2007年4月














2006. 10. 30. Mon
最終日
朝起きて、出発の準備。 
昨夜のうちに作っておいたダンボール入りの荷物を宅配依頼して取りにきてもらった。 
たった2泊の旅行の後とは思えないでかい箱! 
実は、昨夜食事の後に行われた大抽選会で、お米が当たってしまったのだ。 
5キロあったけど、一人暮らしのうえに、食事を学校や病院でいただくことが多くてあまり炊飯することが多くないから、5キロあったらずいぶんかからないと使いきれない。 
などといっていたら、部屋に遊びにきた友達が「いいなぁ、うちならあっという間に使うのになぁ」と言うので、半分分けてあげた。 
残り半分のお米の他に、10個以上のカボスもある。 
カボスといえば大分の名産。 
これをジャンケンで争奪戦したのだが、私はあっさり負けたのに、部屋のボランティアさんが替わりに頑張ってくれて、ゲットしたカボス20数個をまるごと私にくださった。 
それで同室のAちゃんにも荷物に入るだけ分けてあげたのだが、それでもまだまだある。 
絞って製氷皿で固めて保存しておくといいとのこと。帰ったら必ずやろう。 
 
朝食後、みんなは杵築市のほうへ蜜柑狩りに出かけることになっていた。 
私としては、蜜柑はともかく、最後までみんなといたいところだけど、夕方から病院に行かなくちゃならないので蜜柑狩りはパスして帰ることにしていた。 
バスに乗り込むみんなを見送り、タクシーで別府駅へ向かう。 
いいかげん体がしんどい。こういうとき、何となく憂鬱な気分になる。時間に縛られ、食事も思うにまかせず、やはり集団での旅行って私にはかなり無理があるのかなぁ… 
それでも、できればまた参加したい。 
 
ところで今日はノエルの誕生日だ。 
旅先で11歳になった。 
みんながおめでとうを言ってくれる。 
普段から、ノエルはたいていの11歳の子よりずっと元気だと感じているけど、今回はとても強くそのことを感じた。 
目の見えているボランティアの人たちも、 
「8歳9歳の子たちより若々しい感じだよ」 
と言ってくれたりして。こんな元気が、まだまだ何年も続いていけばいいのにな。 
 
帰りの列車は来るときよりも豪華な車両で、ノエルも私も、ほとんど爆睡上体だった。 
今回の旅行は、しんどいながらも、かなり楽しかった。 
去年愛知に行ったときには、ノエルが他の犬を怖がったり、ストレスでフードをまったく食べてくれなかったり、かなりてこずらされて、もう犬の集まりには行けないと思ったけど、今年は担当の人が部屋割りなどを工夫してくれて、ノエルにもストレスになることがほとんど無くて、とても助かった。 
改めて私のわがままを聞いて配慮をしてくれたことに感謝。 
 
宮崎に到着後、家に帰ろうかと思っていたが、帰ってしまうと出かけるのがいやになりそうなので、街の中で一休みしてから直接病院へ行った。 
透析を開始してからふと気づいたのだけど、今日はアレルギーの薬を飲み忘れていた。 
いつも透析の前にはそれを飲んでおかないと、痒みが心配でならない。 
しばらく調子がいいので試しに飲まずに行ってみたらやはりだめだったということもあったから、ほんとに必需品なのだ。 
ところが、今日はまるで痒くならない。 
気のせいなら、飲み忘れたと気づいた自店で症状が出そうなものだけど、まったく平気だ。 
これも温泉のパワーか?すごいなぁ、ほんと。私にとっては、奇跡の泉だよ。 


2006. 10. 29. Sun
第2日目
6時過ぎに目覚めるが、昨夜の夜更かしと、身体の重さが重なって、なかなか起き上がれない。 
10分くらいかかってようやく起きだし、窓の向こうの空を見たら、すごい晴天。観光日和だ。 
 
朝食を済ませ、予め希望をとって分けてあったグループ毎にバスに乗車。 
私が参加したのは、別府市内で水族館と地獄巡りを楽しむコース。 
もう一方のグループは、湯布院観光をするようだ。 
希望をとった段階ではどちらにしようかと迷ったのだけど、向こうのグループはけっこう歩くようだったから、今の私の体力ではきっと無理だろう。もちろん希望を出したときにはそういうことは分かっていなかったのだが、これからも、先のことを決めるときには、できるだけ体力を使わないほうを選んでおいたほうが良さそう、という勉強になった。 
 
さて、いよいよ出発。 
グループ行動ではあるが、1日中、盲導犬使用者にはそれぞれボランティアさんがついてくださるということで、私にはMさんという女性が同行してくれた。 
年齢も私と近いような感じで、話もはずんで楽しい。 
 
