力を使い果たして気を失い、一時的に天使連盟の拠点で保護されることになったジェイド。
天使連盟のメンバーも、成り行きで保護したはいいが、どうしていいかわからずにいた。

 ジュノ :「兄者・・・どーすんだよ・・・」
 アル :「・・・このままそっとしておけば、力が回復して目を覚ますんじゃないか?」
セラフィ:「そんな軽度のものでしょうか・・・?」

一同、顔をそろえて、ただ手をこまねいていた。
そんなこととは露にも思わずジェイドの腕はしっかりとアルの首に回っていた

セラフィ:「とにかく、ベッドに寝かせたほうが・・・」
 アル :「あぁ、そうだな。」

そっとジェイドを横たえる。

セラフィ:「できるだけのことはしてみます。」

ヒール・ブレスなど、アコライトでできる支援・回復魔法を一通り唱えるセラフィ。
アル・ジュノ・ルーシィも、念のため解毒をかける。

ジェイド「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

相変わらず反応のないジェイド。

 ファル :「ここはいっそハンマーフォールで・・・」
 アル :「・・・やめておけ。」
 ファル :「冗談だって・・・ ただ、俺にも何かできないかと思って・・・」

ファルと同じく、ケルビナも何もできない状態で立ち尽くしていた。

ルーシィ:「ねぇ、ひとつ考えがあるんだけど・・・」

暗い雰囲気を破るように、ルーシィが発言する。

ルーシィ:「前に、本で読んだんだけど・・・眠り姫を目覚めさせる方法・・・」
ケルビナ:「それって・・・まさか・・・」
ルーシィ&ケルビナ:「王子様のキス!」

突拍子もない案に、言葉を失う一同。
だが、ルーシィはマジメであった。

ルーシィ:「おにーちゃん達の誰かがキスすれば・・・目、覚ますかも。」
 ジュノ :「さすがにそれはマズいんじゃないか・・・?」
 ファル :「人工呼吸みたいなモノとはいえ・・・さすがに・・・」
ルーシィ:「そっかぁ・・・」

二人の反対意見に、縮こまるルーシィ。
アルとジェイドが”そういう関係”になったことを知っているのは、この場には当の本人達しかいなかった。
アルも、さすがに人前では恥ずかしいのか、名乗り出ることもなくルーシィの意見が没にされた。
そんな話の最中ジェイドの体に変化が起こる
先ほどのあらゆる支援・回復魔法から解毒にいたるまでのすべてがジェイドの体周辺を薄く漂っていた

 アル :「これは・・・?」
セラフィ:「どういうことでしょう・・・」
 アル :「さっきの魔法はすべて、ジェイドの体に届いていなかったのか・・・?」
セラフィ:「わかりません・・・ただ、体から浮き出てきたようにも見えました・・・」

その漂っていた魔法――魔力そのもの――はジェイドの胸元―心臓―に向かって吸い込まれていき


ドクン


心音にも似た音がひとつ鳴った

 アル :「今のは・・・?」
ルーシィ:「ジェイドさんの・・・鼓動?」

心音とともにジェイドの体がビクッと反応はしたがその後なんら変化はなかった

 アル :「・・・まさか・・・」

アルは何かを思いついたようだ。

 アル :「みんな、ありったけの魔法をジェイドにかけてくれ。
      ただ、できるだけ衝撃は与えないように・・・」
セラフィ:「・・・どういうことですか?」
 アル :「ジェイドは魔力を放出しすぎて倒れた・・・
      ということは、足りない魔力を俺達が補充してやれば・・・」
 ジュノ :「そーいうことか・・・」
 ファル :「なるほど、わかった。つっても、結局俺はなにもできないけどな・・・」
ケルビナ:「私のプロボックも逆効果になりそうですわね・・・」
 アル :「そうだな・・・悪いが、遠慮してくれ。」
ケルビナ:「わかってますわ。」
 アル :「じゃぁみんな、頼むぞ!」

言うが早いか、ヒール・速度増加から解毒・エンジェラスに至るまで、
実にさまざまな支援・回復魔法がジェイドにかけられた。
一度は身の中に入る魔法ではあるがしばらくすると全て外に放出されジェイドの体を覆いそして心臓へ吸い込まれる

