『ザ・本気妻』


刹那は自分の中に、新しい愛が生まれているのに気付いた。
思いを遂げた後も、ガデスは刹那を口説き続けていた。
「ご用聞きにくると、いつも寂しそうな顔してたろ……俺ならこんな悲しそうな顔させねえのにって、ずっと思ってた」
瞳を潤ませて黙っている刹那に口づけて、
「あの男を愛してたっていい。それでも俺は、奥さんが好きでたまらねえんだ」
「ガ、ガデス……」
言うが早いか、ガデスは刹那を抱えて、そのまま家を飛び出した。
走りながら一心に刹那を口説くガデス。
「こうなったら、もう二度と離さねえ。あいつにゃ絶対渡さねえ。今から、奥さんは俺のもんだ」
ぎゅっと抱きしめられて、刹那は胸の芯が痛くなる。
この気持ちは何なんだ。
待っていたのか? こんな風に強引にさらわれることを。俺は結局、ウォンの淡白な優しさじゃ、満たされていなかったというのか?
「奥さん……いや、刹那……」
周囲にひとけのない空き倉庫に連れ込まれて、刹那は再び身体の隅々までむさぼられる。
「優しく、しないで……あ、ああっ」
自分の身体の中でガデスの快楽がはじけるのを感じながら、刹那の心の中で激しい炎が燃え上がる。
それは突然のロマンス。
単なる快楽や刺激でなく、求めていた愛の対象についに出会った者の、底なしの喜びなのだった。

そんな訳でハッピーエンドです。三河屋さーん!!