−その2−
夏の葬列 駅の階段を下りると 足元から続く白い砂浜 吹きつける潮風 繰り返す波の音 サンダル脱いで 波打ち際まで走る 海と空が続く蒼い世界へ 手紙を浮かべた 夏を葬るために 想いをのせて遥か
特急電車 川の底から 遠い記憶を拾いあげた 目の前にかざすと ブラインドの隙間から漏れた 緑の光がキラキラ乱反射する 喜びと悲しみが背中合わせだった頃 浄水場の桜は満開だった どこまでも流れていけると信じていた ひとりでないことが 泳げる力を与えてくれたのに 行き場を見つけられないまま 夏の電車に揺られて目を閉じる これが最後これで最後 振り返るのは