 ファル :「ハデるなぁ・・・」
ケルビナ:「きれい・・を通り越して壮絶ですわね・・・」

何もできない二人は、ただ眺めているしかなかった。

セラフィ:「っはぁ・・・はぁ・・・」
 アル :「ふぅ・・・」
ルーシィ:「はぅ〜・・・もうSPないよぉ・・・」
 ジュノ :「お・・・俺も・・・だ・・・」

皆、SPがなくなるまで唱え続け、息もあがっている。

 アル :「これで・・・どうだ?」

できることはやった。 じっと、ジェイドの反応を覗う。


ドクン ドクン ドクン・・・


大きく鳴り響く心音も次第に落ち着きを見せ・・・やがて

ジェイド「・・・・・・・・・・・・・・すー・・・・・」

変わりにジェイドの寝息が聞こえてきた

 ジュノ :「・・・はぁ・・・」
セラフィ:「なんとか・・・なったようですね・・・」
 アル :「後は・・・目覚めるのを待つだけか。」

ジェイドの容態も落ち着きを見せ、安堵の表情を見せる一同。
眠っているジェイドの見張りは交代で行うことにして、各々休息を取る。

 ファル :「まず俺が見張ってるよ。」

真っ先にファルが名乗りを上げる。
思えば、海水浴でも一人ボートに乗り、今回の件では何もできず、いちばん力を温存していたのであった。

 アル :「あぁ、頼むぞ。」
 ファル :「お任せあれw」

看病をファルに任せ、他のメンバーは旅の疲れと治癒の労力を癒す。

ジェイド:「すー・・・・・くー・・・・・」

規則正しく寝息を立てるジェイド

 ファル :「しっかし、不思議なもんだよなぁ・・・
      ボーっとしてる印象あったのに、あのときの殺気・・・
      本性はタダモノじゃねぇってことか・・・」
ジェイド:「・・・・・・・・ん・・・・アル・・・・様・・・・・。」
 ファル :「・・・やっぱアル兄ぃか。 こりゃ起きる前に交代したほうがいいな。」

そそくさと部屋を後にし、アルを呼びに行く。

 ファル :「アル兄ぃ〜?」
 アル :「・・・もう交代か・・・?」
 ファル :「ジェイドが寝言で呼んでるぜw アル兄ぃもスミにおけねぇなぁ・・・w」
 アル :「からかうんじゃない。 まぁ、それなら仕方ないか・・・ 代わろう。」

アルがジェイドの傍につくことになった。

 アル :「早く目を覚ましてくれるといいんだが・・・」

容態は落ち着いているものの、やはり心配である。

ジェイド:「アルさ・・・ま・・・・・」

ポツリと寝言が聞こえた

 アル :「ん? 呼んだか?」

寝言と知りつつも、念のため返事をする。

ジェイド:「アル・・・様・・・・わたくしの・・・・マイロード・・・・・」

不意にアルの方へジェイドの腕が伸びてきた

 アル :「さてさて・・・このお姫様はいつまで寝ていることや・・ら・・・」

伸ばされた手をしっかりと握るアルだったが、旅の疲れも癒しきれておらず、そのまま眠りについてしまった。

・・・数時間後、アルはハっと目を覚ます。
規則正しく寝息を立てるジェイド・握っている手の温もり・・・
あらためて、安堵の溜め息を漏らす。

ジェイド:「・・・・・・・・・・ん。」

握っていた手に不意に力がこもる
アルも、それに呼応するかのように手に力を込める。

ジェイド:「・・・・・・・はふ・・・・」

ジェイドの目がうっすらと開いた

 アル :「ぉ、起きたか・・・?」
ジェイド:「・・・・」

完全な寝ぼけ眼でアルのことをじっと見つめる

 アル :「・・・どーせまた寝ぼけてるんだろうな・・・」

ハァ・・・と溜め息をつくアル。
そんなアルのことにお構いなく突然抱きつくジェイド
腕をしっかり首に絡ませ鼻と鼻がくっつくほど顔を近づける。

 アル :「・・・もう拒むような関係でもないな。」

あえてその状態で放置するアル。

ジェイド:「おはようございます、アル様・・・・・」

チュ

軽く触れる程度であるが口付けをする

 アル :「あぁ、おはようジェイド。」

特に驚くでもなく答える。

 アル :「しかし、これは寝ぼけてるのか正気なのか・・・」
ジェイド:「アル様」
 アル :「なんだ?」
ジェイド:「ふふ・・・・好きです。」
 アル :「今更だな・・・
      ・・・俺も好きだぞ、ジェイド。」
ジェイド:「はい・・・アル・・・様・・・」

首にしがみついたまままた眠りにつくジェイド

 アル :「しかし・・・この状況はなんだかすごくイヤな予感がするな・・・」

ジェイドをベッドに横たえようとするも、意外に力強く抱きつかれており、放すことができない。
いやな予感は時として良く当たるものである そう・・・このように・・・・
突然開け放たれる部屋の扉・・・
そこから現れたのは・・・

 ファル :「よ〜、アル兄ぃ。 やっぱ、そーいう関係だったんじゃねぇか。」
 アル :「否定した記憶はないが・・・?」
 ファル :「そーだけどよ・・・あまりにも興味なさそうに見えてたから・・・」
 アル :「たしかに、興味はなかった。 少し前まではな。 だが・・・」
 ファル :「人は変わっていくものだろう? か?」
 アル :「ん、あぁ・・・そういうことだ。」

言おうとしていたセリフを言われてしまい、少しヘコむアル。

 ファル :「ところで、まだ寝てるのか? そのお姫様は。」
 アル :「寝てる と 寝ぼけてる の中間を彷徨ってるような気がするが・・・」
 ファル :「起きかけてるなら、ちょっと強引にでも起こしたらいいんじゃねぇか・・・?
      アンバーも心配してるだろうし・・・」
 アル :「それもそうか・・・」