水族館は、昔「マリンパレス」と呼ばれていた施設だが、数年前にリニューアルオープンして、現在は「海たまご」と呼ばれている。 
水槽が、生き物たちの本来の生息の場にできるだけ近い状態になるように工夫されて作られている。 
たとえば大回遊水槽と呼ばれるエリアでは、海の岩の形をとって作った人工岩を真ん中に島のように配置して、その周りを海水で満たし、生き物たちが好きなだけ泳ぎ続けられるようになっている。 
私は今日こそイルカに触れるかと思ったのだけど、イルカは出ていなくて、替わりにセイウチたちのショーを見せてもらった。 
 
体重500キロ前後もあるセイウチは、ぱっと見は何だか怖い。 
鳴き声も、とてもかわいいとは言えないし、後で触らせてくれると言っていたけど、本当に触って大丈夫なの?っといった雰囲気。 
セイウチのブブちゃんが坂道をどたどた走って登場すると、係りのお姉さんが紹介を始める。 
「ブブちゃん、みんなにあなたの体重教えてあげていい?」 
するとブブちゃん、頭を振っていやいやをした。 
こんな調子で、ブブちゃんはお姉さんの言うことに頭を振ったりうなずいたり、恥ずかしそうにしたり。 
そのうち雄のゴンタ君も登場。私たち一人ずつ触らせてもらうことになった。 
参加者の一人が「ゴンタ?」と呼んでみると、彼は「ウゴ」と返事をする。声は怖いけど、返事をするのが、なんだか可愛く思えてきた。 
触っていいですよと言われ、手を出したら、いきなり硬い髭に手が当たった。 
すごくチクチクして、何となく、皿うどんのパリパリ麺みたいな感触。 
でも体の他の部分には、赤ちゃんの毛布みたいな毛がもわもわっと密集して生えていた。 
それにしてもでかいなぁ! 
魚を餌にしてるからか、やたらに魚臭い。これだけはどうにもたまんない。 
 
水族館では、他にも、ヒトでやなまこ、殻の無い貝などを触った。 
リアルなフィギュア等を集めるのが好きな私は、最後にアザラシとセイウチのぬいぐるみを買って海たまごを後にした。 
 
お昼は大分名物のだんご汁をいただき、美味しさに感動。何かはまりそう。 
そして午後は地獄巡り。 
別府は世界第2位の数の温泉が集まる地域で、温泉の噴出し方や、お湯の質も様々。 
その様々を代表する五つの温泉の噴出しているところを回るのが地獄巡りだ。 
綺麗なブルーのお湯が湧き出手いる海地獄。 
山のあちこちからお湯が出ている山地獄。 
どろりとした年度みたいな所からボコッ、ボコッと断続的に湧いてくる坊主地獄。 
40分感覚でどわぁーっと噴出する竜巻地獄。 
多量の酸化鉄を含むお湯が沸いている血の池地獄の5箇所だ。 
 
坊主地獄には足湯があったのでしばらく足を浸けてみた。何となく少しは体が軽くなる感じ(気のせいかな?)。 
山地獄では、歩いていく道の途中にも、地面が熱く、ところどころ湯気が出ている箇所があって、友達のパートナーのベネティちゃんが湯気を踏んでしまい、その後恐怖で歩けなくなるハプニング発声。 
幸いベネティちゃんは体重21キロなので、同行していた男性が抱っこしてそのエリアを通り抜けたとのこと。 
ノエルは宮崎で熱々地面に慣れてるせいか、まるで何でもなさそうにそこを通ってくれた。 
また、この山地獄の傍では、小さな動物園があって、象やカバに餌をあげられるようになっていた。 
ビスケットを差し出したら、象さんが鼻で受け取ってくれたが、一つ地面に落としてしまったので、像さんを怒らせてしまった。(ごめんよ) 
 
海地獄の前のお店で、地獄蒸し焼きプリンというのを売っていた。 
これは出発前に妹から聞いていたので、ぜひ食べたいと思っていたプリン大好き人間の私。 
だが、容器がでっか過ぎて、昨日から食べすぎ気味の私には多すぎる。 
買ったらすぐに食べてくださいとあるので、持ち帰るわけにもいかないし、諦めるしかないかと思っていたら、一緒に歩いてくれてたMさんが半分こしようと言ってくれたので、めでたくおいしいプリンにありつくことができた。 
 
こうして楽しい観光の1日は終わり。心配した体長も、まずまず持ちこたえ、満足のうちに、午後4時にホテルに到着。 
部屋へ上がる前に、ホテルの売店でいろいろ見ていたら、同室のボランティアさんがやってきて、私にお客さんが来ていると言う。 
あわてて部屋へ上がってみると、大分に住んでるネット友達だった。 
大分とはいっても、別府からは離れたところに家があるから、まさかわざわざ会いにきてくれるとは思わなかったので、すごくびっくりした。 
ノエルが彼をやたら気に入り、大興奮して飛びついていたのが面白かった。 


