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 ポケットゲーム(2)

 前回のポケットゲームの紹介ではトミーのポケットメイト4種を取り上げたが、 その後荷物を整理していたら新たに4種のゲームが見つかった。 将棋セットも2組見つかったのだが、これは将棋を指すためと言うよりも、 詰将棋用に何組か買っておいたものと思われる。 可動部分は無いので壊れることは無いと思っていたが、 底に敷いてあるスポンジの弾力性が失われてしまったため、 密集した状態の中から駒を取り出すのが著しく困難になってしまった。 代用品として適当な厚さのスポンジがあれば復旧出来るのだが、 果たして上手く見つかるかどうか楽観は出来ない。
 今回紹介するゲームは全て鉄球を使用するものであり、 前回紹介したものも将棋以外の3種は鉄球を使用している。 ゲーム盤の大きさはポケットメイトの名前の通りで、 7px12px18o程度で普通のポケットに入る大きさである。 価格的にも子供の小遣いで買える程度のものであるから、 複雑な動力を使うわけには行かない。 最近の子供は結構金持ちのようでゲームでも高価なものがあるが、 当時(1970年台)は少子化と言われるような情勢でもなかったので、 現在のように裕福な子供は少なかったはずである。 勿論ポケットメイトは子供だけを購買対象としたものではなかったと思うが、 やはり子供への売り上げが一番期待されていたことと思われる。 鉄球を使ったゲームはあまり複雑な仕組みは無理であるが、 安価で楽しめるゲーム作りには最適であったのかもしれない。
 
 最初に紹介するのは「エレクション」と言うゲームだが、 これは鉄球の入る穴が電子軌道のように表現されているためであろう。 ただしこれはあくまでもデザイン的なものであり、ゲームの本質とは無関係である。
 ゲームは右下のレバーで鉄球を弾き、電子軌道内の穴に入れた数を競うものである。 右の丸いボタンを上げてから左の丸いタイマーを回すと、 穴の底が塞がれて鉄球は1つの穴に1つしか入らないようになる。 右のボタンを下げるとタイマーが動き出し、時間切れになると穴の底が開放され、 得点となる鉄球が左の窓に落ちてくる。 鉄球と穴は9個だが、入らなかった鉄球は右下に落ちてくるので何回でも弾くことが出来る。 小さな盤の中に上手く組み込んであると思うが、 弾いた鉄球が直接元に戻ってしまうことが多いのは欠点と言える。
 
 次ぎは「time UP GAME」で、 これは迷路の中を鉄球を進めていくゲームである。 右上のボタンを下げて左のレバーを下げると鉄球が開放され、 スタートの位置まで戻すことが出来る。 右上のボタンを上げるとタイマーが動き出し、 時間切れになると迷路が押し上げられて鉄球は動きが止まるようになっている。
 迷路自体は単純なものであるが、 正しい経路への分岐点では通り過ぎ易いようにコースが作られている。 鉄球を動かすためには盤自体を動かして傾斜をつける必要があるのだが、 その傾斜を逆にすることによって鉄球を止めたり、 逆方向に動かしたりすることが出来る。 ゲーム自体は単純だが、鉄球の動きを止めるアイデアが面白い。
 
 3番目は「世界旅行ゲーム」と名付けられたもので、 盤の右上から出発して鉄球を左回りに一周させるゲームである。
 6個の白いものが乗物に見立てたもので、 外側から操作して鉄球をコースから外れないように進めていく。 タイマーは設けられていないので、 自前の時計を使って一定時間内にどこまでいけるか、 あるいは一周するまでにどれ位時間がかかったかを競うことになる。
 
 最後は「フィールドアスレチックス」だが、 丁度アスレチック・ブームの頃に発売されたのかもしれない。
 ゲームは盤を適確に傾けて鉄球がコースから外れないように進めて行き、 コースから外れたらそれぞれの地点で定められた点数が得点となる。 この種ゲームでは先に進むほど難しくなるのが理想だが、 このゲームでは左上の赤い扇状のものが一番難しく感じられた。
 
 今回紹介したゲームのうち、2番目と最後は盤を傾けることによって鉄球を移動させ、 目的を達成しようと言うものである。 パソコンやゲーム機もCPUの高速化に伴って描画速度も著しく進歩し、 パチンコ等を初めとして様々なゲームがソフト化されている。 コンピュータゲームでは殆どの場合、 形は違ってもコントローラーの操作でゲームを進めることになるが、 その結果競技者とゲームとの間には大きな溝があるように感じられる。 しかしポケットメイトのように直接手で触れて操作するゲームの場合には、 ゲームと同じ世界にいるような感じがしてくるように思われる。 複雑さではコンピュータゲームの方が明らかに勝っているが、 人間臭さの感じられる旧タイプのゲームの良さも知って貰いたいものである。

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