ファルの意見に賛同し、抱きついているジェイドを軽く叩いたり、揺すったりしてみる。

 アル :「ジェイド、起きろジェイド。」
ジェイド:「んー・・・・姉上・・・おやつは戸棚の中ですよ・・・・」
 アル :「・・・・・・」
 ファル :「・・・・・・」
 アル :「完全に寝ぼけてるな・・・」
 ファル :「やっぱここはハンマーフォールで・・・」
 アル :「それは強引すぎだ・・・
      おいジェイド・・・前も言ったが、俺はお前の姉にはなれないぞ・・・」
ジェイド:「・・・・アル様の声が・・・・・!!!!!」

目を開くと目の前に愛しの人、一気目が覚めたらしく思いっきり飛びのく

ジェイド:「!!!・・・・な・・・何故!!??」

軽いパニック状態である
突然のことに、アルとファルも一瞬硬直する。

 アル :「ぁ〜・・・とりあえずおはよう、ジェイド。」
 ファル :「まぁ、ジェイドも落ち着いてさw」

ジェイド「あ・・はい、おはようございます・・・・・・」

律儀に頭を下げ挨拶はする

ジェイド:「ではなくて!!なぜアル様がいらっしゃるのです!!?・・・・・あ、ファル様も!!??
      えっ!?えっ!?」

あたりを見渡すが夜も更けているので薄明かり程度では周りが良くわからない
とりあえず必死に思い出そうとするが海辺のことから記憶がない
一人百面相でわたわたしていた

 アル :「ここまでのいきさつを話すから、とりあえず落ち着いてくれ。」
ジェイド:「え・・・あ、はい・・・・」

ちょっとべそかいてとりあえずは話を聞くことになった

 アル :「海で・・・クーラと名乗るローグが現れたのは憶えているか?」
ジェイド:「はい・・・」
 アル :「その後だ。 かいつまんで話すぞ。
      ジェイドが纏ったすごい魔力をアンバーが打ち消し、ジェイドはそこで気を失った・・・
      気絶したジェイドはポタも蝶も使えない。
      で、体力のないアンバーに背負わせて帰らせるのは酷だと思い、いったん天使連盟で預かることにした。」
 ファル :「まぁ、そーゆーことw」
ジェイド:「・・・・・・・・・・そうでしたか、大変ご迷惑をおかけしました・・・」

土下座のように深々と頭を下げた

 アル :「まぁ、一時的な魔力切れだったようだな・・・
      アンバーには目が覚め次第帰すという話はしてあるが・・・」
 ファル :「とりあえずみんな呼ぼうぜ。 ちゃんと伝えなきゃなw」
 アル :「あぁ、そうだな。」
 ファル :「じゃ、俺呼んでくるわw」
 アル :「頼んだ。」

ファルがみんなを呼ぶために部屋を後にすると、当然ながら二人だけの空間が出来上がった。

ジェイド:「・・・・・・・・・・・・アル様?」
 アル :「どうした?」
ジェイド:「申しわけありません、ひとつだけよろしいですか?」
 アル :「あぁ、構わないが?」
ジェイド:「・・・・ここはもしや、アル様のお住まいで?」
 アル :「俺の・・・というか、俺達のだな。
      俺が保護してきた者・・・つまり、天使連盟のメンバー全員の生活の場だ。」
ジェイド:「・・・・えーっと・・・・・・もしや海から戻ってずっと・・・・
      こちらで・・・・わたくしはお世話に・・・・?」
 アル :「そうだが・・・?」
ジェイド:「・・・・・重ね重ねご迷惑をおかけしたようで・・・・
      こうなっては一宿の恩を返さなくては戻るに戻れません!!」
 アル :「いや、そんな大袈裟な・・・」

一気に身を乗り出しアルの眼前で

ジェイド:「いいえ!!そんなことはございません!!受け恩は倍にしててでも返すようにと姉上も言っております
      その恩を返さずに帰ることなどできません!!!」
 アル :「そうは言われても・・・大切な客人に物事を任せるなど・・・」
 ファル :「呼んできたぜ〜!」
セラフィ:「ジェイドさん! もう平気なんですか?」
ルーシィ:「どっか痛いトコとかない?」
 ジュノ :「すっかり元気そ〜だなw」
ケルビナ:「・・・ようやく目を覚ましたんですの?」

やはりケルビナだけ、少しトゲのある言い方である。

ジェイド:「あ、はい・・・度重なるご迷惑 申しわけございませんでした。」

すっと直立し頭を下げる
セラフィ:「いえ、私達は当たり前のことをしただけですよw」
 ジュノ :「で、どーすんだ? スグにあっちに?」
 アル :「いや、それが・・・」

