ここは人間とモンスターが争う・・・(以下略

その世界における、とある兄弟達の他愛もないお話・・・


 ファル :「ヤヴァイなぁ・・・」

突如、ファルがつぶやく。

 アル :「ん?どうしたんだ、いきなり。」

近くにいたアルは尋ねた。

 ファル :「それがなぁ・・・家計が・・・危ないんだよ。」
 アル :「ほぅ・・・」

特に関心がない、といったようにアルは適当に受け流す。

 ファル :「ほぅ・・・じゃなくてさ、稼ぎに行こうとか思わないのか?」
 アル :「何故だ?」
 ファル :「いや・・・何故っ て・・・」
 アル :「家計が危ういのは、お前の金遣いが荒いからじゃないのか?」
 ファル :「な・・・!?」
 アル :「違う・・・とは言えないだろう?」
 ファル :「・・・そういうアル兄は、一度の狩りで回復アイテム代が結構かかってるじゃないか。」
 アル :「ぬ・・・」

二人がいがみ合っていると、一人の少女が近寄ってくる。

セラフィ:「兄さんたち、何話してるんですか?」

長女・セラフィアであった。

 ファル :「お、セラフィ、丁度いいところに。」
セラフィ:「はい?」
 ファル :「ちょっと資金えん・・・」

ゴスッ!!

何かを言いかけたファルを、アルがはたいて(殴って?)止める。

 ファル :「イキナリ何すんだよ、アル兄!」
 アル :「ファル、ちょっとこっちへ。 セラフィはそこで待っててくれ。」
セラフィ:「わかりました。」

そう言って、ファルをずるずると引っ張っていくアル。
セラフィが遠くなったのを確認すると、アルは足を止めてファルに話し掛ける。

 アル :「お前なぁ・・・」
 ファル :「?」
 アル :「さっき、セラフィに資金援助してもらおうとしただろ・・・」
 ファル :「それが何か?」
 アル :「俺たちがセラフィを頼ってどうする・・・少しは兄としての立場も考えろ。」
 ファル :「ん〜なこと言ってもなぁ・・・」
 アル :「セラフィはセラフィ、俺たちは俺たちで別々に資金繰りしようって、みんなで決めたろ?」
 ファル :「はぁ、わかったよ。もう、セラフィに援助は求めない。」
 アル :「そうだ、それでいい。」
 ファル :「でもな・・・アル兄。」

ファルが言い返す。

 ファル :「強さを求める狩りがいけないとは言わないが、少しは財政面も考えてくれよ。」
 アル :「ん、あぁ、そうだな。確かに回復代もバカにならんしな・・・」
 ファル :「そうそう。経験稼いでギリギリ黒字〜じゃなくてさ、たまには金を稼ぐ狩りもしてくれよ?」
 アル :「レアアイテムでも出ればいいんだが。」
 ファル :「そうそう出ないから『レア』なんだよ。地道に稼ぐ方向で考えた方がいいぜ。」
 アル :「まぁ、そうだな。たまには経験度外視で収集品を稼ぎに行くか。」
セラフィ:「いつまで待たせるんです?兄さんたち。」
 二人 :『おぅあ!?』

アルとファルが見事にハモる。

 アル :「セラフィ・・・いつからそこに?」
セラフィ:「ついさっきです。」
 アル :「聞こえて・・・たか?」
セラフィ:「さぁ?どうでしょうw」

イタズラっぽく笑うセラフィ。急に真顔になり・・・

セラフィ:「資金援助はしませんよ?みんなで決めたことですから。」

再びクスクスと笑い始める。

 アル :「しっかり聞こえてやがる・・・」
セラフィ:「まぁまぁ、いいじゃありませんかw」

セラフィが意外にしっかり者であることに驚きつつ、
兄としてふがいなさを感じたアルとファルであった。