リチャードさんのこと



▼こんな絵しか描けないで、リチャード・ウォンが好きです、とは口はばったい。絵が下手とかそういうレベルすら達してないじゃないですか。しかもあの服かくのがイヤで、勝手にオリジナルコスチュームをこしらえてるあたり。愛してないって言われてもしかたないよね、コレ……。じゃあ何故描く? いや、一度でいいから模写じゃないリチャ描いておかなきゃ、という使命感でして。それだけです。

▼サイキックフォースと出会った最初の日、面白いと思ったのは実はブラドなんです。ウォンもプレイしましたが。キースに至ってはその存在を知りませんでした。私の興味をサイキックへ引きつけたのは、コンビニでふっと見かけた『ゲーメスト』(今は亡き新声社の・というより現『アルカディア』?)の表紙が、ちょうどウォンとキースだったからで、「あ、ウォンだウォンだ」と喜んで買った訳です。その後テナッセン8に参加したら、諸注意漫画がサイキックキャラで描かれてまして(「テナッセンインフォメ隊」というその漫画は、非常に完成度の高いもので、パロディとしてもちゃんとしていました。ただしキースは「隊長」と呼ばれていたので、しばらく私も隊長と呼んでました)、それでさらにのめり込んでしまい、その年の夏コミでふらふらとウォンの出ている本を買いあさり、サイキックのためにPSも買い、翌年には自分でもPF本を出し、サイトを開設し、現在に至る訳です(ブラド好きなために、ウォン×ブラ本の影響を結構受けていたりします。うちのウォンとキースが仲良しなのはそのせいもあるかも……)。

▼リチャードさんの魅力というのは、やはり34歳という年齢で、「世界は私のもの!」って笑顔で拳をグッと握ってみせるところにあった訳です。なんて脳天気なドリーマー。しかもその台詞は、小娘にくるくる吹き飛ばされつつ、やっと殴り勝ちした後にくるんですから、笑わずにはいられない訳です(妹がウェンディ使いだったので往々にしてそういう結果に)。「世界は〜」ってそういう場面で言う台詞じゃないよな。でも私はそういうトンチキな(こいつ笑える〜!って指をさせる)男が好きなんでして……。技の面白みでいったら他のキャラを選べばいい訳で、しかもヘボ初心者の私は、PS版が出るまで、戒めの洗礼の追加攻撃すら出せないでおりました(出せるようになってからはバーン使ってゴッドフェニックスばっかり出してました。理由はおわかりでしょう)。ひたすらテレポート、ひたすら殴る、そして投げまくるのが私のウォンでした。それでも面白かったけどね。旧サイキックは初心者に優しいゲームでした。
しかし、続編「2012」は私を怒らせました。技が変化しちゃったのはまあ仕方がない(でも「戒め」のコマンドは変更しないで欲しかった。「時空の舞踏」は時間長すぎ。「誘おう」も「伏線」も使えないよー)としても。あの変なエプロンコスチュームも、百歩譲って許すとしても(あれをちゃんと描けるのはリチャードさんを熱愛している人のみと思う)。何に怒ったかって、そりゃストーリーモードです。キースやバーンのストーリーモードも「なんじゃこりゃー!」な話と化していた訳ですが、マイトやパティのストーリーモードでびっくり仰天。「誰だー、おれのリチャをスケールのちっちゃいヘンタイ野郎にしやがったのは! 許さん!」(俺のじゃないけど)と叫ぶ叫ぶ。36歳になる間に、野望はしぼんでしまったのでしょうか。ほがらかなドリーマーっぷりはどこへ消えたのでしょう。泣きましたね。ゲームとしては好きなんだけどね、2012。

▼リチャードさんの造形は、お約束のかたまりです。後ろへ流してゆるく結わえた長い黒髪。秀でた白い額。柔らかい丸を描く眼鏡の下には細く黒い瞳。その底に深い青をたたえた鋭い眼光。常に不思議な微笑を浮かべる薄い口唇。すらりと高い背、長い脚。豊かな肩幅。たっぷりした服にぴったりとした白い手袋。吉田秋生やゆうきまさみの漫画にインスパイアされるまでもなく(「BANANA FISH」からとったのは制作者が認めてるからね)、それは完全にお約束なホンコン・チャイニーズです。庶子で親族に命をおびやかされて育ち、長じてそれをすべて打ち倒して事業の頂点に立った男。これもお約束です。でもって、社長業のかたわら、秘密結社のパトロンなんかにおさまっちゃって、柔らかな口調で年下の青年を口説きだしたら……まあイチコロだよね女の子は(笑)。「ウォンの愛人になりたい」「殺されてもいい」なんてなメロメロな台詞も吐いてしまう訳です(私だけじゃないのよコレが)。
ただ、お約束はまあ、イヤらしいかイヤらしくないかのギリギリのところでとどめておくのが美しい訳で、リチャードさんも服の派手さ(普段から金糸のドラゴン刺繍した上着を着て歩く男はおりますまいて。服の裏側じゃないんだよ)やら、キャラクターのすっとぼけ具合(たとえば相当あやしい格言とか)が、その造形とあいまって魅力をかもしだしている訳ですね。

▼私の書くリチャード・ウォンは、別人です。別人。別人なんだったら。どうしても湿っぽくなって、オリジナルのほがらかさ、脳天気さが出ないんです。最初から書けないってわかってるから、そう努力もしないんだけどね(ダメだろうそれは)。
うちのリチャードさんはキース大好き青年実業家という設定な訳ですが、本来のウォンも、キースのことは結構好きだからいいんじゃないかと思ってます。力ある若者とか元気な小娘に対して、妙に親切じゃないですか。そこらへんをテコにして、なんとか書いているのでした。
ところでうちの二人は、相思相愛のくせにいつまでたってもジタバタジタバタやっております。なんだよ何が不安なんだよと、読者の皆さんをやきもきさせておりますが、恋愛ってゴールのあるものじゃないですし、まあ【あの】二人ですし。悲恋の二人として描く方も多いと思うのですが、その方が自然かもしれず。単なる総帥とスポンサー、単なる指導者と副官、という枠におさまんないんですよ、彼らは。キース自身もお約束の(超能力者の)塊キャラな訳ですが、組み合わせるとお約束からはずれるんだよ。年齢差とかキャラのアクの強さ(特にリチャ)のせいなんだと思うんですが。そこらへんも、書いていて楽しい理由かもしれません。

▼このサイトへ来て私の小説を読んで下さるのは、おそらく(特に最近は)キースファンの方が多いと思うんですが、私、キャラとしてキースとウォンのどっちが好きですかって訊かれたら、実はウォンですって答えるでしょう(どっちが作者に近いかっていったらそれもウォンなんだけどね)。二人とも前作のバージョンが好きっていうのは、普通のアンサーだから誰も驚かないと思うけど(笑)。
でもねー、この絵を見たら、さらに信じてもらえなくなるだろうな。だって愛してないんだもん、コレ……精進します。

以上、私のリチャードヒストリーでした(ってどこが?)

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Narihara Akira
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