ケルビナ:「ジュノお兄様?」
 ジュノ :「ん?」
ケルビナ:「少し・・・よろしいですか?」
 ジュノ :「ん〜、別に構わねぇけど・・・どうしたんだ?」
ケルビナ:「お話しておきたいことがありますの。
      ちょっと、こちらへ・・・」

ジュノがケルビナについていく形で、2人は場所を変える。

 ジュノ :「で、話したいことって?」
ケルビナ:「実は・・・その・・・」

ケルビナは口篭り、ためらっているようだ。

 ジュノ :「言いにくいんなら、別に今じゃなくても・・・」
ケルビナ:「いいえ、今・・・言わせていただきますわ。
      気持ちも落ち着いてきましたので・・・」
 ジュノ :「・・・じゃぁ、聞こうか。」

ケルビナは深呼吸を一つ。

ケルビナ:「ジュノお兄様・・・私、実は・・・」
 ジュノ :「ひょっとしてさ、"俺が好きだ" な〜んてコトじゃ・・・ないよな?」
ケルビナ:「!?・・・」
 ジュノ :「あんだけ兄者とセラ姉ぇにベッタリで、俺に来るワケな・・・」
ケルビナ:「・・・そんな、コトっ・・・!!」

ケルビナは顔をしかめ、目には涙が浮かんでいた。

 ジュノ :「ま、まさか・・・ビンゴ・・・?」
ケルビナ:「本気で・・・本気で好きになってしまったものは仕方がありませんわ!!」

泣きながら怒鳴り散らすケルビナ。
普段の様子からは全く想像もできない姿に、ジュノは戸惑うばかりだ。

 ジュノ :「ご、ゴメッ!! まさかそこまで本気とは・・・」
ケルビナ:「わ、悪かったですわね!! どうせ私なんて・・・ッ!!」

ジュノの前から走って逃げ出すケルビナ。

 ジュノ :「おい、ちょっと待てって!!」

その腕を引いて止め、強引にこちらに向き直らせるジュノ。
ケルビナの両肩に手を置き、腰をかがめて目線をあわせる。

 ジュノ :「ケルビナ・・・ワリィ。ありえないと思ってたから、つい・・・
      それで・・・」

ケルビナはジュノの瞳を、涙目のままじっと見ている。

 ジュノ :「少し考えさせてくれねぇかな。突然のことで、俺の気持ちの整理がついてねぇんだ。
      曖昧なままにはしない。 絶対・・・答えは出すから。」
ケルビナ:「・・・わかりましたわ。 確かに私も突然すぎましたもの。」
 ジュノ :「ありがとう。 待つのはツライと思うけど・・・」
ケルビナ:「・・・良い答え・・・期待してますわよw」
 ジュノ :「そればっかりは、なんとも言えねぇけどなw」

先程の悶着とは打って変わって、いつもどおりに戻る二人。

 ジュノ :「でも、どうして俺を・・・?」
ケルビナ:「あの時・・・大事な弓を犠牲にしてまで、私を護ってくれたときですわ・・・」
 ジュノ :「あぁ・・・あの時はもう、俺も必死で・・・
      それに、あの状況じゃ、ああするしか・・・」
ケルビナ:「いつも、おフザケなイメージのあるジュノお兄様のあんな真剣な表情。
      私を護るためだとわかって・・・なぜか胸が痛くなりましたの。
      それからはもう、ジュノお兄様のことが頭から離れなくて・・・
      好きなのだと確信したのは、つい2〜3日前のことですわ。」
 ジュノ :「おフザケなイメージか・・・"何事も楽しむ"って言って欲しかったな。
      しかしまぁ、最近マトモに顔合わせてくれなかったのは、それでか・・・
      てっきり、嫌われたんだとばかり思ってたぜ。」
ケルビナ:「ごめんなさい・・・自分でもどうしたらいいかわからなくて・・・
      戸惑っていましたの。」
 ジュノ :「でも、もう大丈夫だよな?」
ケルビナ:「はい。思いを打ち明けてスッキリしましたし・・・
      でも・・・返事が怖いというのはありますわね。」
 ジュノ :「返事に関しては、そのうち俺のほうから声かけるさ。」
ケルビナ:「はい。それまで、期待して待ってますわ。」
 ジュノ :「んじゃまぁ・・・たまには二人で狩りにでも行くか?」
ケルビナ:「!? は、はいっ! 喜んでお供させてもらいますわw」

そうして、二人は狩りの準備を始めた。