ボスザルの条件

平成14年7月29日



 平成14年8月27日の朝日新聞の朝刊に、上野動物園の猿集団のボ ス猿として13年間君臨したロンが35歳で死亡した記事がのっていた。 猿集団のボスになるためには喧嘩が強くならねばならないのは基本的な 条件です。もちろんロンも若かった頃には喧嘩が強く統率力があったと 思いますが、動物はサルでも人間でも悲しいかな年を取るに従い喧嘩が 弱くなっていくものです。年老いて力の無くなったロンに喧嘩を仕掛け てボスの座を勝ち取ろうと挑みかかる若いオスザルが時々いたそうです が、そんな時にはメスザルが集団で対抗して年老いたロンを守ったそう です。
 その結果、ロンは13年間の長期に渡りボスの坐に座り続ける事にな ったそうです。「メスの力を借りないと喧嘩に勝てないだらしないボス ザル」と思う人がいるかもしれませんが、ここに「ボスの大切な条件」 が隠されています。
 ボスザルになる条件は喧嘩が強くなくてはいけませんが、群れの中 で一番喧嘩が強いオスザルが必ずしもボスになるとは限らないそうです。 ニホンザルは群れを作って行動しますが、基本的には構成人員(猿員?) のほとんどはメスザルが占めている構造となっていて、その頂点にオス のボスザルが君臨しています。だから、喧嘩が強い以外に、メスザルに 人望(猿望?)が無くてはボスにはなれません。

 我々人間とはDNAの構成はほんの数パーセントしか異ならず、また同 じ祖先を持つサルの社会に人間はいろいろ学ぶべき事があると思います。 そこでサル社会に当てはめて、自分の身の回りを見渡してみると、何と 自分が大学を卒業してから25年ほど属していた病院社会はサルの群れ と似ているところがあります。病院の構成人員の看護師、事務員、検査 技師はほとんど女性ですから一般病院の7割近くは女性職員で医者を含 めて男性職員は3割ぐらいでしょうか。だから病院は基本的に女性人口 が圧倒多数を占める女性社会と考えられます。しかも、男女平等とはい うものの規模の大きな病院の殆んどの院長(ボス)は男性ですから、人 間の病院はなんとサル社会に似ているのだろうかと思いませんか。

 政治家でも、会社でも、病院でも最近は女性票を多く勝ち取った人が その社会の長となるケースが多いようです。病院の長はこれからサル社 会に見習って女性に人気のあってモテる人がボスとなるのがサル社会の 構造から見て適当ではないかなどと考えるのは極論なのでしょうか?
 さて、病院という群れ社会を昨年飛び出して、離れザルとなり開業を した僕ですが、そこでもまた院長男性1人と女性職員5人というサル社 会的構成が出来上がってしまいました。喧嘩は嫌いでもちろん強くない し、モテナイ男の3条件「ハゲ、猫背、ガニマタ」の全てを持ち合わせ ている僕はボスザル院長としての資格が有るのでしょうか?