2004年10月
このページの背景は、にっこり顔の栗の実たちです。 10月31日(日) 衝撃のコメント 交流校であるS中学の文化祭に参加した。 自分の学校よりも先に他所のステージで発表なんて、かなり緊張するね。 でも皆良くできた。 楽器の子も歌の子も堂々として、ステージを楽しんでさえいたみたい。 会場から拍手喝采が沸き起こり、私にも感動の波が感じられた。 本校でのステージも、今日よりもっと素敵なものになるといいな。 再度お知らせ!宮崎盲学校の文化祭は11月6日ですよ〜。いらしてね! 帰りは、中学校の前からバスに乗った。 バス停には、私より先に、中学校の生徒の家族らしき人が2,3人来ていた。 そのうちの一人がノエルを見てとんでもないことを言ってくれた。 「これはダックスフントの一種ですか?」 「いいえ、違いますけど」 びっくりしつつ答えると、その人は 「あら、違うの?足短いからダックスフントかと思った。」 と、サラリと言ってのけた。 おおおおお!なんちゅうことを言われとるんだか! さすがに、ちとショック!が、次の瞬間追い討ちが来た。 「胴も長いですねぇ。ここ胴っていうんでしょ?」 と、ノエルのウエストのくびれのないボテボテの体を指差している。 「ボンレスラブ」だとか、「デブラドール」だとか、友達からはさんざん言われているけど、いきなり知らない人からそこまで言われるなんて。 しかも、まったく悪気じゃなく、本気で言っているらしいのがかえってグサリとくるではないか。 ノエさんよ、やっぱ本気でダイエットせねば! 10月30日(土) ノエルの誕生日 とうとう9歳になってしまった。 獣医さんへ健康チェックに行った。 気になる塊がまた一つ増えている。わきの下に近いのですごく心配したけど、今のところそれほど悪いものではないようだ。 口の中を見てもらうと、そこにも塊があった。シニア犬には多いらしいけど、歯茎の肉がボコボコしている。 その腫れが内側の歯を塞いでいて、そこに汚れが貯まると虫歯になるとか言っていた。 歯磨き大嫌いノエちゃんだけど、がんばってもらいましょう。 体重とpHの測定結果は先月と変わらず。 こんな感じで、何やらトラブルはあるものの 「9歳だけど、体はすごく若いよ。仕事もまだまだ大丈夫。」 と先生から言われ、とても嬉しかった。 もし自分の意思で進めるなら、まだ2年は一緒にいられるのだけどなぁ。 バースデーメニューは、フードにたまごをトッピングしたものだった。大喜びで食べてくれた。 午後、妹と彩音(姪っ子)と、繁華街まで歩いて往復した。 ちょうど宮崎神宮のお祭りをやっていて、神宮から別の神社まで行列が進んでいくところだった。 メインストリートは車が通れなくなり、人々が歩道にたくさん見物している。 お神輿や獅子舞、花嫁衣裳の女性を乗せた馬などが通るのを、ノエルが興味深深で見つめているが、行列に加わっている人のほうでも、こちらを見ているようだ。 獅子舞にパクパクしてもらった子供は丈夫になるという言い伝えがあるとか。私はクリスチャンだから、そういうことを信じているわけではないが、妹はその気だ。 怖がっている彩音を抱きかかえ、獅子舞を待っていた。 パクパクされた子供たちが、あちらこちらで泣いたり叫んだりしている。 いよいよ私たちの前に近づいてきたとき、獅子舞に付き添っていた人(?)が 「盲導犬がびっくりするといけないから、ここは優しくやってあげて」 と言った。 そんなことで驚くノエルではないけど、獅子舞さんは本当にそ〜っと、彩音の頭に向かって「パ、ク」とやってから、なぜか私にも「パ、ク」として去っていった。 「ノエちゃんのおかげで怖くなかったねぇ」 と妹が笑っていた。 10月29日(金) 大雨とタクシー ひどい雨。「バケツをひっくり返したような」って、こういうのを云うんだろうな。 こんなとき、妹が迎えにきてくれれば助かるのだけど、今日は用事があったようなので、とりあえず家までバスで帰り、ノエルを乾かしてからタクシーで病院に行くことにした。 