石碑埜路

 
 群馬県高崎市の山名八幡宮から山ノ上碑を通り金井沢碑にかけて、石碑埜路(いしぶみのみち)があります。その間には、往時の面影がしのばれる万葉の歌碑がいくつもつくられています。
 2015年10月18日、この路をあるいた折の様子をお知らせします。

     吾が恋は
 
 まさかも恋し草枕

多胡の入野の

 おくも悲しも

万葉集十四ー三四〇三
     日の暮れに

碓氷の山を越える日は

夫なのが袖も

 さやに振らしつ

万葉集十四ー三四〇二 
    遠しとふ

 こなの白峰にあほ時も

あはのえ時も
 
 汝にこそよされ

万葉集十四ー三四七八 
     ささの葉は
 
 み山もさやにさやけども

我は妹おもう

 わかれさぬれば

万葉集二-一三三
    わがいはろに

 行かも人もが草枕

旅はく苦しと
 
 告げやらまくも

万葉集二〇-四四〇六 
    伊香保嶺に

 雷な鳴りそねわが上には

故は無けども

 児らによりてぞ

万葉集十四ー三四二一
 
    上毛野

 可保夜が沼の伊波為蔓

引かばぬれつつ

 吾をな絶えそね

万葉集十四ー三四一六 
    夕闇は

 道たづたづし月待ちて

行かせ吾が背子

 その間にも見ん

万葉集三ー七〇六 
    一嶺ろに

 言わるものから青嶺ろに

いさよう雲の

 寄そり妻はも

万葉集十四ー三五一二 
    巌ろの
 
 沿いの若松限りとや

君がきまさぬ
 
 うらもとなくも

万葉集十四ー三四九五 
    難波道を

 行きて来までと我が妹子が

付けし紐が緒

 絶えにけるかも

万葉集二〇ー四四〇四 
    伊香保ろに

 雨雲い継ぎかぬまづく

ひととおたはふ

 いざねしめとら

万葉集一四-三四〇九 
    あしひきの

 山のしづくに妹待つと

我れ立ち濡れる

 山のしづくに

万葉集二-一〇七 
    吾を待つと

 君が沾れけむ

足曳の山の雫に
 
 なりますものを

万葉集二-一〇八 
    八隅ししわご大君かむながら
神さびせすと芳野川たきつ河内に
高殿を高知りまして登りたち
国見をすればたたなはる青垣山
山神之奉る御調べと春ベは花かざし
持ち秋立てば黄葉かざせり
ゆきそう川の神も
大御食に仕へ奉ると
上つ瀬に鵜川を立ちて下つ
瀬に小網さし渡す山川も
依りてつかうる神の御代かも
万葉集一-三八