2006. 10. 28. Sat
旅に出る
昨夜遅くまでかかって、ようやく荷造りをした。 
たった2泊とはいえ、やはり家は片付けてから出かけたい。 
7時前に起きて掃除と洗濯をする。 
相変わらず身体が重いけど、昨日のようなふらつき感は無い。どうやらいけそうだ。 
 
行き先は別府。全国盲導犬使用者交流会がすぐ隣の県で開かれるのだから、何が何でも行きたいのだ。 
 
午前11時1分発の日輪12号に乗り、いよいよ出発。1年半ぶりのみんなとの再会に、心がわくわくする。 
一方、体長は大丈夫か?ノエルは犬を見てまた固まりはしないか?などなど気にもなる。 
14時20分、別府駅到着。ボランティアの方がホームに出迎えてくださり、タクシーで会場のホテルへ行った。 
 
部屋へ案内され、同室の宿泊ボランティアさんに「よろしく」と挨拶をする。 
とても良い感じの方で、部屋から見える景色や、大分のいろんな見所などをあれこれ教えてくださった。 
やがて同室のもう独りのユーザーさんが到着。到着して顔を合わせてみると、何とそれは高校時代から文通などしていた友達だった(もちろん部屋割りをした人が私たちが知り合いだということは知らないのだけど、こんな形で初対面を果たせて、ものすごく感激だった)。 
彼女のパートナーはベネティちゃんという6歳の女の子で、ころころした身体にふわっふわの毛並み、まるでぬいぐるみみたいに可愛い。 
ベネティちゃんもいぬ見知り(?)がけっこう強いということだったが、ノエルともお互いそれほど拒絶し合わず、けっこういい感じだった。 
 
部屋の3人でホテルの温泉を満喫。 
空色のま〜るいジャグジーみたいなお風呂と、どでかい普通のお風呂があって、すごく心地良い。 
湯上りには全身にクリームを塗りまくらないと痒くてたまらない私なのに、ここではまったくその必要が無かった。 
ああ、このお湯を我が家の湯船に張って毎日これに入りたいねぇ。 
 
夜は開会式と懇親会。 
大量の料理が出て、正直少しばかり辛い。 
何を食べようか?月曜日まで乗り切らないといけないから、今からバクバク食べるわけにもいかないし…と考え考え、選んで食べているが、事情を知らない人がやってきては料理を奨めたり、「たまになんだからいいじゃない?」なんて言ったりする。 
ご馳走のときだけは、どうしても病気の自分を意識せざるを得ない。ちょっと悲しい。 
それでも、みんなでわいわいと盛り上がり、やっぱり来て良かった!って気持ちで嬉しくなった。 
参加者の自己紹介が続き、あっと言う間に2時間が過ぎてしまった。 
 
ところで、到着間もないうちから、ノエルに一目ぼれしてしまった犬がいるようだ。 
2歳の男の子で、体もかなり大きいのだが、ノエルを見ると理性を無くすらしく、たちまち飛びついてくる。 
でっかいしパワフルだし、けっこう私のほうが脅威を感じてしまった。 
エレベータの中なんかで会ってしまったらたいへん。たちまちエレベータの中が大混乱となる。 
それにしても、どえらい年上好みのワンちゃんだ。 
さて、残りの日程、いったいどうなることやら。 




2006. 10. 27. Fri
身体重いぞ!まいったな。
昨夜頃からとても身体が重い。 
また貧血に陥ったらしい。 
今朝起きたら、耳が詰まったような感じもあり、歩くとバランスがとれずにふらふらする。 
やばいなぁ。どうしよう? 
明日から旅行に出る予定なのだ。 
キャンセルすべきだろうか? 
でも諦めるには悔しすぎる。 
仕事をしてても、やたらきつい。ほんとにまずいな。 
病院に行って先生に症状を伝えたら、 
「風邪じゃないかな?土日は家でおとなしくしてたほうがいいと思うけどねぇ」とおっしゃる。 
(ええ〜、そんな〜!!) 
がっかり&腑に落ちない顔をしていたら、臨時で血液を調べてくれた。 
ヘマトクリットが26と、だいぶ落ち込んでいる。なるほどしんどいわけだ。とりあえず風邪ではないということが証明され、増血剤と鉄材を注射で補給。明日は電車で移動と、ホテルの中だけだから、明後日観光で動き回るまでに、いくらかでも血が増えてくれることを願うのみ。 
とにかく絶対旅行には行くぞ! 



