飛行機旅行で得する物
平成11年12月31日
12月には超駆け足で成田-ダラス-セントルイスーシカゴー成田と行って来ま
した、忙しかったけれど、新しいものを見たり、人と出会ったり、飛行機の中で
じっくり本を読んだりと何につけても旅行とは自分のためになる物です。旅行に
はいろいろな良いところがありますが高速で空を飛ぶジェット機に乗っていて良
いことは、乗っていない人よりちょっとだけ時間を得して長生きできることで
す。早く飛べば飛ぶほど時間がゆっくり進むというのがアインシュタインの相対
性理論の要です。
よくあるたとえ話では、双子の兄弟がいて20才の時に兄が宇宙旅行に行き光
速に近いスピードで旅をします。やがて地球時間が50年経過したところで地球
に戻って来ると、宇宙旅行に行った兄は50年前とほぼ同じ青年の顔かたちをし
ているのに、地上で待っていた弟はもう70才の老人になっていたということで
す。だから、長生きしようと思ったらなるべく早い乗り物に乗るにかぎります。
では今回僕がどれぐらいの時間を得したかというと....JALのマイレー
ジ・サービスによると成田ーダラスは6437マイル、そしてシカゴー成田は6
286マイル、ダラスーセントルイスーシカゴを含めて大まかに13000マイ
ル(約21000km)の旅をしてきたことになります。ジャンボジェットの巡
航速度は約時速900kmですが、離着陸などで減速しますので時速700km位
で計算するのが良いでしょう。つまり僕の時速700kmの飛行時間は2100
0÷700=30時間と言うことになります。30時間:108000秒(T)
が僕が旅行に行っていた間に皆さんの時計が進んだこのになります、それに対し
て僕の時計(t)はどれだけ遅れたかというと。
t=(1-β2T)1/2 T=108000秒
β=C/V (C:光速 V:飛行機の速度)
となり、近似計算をしますと。僕は30時間飛行した事により皆さんより0.000000035秒だけ得して若返ったことになります。
このものすごく小さな差が計算上でてきます。
この値を見て、くだらない何にも変わっていないじゃないかと思う人は普通の
人です、この値を見てすごく変な物だと感じる人は科学者になる才能を持ってい
ます。
まず一つ考えるのは、世の中の人全てが、色々な乗り物に乗ったり、走ったり
するわけで、そのたびごとに他の人とほんの少しだけ時間がずれて来るはずなん
です。だから時間と言う物は個人によって全く別なものであって「同時」という
言葉は正確にはこの世の中には無いはずなんです。今日は12月31日これから
西暦2000年を迎えますが皆同時には絶対迎えないのです。全員がホンのちょ
っとづつずれながら2000年を迎えることになります。ちなみに、時間には最
小単位が有って宇宙の一番短い時間はプランク時間といって、
0.000000000000000000000000000000000
00000000001秒が最小単位となり、このぐらいはずれて当たり前なの
です。
次に、僕のアメリカ旅行で計算された「ホンの僅かな時間のずれ揺らぎ」は一
見我々の生活に関係無いことのように思えますが、実はこの理論が我々の生活の
ほぼ全てを支配しています。太陽が輝くのも、生物この地上で生きていけるの
も、原爆や原子力発電ができるのも、我々が今使っているコンピューターが動く
のもアインシュタインのこの理論が無いと正常には作働しないのです。
我々は研究をするにしても、医療を行うにしても、看護を行うにしても、何か
我々には認識されない「僅かな揺らぎ」のような物が自然現象や人間関係の根底
には存在していて、(ただしアインシュタインの理論のように計算式が成り立た
ない)それが自然の法則や人間関係を支配していると考えてみる事も大事なこと
です。
1999年12月31日
2000年問題で病院に居残らされて暇を持て余しながら
しかし2000年問題なんてくだらないですよね、何故かって我々はもうずい
ぶん前に2000年になっているんですから。(原田厚著、高所恐怖症の鳥の雑
記帳 「1996年は21世紀か?」をご参照下さい。)