タクシーねたの多い私だが、またしてもハプニング発生だ。 「M病院までお願いします。透析室のほうに。」 うちの病院は表が外来患者用、裏が透析患者用と、入り口が二つに分かれているのだ。 運転手さんは「はいはい」と言って走り出したので、おそらく知っているのだろうと、そのままお任せして乗っていた。 雨だし、とても暗いし、どこをどう走っているのかぜんぜん分からない(そうでなくてもほとんど分からないが)。 車が止まり、料金を支払う。 障害者手帳を忘れてきたので560円はらうつもりで600円渡すと、手帳の番号だけ聞いて処理しましょうと言う。 番号を書き留めた後、運転手さんが外に回って、私とノエルを病院のドアへ誘導してくれた。 が、ちゃんと「透析室へ」と言ったにもかかわらず、そこは外来入り口だった。 受付の女の子が、この人は裏の入り口を利用しますから車で回ってあげてくださいと言うが、運転手さんは 「歩いたほうが速いよねぇ」 などと、再び私を乗せるのをしぶっている。 そりゃ歩いたほうが速いに決まってるけど、ずぶ濡れになるじゃない?なんのためにタクシーで来たと思ってるのよ! ぐずぐずしている運転手さんに、受付の子もうんざりしたのか、 「いいよ。AMIさん、中通って向こう行こう。私が一緒に行くから、ここのスリッパ履いて。」 と、私の手をとった。 ノエルの足拭き布は裏側の自分専用の靴箱に入れてある。 水溜りを歩いてきたノエルと、外来から透析室を突っ切って行くのにはものすごく気が咎めたが、しかたがない。 いきなり病院の中から現れた私たちに、透析スタッフもびっくり仰天。 ロッカールームに入り、やれやれと一息ついて、突然思い出した。 おつりをもらってない! 障害者手帳の番号をひかえて、560円が500円になったはずなのに、600円渡したままだ! 結局もとの料金よりいっぱいあげたんじゃないの? どっと疲れた。 雨はまだ続くらしい。 10月28日(木) 輝いている子供たち 生徒たちの文化祭練習もいよいよ気合が入ってきた。 総合の時間(2時間)と、短縮校時で生み出した練習時間等合わせて、1日の半分くらいを練習に費やしている。 それだけに、だんだん上手になってくる演奏や歌に、私たちも嬉しくなる。 何と言っても少人数なのだから、生徒も先生も、それぞれが何人分もがんばらなくちゃいけないけど、本番で味わえるはずの達成感、充実感を思うとわくわくするよね。 さんざん歌ったり演奏したりした後、中3の受験生に放課後の補習。 毎日5時半までがんばってる生徒に 「先生は早く帰ったほうがいいですよ。私5時からは自習しますから。」 と言われてしまい、これはもう引き下がれない。それに彼女のやる気とがんばりを見ていると、私も 「いくらでもつきあってあげる!」 って気持ちになってくる。 彼女は私を一つの目標にしているのだ。教師である前に、同じ学校出身の先輩として。 子供たちは輝いている。夢と希望をたくさん抱えて。 そんな彼女たちと日々一緒に過ごせる私って幸せだな。 今日もまた、へとへとに疲れたけど、とっても良い日だった。 10月27日(水) ホットドッグ 昨夜日記をUPしてから知ったことなんだけど、7時頃本当に地震があったらしい。 震度1くらいで、私は気づかなかったんだけど、なんだかまじで不気味! ちなみにノエルのそわそわ行動は、今日も続いている。 学校でも、今やノエルは授業にも必ずついてくる。 でも給食のときだけは、配膳するのにはかえって一人のほうが楽だから連れていかない。 今日もいつものように食事をすませて職員室に戻ると、ノエルがハウスから少し離れた陽だまりで寝ていた。 最近ちょっと寒いから、陽の当たるところばかり選んでいるみたい。レトリーバーとは思えない寒がりさん。 背中に手を触れてみるとめちゃくちゃ熱くなっていた。 「わぁ、ホットドッグだぁ!」 毎年繰り返しているつまらんギャグを言うと、意外にうけた。 でもその後に教頭先生が言ったのはもっとうけた。 「だって給食のときはお母さんいなくて、ほっとかれドッグやもんねぇ。」 