2006. 10. 25. Wed
難しいリズム
文化祭が近づいてきたので、生徒たちの練習にも気合いが入っている。 
ステージ発表の中で、ボディパーカッションのみで演奏する曲がある。 
これを先生たちも覚えて教室などでやってみようという話になり、私も教わってみた。 
リズムはすぐに飲み込めたけど、それを体で再現するのが、かなり難しい。 
リズムだけでなく目で見たときにみんなの動作がそろっているかということも重要らしいから、左右が逆になったり、たたいてる場所がずれたりしてはいけない。 
左から先にたたけばできるのに、反対にしたらできない。 
ダンスとかも苦手なんだけど、なんと言うか、身体の協調性が無い私。 
それにしても、膝をたたいたり、太ももをたたいたり、パンパン、ポンポンやっていると、だんだん身体が熱くなってくる。 
血行が良くなるのはいいけど、そのうちあざになったりして? 
中学生は二つのリズムを受け持っているのだけど、小学生や高校生も加わると、四つのリズムが重なる形になるのだそうだ。 
出来上がりを早く聞いてみたいなぁ。 


2006. 10. 22. Sun
高校の文化祭
教会の人たちと、午後から、宮崎商業高校の文化祭に行ってきた。 
普通科高校の文化祭なら、うちの学校との交流で参加したことがあるけど、実業系の学校のを見るのは生まれて初めて。 
まず思ったのが、校舎が面白い作りになってること。 
外から直接階段を上ると、外に面した廊下があって、教室が並んでる。アパートかマンションみたいな構造だなぁ。風通し良さそう。 
茶道部のコーナーで、牧師先生のお嬢さんのYちゃんがお茶を立てていたので、中へ入ってお茶をいただいた。 
お茶の作法なんてぜんぜん知らないけど、お抹茶はけっこう好き。 
その後今度は生け花の展示してあるお部屋を見た。 
ここにもYちゃんの作品があった。 
いろんなお花を生徒たちがくじ引きで分けて、当たった花を組み合わせて生けたのだそうだ。 
すごく珍しいお花がいろいろあって驚きだった。 
外に出ると、生徒たちが楽しそうに動き回っている。 
何となく、自由な校風が伝わってきそうな感じ。 
商業の学校だけあって、模擬店や販売コーナーがいろいろ出ていたようだけど、文化祭もあと少しで終わりという時間だったので、もう何も残ってはいなかった。 
それにしても、あの活気、良いなぁ。 
来月私の学校も文化祭あるけど、とにかく生徒の数が少ないので、小ぢんまりとして、1日分のイベントを生めるのもたいへんなほど。 
高校生に、あんなにぎやかで楽しい体験をさせてあげられたらなぁと思う。 
とりあえず、私も準備頑張ろう。 



2006. 10. 19. Thu
どうなってんの?
帰りのバスの中、高校生の男の子が、とんでもなくでかい声で携帯で電話していた。 
でかい声どころか、携帯そのものが車内でかけちゃいけないのに。 
待ち合わせの約束か何かみたいだったけど、せめて声のトーンを落とすとかしたらどうなんだろう? 
後ろのほうでは、同じようなこう厚生の一段が、スナック菓子をボリボリ食べながら、ガハガハ笑い転げている。 
バスの中中お菓子の臭いが充満。男の子のばか笑いと、女の子のキャァキャァ声が飛び交い、うるさいこと、このうえない。 
 
