞いたことないって、そりゃこの病院に掛かったことないんだからあたりまえでしょ? 電話している間中「大丈夫かねぇ」の連発。 まいるなぁ、ほんと。 母に何か話しをする度、どんな反応が返ってくるか気になり、これで具合が悪くなったらどうしようと不安になる。 母に告げたい大事なことがあっても告げられない。 2007. 8. 8. Wed 運転手さん、話をちゃんと聞いてよね バス停のすぐ前の病院なのに、田舎は最終が早いからたいてい間に合わない。 今日も家までタクシーに乗った。 住所を言って建物名を言ったら「はい、分かりました」との返事。 しばらく走った後 「そういえば○○さんて人があそこには住んでなかったかな?」 その○○さん、実は私の知人なのだが、あいにく住んでるのは私と同じところではない。 ○○さんが住んでる××町のその建物は、私が住んでるこの建物とよく似ているのだろう。何ヶ月か前、○○さんがタクシーの間違いでここへ連れてこられたことがあったと話していたのを思い出した。 「○○さんは××町のほうですよ。うちのほうが古いです。」 なんて話をしながら走ってきて、間もなく到着した。 車から降りて辺りを見たら、何だか違う。急いで今乗ってきた車を呼び止めようとしたが、走り去ってしまった。 あわててタクシー会社に電話をかけて、間違えたところで降ろされたので、もう一度家まで送り届けてくださいと頼んだ。 「今どこにいますか?」 「目が悪いのでよく分からないけど、おそらく××町の□□っていう建物の前じゃないかと思います。車の中でその話をしましたので。」 やがてさきほどとは別のタクシーがやってきて、 「すみませんねぇ。うちのものが勘違いしたみたいです。」 無事我が家へ到着したのは、10時20分頃だった。 それにしても何だったんだろう?あんな会話をしながら間違えるとは。 住所を言ったとき、とても確信に満ちた態度だったので、まさか間違えるとは思わなかった。 今度からもっとしつこく「××町のほうじゃありませんよ」って念を押すことにしよう。 昼間なら適当に見当つけて歩いて帰ることもできるけど、夜はお手上げだもんなぁ。 2007. 8. 6. Mon ささやく信号機 病院前の横断歩道を渡ろうとして、おやっ?と思った。 ここって音響信号があったのか!微かに、「キンコン、キンコン」と音が鳴っている。 が、こんなちっちゃな音で、いったい誰が分かるというの?車の走行音にかき消されてしまうに決まっている。現に私だってここ渡るの4回目だけど、気づいたのは今日が初めてなのだ。 ここに限ったことではないけど、このごろ音響信号機の音、むちゃくちゃ小さい! 付近住民に迷惑にならないようにとかいうことはあるだろうけど、ここまで、車の走る音よりも小さいほどにしぼる必要があるんだろうか? 病院の前だからというわけではなさそうだ。街の中でさえも、よぉーく耳を澄まさないといけないほどの微かさで「通りゃんせ」が鳴っている。 家の近くの交差点でも、泣きすぎてへたれ込んだみたいなカッコーが鳴いている。 大きな交差点でも、片側のスピーカーのみ鳴らしていたりするから、音源を手がかりに渡る方向を判断している白杖歩行者などは、ずいぶん渡り辛いだろう。 視覚障害者は耳がいいから、こんなちっちゃい音で充分だとでも言いたいのか?とんでもない。 視覚障害者が特別聴力が良いわけではないし、視覚障害と聴覚障害(難聴)を併せ持った人だってけっこういるのだ。 それから、宮崎では夜7時になると、全ての音響信号機が止まってしまう。これってあまりに早いのでは? あちこち旅行して観察してるけど、大きな街では9時頃までは音が鳴っているし、それほど大きくない街でも8時くらいまでは鳴っていた。止めてあっても、視覚障害者が押しボタンを押せばそのときだけピヨピヨが鳴るというのも見たことがある。 とにかく宮崎よりもひどい条件のところは、他になかった。 眼が悪い人は夜出歩くなってことなのか? 視覚障害者の中には、夜ホテルなどでマッサージの仕事をする人も少なくない。この人たちの歩行の安全はどうなるんだ? 「みんなに優しい街作り」とか言ってるけど、いったい何の話? 市や県に改善を求めてもなしのつぶて。何とかならんかなぁ、ほんとに! 2007. 8. 4. Sat あわてた店員さん&びびったノエちゃん コンビニで買い物をした。 「465円です」 と言われたので、それならきっとおつりが出ないようにぴったし出せると思ってお財布の中を見てみた。 私のお財布は「ユニバーサル財布」ってやつで、中がすごくたくさん仕切ってある。そこに、コインとお札を種類毎に全部分けて入れる。 そうしておけば支払いのとき、ガチャガチャワサワサ探さなくてもすむわけだ。 分けてしまってるから、あまりよぉーく確かめることもせず、数だけ数えて渡してしまうことがある。 