なんだか平和な昼休み。 10月26日(火) 地震の不安 1日中雨。しかも寒い。11月中旬の冷え込みとか言っていた。 地震の被災地新潟も雨らしい。屋外や車の中で寝泊りしている方たちはどんなに辛いだろう? 今日はなんだかノエルの行動が変だ。 ずっと落ち着きがなく、仕事をしていても、いきなり私のところにやってきて、膝に前足をかけてよじ登ろうとしたりする。 私が 「な〜に?」 と言うと、何やらもの言いたげに見上げるが、私が理解できないので(かどうかは知らないが)、他の先生のところへ行って助けを求めるように顔を見上げたりしているらしい。 社会科のM先生が 「なんだかノエルいつもと違いますねぇ。地震でも来るんじゃないでしょうねぇ?」 などと不吉なことを言い出した。 でもなんだか、そう言われると気になる。動物って地震など災害の起きるのを余地するっていうからね。 考えてみれば恐ろしい話。もしも病院にいるときに地震がきたらどうしよう? 透析回路がはずれてしまったら? 阪神大震災は早朝だったし、今回のは土曜日の夜だったから、その時間に透析を受けてる人なんて少なかったはずだけど、ジャンジャン回してるときだったら、そんな事故が起きなかったとも限らないよね。 現に人工呼吸器がはずれて亡くなった人がいるらしいもの。 医療機器に支えられてしか生きられないものは、本当にこういうこと不安だよね。 いかんなぁ!また妙なことを考えている。どうも、このごろ変だ。 とりあえず、耳の痛みは少しましになってきたので、今日はこれで良しとしましょう。 10月24日(日) 不調 そして、「エネルギー」を補うべく、ステロイドの入った飲み薬を出してくださったのだけど、これがまた眼に悪影響して堂々巡りなのだ。 どうやらこのところの耳の痛みも、あのときと同じようなものに思われる。 私の生活において、音を避けて通るなどできないし、でもああいう薬も飲みたくない。どうしたものか…? 可愛い姪っ子が遊びにきても、その甲高いおしゃべりの声が、やたらいらいらと気に触り、 「うるさい。静かにして!」 と叱ってしまう。 せっかくの日曜日。本来なら教会へ行っている時間。家の中でぼけぇっとしている私。 なんだかさえないなぁ、最近。 ほんとに今月は「忙しい」とか「きつい」とか「さびしい」とか、ネガティブな言葉続出だ。 けど、耳が痛いと言いつつ、HPを見たり、掲示板をチェックしたりだけは止められない。これこそが私のストレスを和らげてくれる存在なんだもの。だからBBSへの書き込み等は、どうぞご遠慮なく! パソコンをささやくような小さい音にして、今日も日記を書きました。 10月22日(金) サラダ事件 今日の話は超くだらないんだけど、お暇な方、笑ってやってください。。 給食の時間にちょっとしたハプニング発生。 私は、中3の女の子二人と、先生3人と一緒に給食のテーブルに座る。 本日のメニューはカレーとコーンサラダ。 生徒のSさんがカレーを、Aさんがサラダを注ぎ分けて皆に配った。 人数が少ないので、生徒も先生も一体となり、毎日が給食当番なのだ。 いただきますの挨拶をして、まずカレーを食べる。それからサラダのお皿を持ち上げたら、中は空っぽだ。 (あれ?私もうサラダ食べちゃったんだっけ?) 一瞬そんなことを考えた。いやそんなはずはないよ。いくらぼ〜〜っとしてるAMIでも、そこまではひどくない。 「これはサラダじゃなくて皿だぁ」 一同爆笑となった。結局無事にどうにか私のお皿の中身も確保され、無事にサラダをいただいたのであった。 10月21日(木 マイノリティーは辛いね) 実は数日前から、私の心にずしっと重みを持って居座っている問題がある。 こんなにも早く、このことを考えることになろうとは! そう、2頭目の盲導犬歩行訓練のこと。 ノエルに問題があるわけじゃない。訓練所の事情、というか、私が普通の訓練カリキュラムでは対応できない二重障害者だからなのだ。 けど、いくらなんでもいきなり「来年の1月」と言われて、はい分かりましたとは言えない。 