昨日、地元のニュースで、高校にバス会社の人が出向いて、バスの乗り方や車内マナーの講習会があったと言ってた。 
念のため書いておくけど、小学校ではなく、高校でだ。 
生徒たちの親から、学校でそういう会を開いてもらえてすごくありがたいとコメントが出ていたという。 
ほんとですかい! 
そんなのって、高校でやるようなもの? 
幼稚園か、小学校1・2年生を対象にしてるならまだ分かる。 
それより、そんなもの普通家庭で教えるものなんじゃないの? 
実のところ私も、 
「先生、ノートを買ってきてください」 
とか 
「学校で髪を切ってやってくれませんか?」 
などと言っている保護者を見かけたことがある。 
この感覚、やっぱり分からない。 
そんなの平気で口にして、恥ずかしくないんだろうか? 
これから、ますますそういうことを要求してくる家庭が増えるんだろうか? 
何か違うんじゃないの? 
って、教師自身が言ったら反発されるのかなぁ? 
どんなに手をかけて世話したって、どんなに愛情を注いだって、教師ができることなんて限られているんだよ。 
子供が一番必要としてるのは家庭。家庭の中でこそ、心は育つんだよ。分かってほしいよ、お父さんお母さんたち。 
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2006. 10. 16. Mon
木犀香る
太陽の下ではまだ暑いけど、朝夕めっきり涼しくなってきた。 
1週間の始まり。少し寒いくらいの空気。 
バス停から学校に向かう道、次第に甘い芳香が強くただよってきた。 
学校に到着すると、あたり一面に立ち込めている。金木犀だ。 
私たちの学校のシンボルなのだ。 
創設者の一人であった全盲の先生が、目の不自由な生徒たちでもしっかりとその存在を感じられるように、香りの強い木を校章にしようと、木犀を選んでたくさん植樹したという。 
校歌にも「木犀香る…」という歌詞があり、学校が街の真ん中から現在の場所に移転したときも、木犀は丁寧に移植されたのだ(私が生まれる以前のことなので、もちろん私の記憶にはない)。 
本州では木犀の香りのピークはもう少し早い時期なのだと思うけど、こちらは10月も広範になってからだ。 
金木犀が咲きに匂いだし、そのうちに金木犀ほどたくさんはないのだが、銀木犀が芳香を放ちだす。 
それにしてもかなり強烈な香りだ。 
お昼を食べているランチルームにまで流れ込んでいた。 
あまり強いと、何となく車酔いみたいな気分になったりする。 
それでも、学校がこの香りに包まれるこの季節が私は大好きだ。さわやかな空気、青い空、そして何となくせつなく、しんみりした気持ちになる。 



2006. 10. 14. Sat
最低だよ!
今日のノートの内容は酷いです。暗い気持ちになりたくない方は読み飛ばしてください。 
 
久しぶりに実家に帰った。 
木曜日頃に母から電話があって、何となく元気がなかったからだ。 
やはり何だかぼんやりしているみたい。始終落ち着き無くあれこれやっているが、やっている動作事態にはあまり意味が無さそう。 
 
前に帰ったときまでは、元気に庭を駆け回っていたリリーが見当たらない。 
小屋で昼ねかな?と思い、あえてその話題には触れずにしばらく過ごし、両親と3人で焼肉を食べに行った。 
 
ぼんやりしている母と、耳が遠いうえにマナーをわきまえない父、そしてメニューの読めない私。 
注文の段階からめちゃくちゃだ。 
店の人は事情を知らないから、母にメニューを見せているが、当然反応は悪いので、父がいらいらしながら、適当に注文する。 
「お一つですか?」 
「三つよ。3人で来ちょって一つっちゅうことがあるもんか。」 
(店員を前にそんな言い方って…?) 
万事その調子で時間が過ぎる。 
父は平気な顔して上等のお肉ばかり注文するが、ちっとも楽しくないので、美味しさも半減だ。 
(そんなの注文するお金あるんなら、普段からお母さんのために何かしてやれよ!) 
 
突然父が犬のことを言い出した。 
リリーは親戚の家にいるらしい。 
「あんなだめ犬、ぶっ殺してしまおうかと思っうたよ。そしたら姉ちゃん(親戚の)が連れていくって言うて…」 
もう、言葉も無い。 
だめ犬なんかじゃないのに、きちんとしたやり方で人間社会のルールを教えてもらえなかっただけ、すごく運動させないといけない犬種なのに、車椅子のじいちゃんに飼われたのが不幸だったんだ! 
父に二度と犬を飼ってほしくない! 
犬だけじゃなくて、どんな動物も。 
親戚の人がタイミング良く表れなかったら、リリーは本当に殺されていたのではないか?そんな気がして恐ろしい。 
 
帰り道、車椅子で行く父から離れて、母と手をつないで歩いた。 
さっきまでのぼんやりが嘘みたいに、母はしゃべりだす。行きかう車の騒音に紛れて、私たちの声は父には届かない。 
リリーがどんなに暴れたかを、母は坦々と話した。 
夜中に小屋のドアに体当たりして脱走したこと。父が怒りまくってリリーをめっただたきにしたこと… 
本当はとっても甘えん坊で明るい性格のリリーが、大好きだった主人からそれほどまでのお仕置きをされて、どんなに傷ついただろう。 
胸が苦しい。気分が悪くなった。 
親戚の家なら、きっと可愛がってもらえるよね?幸せになってほしいよ。 
父は自分がノエルのリタイアした後を見たいと、ときどき言う。 
でも、もう決めた!何があっても、実家にだけは預けない! 
ああ、まじで苦しい! 


