このページの背景は薄いブルーにアジサイの花が描かれています。
2005年6月


 6月25日(土) 久しぶりに
 1ヶ月も実家へ帰らずにいたら、とうとう母からお呼びがかかってしまった。
 「から揚げ作って待っとくから帰っておいでよ。」
 私のことを思い出してくれる余裕があるのねと、なんとなくほっとして、夕方帰ることを約束。
 午後、実家近くの、知り合いのおばさんがやってる美容室へ寄って髪を切ってもらって、何やかやとおしゃべりをしてから家に帰った。
 ノエルが床を転げ回って喜んでいる。
 父がお風呂に入るのを母が手伝っている間、椅子に座って点字本を読んでいたら、手伝い終わった母がやってきて、点字の解読を始めた。
 ときどき文字が逆さになったりしたけど、かなりすらすらと読んでいる。
 これだけの力が母に残っていたんだと思うと、ものすごく嬉しくなった。
 夕食に予告どおり、から揚げを作っていたが、これがどうやらあわてて作ったらしく、調味してなかったのだ!
 鶏肉のそのままに、粉をふって揚げただけのもの。しかたないので塩こしょうをパラパラして食べた。
 ミニトマトが熟れているから持っていけというので、裏庭に出てみたら、なるほどいっぱいなっていた。
 母がもいでビニール袋に入れてくれたミニトマトを大事に持って帰ってきた。

 6月24日(金) 前例となるか?
 今週もあっと言う間だった。
 前期中間テストで忙しくしていたので、このノートも久しぶり。

 夕方から病院へ行き、21時10分に終了。
 透析回路内の血液を全部私の体の中へ戻してもらって、針を抜いたところを固い綿球で15分くらい押さえておく(動脈の血だからそれくらいしないと止まらない)。
 この作業をしながら、やれやれ終わったぞ〜なんてほっとしているところへ、主治医がやってきて
 「あなたにちょっと相談があるんだけど」
 とおっしゃる。
 何だろう?私何かしたかな?(つい悪いことを攻められるような気持ちになっちゃうのは私の悪い癖なんだけど、とにかくめったにないことなのでちょっとかまえてしまいました)。
 相談は、悪いことでもなんでもなくて、透析室の盲導犬受け入れについて専門の学会で発表しようと思うんだけど、というものだった。
 私が透析患者になったのは2000年の春だから、以来5年、ノエルはずっと私といっしょにこの病院に通っている。
 準備から片付けまで含むと5時間強、彼女はベッドの下で静かに過ごしている(ときどき寝言で皆をびっくりさせるけどね)。<BR>  かつて一度だけ、ノエルのことでトラブルが発生したことがある。
 免疫抑制剤を使っている患者さんが、ノエルにアレルギー反応を起こしてしまったのだ。
 そのとき、やはりノエルはロビーでステイにしなくてはならないのでは?という話もあったのだけど、いろいろ話し合ったり、アレルギーの患者さんとベッドを離したりして、状況は良くなった。
 そのような一連の経緯や、盲導犬を透析室に同伴しても、衛生管理と個々の患者への配慮さえ注意していれば大丈夫なのだということを、研究会の場で発表されるという。
 実のところ、盲導犬を使用していても、透析室へ同伴を認めている施設は全国に数えるほどしかないのだ。
 旅行先で臨時に治療を受けたいと思っても、私などはノエルのことがあるので、預かってくれる友人でもいなければ安心して出かけられない(実際まだ一度もよそで通院したことはない)。
 うちの先生がノエルと私のことを公に発表してくださることで、医療現場での盲導犬やその他補助犬の受け入れが少しでも広がれば、私もすごく嬉しい。
 「あなたにも協力してもらうことが出てくるかも知れないけど、いいかな?」
 と先生。
 もちろんできることは何でもしようと思う。