百円玉のポケットから4枚、50円から1枚、10円から1枚、5円から1枚…あったあった。自信満々で「はい、ちょうどあります」と差し出す。 が、 「あと百円ありますか?」 と返ってきたではないか。 うーん、もうないんだよなぁ。百円はもうないと言ったら、しばらく考えて 「じゃぁ80円ありますか?」 それならあるので、また50円から1枚、10円から3枚出して渡した。ところがお姉さん、全てのコインをずらりと並べ、数えてから 「ええっとー、足りないですねぇ。うーん、あと…」 いくら足りないのかとっさに出てこないようだ。 「いくら足りません?」 「百円だったらおつりがあげられるんですけど…」 「だってないんだもん。結局いくらあればいいの?」 なんだかいつまでもこの調子である。 「じゃぁ、私は最初にいくら渡したの?」 「370円です」 「それじゃぁ、465円だから95円足りないわけですよね?で、80円今あげたんだから、あと15円ですね?」 「…」 お姉さん完全に混乱している。どうしちゃったんだろう?よほど計算が苦手なんだろうか? いや、おそらく私がいけなかったんだろう。465円と言われて自信たっぷりに370円差し出す人なんか、そうそういるわけがないからね。 「370円出しました。あと百円出せば470円。おつりは5円。ということは、実際に足りなかったのは95円出せばいいわけでしょ?」 と順に説明すると、ようやく納得してお金を受け取って、商品を渡してくれた。 どうもすみませんでした。お姉さん頑張ってね! 夜、宮崎市の花火大会が行われた。 まぁ、音が聞こえてくるまで花火大会があることなんか忘れていたわけなんだけど、なんだかずいぶん盛大にボンボン上がるので、思わずベランダに出てみた。 どうせここからじゃ花火そのものは見えないんだけどね(この距離では他の人に見えてもどっちみち私には見えないだろう)。 でもなんとなく雰囲気だけ味わいたくて、部屋の電気まで消して、ベランダでしばらく花火の音に耳を傾けていた。 近年になく盛大に上がっている。やはり少しは経気が良くなったからなのだろうか。 不景気のころは打ち上げられる数も少なくて、8時半頃には終わっていたようだけど、今回は9時半までドドーン、バリバリバリバリ、バンバーン!!と鳴り響いていた。 ベランダにノエルも出していたけど、どうやらノエさんこういう音は苦手みたい。 一刻も早く家の中に戻りたくてたまらない様子。 私が身動きする度に息を荒くして、網戸を開けてくれとアピールする。。 花火の音がする度ピクッとして、グルグル、グルグル、ベランダ中を走り回る。 聴力のいいワンこの耳に、花火の音はどんなふうに響いているんだろうか? 絶対花火大会の会場近くなんかには行けないね。 かわいそうなので先に部屋へ入れてやったけど、それはそれで私が一緒に来ないので不満なようだった 2007. 8. 3. Fri アニマルセラピー(?) 病院の古い建物には、これまた古いエレベータがあって、もちろん点字も音声も付いていない。 このまえ「点字を貼ってもいいよ」と言ってくれてたので、さっそく今日透明のネームテープに書いて持っていった。 玄関を入ったら受付から、このまえと同じスタッフさんが出てきて 「点字書いてきた?貼るの楽しみにしてたんだ〜。」 思わず笑ってしまった。 ドアの外の壁と、中のボタンの横に数字を貼った。 院内は迷路みたいで、まだよく訳が分からないから、そのまま彼女に上までついてきてもらった。 今日は透析中に、療養病棟に入院しているおじいちゃんが遊びにきた。 車椅子を押してもらって、ノエルが見える位置まで来ると、うれしそうに話しかけた。 昔大きな犬を3頭飼ってたこと、自分のバイクの音を遠くから聞きつけて走ってきたこと、愛犬が亡くなったときに、海岸の松ノ木の下に葬ったことなどを話してくれた。 おじいちゃんの飼っていた犬の名前が「エル」だったそうで、おかげでノエルの名前もすんなり憶えてしまったみたい。 「ノエル、かわいいなぁ。ノエル」 と盛んに声をかけている。 こんなに嬉しそうにしている人に、声かけないでとか、触らないでなんて言えないよなぁ〜。 「ノエル、プリンかカッパエビセン食べさせてやろうか。」 なんてことまで言い出した。しかも何度も繰り返している。 「こらこら、だめよ。」 と看護師さんに言われて黙ってしまっても、ものの2分と経たないうちにまた同じことを言っている。 よほどノエルが可愛いのだろう。まぁ、スタッフがいるんだから、実際にものを食べさせられる心配もないし、私はベッドの上から、ほのぼのした気持ちで見下ろしているばかり。 最後におじいちゃんは私に向かって 「ノエルを大事にしてやってねぇ」 と言って、看護師さんに促されて部屋を出ていった。 