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2006. 10. 13. Fri
交流学習
今週と来週の金曜日、私の学校の生徒が近くの中学校の授業に1日参加することになった。 
昨年は事情があってこの行事は実施してなかったので、彼にとっては久しぶりのことだ。 
普段独りきりで授業を受けていることが多いため、たくさんの同じ学年の生徒たちと机を並べるだけで新鮮な経験になるはず。 
ましてこちら宮崎では、まだまだ健常児と障害児の東郷教育は進んでいないから、うちの生徒のように目の不自由な子が一般んの学校にいた例も無く、中学校の生徒たちはもちろんのこと、先生たちにとっても、新鮮かつ戸惑いや驚きに満ちた二日間になるのではないだろうか。 
昔から、特殊教育校と一般校との交流というのは行われていた。 
私も盲学校の小学部に在籍してたとき、何度となく、他の小学校の教室で学習したことがある。 
そのときに友達になった幾人かとは、大人になるまで文通が続いた。 
また、うちの学校には、子供のころの交流活動がきっかけで盲学校の先生になる決意をしたという同僚もいる。 
盲学校職員の中には、交流教育などあまり意味がないといったことを言う人もいるが、私は、それ相応の準備をして取り組めば、とても有意義なものだと思っている。 
 
私の生徒K君が二日間お世話になるにあたって、受け入れ学級や教化の担当の先生たちと前もって何度か打ち合わせをした。 
学級担任の先生が、とても理解のある人で、交流学習に対する考え方が私とぴったんこだったのがすごく嬉しかった。 
 
今朝、K君が教室に入り、朝の会が始まると、先生は彼をみんなに紹介し 
「K君にもいろいろ学んでほしいし、ここのみんなにも学んでほしいです」 
とおっしゃった。 
とかく交流学習は障害児側の経験を深めるためと考えられがちだけど、指導にあたる先生が上のような考えに基づいて生徒と接してくれていることが、とてもありがたい。 
中学生ぐらいまでの子供の心はすごく柔軟で、こちらが働きかけただけ充分に吸収してくれる。 
この担任の先生なら、私の思いをしっかりと彼らに伝えてくれるはず。 
教室移動が始まると、N君という子が来て、まず名まえを名乗り、K君に 
「肘と肩どっちを持つ?」 
と、手引きの仕方まで聞いてくれる濃やかさ。 
授業で移動する旅こんな感じで、まるっきり私たちは口を出さず、安心して見ていられる。 
 
一方K君はといえば、真剣そのもの。 
緊張してるみたいで、普段学校にいるときのにぎやかさはどこへやら、ひっしで点訳されたプリントを追い、ノートをとり、ときどき手を挙げて答えたりしている。 
なかなか、やるじゃないか。 
私は今日は早く帰る日だったので、下校時は副担任に任せてきたから、直接K君から感想などを聞くことはできなかった。ぜひ来週尋ねてみよう。 
緊張と戸惑いの1日だったかも知れないけれど、来週、この活動が終わるまでには、普通の同級生みたいにK君とみんなが語り合い、遊んだりしている姿が見られるといいな。 


2006. 10. 12. Thu
寒がりノエちゃん
朝夕の気温が、かなり下がってきた。 
さすがにもう半袖で出歩くのは無理。 
ところが昼頃になると、いきなり気温が上がって、暑いくらいになる。 
これだから毎日服選びには困る。 
このごろのノエルは、授業中に日当たりの良いベランダに出たり、日溜まりで寝ていたりする。 
家にいるときも、夏の間は涼しいフローリングでごろごろしていたのに、最近はキルティングの敷物のあるハウスにじっとしていたり、まだ寝る時間でもないのに、寝室のベッドに丸まって入っていたりする。 
いくら何でも、まだそこまで寒くはないだろう?と思うのだが、とんだ寒がりわんこだ。 



2006. 10. 10. Tue
お魚好きの家
私は青魚が苦手だ。 
鰯は特に苦手だし、鯖やアジも、よほど調理に工夫を凝らしていなければ食べられない。 
自慢じゃないけど、魚料理をしたことがない。 
学校の給食や病院の夕食でけっこう出ているから、それで充分と思ってしまう。 
魚好きの人がちょっと羨ましい。 
魚は健康に良いし、健康にいいものが大好きだったら、さぞ幸せだろう。 
 
さて、そんな幸せなお宅が、私の住んでるところの、すぐ目の前にある。 
とにかく、かなりの頻度で焼き魚の匂いが外まで漂っている。 
朝は1週間のうち5日くらいはお魚の匂いがする。 
朝匂わない場合は夕方匂っている。 
塩鯖などを焼いているのか、いかにも青魚を焼いてます!みたいな匂いなのだ。 
私は朝に夕に、必ずそのお宅の前を通らなくてはならないので、その匂いがすると、なるべく息を吸わないようにしてさっさと通り過ぎることにしている。 
自分にその匂いがついてしまったらたいへんだから。 
でも、たいへんとか思いつつ、ああいうのを喜んで食べられて、いいなぁなんて思っていたりする。 
 
