めでたく転職し、皆の所へ戻ってきたアルとルーシィ。 そこは見事にパーティーの準備が整っており、ファルとセラフィがまだせわしく動いていた。 壁に掲げられた布を見ると・・・ 『ルーシィ 転職おめでとう!』 と、名前のあとに不思議な空白があった。 アルは周りを見渡し、あることに気付く。 アル :「なぁ、二人とも・・・ ジュノはどこに?」 ファル :「あぁ、ジュノか・・・アイツはな・・・」 と言った所でファルは口を止め、セラフィと向かい合ってクスクス笑っている。 アルは不思議に思ったが、背後に何者かの気配を感じ、後ろも向かずに言葉を放つ。 アル :「そんなところで何をしているんだ? ジュノ。」 ジュノ :「ハハハ、やっぱ兄者にはわかっちまうか・・・」 と言いつつも、まだジュノは姿を現さない。 アルは、ジュノを放っておいて壁に掲げられた布に近づく。 アル :「で、この意味ありげな空白はなんだ・・・」 セラフィ:「あ、その事なんですが兄さん・・・実は・・・」 ジュノ :「俺も転職したんだよ、兄者。」 やっとジュノが姿を現し、セラフィの言葉を遮って言う。 見ると、シーフだったはずのジュノはローグに転職していた。 アル :「・・・あのジュノもついに転職したか・・・おめでとう!」 ジュノ :「アリガト、兄者。」 ファル :「ん〜じゃぁ、コレもうはがすぞ。」 と言い、ファルが例の布に手をかける。 ルーシィ:「これからパーティーやるのに・・・もう取っちゃうの?」 と、少し寂しげなルーシィ ファル :「コレ自体はまだ取らないさ。 ただ・・・」 べりべり・・・ ファル :「こういうこと。」 さっきまでの異常な空白の所には、『ジュノ』の文字が隠されていた。 セラフィ:「つまり、二人のお祝いなんです。」 ファル :「ジュノがアル兄を驚かせたいって聞かなくてな・・・ちょっと隠しておいたんだ。」 アル :「・・・そういうことだったのか・・・」 ルーシィ:「おめでとう、ジュノお兄ちゃん。」 ルーシィがそう言うと、アルを除く3人はそろって固まった。 ジュノ :「ル・・・ルーシィ・・・? 今、何て?」 ジュノの質問に答えるでもなく、アルが口を開く。 アル :「ぁ〜、こっちの組には転職以外にもめでたい事があったんだよ。 って言うか、さっきの『これからパーティーやるのに・・・』で気付かなかったのかよ・・・」 セラフィ:「それって・・・ひょっとして・・・」 ルーシィ:「こーいうことだよw」 セラフィに再確認させるかのように喋るルーシィ。 ルーシィ:「今まで・・・敬遠しててゴメンね、お兄ちゃんたち。 これからは、もう大丈夫だから。」 ジュノ :「そっか、なにがあったかは知らないけど、とにかくもう大丈夫なんだな。」 ファル :「改めて・・・ヨロシク、ルーシィ。」 ルーシィ:「こちらこそ。」 セラフィ:「あ、そうそうルーシィ。 これ、皆からの転職祝いなんですけど・・・」 そう言ってセラフィはルーシィになにやら包みを手渡す。 ルーシィがその包みを開くと・・・ ルーシィ:「ゴーグル・・・?」 ジュノ :「そう! しかもちゃんとスロット付きだぜ?」 ファル :「俺のカートの中でホコリかぶりかけてたやつで済まないな・・・」 ビシィ! と音が聞こえそうなほど右手を突き出して親指を立てるジュノに対し、ファルは申し訳なさそうであった。 ルーシィ:「ううん、すっごくうれしいよw 変に値の張るものより、実用的でいいと思う。 ありがとう!」 それを聞き、ファルもほっとした様子で顔を上げる。 セラフィ:「さぁさぁ、せっかく私が腕を振るった料理が冷めちゃいますよ? はやくパーティー始めましょw」 ジュノ :「料理・・・ほとんど俺が作ったじゃねぇか・・・」 ジュノのその一言は皆の喧騒に紛れて、誰の耳にも届かなかった・・・