どちらにせよ今年度は研修だらけで仕事は休めないのだし、1月みたいな体調悪くなり易い時期では無理なので断ったけど、断りたい一番の理由は、こんなに早く、まだ9歳のノエルと別れる決心がつかないからだ。ぜったい無理。無理ってのがあたりまえだよね。 でも、次回こういう提案があれば、思い切るしかないのだろう。 いろいろとあるんだな…、詳しい事情は省くけど、私だって訓練所の提案に対して 「そんな特別な配慮はいりませんから」 って言い切れる自信はないのだもの。 なんだか悲しくなってくる。私はどこへ行ってもマイノリティーなのだ。 一般社会では、障害があるという理由で特別視されること度々。透析仲間やドクターでさえ、目が悪いというので何だか子供に接するような態度をとってきたりする。そして、もともと私のホームグラウンドであった視覚障害者の世界でも、今や特殊な存在。それでも「私は私。この世にたった一人のAMIだもの」って、普段は前向きでいられる。だけどね、このことが理由で不本意にノエルとの別れが早くなるとしたら、すごく悲しいじゃない? 次の連絡、できればノエルが10歳を過ぎるまで来ないといいなぁ。 せめてノエルは誰か身近な人に面倒見てもらいたい。それも、できるだけ近くの人に。 ふと気がつくと、このことばかり考えている。元気出さないと、ノエルに気分が乗り移っちゃうっていうのに。 10月18日(月) 図書館の研修 社会体験最終日。先月に引き続き宮崎市立図書館へ行った。 今回は返却カウンターの仕事をさせていただいた。 本に貼ってあるコードを機会でピッとなぞると、パソコンに返却情報が登録される。それから持ち出し防止の磁気を有効にするための機会に通す。 なんだかものすごく「図書館の人」してる気分。 その後先月と同じように点訳校正のお手伝いをして、点字講座の受講生に講和をした。 図書館と老人ホーム、まったく種類の違う職場で研修をしたわけだけど、それぞれにすごく貴重な経験になった。 研修終了後、迎えにきてくれる約束をしていた妹が「駐車場に来てるよ」と言うので、外へ出てみたが、人の手を借りて探してもらっても、どこにも見当たらない。 再び携帯にかけてよくよく話を聞いてみると、なんと「市立図書館」ではなくて「県立図書館」へ行っていたのだった。 二つの図書館はかなり距離が離れているので、それから回ってきたのではすごく遅くなる。私は通院日だから、ちょっとたいへん。というわけで、結局ボランティアの方(このHPの読者さん)に車で送っていただいてしまった。 どうやら宮崎でただ「図書館」と言った場合は県立図書館を指すらしい。一つ勉強になりました! 10月17日(日) セイフティランド宮崎 高鍋町のルピナスパークで「セイフティランド宮崎」というイベントがあった。交通安全をテーマにしたいろいろな催しものがあり、その中で、20分程度の盲導犬デモンストレーションをした。 まず、控えテントで、進行係りのアナウンサーさんと打ち合わせをした。 ノエルのこと、生活のことなどを尋ねられ、 「こんな感じのお話をしていただければよろしいですから」 と言われ、ステージへ向かった。 ところがところが!打ち合わせのときに話していたことは、ほぼ全部アナウンサーさんが一人でしゃべってしまい、その後ノエルと会場を1周。 結局これで終わりかなと思ったところへいきなり 「では使用者のAMIさんにもちょっとお尋ねしてみましょう」 いくつか質問されたけど、打ち合わせのときにはまったく触れられなかったようなことをいきなり聞かれ、おいおい、どうしましょう?って感じ。 中でも一番答えに困ったのが、 「そんな大切なパートナーのノエルさんにありがとうの気持ちを伝えるとしたら、どんな言葉を言いたいですか?」 という質問。 (は〜?何それ?ありがとうは、ありがとうやんか〜!) 観衆を前に一瞬固まる私。なんとかかんとか答えたけど、はっきり言ってわけの分からない質問だと思う。 