そんなお魚好きのお宅には、どんな人が住んでいるのかしら? 
ときどき、誰かが、そのお宅の玄関の前を、庭用の竹箒で掃除しておられるのを見かけるが、見かけるといっても、相手がどんな様子なのか、男なのか女なのかも分からないので、興味ありありだったある日、偶然そこの住人に出会った。 
用事で出かけた帰り、バスを待っていたら、 
「○○(うちの近くのバス停)まででしょう?私向かいの家のものです。」 
と話しかけてきたのは、60代くらいと思われる女性だった。 
お花を習いにいった帰りだとか。いかにも上品っぽい、和風な雰囲気。 
なるほど!この人か、この人の旦那さんがお魚好きなのかな? 
「うちの傍の道はボコボコして歩きにくいでしょう?気をつけてくださいね。」 
と、私の足元まで気遣ってくれる優しい方だった。 
 
今日も夕方あのお宅の前を通ったらお魚を焼く匂いがしていた。 
小ぢんまりとした和風の台所でお魚を焼いているあの人を思い浮かべながら、やはり足早にそこを通り抜けてしまう、どうしようもないお魚嫌いの私である。 



2006. 10. 9. Mon
あっけない連休
休みが三日あったのに、結局今回も、これといって何もせずに終わってしまった。 
天気も最高にいいけど、独りで出かけるには限界がある。 
一緒にぶらりと出かける相手がいるでもないし、まったくさびしいね。 
おまけに今日は朝から体がだるい。 
貧血かな?でもドクターにあっさり 
「貧血じゃないね」と言われたので、それ以上は言えない(なぜそんなにきっぱりおっしゃるのかは謎)。 
晴天の日にやることとしてはずいぶんもったいないんだけど、久しぶりにホームページを触ったり、友達のサイトを回ったりした。 
触ったというわりには、どこも変化していないマイホームページ。 
代わり映えしないせいか、トップページの鳥の声がやかまし過ぎるからか、このごろ訪問者が減ってる。 
何となく、実生活と合わせてさびしい。 
なんてことを言ってないで、明日からまた仕事だし、がんばりましょ。 



2006. 10. 8. Sun
ハーネスの役割
今更こんな離し…?という気がしないでもないけど、そういえばHPを作って盲導犬のことを知ってもらおうって思っているわりには、これについてあまり話したことがないかも。 
 
今日、昼食を買いに寄ったコンビニでのこと。 
レジを済ませて、私の足元前方で伏せて待っていたノエルに 
「帰るよ」 
と声をかけたら、彼女はむくっと起き上がって、私の前から、右側を回って、左側にヒール(着け)をしようとした。 
人間の頭で考えたら、私の左前に伏せていたのだから、起き上がってそのまま2歩位下がればヒールポジションになるんだけど、訓練されたことをきっちり守りたいノエちゃんとしては、とりあえず私の後ろを回って左側に着くのがマナーと考えたのだろう。 
とにかく教えられたことを9年経った今でもしっかりと守れる良い子なのである。 
彼女が左にやってきたとき、しっかりハーネスが握れるように、私は左に手を出してノエルの到着を待っていた。 
ところが、ここで思わぬハプニング発声。 
私の後ろにいた男性が、ちょうど私の右横から後ろに向かって回り込んできていたノエルのハーネスを掴んで引き戻したのだ。 
私が左に手を出していたのを、きっとノエルがどこにいるか分からず反対側を探していると思われたのだろう。 
ノエルはあせり、足をばたばたさせながらバックして私の左側に来た。 
明らかに動揺している。 
盲導犬は、ユーザー以外の人にハーネスを握られると、たちまちパニックする。ましてやそのまま引っ張られたりすると、それはたいへんだ。 
それくらい、ハーネスは犬自身にとっても、重要かつデリケートな存在なのだ。 
言ってみれば、歩行中の私とノエルのコミュニケーションツールだ。 
犬の動きを伝えるのはもちろんだけど、ときにはハーネスを途押して、ノエルの心まで伝わってくる。 
信じてもらえないかも知れないけど、不安、緊張、歩く喜び、疲れたよというサインなどが、本当に伝わってくる。 
ユーザーの私でさえ、ハーネスにこちらから力を加えて犬を動かしたりはしない。 
口で命令し、ハーネスはひたすら受身的に握っているだけだ。 
それくらいデリケートな存在のハーネス。如何なる事情があっても、これにだけは、絶対絶対手を触れないでいただきたい。 
盲導犬使用者と行動する機会があったら、これだけは何があっても守ってください。お願いします。 
親切にノエルの居場所を教えてくださったつもりの男性に申し訳ないとは思いつつ、このことをお話させていただいた。 
どこかで再びこんな場面に遭遇されたなら、必ず思い出していただけるものと信じて。 