アルがなにやら渋っている。

ジェイド:「ご迷惑をかけた上このように心配までされてはこの恩を返すまでかえるに帰れません
      ですので、皆々様に恩返しをさせていただきます」
 アル :「と言い出して聞かないんだ・・・」
セラフィ:「・・・困りましたね・・・こちらとしては、お客様に仕事を頼むわけにはいきませんし・・・」
 ジュノ :「仮に、ジェイドはどんなコトができるんだ?」
セラフィ:「ジュノ君!!」
 ジュノ :「仮に・・・だよ。 ほとんど俺らで事足りてるから任せれることねぇと思うけどさ
      ・・・それじゃ向こうの気がすまねぇんだろ?
      だったら、軽く何かしてもらって、スッキリ帰ってもらったほうがいいじゃねぇか。」
セラフィ:「それは・・・そうですけど・・・」
 ジュノ :「で、どんなコトができる?」
ジェイド:「そうですね・・・・家事全般は一通りに・・・・
      あとは・・・・・望まれるのでしたらどのようなことでも・・・」
 ファル :「じゃぁさ、俺の露店の売り子とかど〜だ? ジェイドが看板娘になってくれたら、きっとバカ売れだぜ〜w」
 アル :「・・・いつ終わるとも知れん仕事は却下だ。」
 ファル :「チェ・・・」
セラフィ:「料理は私とジュノ君が任されてますし・・・稼ぎはアル兄さん・売買関係はファル兄さん・・・」
ルーシィ:「私とルビちゃんは、おそうじとか、お洗濯とか・・・」
 ジュノ :「家事は・・・足りてるんだなぁ。」
ケルビナ:「せっかくのアコですし、狩りのお供などは?」
 アル :「それも、売り子と同じ理由で却下だな。」
 一同 :「ん〜・・・」

ジェイドに任せる仕事がなく、みんなで頭を抱え始めてしまった。

 アル :「逆に・・・だ。 ジェイドは何かしたいことはないのか?」
ジェイド:「したいこと・・・・」

腕を組み考えてみたものの

ジェイド:「・・・したいと思うようなことは・・・・」
      それでは、一日皆様に休日を というのはどうでしょうか?」
セラフィ:「お断りします。」

真っ先にセラフィが反対する。

セラフィ:「みんなに休日・・・ということは、家事全般をジェイドさんに一任するということです。
      そんな負担の大きなことはお願いするわけには行きません。」

セラフィの言うことも、もっともであった。
それこそ、いつ終わるとも知れぬ作業である。

 アル :「・・・そうだな、じゃぁ・・・」

アルが何かを思いつく。

 アル :「ジェイド、みんなに美味い紅茶を淹れてくれ。」

アルの発言に、一同も驚きを隠せない。

 アル :「任せれることが見つからないんだ。 美味い紅茶を淹れてもらって・・・それでチャラだ。」
ジェイド:「・・・・かしこまりました。
      ですが茶器のありかなど勝手がわかりませんので教えていただいてもよろしいですか?」
セラフィ:「わかりました、こちらへ。」

ジェイドをキッチンへ案内する。

ジェイド:「お手数をかけさせてしまい申しわけありません、セラフィ様」
セラフィ:「いえ、お構いなくw 
      まず、ティーポットはここの戸棚に、ソーサーとカップはこの引き出しに入ってます。
      来客用にと、多めに揃えてありますから、自由に使ってください。」
ジェイド:「ありがとうございます、ではしばしの間お待ちください・・・・・・」

茶器の位置を確認し手馴れた動きで準備を始める

セラフィ:「茶葉はティーポットと同じ戸棚の中にビンで入ってます。
      ダージリン・アッサム・セイロンからアップルティー・ベリーティーなど、
      いろいろ揃えてありますから、こちらもご自由に。
      あ、茶漉しがカップの引き出しに入ってますので、よろしければw
      私は先ほどの部屋に戻っていますので。」

ふと手を止め振り返るジェイド。

ジェイド:「わたくしのお気に入りブレンドをお届けいたしますので、楽しみになさってください」

にこりと、出会ったときの笑顔で微笑んだ

セラフィ:「期待・・・してますよw」

セラフィはキッチンを後にした。

ジェイド:「さて・・・」

茶葉も確認しもくもくと作業をすすめていった
茶葉を混ぜ暖めたポットに流し入れお湯を張り蒸らしている最中

ジェイド:「・・・・・・アル様、気に入ってくれるでしょうか・・・」

微かな笑顔とともにそんなことをつぶやいた
そんな紅茶を待っているアルたちといえば・・・

 アル :「おかえり、セラフィ」
セラフィ:「ただいま戻りました。 以前、ファル兄さんにおねだりしておいてよかったですよw」
 ファル :「紅茶を?」
セラフィ:「えぇ、そうです。」
 ファル :「でも、あんなに買い込まなくても・・・」
セラフィ:「紅茶というのは、それ単体で楽しむのもいいですけど、いろいろと混ぜ合わせて淹れる楽しみ方もあるんです。」
 ファル :「はぁ〜・・・そうなのか・・・」
セラフィ:「見たところ、ジェイドさんは”混ぜて楽しむ”ことを知っているようです。 楽しみですねw」

