オパールのことだま

−その1−

夜明け前

柔らかな雲を集めて
指先に絡めて
隙間から何が見える
暗闇に茜さすもの
それは残り火
まだ明日は息をひそめている

忘れたくないのに
どんどん遠くなる
やがて淡くかすれようと
この体に
いつかの温もりが
優しい言葉が
残っている限り
泣きながら笑って生きていける

朝日に照らされるまで
抱きしめていよう
ひそやかに
誰にも気づかれないように
まだ明日は息をひそめている

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月日
        
月日は深い傷をも
想い出という甘美な過去に
変えてくれるけれど
時として
容赦なく現実を突きつける
残酷なもの

あのとき素直になれなくて
たったそれだけだったのに



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オレンジ
              
さらさらの髪から
オレンジの匂いがはじけた
確かめるように
もう一度ぎゅっと
離れていた心が近づいて
ひとつになる
南風にふわりと揺れる
レースのカーテン
みずみずしく滴り落ちる
陽だまりの午後


[2002.4.17]




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