家族会議。
普段は自由個別行動であるが、みんな同じ場所に戻ってくるのでこの必要はほとんどない。
にも関わらず、わざわざ呼び集めるというのはよほどのこと・・・・なのである。
4人は、臨時公平狩や露店よりも、この会議を優先している。

 ジュノ :「兄者、何事だ?」
 アル :「あぁ、ファルが来たら話す。」

すでに3人が集まっており、残すはファルだけであった。
重そうなカートを引き、懸命に走ってくるファルの姿が見えた。

 ファル :「すまねぇ!首都で露店開いてて・・・すぐに閉じて走ってきたんだが・・・」
 アル :「あぁ、ま・・・この程度なら問題ない。」
セラフィ:「アル兄さん、今日の議題は・・・」
 アル :「あぁ、今日集まってもらったのは他でもない。 新しいメンバーについてだ。」
 二人 :『新メンバー!?』

ジュノとファルは声をそろえる。
が、セラフィだけは やはり・・・ といった表情である。

 アル :「実は旅先でとある子供を見つけてな・・・話によると家もなく、家族もいないそうだ。」
 ジュノ :「で・・・連れて帰ってきたわけか・・・」
 アル :「それに近いが・・・『保護した』といってもいいかも知れんな。」
 ジュノ :「保護?・・・なにかワケありっぽいな・・・」
 アル :「あぁ。 実はとある原因でひどいイジメにあっていてな・・・さっきやっと俺に懐いてくれたところだ。」
 ジュノ :「兄者には懐いたかも知れないけど、俺たちは大丈夫なのか?」
 ファル :「・・・近づいたら怯えて逃げて行く・・・ってパターンに聞こえるが・・・」
 アル :「・・・しばらくはそうなるだろうな。 長い目で見てやるつもりで・・・コイツをウチに置かせて欲しい。」
セラフィ:「私は・・・構いませんよ。 アル兄さんと一緒に行動してた時の事だから、事情も知ってますし。」
 ファル :「セラフィまで許可するんなら、俺たちも別に構わないけどな。」
 アル :「そうか・・・ありがとう。 じゃぁ、改めて紹介しよう。」

とアルは後ろを振り向き、その名を呼ぶ。

 アル :「ルーシィ、こっちにおいで。」

すると、一人の少女がアルに駆け寄り、その足にべったりと引っ付く。

ルーシィ:「ぅ〜・・・」

そして、ファルとジュノを見るなり、アルの足の後に隠れてしまった。

 アル :「ルーシィ、コイツらは俺の兄弟だ。 何もしやしないさ。」

と言ってやっても

ルーシィ:「んぅ〜」

と、まるでイヤイヤをするようにアルの裾に取りすがり、顔を擦り付けている。
そこにセラフィが話し掛ける。

セラフィ:「ルーシィ、少しでいいからみんなに顔を見せてあげて。 ね?」
ルーシィ:「はぅ〜・・・」

渋々・・・といった様子でアルの足から離れ、ファルとジュノに顔を見せる。
その顔を見たとき、ファルとジュノは同時に声をあげた。

 二人 :『オッドアイ・・・』

オッドアイとは、直訳すると『奇妙な目』という意味で、ここでは左右の瞳の色が違う事を言う。
少女の瞳は、左眼は透き通るような綺麗な水色、右眼は金色に輝いていた。

 ジュノ :「アル兄、コイツ、これが原因で・・・?」
 アル :「あぁ、そうだ。 周辺の人たちからは老若男女問わず極端に嫌われていた。」
 ジュノ :「それで・・・保護、か。」

いつのまにか再びアルの足の後に隠れていたルーシィ。

ルーシィ:「ますたー・・・?」

と、か細い声でアルに何かを要求する。

 アル :「ん?あぁ、そうか。 まだファルとジュノのことを教えてなかったな。」

コクッと、一つ頷く。

 アル :「じゃ、簡単に説明するか。 あそこにいるBSはファルスト=メイアードで、俺の弟。
      その隣にいるシーフがオルジュノ=メイアード。 こっちも俺の弟だ。」

コクコクと頷き、理解した事を示す。

 アル :「俺が長男、ファルが次男で、ジュノは三男、んでセラフィが長女っと。
      ルーシィは次女になるからな。それから・・・」

アルは、ファルとジュノのほうに向き直る。

 アル :「コイツはルーシアス=フィル=メイアード。 俺たちの新しい兄弟だ。
      俺のことを兄とは呼んでくれないようだが・・・」

ルーシィの方にふっと目をやりすぐに視線を戻す。

 アル :「それから・・・コイツはうまく喋る事ができない。 最近ようやく特定の単語を言葉にできるようになったんだ。」
 ファル :「言葉が不自由なのか・・・ いじめられてた影響か?」
 アル :「かも知れんな。 まぁ、時間はかかると思うが慣れるまで我慢してやってくれ。」
 ジュノ :「了解。 ところで兄者、今夜はルーシィの歓迎会か?」

ジュノが目を輝かせている。

セラフィ:「そのつもりで、もう料理の下ごしらえはしてあります。」
 アル :「・・・だそうだ。 良かったな、ルーシィ」

自分の歓迎会を開いてもらえなかったジュノは、なぜか大はしゃぎ。
当のルーシィはというと・・・頭に「?」を浮かべそうな勢いでキョトンとしていた。