 6月20日(月) 出張
 3年間のうちに県内の英語教員全員が受講しなければならないという研修があって、今年はその2年目なんだけど、うちの学校は私が参加することになった。
 研修センターで行われるということで、とりあえず月曜日でもなんとかなるだろうと、安心して申し込んだのに、先週になっていきなり場所の変更の連絡があった。
 県武道館で教員の研修ってのも不思議な話なんだけど、けっこうあるんだなぁ。
 すごく遠いし、バス停からどうやって行ったらいいかも分からない。
 武道館方面の、わりと人が知っていそうなバス停で降りて、タクシーを呼んで武道館まで乗っていった。
 迷ったらいけないと早めに家を出たので、1時間も前に着いてしまった。
 席に着いて学校から持ってきた仕事などをしていたら、突然名前を呼ばれて、ノエルが異様にはしゃぎだした。
 びっくりして振り向いたら、2年ちょっと前まで同じ学校で仕事をしていた先生だった。
 この研修、11月まで5日間あるので、彼女が一緒だとちょっと嬉しい。

 地元の人気番組に出ているオーストラリア出身のジェイミさんという人が公演をしてくれた。
 本当は日本語べらべらなんだけど、さすがに英語教員の集まりでオールジャパニーズってのもまずいだろうから、今日は彼も英語をしゃべっていた。
 彼が日本に来てからの失敗談や感じたこと、教育について思っていることなどを話してくれた。
 すごく面白くて笑いっぱなし。
 一人で電話番をしてるときに
 「○○さんおらんけ(いないかな)?」とかかってきたのを、「おらんけ」が人の名前だと思って
 「おらんけさ〜ん」と探しにいったとか、外国人である自分をやたらとジロジロ見られるのでちょっと頭にきて
 「私は人間です」と言おうとして「私はにんじんです」と言っちゃったなんて話。

 午後は皆さん自己評価のためにTOEICのテストを受けることになっていたけど、どうやらTOEICの視覚障害者への受験措置はないらしい。
 昔TOEFLを受けたとき、その当時はまだ点字受験ができなくて、文法からリーディング、何から何までぜ〜んぶボランティアに読み上げてもらって受けたことがある。
 外国にはそういうことをやってる地域もあるようだけど、残念。早く日本も何とかなればいいのに。
 みんながテストの間、別室でイギリス人のALTと話たり、8月の講座の登録を手伝ってもらったりして過ごした。
 とにかく遠いので、病院へ行くため3時過ぎに早退させていただいて、またまたタクシーでバスに乗れるところまで行き、どうにかこうにか帰ってきた。
 研修って、ある意味楽しいけど、全国1車社会の宮崎では、なかなか単独移動がたいへんだ。
 ノエちゃん本日は朝9時から夜9時半まで、ほとんどステイばかりの1日でした。ご苦労様!


 6月18日(土) 忙しかったです
 来週水曜からは前期中間テストなのに、月曜は出張。
 テスト終わった次の日曜は、昨日までトップページで案内していた「学校開放講座」が始まる。
 そういった諸々のことで準備をしたり、生徒の指導のことで少々悩んだりしているうちに、いつの間にか今週も終わってしまった。
 先月参加した盲導犬使用者の会の愛知交流会の感想文を書いてほしいと頼まれていたのだけど、すっからかんに忘れてしまってて、思い出したのは15日。なんとその日が締め切りだったのだ!
 文章を書くことは、どちらかというと好きなんだけど、これにはけっこうまいった。
 仕事のほうも終わってないし、さてどうしよう!?
 結局今日まで待ってもらう羽目になり、ようやく先ほどメールで送信。まるで宿題を忘れた子供じゃないか。
 HPに日記を記しているので、あちこちで友達が見ていてくれるから心強い。<
 3日、五日、1週間と書かない日が続くと、必ず誰かが「大丈夫?」とメールや電話をくれる。
 幸せな私です。