2006. 10. 7. Sat
買い物できず
あまり意識してはいなかったけど、けっこう疲れていたらしい。 
昨日は病院でもほとんど最初から最後まで眠って過ごした。 
帰ってきて、いつものチャットでおしゃべりして、少し夜更かししてやすんだけど、今朝起きたらなんと昼前! 
まったく目が覚めなかったとは驚きだ。 
目覚める前に変な夢を見ていたような気がする。 
渡しの見る夢なんて、だいたいいつも変な怖い夢なんだけどね。 
 
午後から郵便局と買い物に行った。 
郵便局まで近道してみようと思って、大通りへ出ないで、裏道を自信無さ気に進んでいったが、どうにか郵便局にたどり着いた。 
こんなことができるのも、ノエちゃん様のおかげです! 
 
郵便局で預かってもらってた郵便物を受け取り(ちなみにこのごろはきちんと点字不在表が入れてあるので助かる)、すぐ傍のお店へ行ってみた。 
いろんなお店が入っているビルで、2階のカジュアルな洋服の売り場へ行ってみようと思った。 
あまり建物の中を知らないけど、ノエルが階段を見つけてくれるから安心。 
階段を登って2階に行ったけど、やたら暗い通路。どこにも店内へ入れそうなところが無い。 
3階まで上がってみたり、もう一度降りて歩きなおしたりしたが、やっぱり分からない。 
1階まで下りても店員さんとか、案内係りとかがどこにいるか分からない。 
うろちょろしているうちに、通りかかった人が、2階のお店は今やってないよと教えてくれた。 
2階は現在閉店しているのか、なぁーんだ。 
3階はやっているみたいだけど、3階の高級ファッションには興味ないので帰ろうと思って、その人と一緒に下へ降りた。 
階段を下りたところで、彼女が 
「すみません、2階はやってないのよね?」 
と、店員さんらしき人に聞いている。 
「そうですね」 
と返事があった。どうやらこの店員さん、ずっとそこにいたらしいのだ。 
ずっといたということは、私が困惑してうろちょろ歩き回っていたのを、じっと見ていたのか? 
「大丈夫ですか?」の一言をかけてくれさえすれば良いものを。 
なんて期待するほうが甘いのかな? 
すっかり疲れたので買い物中止。そのまま家に帰ってきてしまった。 



2006. 10. 5. Thu
終業式
今日で学校は前期が終わり。 
3時間目まで授業をした後、体育館で終業式。 
それから通知表などを渡し、給食を食べて、生徒下校。 
なんだかあわただしい。 
明日から生徒たちは秋休み。 
秋休みなんておおげさに言ってはみても、四日ある休みのうち、三日はもともと休みなのである。 
連休が終われば後期開始だ。 
それでも、何となく一区切りといった感じで、少しほっとした空気が漂う午後の職員室だった。 
 


2006. 10. 2. Mon
驚きの事実
またまたニュースの話。 
四国の病院で行われた生態腎移植手術が、実は臓器売買であったらしいという。 
患者にお金を貸していた女性は、腎臓をくれたらお金を何倍にもして返すからとしつこく言われて手術に応じたという。 
手術が済んでも患者がお金をくれないと、その人が警察に相談したことからばれたのだそうだ。 
実におぞましい話ではないか! 
貧しい人のたくさんいる国では、今でも臓器売買などということが日常的に行われているとか。不幸な話だけど、とりあえず国内ではそんなことはありえないと思ってた。 
だいたい、臓器を取り出すというような重大事を行うのに、身元の確認さえ行われないとは、どういうことなんだろう? 
私が透析を始めたころ、生態腎移植について母親が真剣に考えていたことがあって、二人で移植手術ができる病院へ話しを聞きにいったことがある。 
私自身は生きた人間から腎臓をもらってまで透析から逃れたいかといえば、それが原因で将来その人に何かあっては申し訳ないという思いのほうが強い(正直手術も怖いし)。 
母とは血液型も違うし、私の眼の問題もあるので、今のところはやめておいたほうがいいんじゃないですか?と言われて内心ほっとしたが、母はまだ残念そうだった。 
「血液型が一緒のほうがいいんなら、他の親類からはできないのですか?」 
くいさがる母親にドクターが説明したところによると、生態移植が可能なのは、親・子供・兄弟、場合によっては配偶者までで、それ以外はだめとのことだった。 
で、驚いたのは今回のニュース。 
移植が法律で認められるのは、患者の本人の6親等までの肉親、あるいは配偶者の3親等までの肉親だという。 
そんなに範囲広げられるの?びっくり! 
何かと驚きの多いニュースである。 





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