地球儀を見て考えること



 地球儀を見ていると「なぜ地球は丸いのだろうか?」と疑問に思ったことはない でしょうか。地球には海抜0mの海もあれば、標高8848m のエベレスト山もあるの で正確には球ではない。しかし、地球の直径は約1万2800Kmだから、エベレスト 山でも0.7%の凸凹でしかなく、巨視的に見れば地球は丸いと考えて良いでしょ う。夜空を見上げると星が沢山見えますが、子供のころ絵を描くと星は必ず「 ☆」と描いたのは僕だけではないでしょう。しかし、地球を含めて星はどれをと ってもほぼ例外無く丸く球形であって、☆型ではないのです。

 自然界に存在する無機物の集合は同じ種類の物であっても色々な形をとるものが あります。たとえば朝、病院に来る途中に道端に落ちている石ころを見ていると 実に色々な凸凹な形をしています。何故、石が色々な形をしているかというと、 石は大きな塊が壊れてだんだん小さな石に分裂していく過程でサマザマな形をし ているのです。もしも石と同じように、何か大きな星があってそれが分裂して地 球ができたのならば、地球は丸くはなく、道端に落ちている石ころと同様に凸凹 の格好をしているはずです。

 たとえば月は「まんまるお月さま」と歌われるぐらい丸い形をしています。月が どのようにしてできたかという説は色々あるのですが、その一つに地球の一部が 分裂し、ちぎれ飛んで月を作ったと説が有ります。しかし、それではあんなにま んまるお月さまにはならないでしょう。では何故、星は丸いかというと、ほとん どの星は宇宙に散らばっている星雲間ガス(そのほとんどは水素です)がだんだ ん重力によって集まって誕生してくるとされています。つまり地球は宇宙空間を ガス状にさまよっていた原子が地球の重力によって何億年もかかって集まってで きたので球形と言うことになります。

 ところで我々人間の体は小さな細胞からできています、その細胞は色々な蛋白質 や脂肪からできています。さらに蛋白質や脂肪はサマザマな原子が組み合わさっ てできています。これらの我々の体を構成している原子もまた、星雲間ガスとし て何十億年も昔、宇宙をさまよっていて地球の重力により引き寄せられてきたも のなのです。僕の右手の親指の中にある水素原子と左手の親指の中にある水素原 子は100億年前には何百光年も離れたところにあり宇宙をさまよっていたのか もしれません。そんな宇宙の塵のような物が集まってできたものが地球であり、 そして我々人間なのです。

 地球を含む太陽系は大体20Km/秒でヘラクレス星の方向に動いています。もしも 星雲間ガスを吸収している時期が仮に20億年であったとしたら、その間に太陽系 は1200兆Kmの10倍旅をして、重力により色々な物質を吸収してきたと思います。 そしてそのように吸収されてできたものが我々の地球でありそして人間ですか ら、自分の体を構成している原子は1200兆Kmの10倍の広さに分布していて、それ が集まって自分ができたと考えると実に不思議な気分になります。よく前世は何 であったのかと、問いかける変な宗教もありますが、僕にいわせれば僕もそして あなたも広大な宇宙空間をさまよっていたただの塵にしかすぎないということに なります。
 それなのに人間は言葉が違うとか、肌の色が違うなどと言ってけんかや戦争をす るのが好きです。そんな人たちに僕は一言いいたい、「戦争をちょっと休んで地 球儀でも見ながら『なぜ地球は丸いのか』を考えて見たらいかがでしょうか」 と。