 6月14日(火) あきれちゃうなぁ
 また痒い痒い病だ。
 1週間くらい前から、急に症状が激しくなった。
 透析に使用する器具の一部を変更したか何かしたのだろうか?
 それはまた明日にでも聞いてみよう。
 とにかく湿疹は出る、夜は眠れないで辛いし、ちょうど薬をもらいたい時期でもあったので、帰りに皮膚科へ行って先生に様子を話した。
 いつも何となく投げやりな雰囲気を漂わせてる女のドクターに、あれやこれやと症状をうったえ、自分がどんなに痒い思いをしてるか分かってもらおうとがんばった。
 が、なんのコメントもなく
 「じゃぁ、また薬出しますね。○○でいいかな?」
 と言う。
 (ちょっと待ってよ。少しぐらい、改善策を一緒に考えてくれたっていいじゃんか)
 と思いつつ、もうちょっと痒いことをアピールしてみることに(笑)。
 「いったい何に反応するんですかねぇ?原因が分かれば他の材質に換えればいいんですけど…」
 すると先生こう言うではないか。
 「どうなんでしょうねぇ。私は透析したことないから分からないんだけど…」
 う〜ん。がっくり!
 経験がなければ分からないんだったら、誰も医者になれないんじゃないのかしら?
 そりゃぁ中には自分が辛い経験してきて、「同じ思いをしてる人を助けたい!」って思って医者になる人もいるだろうけど、たいていはそうじゃない。
 手術をする外科の先生が「俺は癌にはなったことがないからなぁ」とか
 産婦人科の男の先生が「僕赤ちゃん産んだことないからなぁ」とか?
 透析の仕組みなんてものは、したことなくても、調べてみればどこにでも情報はあるんだし。
 なんか、また例によって貧乏くじ引いちゃったかも。
 新しい病院探そうかなぁ?
 それにしても、一つの身体を、この部分はあの先生、こっちはこの先生とパーツに分けて見てもらうシステムって、難しい病気を抱えてる人間にはけっこう厳しいよね。


   6月13日(月) 偉いなぁ!
 見えない人、見えにくい人がうっかり何かを落としてしまうと、拾い上げるのがたいへんだ。
 どこにあるか、だいたいの見当をつけて地面に手を伸ばし、運良くそこにあればいいけれど、見当違いだったり、ころころと転がってとほうもないところまで行ってしまってたりすると、そこら中なでまわして探す羽目になってしまう。
 盲導犬はそんなときにも活躍してくれる。
 全ての訓練所で教えているわけではないみたいなんだけど、アイメイトでは教えている。
 ハーネスから手を離し、リードにゆとりをもたせてから、「フェッチ」と声をかける。
 ノエルは辺りを見回し(あるいは嗅ぎまわし)落としたものを見つけると、パクッと咥えて戻ってくる。
 咥えたまま座っている口元へ手を出して「アうと」と言うと、静かに手の中へそれを置いてくれるのだ。
 これをやるときのノエルは本当に誇らしげで、私もすごく嬉しくなってしまう。
 落し物は、お財布だったり、カードだったり、はんこだったり、ときには硬貨みたいなちっちゃなものだったりするけど、ノエルはしっかりと咥えてくる。
 ところが、落し物が紙製だと、ちょっと困ったことになる。
 咥えれば濡れたり穴が開いたりするし、咥えるために床から離そうとして前足で引っかいたりすれば、しわくちゃになることもある。
 だから、郵便受けから手紙を取り出そうとしてうっかり落としてしまったときなどは、「フェッチ」と言った後、ノエルの後をついていき、咥えようとしたり、前足でひっかいたりする瞬間に「ありがとう」と褒め褒めして私が拾ってしまうことにしていた。
 で、今日の4時間目のこと。
 私が授業をしていたクラスは全盲の男の子がたった一人。
 いきなり風が吹いて、彼の点字用紙がぱ〜〜っと飛んでしまった。
 白い点字用紙が、薄い色の床に、音もなく着地し、まったくどこにあるのか分からない。
 教卓わきで睡眠中のノエルを揺り起こし「フェッチ」とお願いしてみた。
 のっそりと起き上がるノエル。
 落し物が紙なので、ノエルが見つけたらすぐに「ありがとう」って拾い上げるつもりで後をついていった。
 ノエルが立ち止まり、姿勢を低くする。
 が、咥えようとする様子もなく、前足をカカカッてやるわけでもないので、まだ見つけてないのだろうと、しばらく立って様子を見ていたのだけど、ノエルが動かない。
 「どうしたの?」
 と私も屈んでみると、なんと、ノエルは前足を二つそろえて伏せている。その足の下に、無傷の点字用紙があった。
 紙をひっかいたり咥えたりしてはいけないと、ノエルなりに学習したのだろうか?
 そして、ノエルなりの方法で、紙を飛ばないように確保して、伏せてじっとすることで私に教えてくれたのだろうか?
 「わぁ、すごいなぁ!ありがとう!」
 心から褒めると、ノエルは得意の「うれし耳」をして大喜びだった。


