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 Superchess

 日本将棋においても数年前に4人将棋が話題になったことがあるが、 今回紹介するSuperchess(以下Sチェスと表示)は、2〜4人で競技するゲームである。 説明書によれば1989年頃に考案されたようだが、 日本の4人将棋もほぼ同じ頃ではなかったかと記憶している。 期せずして洋の東西で4人将棋が考案された訳であるが、 どちらも爆発的に流行したとは言えないし、4人競技とした趣旨も異なるようなので、 一方が相手の影響を受けて考案されたと言うことは、恐らく無いであろうと思われる。 翻訳された説明書は無いので不正確な箇所もあるかと思うが、 ここにその概要を紹介する。 なお実際にSチェスを競技したことは無いので、 かなり推測の部分も多いことを断っておく。

 右の図はSチェスの盤と駒であり、上下と左側は標準的な駒の初期配置で、 右側はオプションルールを適用した場合の初期配置である。 各競技者の保有する駒は、 標準チェスで使用する16個に加えてポーンが1個増えているが、 これは初期配置の形態を整えるために増やされたものと思われる。
 駒の色は標準の黒と白の他に、こげ茶色と淡い褐色の駒が使用される。 2人で競技する場合には、明色側が白と褐色、暗色側が黒とこげ茶の駒を操作する。 3人の場合には1人が明色か暗色かどちらか一方の駒(2組となる)を持ち、 残りの2人が反対の色の駒を1組ずつ担当する。 1組だけの駒を操作する競技者は単独では勝てないと思うので、 必然的に連携して競技することになるのではないだろうか。 何やらコントラクトブリッジを思わせるものがある。
 4人いれば各陣営を1人ずつ担当することになり、 Sチェスの考案者が想定していたものは、やはり4人での対局かと思われる。 しかし同じ4人競技ではあっても、 麻雀の場合とはかなり異なる戦略が必要になることと思われる。
 麻雀でも1人だけレベルの上の人間がいれば、 やはりその人間を主たる攻撃目標とすることにはなるが、 最優先されるのは自分の点数を稼ぐことにある。 残りの弱い2人を叩いてでも、それによって自分の点数が増えれば成功なのである。 だがSチェスの場合には、弱者を叩いて強者が残ってしまったのでは、 今度は自分が叩かれることになってしまう。 丁度プロレスのバトルロイヤルのように、強者を残すことは出来ないのだ。 この辺りの駆引きは日本の4人将棋でも同じかと思われるが、 駒数が多い分だけSチェスの方が複雑になるかも知れない。
 また、4人将棋では4者入り乱れる局面になるかと思われるが、 Sチェスの場合には同系色の駒が序盤からぶつかることはない。 戦場は各人完全に2方面に分かれているので、どちらか一方を主戦場とし、 もう一方は防御に徹するのが賢明ではないだろうか。 将棋のように駒が補充されることはないので、 2方面から攻められるとかなり力の差があっても苦しいのではないかと思われる。 しかしやはり実戦を経験してみないことには、何とも言えないことも事実である。
 なおオプションルールでは図に示す以外にも、 ビショップをキングとクイーンの間に2個置き、 ナイト2個をルークの隣りに置く、標準チェスに似た配置もある(下図参照)。 しかしこの配置では2個のビショップが同じ色の枡目となってしまうため、 ビショップの活用を図るためには好ましい配置であるとは思えない。

 次は駒の動きであるが、キャスリングと増設ポーンがちょっと異なっているだけで、 基本的には標準チェスと同様であると言って差し支えない。 ポーンを除けば駒の動きに方向性がないので、 盤面は複雑でも動き方を間違える可能性は4人将棋より少ないものと思われる。
 キングの特殊な動きにキャスリングがあるが、 これに関しては標準チェスよりも規則が甘いようで、 キングとルークの間にナイトとビショップがいても可能であり、 その箇所に敵駒の効きがあっても可能である。 その他の規則は標準チェスと同じで、図に示すように動かせば良い。 しかし盤面を見た限りでは、キャスリングの効果は薄い、 場合によってはマイナスになる可能性もあるのではないかと思われる。
 ポーンの動きで特殊なのは、頂点にあるポーンの動きである。 このポーンに限り、左右どちらにも進むことが出来る。 ただしこれは最初の移動だけで、一旦方向が決まったらそちらにしか進めない。 勿論1マス進むか2マス進むかは自由である。
 ポーンが昇格できるのは一番奥まで行った場合であるが、 場所によって昇格までの移動距離が異なるのは面白い。 なお Secondary Rule として、図の黒い箇所で昇格できる規則もある。 最短は中央を進んで行き、敵の駒を取って斜めに進んだ場合であるが、 この場合には標準チェスよりも早い4手目で昇格することが出来る。 盤の中央付近で昇格できるのも、大きな魅力ではないだろうか。
 その他の駒は標準チェスと同じであるが、 マス目のない箇所を飛び越えていくことは出来ない。 ただしナイトに関しては象棋の塞馬脚のようなルールはないので、 図に示すような動きが可能である。
 実際に競技したことがないので何とも言えないが、 盤が斜めに置いてあるような感じがするので、 うっかりするとルークとビショップの動きを勘違いしてしまう可能性も否定できない。 中央の侵入不能地帯の存在も微妙で、 案外ナイトの活躍の場が増えるかもしれない。

 上記の他にもステイルメイトに関する規則や、 2人からチェックを掛けられた場合等についても定められている。 しかし実際にプレイする機会もないので、 翻訳してまで紹介する気力が失せていることをご容赦願いたい。
 更に多くのバリエーションも記載されており、 駒の数を増やした Superchess Uもあるようなので、 もし興味を持たれた方がおられましたら、メールして頂ければ詳細を紹介します。

※海外サイトですが、下記のアドレスから Superchess のサイトに入れます。
 http://www.chessvariants.com/multiplayer.dir/superchess.html

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