アル :「さて・・・今日はどうするかな・・・」

なにやら一人で考えているアル。
どうやら、狩場をどこにするかで悩んでいるようだ。

セラフィ:「狩りのことですか?」
 アル :「あぁ。どこかいい場所はないかと思ってな。」
 ジュノ :「ゲフェン塔の地下2階なんてどうだ?」
 アル :「お前と違って、俺は念属性は相手にしづらいんだよ・・・」
ケルビナ:「ミョルニール廃坑などはいかがですの?」
 アル :「それもアリか・・・だが、囲まれると厄介だな。」
 ファル :「ゴブ・・・は、Lvが低すぎるか・・・」
ルーシィ:「天津フィールドとか・・・」
 アル :「う〜む・・・」

しばらくうつむいた後

 アル :「ファル、家計の方はどうだ?」
 ファル :「そろそろ足しが欲しい所だな。」
 アル :「そうか・・・わかった。」

思い立ったように準備をはじめるアル。

 アル :「よし、それじゃぁ行ってくる。」
セラフィ:「どこに行くんですか?」
 アル :「ん・・・ちょっと久々にな。」

適当にはぐらかし、"じゃぁな" と出かけるアル。
向かった先は・・・蟻地獄ダンジョンであった。
いつもなら絶対に来ることはない場所である。
しかし、なぜか今日はココに来る気になった。

 アル :「なつかしいな・・・あの時以来か・・・」

そう、ここはアルがアサシンになるために条件を満たし、実力を認められた場所。
シーフだったアルの、最後の狩場であった。

 アル :「あの頃から・・少し、変わったか。」

過去を思い出しながら、群れをなす蟻を捌いていく。

(なぜココに来る気になったんだろう・・・鉄鉱石くらいしか稼げないのに。)

疑問に思いつつも、来たからには全力で狩りをするアル。


その頃・・・ アンバー:「ジェイドちゃーーーーん!」 ジェイド:「なんですか姉上・・・騒々しい。」 アンバー:「蟻地獄っていうところが、マジシャンには良い狩場なんだってーw」 ジェイド:「はぁ・・・」 ジェイドはすでに次のアンバーの言葉を予測していた。 アンバー:「だ・か・ら、一緒に行こ☆」 ジェイド:「やはりそう来ましたか・・・」 案の定・・・といった表情のジェイド。 ジェイド:「どうせ断っても強引に連れて行くおつもりでしょう・・・       仕方ありません、お付き合いします。」 アンバー:「さっすがジェイドちゃん、わかってるぅ〜☆       じゃ、パパっと仕度して行こっ♪」 これ以上ないほどに嬉しそうなアンバーと、言葉のわりにはまんざらでもなさそうに準備するジェイド。 ジェイド:「それでは姉上、移動が不便な場所ですので、テレポートで。」 アンバー:「おっけ〜w っていっても、私はハエだけどねん☆」 しゅぱっと、懐からハエの羽を取り出すアンバー。 アンバー:「じゃージェイドちゃん、現地集合だよ〜w おっさき〜!」 ジェイド:「・・・私も行きましょうか。」 我先にと、ハエの羽で飛んでいくアンバー。 ジェイドもテレポートで後を追った。
変わって、今まさに狩り真っ最中のアル。 短時間で大量に捌けるおかげで、所持限界に近づくのも早い。  アル 「そろそろ・・・戻るか。 これだけあれば、しばらくは持つだろう。」 そう言うや否や、近くで聞きなれない音がした。 ふと目をやると、蟻地獄1層の主がいた。 (マヤーパープルか・・・勝てない相手ではないが。) ??? :「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」 無視して帰還しようとしたアルだったが、その悲鳴で振り返る。 目に映った光景は、無視して帰還するわけには行かなかった。 (アコライト? なぜこんなところに・・・空き瓶でも狙っていたか!?) アコライトと対峙するマヤーパープル。 その腕に刃が現れ、アコライトに向けて振り下ろされた。 −ズシャァ!!− 空を切るマヤーパープルの刃。 間一髪、アルがアコライトを抱きかかえるようにして地面を滑る。  アル :「大丈夫か?・・・って、ジェイド!?」 ジェイド:「アル・・・様・・・?」  アル :「こんなトコロで何してるんだ・・・」 ジェイド:「わたくしは・・・その・・・」  アル :「っと、悪い・・・話は後だ。先にコイツを・・・」 ジェイド:「そうですね。及ばずながら、お力添えさせていただきます。」 アルとジェイドを見下ろし、マヤーパープルはその両手の刃を振りかざした。 今度は、アルめがけて。  アル :「っつおォォォ!!」 上手くスキマを抜け、マヤーパープルの腹部に一撃キメる。 一瞬、マヤーパープルの動きが止まり、攻撃動作をやめる。 そのスキをついて、アルに支援するジェイド。 ジェイド:「ブレッシング! 速度増加!!」  アル :「さんきゅ!」 手を前で交差する形で振り下ろされる両手の刃。 マヤーパープルの腹部を攻撃していたのでは、確実に首を撥ねられてしまう。 直前で飛びのき、攻撃をかわす。 ジェイド:「アル様!?」  アル :「大丈夫だ!」 持ち前の素早さに速度増加の上乗せがあり、マヤーパープルの周囲を回りながら、 1ヶ所にとどまることなく攻撃を加えていく。 マヤーパープルはというと、アルには狙いがつけれず、ジェイドには攻撃が届かないという状況の中、 苛立っているのか、すでに闇雲に両腕の刃を振り回している。 ジェイド:「勝負アリ・・・ですね。」  アル :「トドメだ!」 アルの渾身の一撃が頭部にキマり、マヤーパープルは奇声を発して崩れ落ちる。 ジェイド:「お疲れ様でした。」  アル :「あぁ。 支援ありがとう。」 ジェイド:「いえ・・・私など・・・」  アル :「ところで、どうしてこんなところに?」 ジェイド:「それなんですが・・・姉上がマジシャンだということはご存知ですね?」  アル :「あぁ、知ってる。」 ジェイド:「実は姉上と一緒に来ていたのですが、姉上が誤ってハエの羽を使ってしまって・・・」  アル :「で、探していたらあぁなったと・・・」 ジェイド:「はい・・・度々ご迷惑をおかけいたします・・・」  アル :「いや、俺は別に・・・」 ジェイド:「このお礼は、いつか・・・必ず。」 アンバー:「ジェイドちゃんゴメーーン!! だいじょうぶだった〜?」 何事もなかったかのようにいつもどおりなアンバーがやってきた。 ジェイド:「・・・襲われました。」 アンバー:「襲われたって・・・ あらあらぁ? アルさんじゃないですか。       お二人はもうそんな仲にぃ〜? しかも、こんなト・コ・ロ・でw」  アル :「ち、違っ!!」 アンバー:「アセってるあたり、あやし〜ぃw」 ジェイド:「姉上・・・マヤーパープルに、です。 あまり人をからかわないでください・・・」 アンバー:「ありゃりゃりゃりゃ・・・そーだったのね。これはまた、失礼をば。」 ペコリと頭を下げた後、いつもながらの屈託のない笑顔で笑うアンバー。 アンバー:「さー、ジェイドちゃん。狩りの続きしよ☆」 ジェイド:「・・・わかりました。それではアル様、また。」  アル :「あぁ、またな。」 二人の背中を見送り、帰還するアル。 (文字通り、"虫の知らせ"・・・だったのかも知れないな。) ふと、そんな言葉が頭をよぎった。