コンコン

しばらく談笑していると不意に扉をたたく音がした

 アル :「ジェイドか?」

扉を開けて、迎え入れる。

ジェイド:「お待たせいたしました。」

トレーを持ち静かに部屋に入っていく

ジェイド:「では皆様どうぞ」

順番にティーカップを並べ紅茶を注いでいく

ジェイド:「お口に合いますかどうか・・・・」
 アル :「いい香りだな・・・」

次第に、紅茶の香りで部屋が満たされていく。

セラフィ:「お茶菓子取って来ますね。」
 アル :「あぁ、頼んだ。」

セラフィはスグに戻ってきた。
その手には、どこで買ったのかクッキーの詰め合わせがあった。

 ジュノ :「うまそ〜・・・」
 ファル :「それは紅茶? それともクッキー?」
 ジュノ :「そ・・・そりゃ両方だよ!」
 ファル :「ホントか〜・・・?」
 ジュノ :「ぅ・・・」

そうこうしている間に、ジェイドが全員分の紅茶を注ぎ終える。

ジェイド:「どうぞお召し上がりください」
 アル :「あぁ、ありがとう。」

早速、紅茶に口をつけるアル。しかし・・・

 アル :「熱っ!」

淹れたてなのだから、当然である。

ケルビナ:「あ、アルお兄様、大丈夫ですの!?」
ジェイド:「アル様!!大丈夫ですか!?」
 アル :「このくらい大丈夫だ。 二人して大袈裟だな・・・」

そう言ってカップを置き、しばらく冷ます。
心なしか、ジェイドとケルビナの目の間で火花が飛び散った気がした。

ジェイド:「申しわけありません、アル様・・・・」
 アル :「いや、これは俺の不注意だ。 ジェイドが謝る必要はない。」

脇の小皿に乗っているクッキーを一口かじる。

 ジュノ :「クッキーうめぇぇぇぇぇ! 紅茶もうめぇぇぇぇぇぇぇ!! サイコーだぜぇ!」
セラフィ:「ジュノ君・・・あなたはもっと落ち着けないんですか・・・? せっかくのお茶の席が・・・」

ゴスッ!

 ジュノ :「ってぇ〜・・・あにすんだよっ!」
 ファル :「・・・静かにしてろ。 お前は空気を読まなさ過ぎだ。」

まるでアルのように、いつになく落ち着いた雰囲気のファルに、ジュノも押し黙ってしまう。

 ジュノ :「わかったよ・・・ゴメン。」
 ファル :「わかればいい。」

ファルの意外な一面を垣間見た瞬間であった。

ジェイド:「・・・・・・ふふっ」

一連のやり取りに思わず苦笑するジェイド

そうこうしているうちに紅茶も冷めはじめ、アルも再び紅茶に口をつける。

ジェイド:「・・・・・・・・・・・・」

じっとアルが飲み終わるのを待っている

 アル :「・・・どうしたジェイド・・・
      ・・・感想か?」
ジェイド:「・・・はい、お口に合うかどうかが心配でして・・・」
 アル :「・・・美味い。」
ジェイド:「・・・・ありがとうございます♪」

誰の目から見ても喜びを全面に表している

 アル :「旅行中、アンバーの淹れた紅茶を飲む機会があってな・・・
      もしかしたらジェイドも、と思ったが・・・予想以上だったな。」
ジェイド:「わたくしは姉上から教わったものです、姉上より劣るとは思いますが・・・
      喜んでいただけたようで、安心いたしました」
 ジュノ :「よいお手並みで・・・」
セラフィ:「・・・どこの茶道教室ですか・・・」
ジェイド:「お替りもございます、ごゆるりとお楽しみください」
 アル :「あぁ、ありがとう。 じゃぁ遠慮なく・・・」

冷めかけて飲み頃なのをいいことに、自分のカップに紅茶を注ぐアル。
普段は騒ぎの絶えない天使連住処に似つかわしくない優雅なティータイムが続く・・・

ルーシィ:「たまには、こ〜いうのもいいね〜♪」

各自飲み終わり、話に花が咲き始めたときのことであった。

ケルビナ:「ジェイドさん・・・ちょっと個人的にお話よろしいです?」
ジェイド:「何でございましょうか?」
ケルビナ:「ここでは何です・・・場所を変えませんこと?」
ジェイド:「それはかまいませんが・・・・」
ケルビナ:「ありがとうございます。 アルお兄様、例の場所・・・お借りしますわ。」
 アル :「例の場所・・・? あぁ、構わないが・・・」

アルは、なにかイヤな予感がしていた。
ケルビナが言った”例の場所”とは、敷地内に特別に設けられた戦闘訓練室であった。

ケルビナ:「では、ジェイドさん。 こちらへ・・・」

ケルビナとジェイドは席を立ち、二人で部屋から出て行ってしまう。

セラフィ:「ケルビナ・・・まさか・・・」
 アル :「・・・俺もそんな予感がしてるんだ。」
 ジュノ :「止めに行ったほうがい〜んじゃねぇ? ジェイド、まだ病み上がりだぜ?」
 アル :「さすがのケルビナも、病み上がりのか弱いアコにそんなことはしないだろうと思っているんだが・・・
      やはり不安だな。」

二人が出て行ってからしばらく間を置き、アル達も戦闘訓練室へと向かった。

かたや、戦闘訓練室内のケルビナとジェイド。
もともと動き回ることを想定して作られているため、腰掛けるような場所もなく、
少し距離を置いて向かい合って立っている。
しだいに張り詰める空気・・・