ノエルに本当の思いを伝えるとしたら、きっとどんな言葉を使っても無理だろう。心を込めて「グ〜ッド!」って抱きしめてあげるのが一番いい。 なんとなく、充実感を味わえないイベント出演だった。 10月16日(土) 開けてびっくり! なんだか昨日あたりから急激に冷え込んできた。朝なんか、まるで冬だ。先週までクーラーつけてるような日があったのに、これじゃぁ皆調子崩すよね。周りにはかぜひきさんが増えてきたみたい。 「子供の居場所作り」を目指したイベントが宮崎市内の児童クラブで行われ、その講師をすることになった。 参加するのは小学生が20人くらいということだったので、いつもの調子で気軽に引き受けたんだけど、蓋を開けてみればなんのなんの!子供ばかりか、保護者の方たちもみえてて、50人くらいか、とにかくコミュニティセンターのホールがあふれそうになっている。おまけにTVや新聞の記者がいっぱい来ているではないか! こんなはずじゃぁ…と思っても、とにかくやるしかない。盲導犬の話ならもう何度、何十度もしてるんだから、やれないはずもないと開き直って会場に入った。 子供の年齢に幅があるので、どのレベルの話方をすればいいか、ちょっと戸惑ったけど、なるだけ面白く、印象に残るように話そうと決めた。 子供からも大人からも、率直な質問が出たり、ノエルからはずしたハーネスを手にして 「けっこう重いなぁ」 などと言い合っていた。 イベント続きで今週はまったく休みがない。でも私がお話をすれば、それだけ多くの人が盲導犬に出会えるのだから、よほどの事情のない限りは引き受けることにしている。 というわけで、明日もがんばるぞ! 10月15日(金) 体験研修第2日目。 今日は1日光明荘で仕事をした。 土曜日が運動会ということで、その準備(景品の袋詰めなど)をしてから、希望者に点字教室を開いた。 実はもう8年くらい前になるけど、うちの母がこの点字教室の講師をしていたことがある。母が父の看病のため止めてからは、あまり活発には行われていなかったらしい。 なにせうちの母は本来すごい人だから、皆さんからとても慕われていたようで、私はあの先生の娘だというだけで無条件に大歓迎された。 その後中庭でふれあいタイム。ノエルを触って喜ぶおばあちゃんたちに、またまた嬉しくなった。 昨日私が訪れた時点では、スタッフの方たちは私がノエルを園内でつれ歩くことをあまり良く思っておられないようだった。 お年寄りにぶつかったり、触られて犬の機嫌が悪くなったりしたらどうしようと心配なさるのは当然だとは思うが、 「とりあえずやらせてください。迷惑がかかるようでしたらそのときはすぐに部屋で待機させることにしますので。」 と頼み込んで許可された。それが、ノエルに会う度に皆さんの笑顔がこぼれるのを見てスタッフの方も安心され、今日の夕方には 「ここでも犬を飼うといいかもねぇ。ノエルちゃんを見たときのみんなの顔、ぜんぜん違うんですもの!」 とまでおっしゃるのだった。 午後、またまた希望者を集めて英語で遊ぶ時間を持った。皆慣れない発音を一生件名真似てくださって、最後は一緒に歌を歌ってくださった。 「また来てね。ありがとうね。」 と言ってくださる方、手作りのマスコットをくださる方、皆さんの優しさに心が熱くなり、この職場を体験実習の場に選んでほんとに良かったと思う。 手伝いどころか、日常の仕事の邪魔にしかならない私を心良く受け入れてくださった園長先生、スタッフの方々に感謝! 10月14日(木) 社会体験研修の第2弾、老人ホームでの実習の1日目。 盲養護老人ホーム「光明荘」で入所者の方たちとふれあい、食事介助をした後、お隣の特別擁護老人ホーム「裕楽園」にも出かけていった。 隣どうしにあるけど、二つの老人ホームはかなり雰囲気が違っている。 光明荘では、目が不自由でもわりと元気な方が多く、活動的な感じ。裕楽園では、全てが要介護の方で、コミュニケーションもけっこう難しい。 どちらの施設でも、職員の方の温かい対応が印象的だ。 裕楽園での皆さんとのふれあいの仲で、とても嬉しいことがあった。 