セラフィ:「アル兄さん・・・遅いですね。 スグ戻ると言ったのに・・・」

兄・アルが、セラフィを待機させて場を離れたのは、つい5分前のこと。
一人待たされたセラフィは、木陰に座り込んでいた。

セラフィ:「結局・・・どんな用なんでしょうか・・・」

いまだ戻る気配はなく、退屈を感じ始めるセラフィ。

セラフィ:「モンスターが少ないとはいえ、こんなトコロで待機なんて・・・」

退屈しのぎに、ふらりと歩き出すセラフィ。
天気も良く、散歩気分でゆっくりと足を進める。

セラフィ:「こんな天気だと、みんなでピクニックでも行きたいですね〜
      私が作ったお弁当をみんなでおいしそうに食べたり・・・」

などと考えていると、後ろに何かの気配を感じた。
持ち前の素早さを生かし、とっさに身を翻すセラフィ。
その横を通り過ぎたのは・・・

セラフィ:「これは・・・雄盗蟲!? どうして・・・」

通常いないはずのモンスターが目に映り、驚くセラフィ。

セラフィ:「せっかくのんびり散歩してるの・・・にっ!!」

鈍器一閃、雄盗蟲は可哀相なくらい見事に砕け散った。

セラフィ:「まったく、なんでこんなところ・・・にぃ!?」

振り向くと、あたり一面雄盗蟲で埋め尽くされていた。

セラフィ:「ちょ、なんでこんなに・・・ぁ、きゃぁっ!?」

驚愕で身がこわばり、あっという間に囲まれてしまうセラフィ。
必死に応戦するも、1匹2匹倒した所でキリがない。
もともとSPが少なく、ヒールも弱いセラフィでは、耐えていられる時間もあまりない。
そのうえこの場所はたいしたモンスターもいないので人通りも少なく、助けは期待できない。
少ないSPを振り絞り、険しい表情で必死に耐えるセラフィ。
しかし、そろそろSPが尽きようとしていた・・・

―アル兄さん・・・私・・・―

意識が遠くなりかけた時、遠くからヒールがかけられた。

セラフィ:「これは、ヒール? 一体だれが・・・ いえ、それよりも・・・!」

それを機に反撃に転ずるセラフィ。
かけつづけられるヒールのおかげで、戦闘に集中できる。
そうなると、雄盗蟲はまたたく間に数を減らしていった。

セラフィ:「ふぅ・・・」

なんとが撃退し、疲れてその場に座り込むセラフィ。
そこへ、ヒールの主が現れる。

 アコ :「・・・大丈夫でございましたか?」

ヒールの主、見知らぬアコは淡々と無感情に語りかける。
その表情も変わることが無い。
困惑したセラフィだが、なんとか言葉をつむぎだす。

セラフィ:「あ、はい。 どなたか存じませんが、ありがとうございます。
      おかげで助かりました。」

 アコ :「いえ、さすがに危なく思いましたので、援護をさせていただきました。」

淡々と、ただ無表情に返答するアコ。

セラフィ:「あ、私はセラフィアといいます。
      どうぞ、セラフィとお呼びください。
      よろしければ、あなたのお名前もお伺いしてもよろしいですか?」

 アコ :「わたくしはjade(ジェイド)と申します、ちなみに首から下はちいたけ(略)」

名を名乗り、深々と頭を下げるjadeと、つられて立ち上がり深々と頭を下げるセラフィ。
立ち去ろうとするjadeを引きとめ、場所を変えてしばらく話すことにした。

セラフィ:「先ほどは本当に有難うございました。」

 jade :「いえ、大したことはしておりません・・・
      それよりもセラフィ様は、お一人でこちらへ?」

セラフィ:「私は兄と一緒だったのですが、ちょっと兄に用ができたらしく・・・
      待っていたんですけど退屈になって、ちょっと歩いてたらあんなことに・・・」

 jade :「そうでしたか・・・ご無事で何よりでした。」

しばらくの間他愛のない会話が続くがjadeの表情は一切変わることはなかった。
積極的に会話を続け、話が盛り上がりはするのだが、ただ表情だけが変わらない。
話をするうちに、ユックリと時間が過ぎ、セラフィは駆け寄ってくる見知った人影を見つけた。

 アル :「セラフィ、こんなところにいたのか・・」

息を切らし気味に兄・アルが話し掛けてくる。

 アル :「どこに行ったのかと心配したじゃないか・・・ ところで、そこの方は?」

セラフィ:「あ、この人はjadeさん、さっき盗虫に襲われたときに助けていただいたんです。」

 アル :「本当か!?大丈夫だったのか?」

セラフィ:「大丈夫じゃなかったらこんなところでほのぼのしていませんよ」

見ればわかることではあるが、アルは内心冷や汗ものであった

 jade :「お初にお目にかかります。セラフィ様のお兄様ですね?
      わたくしはjadeと申します。ちなみに首から下はちいたk・・・」

セラフィ:「危ないところを助けてもらったんですよw」

話をさえぎられ、いささか不満顔になるjade
どうやら最後まで言いたかったらしい・・・・

 アル :「そうか・・・俺からも礼を言わせてもらうよ。 ありがとう。
      俺の名はアルツァー。気軽にアルと呼んでもらって構わない。」

 jade :「わかりましたアル様、今後ともよろしくお願いします」

 アル :「あ、あぁ・・・こちらこそよろしく・・・」

jadeの変わらない表情に、困惑を隠せないようだ。

 jade :「では、姉がそろそろ戻ってくる模様なので失礼させていただきます。」

すっと立ち上がり深々と頭を下げ立ち去ろうとする。

セラフィ:「jadeさん、またお会いしましょうね。」

セラフィが声をかけると暫し立ち止まり振り向いて

 jade :「・・・・また、何時の日か。」

そういって飛び切りの笑顔を見せた。
終始無表情だったjadeの、はじめての笑顔・・・
二人は、互いにその笑顔を忘れることは無いだろうと思った。

セラフィ:「ところで兄さん、どこへ行ってたんですか?」

 アル :「・・・・ああ、実はな・・・・・」

アルは場を離れていたときのことを話し始める。



所変わって、jadeの『居場所』

 jade :「姉上、戻ったのですか。」

 ??? :「あ、jadeちゃんただいま。」

姉と呼ばれたjadeと同じ顔、同じ髪色、同じ髪型のマジシャン。

 ??? :「なにか楽しいことでもあったの?顔がほころんでるよ?」

 jade :「そうでしょうか・・・・・」

両頬を押さえ困り顔のjade。
そんな妹をにこやかに見守る姉。

 ??? :「さ、今日もがんばっていくよーjadeちゃん」

 jade :「はい、姉上」

そういって二人は、また旅路へ出向くのであった・・・・