ケルビナ:「いきなり本題に入らせてもらいますわ。」

切り出したのはケルビナだった。

ケルビナ:「お話というのは、他でもありません。 アルお兄様とのことです。」
ジェイド:「アル様のこと?」
ケルビナ:「そうです。 いくら面識があるとはいえ、馴れ馴れしい行動が目に付きますわ。
      いったい、どういうつもりですの?」
ジェイド:「・・・何のことでございましょうか?」
ケルビナ:「トボケてもムダですわ。 気を失っていたとはいえ、アル様に抱きつくような行為・・・
      それに、容態が落ち着いてからでも、アル様が看護に当たったとたんに・・・」

どうやら、ファルとアルが交代したあと、ケルビナは様子を見に来たらしい。

ジェイド:「・・・・・ですが、それは身に覚えのないこと・・・とはいえ馴れ馴れしいというのは心外です」
ケルビナ:「たしかにそうかも知れませんわね。
      でも、無意識にそんなことをするということが何を示すか・・・
      わからないわけではありませんわよね?」
ジェイド:「・・・・・・・・・・。」

隠しても意味のないことを悟り意を決して答える

ジェイド:「わたくしは・・・・アル様を愛しています。」
ケルビナ:「そう・・・ですわよね。」

ケルビナはすでに確信していたらしく、大して驚くこともなく単調に言い放つ。

ケルビナ:「まったく・・・お兄様もお兄様ですわ・・・
      こんなドコの馬の骨とも知れぬ女に、無抵抗に好き勝手させて・・・
      アルお兄様は無防備すぎるのですわ・・・」

アルに対する皮肉めいた言葉まで漏らす。

ジェイド:「・・・・アル様を悪く言うのはお止めになってください・・・・・」

左手をぐっと握るとエメラルドのオーラをまとう

ケルビナ:「・・・あなたの想い人がアルお兄様であるというなら・・・
      私は、あらゆる意味であなたに負けるわけにはいきませんわっ!
      今ここで、あなたに勝負を挑みます!!」

ジェイドをビシッと指差し、宣戦布告する。

ジェイド:「・・・・・・・どうなっても知りませんよ。」
ケルビナ:「アルお兄様をたぶらかした罪・・・重いですわよ?
      ・・・とはいえ・・・あなたは病み上がりでしたわね・・・」

ケルビナは少し考えるような仕草を見せた。

ケルビナ:「いかにあなたの魔力が凄かろうと・・・病み上がりの人と力比べをするのは私の道理に反しますわ。
      ここは・・・そうですわね、先ほどの紅茶で勝負いたしませんこと?」

その言葉を聞きふっと腕のオーラが消える

ジェイド:「紅茶で?」
ケルビナ:「そう、紅茶ですわ。 あなたがさっき淹れた紅茶よと、私が今から淹れる紅茶・・・
      どちらが皆様の口に合うか・・・」
ジェイド:「・・・・・」

しばらく考え込むジェイド

ジェイド:「ですが、ケルビナ様のほうが皆様の好みを知っているのでは?」
ケルビナ:「・・・悔しいですけど・・・あなたの紅茶はすごくおいしかったですわ。
      きっと、もともとそういうことが得意なんですわね。
      それに比べて私は、そいうったことは今だかつてやったことがありませんわ。
      好みを知らず・経験で淹れたあなたと・・・好みを知り・未経験で淹れる私・・・
      どちらが有利とは言い切れませんわよね?」
ジェイド:「・・・・なるほど、理にかなっておりますね・・・・わかりました、味比べをいたしましょうか」
ケルビナ:「では・・・皆様のところで待っていてくださいまし。
      準備して持って行きますわ。」
ジェイド:「わかりました」

部屋を出る直前足を止め

ジェイド:「ケルビナ様」
ケルビナ:「なんですの?」
ジェイド:「わたくしの紅茶をお褒めいただき、ありがとうございます。」

深く頭を下げお礼を言う。

ケルビナ:「べっ別に私は・・・! ただ、本当のことを言っただけですわっ!!
      ほら、早く行ってください!」

ジェイドは部屋を後にした。

ケルビナ:「はぁ・・・調子が狂いますわ・・・
      これじゃまるで・・・私一人が悪者ですわね・・・」

ポツリとつぶやき、キッチンへ向かう。


戦闘訓練室から出てきたジェイドはその帰路でアル達と出会う

 アル :「ジェイド? ・・・大丈夫そうだな。」
ジェイド:「はい、何事もございませんでしたが?」
 アル :「そうか・・・それならいいが・・・」
 ジュノ :「・・・ケルビナが一方的にボッコボコにされて倒れてるってコトは・・・ないよな?」

ゴスッ!