それを見送った透析室の看護師さんが 「アニマルセラピーやねぇ」 と一言。 こういうことが起きるのも、いろんな部門のある大きな病院ならではだなぁ。 前のとこはクリニックだから、その時間に来てる人たちはみんな透析患者で、関係ない人が遊びにきたりなんて、ありえなかったもの。 ノエルのことは既に入院患者さんはみんな知っているらしい。 自身も火・木・土に透析を受けているという一人の患者さんは、このまえ水曜日の朝早くに部屋にやってきて 「盲導犬もう来た?」 と言っていたとか。 ノエちゃんの存在感抜群!しばらくはこんなことが続きそうかも。 2007. 8. 2. Thu またまた台風が 「また台風が来るみたいだよ」と聞いたのは、つい昨日の朝だった。 それが、あれよあれよという間に九州に大接近してきたではないか! 昨日夜の時点では、3日金曜日の午後に来るという話だったのに。 昨日から行き始めたばかりの病院でもさっそく継ぎの治療は土曜日にずらしたほうがいいかもね、なんて話になっていたのである。 それが、今朝起きてみたら、もう、かなりの荒れ方になっていた。 とりあえず出勤したが、バスに乗っている25分ほどの間にも、風の勢いがさらに増してきたようで、降りてから学校までの道はたいへんだった。 ときどき歩けなくなるほどの風。 傘はぐにゃりと曲がってしまったし、レインコートもまるで用を成さない。 やっと辿り着いたはいいけど、さて帰るときはどうするんだろう?と心配になった(急ぎの仕事があるわけじゃなし、休めばよかったと、まじで後悔)。 五善9時過ぎ、主任の先生たちが集められ、やがて全員安全確認後帰宅してもよいと知らせがあった。 「Ami先生、誰か車に乗せてもらってください」 というお気遣いの言葉も。英語のK先生の車で家まで送り届けてもらった。 突然できた1日の休み。こんなときにゆっくりと家を片付けて…とか思っているのだけど、それがどうも予定どおりに進まない。 やる気はあるんだけど、私なぜか台風が来るとやたらと眠いのである。 気圧が下がるからなのだろうか。とにかく何かをしようとしてもなかなか動きだせず、誘惑に負けて眠ったりしてしまう。 結局今日も1日だらだらと、台風が過ぎるまでこれといった仕事もせずに過ぎてしまった。 台風は午後5時過ぎに、宮崎県日向市あたりに上陸したとのこと。 だんだん遠ざかっていってるわりには、夜遅くまで強い風が吹き続けていた。 みんな被害ないといいなぁ。 いったい今年は幾つ台風が来るのだろう。もういらないからね! spacer コメント(2件) setlinebe 2007. 8. 1. Wed 新たな歩み いよいよ新しい病院に通う生活が始まった。 職場をいつもの時間に出て、今までより二つ手前でバスを降りて、別のに乗り換える。 やく10分で病院の真ん前に到着。 今までだって、バスを降りて10分ちょっとぐらい歩いていたのだから、時間としてはあまり変わらない。 が、今日は2週間前に始めてドクターに会いにきた日以来二度目なので、ノエルと二人、入り口を間違えて、隣の薬局へ入ってしまった。 それから受付でいろいろ手続き上のことをしたりしてるうちに、かなり遅くなってしまった。 服を着替えて部屋に入ると、スタッフの人たちが、「いらっしゃ〜い」と出迎えてくれた。 私のベッドの隣に、かなり豪華なノエルのベッドが用意されている。 厚みが5センチほどあるマットの上に、すっごく気持ちいい手触りの敷物がかけてあるのだ。 後で聞いたところによると、主治医の先生や、病院の理事長先生が 「ずっと使うんだから、いいのを買ってあげなさい。ほわんほわんの気持ちいいいやつをね。」 と仰って、スタッフの方があちこち探して買ってきてくださったのだそうだ。 本当にすごく、感謝でいっぱい。 ノエルはベッドの下に入れるのではなく、ベッドサイドの床にそのマットを置いて休んだ。そこから顔を上げればいつでも私が見えるのだ。 夜の患者さんが少ない(私を入れて3人)せいもあるけど、とても落ち着いた雰囲気の部屋だった。 他の患者さんはゆっくりお休みになっていた模様。 私も普段はそうなんだけど、さすがの私も、初日から眠りこける図太さはなかったらしい(笑)。 部屋にはいろいろな先生や看護師さん、補助職員の方たちがやってきて、ノエルに目を留めては 「可愛い」「おとなしい」「ノエルってどんな意味?」などなどと声をかけていった。 以前旅行先の臨時透析で体長がひどく悪くなったことがあったので、内心かなり心配だったけど、具合がおかしくなることもなく、無事終了。 多くの人の善意とケアに支えられて、幸せな私とノエル。 もう二度と「やっかいもの」にならないよう、ここでずっと、心穏やかに過ごしていきたい。 " ALT="">過去ログ一覧へ戻る トップページへ 携帯用トップへ |