 6月11日(土) どこまで子供?
 昨日動物病院で、犬の肉球の模様のついたゴムブラシを二つもいただいたので、なんだか嬉しくて、せっせとノエルをブラッシングした。
 これがなかなかの優れもので、けっこう良く毛がとれる。
 「すごいなぁ。ノエちゃんきれ〜い!」
 などとはしゃいでいたらインターホンが鳴った。
 これが鳴るととたんに弾けてしまうノエルなのだ。
 ブラシで浮き上がった毛を体中にくっつけたまま玄関へ走っていってしまった。
 「うわぁ、止めて〜!」
 とノエルに叫びつつインターホンを取り上げて、叫んでいた声の勢いのまま
 「は〜い」
 と言ったところ、いきなり相手から
 「こんにちは〜。お母さんいますか〜?」
 と返ってきた。
 「は?私一人ですよ。」
 考えてみれば如何にとも受け取れる答えである。
 案の定相手は、私が一人暮らしの大人だと思わず、一人でお留守番している子供と考えたらしい。
 「そうですか。あのね、お宅に小学校1年生から5年生くらいの子いるかなぁ?」
 「いえ、だから私一人なんで、子供はいませんよ。」
 そこまで言ってようやく相手は私が大人だと確信したらしく、急に口調を変えて
 「ああ、すみませんねぇ。こちら、この近くに英会話教室を始めたものですから。もしお知り合いでそういうお子さんがいましたら、よろしくお願いしま〜す。」
 おやまぁ私も英語でご飯食べてる人間ですわと心の中で言いつつ
 「はい、分かりましたぁ」
 と答えてインターホンをおいた。
 しばらく前、英会話の先生募集ってちらしがポストに入ってたっけ。ひょっとしてそこの教室かな?
 そりゃぁいいけど、いったい私を何歳くらいの子供と思ったんだろう?
 顔も性格も確かに子供っぽくて、たいてい10歳くらいはごまかせる。
 でも声だけ聞いて子供に間違えられるとは思わなかったな。
 いくら何でもそこまでいくと嬉しくはない。
 インターホンにはもっと落ち着いて出るようにしよう。


 6月10日(金) 今度はノエルの番?
 朝からノエルの元気がない。
 急に暑くなったから、夏苦手なノエルにはきついのかなぁと思っていたんだけど、どうもおかしい。
 涼しいところへ行っても、ぜんぜん活気が戻らないし、教室移動のときなんか、いつもは大喜びでついてくるのに、今日は「よっこらしょ」って感じでのそ〜っと立ち上がったりしている。
 それでも何にも気づかない私の鈍感さには我ながらいやになる。
 実はノエルはお腹が痛いのを我慢していたのだ。
 5時間目の後、廊下にしゃがみこんで、おもらしをしてしまった。
 完璧な下痢で、最後は水状のものだった。
 私自身が病院に行く日だったけど、今回はノエルを預けて見ていてもらうあてもないので、まずはタクシーで動物病院へ行った。
 血液を調べたが異常はなくて一安心。
 ちょっとかぜ気味なのか、お腹が弱っているみたい。
 まさか私のがうつった訳でもないだろうけど。
 またまた3月にいただいたのと同じ処方食をもらって、再びタクシーで病院へ行った。
 やれやれ、今日はものすごい出費になっちゃったよ。
 ノエルは相変わらずあまり元気ピンピンという感じではないけど、しっかり缶詰を半分食べてご機嫌だ。