 ジュノ :「いってぇ〜・・・」
 アル :「冗談でも、そういうコトは言うもんじゃない。」
セラフィ:「ジュノ君をボッコボコに倒してあげましょうか・・・?」
 ジュノ :「いやいやいやいやいや!! 全力で遠慮する!!」
ジェイド:「ふふっ・・・・・ケルビナ様はこれから皆様に紅茶をいれる準備をしておりますよ」
ルーシィ:「えぇぇぇぇぇぇええ!? ルビちゃんが紅茶!?」
 ファル :「・・・あの不器用娘が・・・?」

世にも恐ろしい紅茶を想像するファルとルーシィであった。

 ファル :「・・・俺、自分の部屋に戻ってていいか・・・?」
ルーシィ:「わ・・・私も気分が・・・」
セラフィ:「却下w」

満面の笑みで二人を引き止めるセラフィ。

 アル :「まぁ、さっきの部屋に戻るとするか。」
 ジュノ :「そーだなw」
ジェイド:「皆様、楽しみにして待っていましょう」

一同はジェイドが休んでいた部屋へと足を向ける。


その頃のケルビナはといえば、キッチンで一人、悪戦苦闘していた。

ケルビナ:「えぇと、カップとソーサーがココで・・・茶葉がココで・・・それから・・・」

一通りの道具は揃えたものの、肝心の淹れ方がわからない。

ケルビナ:「えっと、たしかセラお姉様、お湯を入れてましたわよね・・・」

ティーポットとカップにお湯を注ぐ。

それから・・・

・・・・・
・・・
・


コンコン

アル達のいる部屋の扉がノックされる。

 アル :「・・・来たか・・・入っていいぞ。」
ケルビナ:「失礼しますわ。」

ケルビナが和盆にティーセットを乗せて持ってくる。

 ジュノ :「和盆って・・・」

キッ と、ケルビナが睨みをきかす。

 ジュノ :「ぁ、いや・・・なんでもない。それより、早く淹れてくれよw」
ケルビナ:「言われなくとも・・・」

慣れない手つきで、カップに紅茶を注ぎ、皆に配る。
だが、セラフィだけはそのカップの異変に気づいていた。
ハラハラしながら一連の動作を見ているジェイド
だがケルビナの意を尊重し手を出さずじっとまっている

ケルビナ:「さぁどうぞ、召し上がってくださいまし。」

紅茶が全員に行き渡る。
ふと紅茶を見ると、ふんだんに茶葉が紛れ込んでいた。

 ファル :「こ、これは・・・」

予感的中とばかりに、顔が青ざめるファル。

 アル :「色合いは普通だが・・・少し香りが薄いな・・・?」
ケルビナ:「そ・・・そうですか・・・?おかしいですわね・・・」

みんなで一口含んでみる。

セラフィ:「・・・やはり・・・」

色の割には味が薄く、渋みが強い。
セラフィは原因を見抜いていた。

 アル :「・・・・・・」
ケルビナ:「・・・い、いかがでしょう・・・?」
 アル :「ケルビナ、正直に言っていいか・・・?」
ケルビナ:「・・・構いませんわ。」

ケルビナも覚悟を決めたようだ。 その失敗ぶりは、本人が一番わかっているだろう。

 アル :「・・・悪いが・・・おいしいとは言えない。」
ケルビナ:「そう・・・ですか・・・」
ルーシィ:「ルビちゃん、そんな落ち込まないでさ・・・はじめてじゃ仕方ないと思うよ?」
ケルビナ:「ルーちゃん・・・」

ルーシィがなぐさめに入る。
黙って紅茶を飲み干したジェイドが口を開く

ジェイド「そうですね、これは人様の前に出すような紅茶ではございません」

顔色を変えず淡々と辛辣なことを言う

ケルビナ:「そう・・・ですわよね・・・」

ルーシィのなぐさめの甲斐もなく、また落ち込んでしまう。

ルーシィ:「ジェイドさん! そんな言い方・・・!!」

柄にもなく立ち上がり、怒気をあらわにするルーシィ。
だが、セラフィが止めに入る。

セラフィ:「ルーシィ、座りなさい。」
ルーシィ:「はぁぃ・・・」
セラフィ:「ジェイドさんの言うとおりです。が、直すべきところはわかりました。」

セラフィが解説に入る。

セラフィ:「まず、紅茶を注ぐときですが・・・カップにお湯が入りっぱなしでした。
      カップを温めておいて、捨て忘れたのか、それを知らなかったのか・・・」
ケルビナ:「・・・セラフィお姉様の見様見真似でお湯を入れたのですけど・・・」
セラフィ:「まず、味と香りが薄い原因はそこですね。
      それから・・・そのわりに色と渋みが強かったのは・・・単純に出しすぎですね。」

次々に問題点を挙げるセラフィ。
ジェイドは手に持っていたカップをテーブルに置き

ジェイド:「ですが、わたくしは美味しくいただかせていただきました」
ケルビナ:「おいしい・・・? こんな紅茶がですの・・・?」
ジェイド:「たしかに紅茶自体という点では人様にお出しするものではない粗末なものではあります。
      ですが、この紅茶はケルビナ様が皆様のために心を込めて一所懸命にお淹れになった紅茶です。
      そのおもてなしの心をわたくしは確かにこの紅茶から感じました。
      それはとても心温まる、胸の奥に響く美味しい紅茶なんです。」
ケルビナ:「ジェイドさん・・・私は・・・
      私の・・・完敗ですわね・・・
      紅茶だけでなく、人間性でも・・・
      あなたなら、アルお兄様を・・・」