おそらく痴呆があると思われるおばあちゃんが、車椅子を職員さんに押してもらってノエルのところへやってきた。 いつも心ここにあらずという感じで言葉もほとんど発しないらしいのだけど、その人がノエルを見たとたん満面の笑顔になったのだ。 ノエルは尻尾を振って、おばあちゃんの膝に顎を乗せて顔を見上げた。彼女が手を出すと、ちょっとペロペロした。 そのときおばあちゃんが「くくくくっ」と声をあげて笑ったのだ。 職員さんが 「あら!Mさん、嬉しいんだねぇ。こんなににこにこして。良かったねぇ。」 と言った。職員さん自身もすごく嬉しそうだった。 ノエル、今日はセラピードッグしちゃったね。 10月12日(火) ときどき、歩いていて、目的地とまったく違うところへ辿り着いてしまうことがある。 後で自分の居場所が判明しても、どこをどう通ってそこへ着いたのか、まるで見当がつかないのだ。 1年ぶりでそんな目に合った。しかもおよそ道を間違えそうもないところで。 アレルギーの薬が無くなったので皮膚科へ行った帰り。病院を出てまっすぐ行った先の横断歩道を渡って右へ曲がればすぐに帰りのバス停へ着けるはずなんだけど、いくら歩き回ってもバス停らしきものは現れない。 このごろ日が短くなってて、辺りはもうかなり暗くなってるから、道を尋ねようにも、ほとんど歩行者がいない。 辛抱辛抱。落ち着いてノエルにがんばってもらわなくちゃ、結局頼れるのはノエしかいないんだから。 などとは思ってみるけど、いらいらする気持ちが完璧にノエルに伝わっているらしく、ノエルはだんだん緊張してきた。 尻尾を丸め込んで、おっかなびっくり、チョコチョコ歩いている。 「バスだよ。バスどこ?」 私の支持も叱られているように聞こえるのか、まるで獣医さんを前にしたときみたいに尻尾をピクピクさせながらへっぴり腰に歩く姿はなんとも情けない。 もうちっとは盲導犬らしく、堂々と歩けや〜〜! そのうちヘナヘナと道端に座り込んだ。 もうだめだ、どうしよう?いつも最後はこれで困り果ててしまうのだ。 「AMI先生じゃないですか〜?」 通りかかった車から、ふいに女性の声がした。 数年前ノエルをつれて盲導犬の話をしに行ったO中学の先生だった。宮崎市内を通って帰るから車に乗せてあげるという。 ありがたい!なんと、天の助けだ! 先生が車から降りてくると、今まで道端にへたり込んでいたノエルが急に元気づいて、尻尾ふりふり近づいていこうとする。 これにはさすがにブチッと切れそうになった。 「仕事ほったらかしといて、何考えてんの!?」 こんなことがあった日は、家に帰ってからもなんだかしょんぼりしているノエル。 道を間違えてもいいから、せめて仕事はしてよね。 なぜこんなになっちゃったのか?私の接し方がきっとどこかで間違っていたのだろう。 ノエルの若い日に、彼女の個性を正しく受け止めた躾をしてやれなかったのかも知れない。 もっともっとノエルの良さを伸ばす方法が、他にあったのではないかと思えてしかたないこのごろだ。 10月10日(日) 真夜中メールをチェックすると、いきなり訃報が飛び込んできた。 中学、高校時代とクラスメートだった友達が亡くなったのだ。 病気であることは知っていたけど、あまりに早すぎる!ショックで言葉もない。 遠いのでお別れをしに行くこともできないし、連絡がしっかり伝わっていないようで、私の分かる範囲でメールなどをすると、皆一様に驚いている。なんだか辛い。 闘病中の彼から、何度となくもらったメールが思い出される。 「結局気持ちを分かってくれるのは、同じように病気で苦しんでいる君だけだから」 と書いてくれていた。 そんな彼の最後のメールには返事を送らないまま、この時を迎えてしまった。 私の状態が悪かったときには、本気で心配してくれたのに、結局私は何も力にはなってあげられなかった。ごめんね。 苦しみから解放された世界で、どうぞゆっくり休んでくださいと届かない声を送るばかりだ。 午後、噂に聞いていた宮崎市内のペットショップ(?)へ行ってみた。 