 6月8日(水) ショック!
 ある先生と、盲導犬の仕事と引退について話をした。
 「じゃぁ、ノエルは仕事しなくなったらどうするんですか?」
 とおっしゃるので、自分としては最後まで面倒みたいけど、それは私の生活では無理なので、誰か信頼できる人にみてもらいたい、と返事をした。
 もちろん訓練所に返す人もいますけどね、と付け加えると、いきなりその人は恐ろしいことを言ったのだ。
 「訓練所に返したらどうなるんですか?処分されるんですか?」
 ?!!(@.@)
 どこからそういう発想が出てくるのか!あまりのことに、言葉を失い固まってしまった。
 数秒の間をおいて
 「まさか、そんなことはないです。そんな人間の勝手が、あるわけないですよ!」
 その人は安心したように
 「良かったなぁノエル、ちゃんと長生きできるってさ。盲導犬になったかいもあったってもんだ。」
 と言った。「ちゃんと長生きできる」って…?はじめから長生きできないなんて思っちゃいない。そんなことノエルの前で言わないで!
 言葉を聞いた瞬間の衝撃が和らぐと、なんともいえない嫌悪感のようなものが、激しく体内を駆け巡った。
 だが、あんな言葉が平気で教員の口から出てきたということは、世の中にそんな風に考えている人がまだまだいるかも知れないということなのか?そこまで極端ではないにせよ
 「盲導犬使用者は、犬を使い捨てみたいにほいほい取り替えて、長年働いてくれた犬をさっさと手放して、他人に面倒みさせてるんだ。けしからん!」
 なんてことを言った人があった。こんなに、まるで自分自身のように、いやそれ以上に大切に思っているのに、なぜか一般市民からは誤解されがちな私たちである。
 本当に別れることに何の痛みも感じず、ぽいっと手放すユーザーはいないと思う。ましてや処分だなんて!ああ、何という誤解!


 6月6日(月) 何犬?
 学校で、事務室に用事があったのでノエルと一緒に行き、係りの人と話していたら、外部からみえたお客様が入ってきて、とても珍しそうにノエルを見ていた。
 「この犬は何でしょうかねぇ?ラブラドールにしては顔が違うねぇ。なんだろ?ゴールデンの毛をちょん切ったみたいな…」
 おいおい、何を言っとるんじゃい?!確かにノエルはくせっ毛で、シャンプーの後はかなり毛がボサボサになる。短いのにボサボサだから、「ゴールデンの毛をちょん切った」という表現は当たっていなくもないかも知れないが。
 まだこっちの用事が済んでないので何も答えずにいたら、私の相手をしているのとは別な事務職員に、同じ質問をしている。
 「これは何て種類の犬ですか?」
 「ああそれ?チワワですよ。」
 「えぇ?まさか〜。いくら私でもチワワってのは信じませんよ〜。いやぁ、なんかゴールデンの毛を刈ったみたいな犬だなぁと思って。」
 んも〜、まだ言うか?!
 ついに、私の相手をしていたほうの事務員さんが笑い出した。
 「ノエルちゃんはラブラドールですよ。言いたい放題言われてるよ、ノエルちゃん。」
 何と言われようがノエルはご機嫌だ。ゴールデンのちょん切れと言ったその人にも、いつものご挨拶をするのであった。

 6月5日(日) ノエルまたしても受難の週末
 宮崎県盲導犬友の会の総会があったので、朝から出かけた。
 ここのところ、年々会員数が減ってきてるので、なんともさびしい。
 本日は参加者トータル何人だったかな?正会員は8名、盲導犬は6頭だった。
 このまえまで10歳を超えた犬が2頭いたのに、1頭はリタイアして次の子が来たというし(今日は欠席)、もう1頭もリタイアして、その後はユーザーさんがご自分の高齢を理由に次の盲導犬をもらわないとのこと。
 気がついてみれば、ノエルが宮崎の盲導犬の中で一番のおばあさんになっているではないか!
 急になんともいえずさびしくなってしまった。
 やはり犬たちが同じ部屋の中にいるせいか、ノエルは机の下で身体をま〜るくしていた。
 
 会が終わってから、教会に行ってみた。
 玄関から中をうかがうと、まだみんなが残っていて、楽しそうにしゃべっている。
 ノエルから手を離して靴を履き替えていると、いきなりノエルが私の傍を離れて、一人でトコトコと会堂の中へ入っていった。
 中から
 「あれぇノエルどうしたの〜?」
 と声がする。
 あわてて後を追って会堂に入ると、ノエルはみんなが囲んでいるテーブルに向かって鼻をクンクンやりながら尻尾を振りまくっている。
 テーブルの真ん中にはノエルの大好物のゆでたまごが盛られたお皿があったのだ!
 ゆでたまごに理性を奪われ、私をほっぽらかしてダッシュしちゃうなんて、なんちゅうやつだ!