ケルビナの最後の一言に反応する一人。

 アル :「・・・やはりそういうことか・・・
      すまない、俺が黙っていたから・・・・・・」
ケルビナ:「いえ、お兄様のせいでは・・・」
 アル :「この際だ、みんな聞いてくれ。」

アルの真剣な口調に、耳を澄ます。

 アル :「・・・ジェイドと俺は・・・正式に付き合うことになった。 報告が遅れてすまない・・・」
 ジュノ :「・・・・・・は?」
ルーシィ:「・・・・・・え?」
セラフィ:「・・・・・・はい?」
 3人 :「えぇぇぇぇぇっぇええええぇぇ!!?」
 ファル :「もっと早く言えよって〜の。」
 ジュノ :「え? なになに? あの兄者が!!?」
ルーシィ:「ますた〜・・・?てっきり、そーいうことに興味ないかと・・・」
セラフィ:「・・・・・・え・・・・っと・・・」

驚きをあらわにする3人。
セラフィに至っては、混乱して会話すらままならない。

ケルビナ:「ファルお兄様は知っていたんですの?」
 ファル :「あぁ、ちょっと前にな。 アル兄ぃに抱きつくジェイドを見てピンと来た。」
ジェイド:「・・・・・・・・・・。」

ボッっと音が聞こえそうなほど真っ赤になってうつむいていた

 ジュノ :「ともあれ、おめでとう兄者!」
ルーシィ:「あ〜ぁ、ますた〜もとうとうヒトのモノかぁ・・・」
セラフィ:「・・・・・・・」
ケルビナ:「・・・すでに、そういう関係だったんですわね・・・」
 アル :「まぁ、そういうことだ・・・」
 ジュノ :「で、式はいつ?」
 アル :「・・・話が飛びすぎだ。」
ケルビナ:「ジェイドさん、アルお兄様のこと、よろしくお願いしますわ。」
ジェイド:「・・・あ、は・・はい・・・・」

恥ずかしいのか声が裏返っている

 アル :「と、とりあえずだ・・・その話はまた今度にして・・・」

アルも恥ずかしいのか、話を切り上げる。

 アル :「ジェイド、はやく戻ったほうがいいんじゃないか? アンバーも心配してるだろう。」
ジェイド:「そ・・・そうですね・・・・姉上も心配でしょうし・・・」
セラフィ:「・・・・・・・・・・・・」

セラフィは今だ沈黙している。

 アル :「ポタ・・・あるよな? なければ蝶を渡すが・・・」
ジェイド:「はい、近場の町までですがあります」
 アル :「そうか・・・じゃぁ、それでいけるな。」
ケルビナ:「お気をつけて・・・・」
ルーシィ:「ジェイドさん、またね〜♪」
セラフィ:「・・・・・・」
ジェイド:「はい、皆様・・・・またお会いいたしましょう」

戸を開け外へ向かうジェイド

 アル :「あ、ジェイド!」

アルの呼びかけに足を止め振り返る

ジェイド:「・・・はい?」
 アル :「その、なんだ・・・・ またな。」
ジェイド:「・・・・・」

カツカツとアルの眼前まで向かいアルだけに聞こえるように

ジェイド:「・・・・はい、あなた。」

そう言い放ち気持ち足早に外へと出て行った

 ファル :「・・・あちらさん、もうソノ気なのね。 お熱いこって。」
 アル :「・・・・・・」
 ジュノ :「まぁ、イチバン心配だった兄者に相手が見つかってよかったんじゃねぇ?」
ケルビナ:「・・・ジェイドさんなら・・・安心して任せれますわ。
      私よりずっと・・・しっかりしていらっしゃいますもの。」
ルーシィ:「ところで・・・おね〜ちゃんがまだ固まって・・・」
セラフィ:「・・・えぇぇぇぇぇええ!? アル兄さんがお付き合い!!?」
 5人 :「・・・遅・・・」

足早に外へ出たジェイドといえば・・・・

ジェイド:「・・・・・わたくし・・・あんな大胆な・・・・」

一人百面相を再開していた
落ち着いたところで姉アンバーへ耳打ちをかける

ジェイド―姉上、ご心配をおかけしましたこれより戻ります―

アンバー―あら、もう帰ってくるの?もっとゆっくりして来ればいいのに―

ジェイド―そうは行きません、まだまだやることもありますし―

アンバー―婚礼衣装の確認とか?―

ジェイド―姉上!!!!―

アンバー―あはー♪ 冗談よ冗談―

ジェイド―とっとにかく!!今から戻りますので!!―

アンバー―はいはーい、街で待ってるからねー―

ジェイド:「・・・・まったく・・・・姉上はほんとに・・・・」

だが心なしか笑顔である、まんざらではないようだ

ジェイド:「・・・・・・・・ワープポータル!!」

ポタを開き、待ち合わせの街まで戻っていった。
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