食事中・・・楽しそうに話をする兄弟たちの団欒の時・・・
ただ、今回はちょっと違ったようだ・・・

 ファル :「セラフィ〜、メシできたか?」
セラフィ:「ご飯ですか? それなら今、アル兄さんが作ってますけど?」
 ファル :「な!? せ、セラフィ・・・今、なんて言った?」
セラフィ:「アル兄さんがご飯を作っている・・・と言ったんですけど・・・」

聞き間違いではないことを確認したファルは、ガックリとうなだれる。

 ファル :「そうか・・・セラフィは知らなかったのか・・・」
セラフィ:「? 何をですか?」
 ファル :「今回の調理はアル兄が申し出たのか?」
セラフィ:「はい。 大変そうだから今日は作ってやる・・・とか言って。」
 ファル :「あのな・・・」
セラフィ:「?」
 ファル :「アル兄の料理は・・・今だかつて一度もうまくいった試しがない・・・」
セラフィ:「えぇ!? そ・・・それじゃ今ごろ・・・」
 ファル :「調理法などは普通だと思うんだが・・・殺人的な味だったこともある・・・」
セラフィ:「ぁ・・・わ、私! ちょっと様子見てきます!!」

と言うや否や・・・

 アル :「お〜い、メシできたぞ〜」

と皆を呼ぶアルの声。
食卓へ向かう途中、ジュノが・・・

 ジュノ :「なぁ、今日のメシ・・・兄者が作ったのか・・・?」
 ファル :「うむ・・・どうやらそうらしい・・・」
 ジュノ :「ファル兄・・・俺まだ死にたくないぞ・・・」
 ファル :「俺もだ、ジュノ・・・」
セラフィ:「そ・・・そこまでヒドイんですか・・・アル兄さんの料理・・・」
 ジュノ :「食えばわかるよ・・・食えばな。」

セラフィはまだ半信半疑といった様子だが、他の二人は今にも倒れそうな勢いだった。

 アル :「お、みんな来たな。 今日のはちょっと自信あるぞ。」

嬉しそうに話し掛けてくるアル。
3人は、料理されたものを見て一安心する。
目の前にあるものは・・・スパゲティだった。
きれいに皿に盛り分けられたソレは
一見ソースがかかっていないように見えるあっさり仕立てで
色取りにパプリカと思われる赤いものが添えられ、
刻んだパセリのようなものが振りかけてあり、おいしそうには見えた。
皆は、フツーのものが食べれると思い、急いで食卓についた。

 四人 :『いただきます。』

声をそろえ、一斉に食べ始める。

セラフィ:「あ・・・けっこうおいしい・・・」
 ジュノ :「兄者もやればマトモなのができるんじゃないか。」
 ファル :「とはいえ、スパゲティだからなぁ・・・」
 アル :「何を言う、このソースは俺のお手製だぞ?」
セラフィ:「へぇ・・・アル兄さんも結構・・・」
 ジュノ :「コレ、パプリカだろ?」

と、ジュノが例の赤いものに手を出す

 アル :「待て、それは・・・!」

アルの制止も聞かず口にした途端・・・

 ジュノ :「ゴフッ!!?」

いきなりむせて、台所に走っていくジュノ。

 ファル :「どうした!?ジュノ?」

といいつつ、ファルもその赤いものを口に入れる・・・

 ファル :「ぐはっ!?」

同様にファルも台所に駆け込んだ。

セラフィ:「コレ・・・ですか・・・」

セラフィは、恐る恐る口に入れる。

セラフィ:「仝※◎〒ж!!?」

言葉にならない叫びを上げ、セラフィも台所へ。

 アル :「・・・・・・」

アルは一人、食卓に取り残された。

 アル :「言おうとしたのに・・・」

しばらくして、3人が戻ってきた。

 ジュノ :「兄者・・・アレ・・・」
 アル :「うむ、パプリカではない。」

ジュノの問いかけに即答するアル

 アル :「みんなして・・・水でも飲んでたのか?」

頷く3人。

セラフィ:「アル兄さん・・・アレは・・・」
 アル :「赤唐辛子だ・・・色取りにな。 だから待てと言ったのに・・・」

アルに料理を任せた事を深く後悔するセラフィと、
やはりアルの料理はうかつに口にするものではないと再認識したファル&ジュノだった。