 午後、ペットショップでノエルのシャンプーをした。
 前回ここを利用したときは妹と行ったけど、今日は一人だったので、トリマーの女の子が手伝ってくれた。
 シャンプー台に入れられると、ノエルは息をは〜は〜させながら震えている。
 おいおい、なんでそこまで怖がる?
 洗っているときも、その後ドライヤーをかけるときも、涎をだらだら流している。
 なんだか、このごろ前に増してストレスに弱くなったかも。
 ドライヤーをかけ終わって、トリマーのお姉さんに
 「きれいになったねぇ」
と言われると、今まで震えてたことなんか忘れたみたいに、ご機嫌で尻尾を振り始めた。
 せっかくシャンプーしたんだし、しばらく雨降らないでいてくれるといいなぁ。


 6月3日(金) 救急病院の一夜
 昨夜9時頃、急にお腹が痛くなりだした。
 変だな。お茶が濃すぎたかな?なんて思いながら、暖めればなおるんじゃないかと(たいていは本当に暖めればなおる)、まずはお風呂にゆっくりと入り、その後ユタポン(中にジェル状の暖める薬剤が入ったパックみたいなもの)を抱っこして横になった。
 そのまま眠ってしまえばきっと朝には治っているはず。
 ところが、これがどうしたわけか、まったく治まらないばかりか、かえって痛みが強く我慢の限界に近くなってきたのだ。
 実家に電話したのではらちがあかないので、いつも行っている教会へ電話をすると、牧師先生が病院に連れていってくださるという。
 透析の主治医に連絡したら、
 「ここには良い痛み止めがないから、救急病院に行ったほうがいいね」
とのこと。やがて牧師先生が到着したので、宮崎市郡医師会病院へ連れていってもらった。
 そういえば7年くらい前、やっぱりこれと似た状態になって、母に同じ病院に連れていってもらったことがある。あのときは急性腸炎で、熱も出て2、3日は寝ていたっけ。けど今回は熱っぽくはない。

 診察を受けたけど、何の病気かはその場では判断しかねるようだった。とりあえず痛みをとるために注射をしてもらうことになったが、先生が
 「あなたは特別な体質みたいだから、使える薬がほとんどないんですよねぇ」
と言う。眼圧が上がりやすいのがまずいけない。それから麻酔剤等にアレルギー反応を起こすこと。そして透析をやっているということ。
 一番効果があると言われる注射は使えず、別なのを、普通の人の4分の1入れて様子をみたが、腹痛はまるでなおらない。
 30分後に今度は普通の半分、つまり合計で4分の3入れると、いくらか痛みが和らいできた。
 が、立ち上がると、ふわふわしてとてもまっすぐには歩けない。ノエルが顔を動かすだけで、こけてしまいそう。何か、全身麻酔をかけられて、それがさめていくときの感じに似ていた。
 一人暮らしだと言ったら、それなら家に帰らず朝までここのベッドで休んでいきなさいと言われ、向こうの部屋へ行ってベッドに横になった。
 が、次から次へ新しい患者が運ばれてくるので、ほとんど眠ることはできなかった。おまけに明け方には地震まであったしね(このごろよく揺れるなぁ)。

 朝になって主治医に見てもらったけど、胃腸が弱っているだけみたいだ。
 お腹のレントゲンも撮ったけど、これといっておかしな点はないとのこと。
 なにしろこのごろ睡眠時間も短いし疲れていたので、身体が悲鳴を上げたのかも知れない。
 「このまま透析を受けて帰ってもいいよ」
 とドクターがおっしゃったけど、しばらく手放しで寝ていたかったので、後で出直すことにして家に帰った。
 というわけで、思いがけない週末となってしまいましたが、もう元気です。
 夜中まで仕事をさせられたうえ、病院の冷たい床で寝なければならなかったのに文句も言わずがんばってくれたノエルと、昨日から今日にかけて車で送り迎えしてくださった牧師先生に心から感謝します。

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