立体駐車場の最上階に、ドッグランとお店、ペットサロンがある。 シャンプー台を貸してくれるお店を探していた私なので、さっそく聞いてみると、セルフシャンプーもできるという。 これなら狭いマンションのお風呂で、毛まみれになって洗わなくていいし、強力なドライアーもある。 お店ではあっても私が洗ってやるのだから、怖がりのノエちんもきっと平気だろう。 次回のシャンプーのときは、ぜひ使わせてもらおう。 ようやく宮崎のペット事情も、都会に近づきつつあるのだろうか? 夜、姉の店に行って妹と彩音と、姉の家族とで遊んでいると、彩音の面白い行動に皆が笑い転げた。 と、突然ノエルがソファに座った妹の膝に乗りあがり、そのまま隣に座っている私のほうへ、ず〜っと体を伸ばしてきて甘えだしたではないか! こんなことは長年一緒にいても初めてだ。普通なら無理やり抱っこしようとする人がいたら体をよじって逃げ出すのだから。 ちょうどお腹が空く時間でもあったのだけど、ひょっとして皆の注目を集めている彩音に対するジェラシーだったのかな?あまりのおかしさに、ノエルに「降りなさい」と言うのも忘れて一同大爆笑だった。 10月9日(土) 昨日が前期の終業式で、名目は今日から3日間の秋休みだけど、なんのことはなくて、たんに暦上の連休を利用したにすぎない。 母のいる病院は、面会時間が17時までなので、仕事をしている日に会いにいくことはできない。というわけで5日ぶりで母に会った。 まだまだ調子は悪そうだ。 父のほうは順調に回復している。退院も近いかも。 現在私のところに来ている姪っ子の彩音(あやね)、お気に入りは、空気を入れるとピンクのプードルの形に膨らむおもちゃ。お仲の下に車がついていて、紐をつけて引っ張ると転がるようになっている。 妹の後を、ノエルと私が歩き、その後を、ピンクのプードルを引いた彩音が行く。 母の病院でも、父の病院でも、皆が振り返って声をかけた。 「あら〜、盲導犬が2匹いるねぇ。今日は5人で来たんだぁ?」 家で、私がノエルにワンツーをさせようと、ペットシートとビニール袋を手にベランダへ出ると、彼女もプードルと共についてくる。左手にはビニール! 私はノエルに「ワンツー、ワンツー」と言いながら自分の周りを歩かせて排泄させるのだけど、彩音も同じようにしてピンクちゃんを転がし 「はい、おしっこしなさい」 と言っているのだ。どうやら、犬ってもの全てそうやってグルグル回ってトイレをさせるものと思っているらしい。 ビニールで落し物を拾うような動作をして、 「うんちはトイレに捨てるの」 と、実際に水を流したのには大笑いしてしまった。 我が家の「犬2匹」の暮らしはもうしばらく続くかな? 10月5日(火) このところただでさえ学校にいる時間が短いのに、昨日も休んでしまったものだから、1日フルタイム校内にいるというのが、ひどく久しぶりみたいだった。 朝はかなり大降りの雨。それに今この部屋の鍵が一つしかないので、妹が昼間自由に動けるように、まずは私を車で職場まで送り届けてもらった。 まだ疲れを引きずっているのか、やたらと眠い。なぜだか夜になるとあまり眠れなくて、慢性的に睡眠不足状態。仕事はどっさりあるのに、なかなか手につかない。 夕方、また妹に来てもらって帰った。朝の雨は昼前にはすっかりあがって、すっきりと晴れている。買い物をして帰宅すると7時になってしまった。 今日立ち寄ったお店に、 「当店は補助犬を、補助犬法成立以前から歓迎しています」 といった感じの表示がしてあると妹が言っていた。なんか面白いな、「うちは他より一足も二足も進んでるんですよ」みたいな感じで。 もと同僚のパートナーで今年12歳になった犬が、来週リタイアして、育ての親のところへ帰ると電話があった。 最後にもう一度会ってバイバイしたかったけど、どうやらお互いのスケジュールが合わないらしい。 ユーザーのほうは、そのまま2頭目の訓練に出かけるとか。人間にとっても犬にとっても、ある意味理想的な再出発かもね。