参考文献
「ダメな女と呼んでくれ」
 中村 うさぎ
  角川文庫   他多数
人を殺した人

記念すべき第壱回目のテーマは『人殺し』です。
人の生死に関しては、日常的によく考える。
これは他の人も概ねそうかと思う。
そこからの
派生的テーマとして、自分が他人を殺す、もしくは殺されるという事についても、危機感を持っている向きは少なくない筈だ。

その昔、
日ナレ(日本ナレーション演技研究所)という声優養成所に通っていたある時、レッスン中に何かの流れで『人を殺すのはいけないと思う人』に、講師が挙手を求めた事があった。
俺以外は、皆手を挙げた。

講師
が誰であったか覚えていないのだが、広くモノを見ている人物であった様で、俺が何故挙手しなかったのかをちゃんと聴いてくれた。
俺は、自分自身や
自分が大切に想う人々の生命が脅威に晒された時には、迷わずに加害者殺す
殺してでも護る。と、そう考えている。
だから『
殺す』事自体をいけない事とは思わない。そう答えた。
講師は「なるほど」と受け止めて、確かに色々な価値観があり一概には言い切れない。
そういう事態ともなれば、その様に考える事もあるかも知れない。と、決して俺の意見を否定しなかった。
……まぁ、今にして思えば『意図』にそぐわぬ答えを発したオイラは、迷惑この上ない生徒であっただろうね
(^_^;
だが常日頃、心に留めていた話題だったのでつい、ね。
養成所、とは言え学校とは違うのだし、役者として、ひいては人間としての引き出しを多く、広く、深くする事を考えたからこそ、俺の意見もないがしろにしなかったのでしょう。
薄っぺらな倫理観(正義感?)に疑問を持っていたオイラにとっては、気持ちの良いレッスンだったと記憶しています(^_^;

実は
今テーマ、第弐回の『死後』に割り込んで取り上げました。
別に、身の回りでそんな事件があった、とかいう訳ではなく、最近読んだ本に触発されただけです。
その本とは、
中村 うさぎエッセイです。
中村 うさぎエッセイは、例えば、俺は世代的によくは知らないのだが(当時7才)『った(本当にそのままの意味で)佐川くん』とか、近年で言えば『酒鬼薔薇事件』等がブランド狂いホスト・クラブ通い泥沼の離婚劇エロ・糞尿を含んだシモネタなんかの合間に語られている(^_^;
おふざけではなく、ちゃんと真剣にね。
その中に、「十四歳の少年に『なぜ、
人を殺してはいけないのか』と尋ねられたら、あなたは何と答えますか?」という質問に対する数人の文化人たちの回答が、揃いも揃ってまったく説得力なしという事実に、愕然とした。といった感じの一文がある。
そして私はこう考える、と
中村 うさぎ自身の価値観も語られている。
まとめると『人が人を
殺したいという欲望を持つのは当然の事。しかしながら、社会の中で生きていかなくちゃならないのが人間であるから、我慢するのが当たり前。そんなに殺したきゃ、どこぞの国の外人部隊にでも入って、自分が殺される自由と共に殺す自由を享受しな。』といったトコロか。(我ながら曲解が過ぎると思うので、興味のある方は『ダメなと呼んでくれ[中村 うさぎ角川文庫]』を読んでみて下さい。)
薄っぺらではなく、共感出来る部分も多くて
好感が持てます。
それでも、自分は違うなぁ、と感じる部分もあるので表現したくなったのです。
まぁ、『
殺す』事自体は「いけないとは言わないけど、ケース・バイ・ケースじゃない?」という考えであるとすでに語っているので、もう一つだけ考えが違っている部分を。
人を
殺したい欲望、確かにあるね。
でも、我慢は必要ないかな。あくまで、俺の場合だけどね。
殺す怖いもん。覚悟がいるもん。
ただ殴るだけではなく、人、一人の
人生を、生命を己が手で終わらせるなんて、考えただけでもめちゃくちゃ怖い。
そう、俺の中には
欲望よりも強い恐怖がある。
でもこれって、何かしらの体験・経験を通して身に付いて行くモノだろうから、ある種の人間には無い
感情なのかも知れないんだ。
……人の痛みが分からない。今の
若人を評してそんな物言いをする大人がいるが、あなたは判っているのですか?
子供とは実年齢が低い人の事を言うとは限らないと、『大人』なあなたは知っているでしょう?

しかし、まぁ、
人殺し(殺人者)とはいえ、何も特別な人間ばかりではない。
彼らは、
自分をす鏡の一つである事も事実。
我々も、気を付けたいものである
(^_^;

                    記、04/02/13(金)

前半で、護る為なら殺すと言いながら、後半殺すのが怖いと言っている訳ですが、客観的に読んだら矛盾している気が……(^_^;
自分自身では意味が解っても、他人には伝わらないかも知れないので補足しておきます。
人を殺すには
覚悟がいる。
怖いし、覚悟ソッコウで決める自信もない。
しかし、
護る為になら殺してでも……と考えているのは事実。
だからこそ、常日頃から意識して“
覚悟の準備”をしているのです。
ですから、どちらも
嘘偽りのない本音なんです。

一応、念の為……           追記、04/11/18(木)

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