このところ辛いリタイアの話ばかり続けて聞いていたので、なんだかほっとする。 うんと可愛がってもらって、幸せに長生きしてね。 10月4日(月) 結局母も入院となった。 入院はしたくないと涙を流して可愛そうだったけど、今のままでは父も安心できないでまた早々と退院してきて悪循環の繰り返しだと思うから。 元気で、優しくて、しっかりものの母に、今度こそ戻ってほしい。 妹が帰ってきてくれた。 本当に、このまえ京都に戻ったばかりなのに。 昨夜までいた母に代わって、今夜から妹と姪っ子が私のところにいてとてもにぎやか。 実家は空っぽの家となっている。 私は作やまでのストレスのせいか、久々に透析中にダウンした。 今日はノエルのことを見直しちゃう出来事があった。 母の入院が決まって病棟へ行くと、ちょうど昼食時になった。 重い心の病気を抱えた方もいらっしゃるので、そんなこともありうるとは思っていたのだけど、何の前触れもなくいきなりでびっくり。 患者さんの一人が、すっと立ち上がってノエルのところへ来て、ノエルの口にチキンカツを一切れ押し込んだのだ。 看護婦さんが目撃して教えてくれたので分かったけど、そうでなかったら気づかなかったと思う。 だって、ノエルが食べた気配もなかったのだもの。 実はノエル、チキンを加えたまま固まって立ち尽くしていたのだった。 「アウト(出しなさい)」 と言うと、私の手にチキンを出した。それはまるで一口のかじり傷もないそのままのお肉だった。 思わず胸が熱くなった。大好きなチキン。食べていいって言われたらすぐにバクバク食べたいに決まっているチキンなんだから。それを我慢できる理性があるってこと、7年も一緒に暮らして、今日まで知らなかった。 落ちてるものでも何でも拾って口に入れていた昔のノエルからは想像もできないような成長だ。 「いい子!いい子!ノエちゃんはいい子ねぇ!」 辛かっただろうな。首に腕を回して頬擦りをした。嬉しそうな尻尾が揺れていた。 10月3日(日) 今夜も母と過ごすことになった。 まとはずれなことばかり心配する母に、忍耐、忍耐と自分に言い聞かせてつきあっている。 父はだいぶ落ち着いていたが、未だに、病院に送った私たちに不満たらたらだ。 妹に帰ってきてほしいけど、なかなか簡単にはいかず、結局は私が明日仕事を休むしかない。 こんなところに、あまりにいろいろ書きすぎだね。 でも誰かに聞いてほしい。 今、私の重荷を、精神的な部分だけでいいから「いっしょに背負ってあげるよ」と言ってくれる仲間がほしい。 今日も体調は悪いまま。おまけに二日開きだし、しんどいです〜! 10月2日(土) ハードな1週間の疲れが出る土曜日は、たいてい朝寝坊をする。 例によって例のごとく、ごろごろしていたら、いきなり電話で呼び出された。 父が重態だという。 実家へ行ってみると、父が浮腫んだ顔をして、ひどく苦しそうな呼吸をしながら、ベッドに横たわっている。 本気で「これはやばい!」と思った。 親戚のもの3人とあわただしく病院へ運ぶ準備をして、救急車を呼んだ。 近所の人たちまで、何事かと集まってくる。 父はなんだか病院に行くのがすごく怖いらしく、最後まで抵抗した。 かなりの時間がかかって、ようやく搬送先が決定。以前私が入院していたのと同じ病院になった。 心の病気を病んでいる母は、泣いてばかりいてどうしようもない。 姉と二人でドクターの説明を聞いた。 父の病名は肺炎だった。 体内の酸素量がすごく低い。が、酸素を吸わせてもらって、いくぶん元気になったようだ。 父はそのまま入院となったので、私が母をつれて帰ることになった。 とにかく今日が土曜日で良かった。 私は、頭の中ではすごく冷静に行動しているのに、どうしても体のほうが状況変化についてこられず、ひどく調子が悪い。血圧上がり放題で、やたらと頭が痛い。 思うに任せない自分の身体が鬱陶しく思えてしかたがない。 とりあえず、壁紙も何もないけど、文章だけ書いていくことにします。読んでいただけたら嬉しいです。 <「お散歩ノート」のトップへ/A> トップページへ |