「奥出雲おろち号」スケッチ


現物とは多少異なりますが路線図です


奥出雲おろち号
トロッコ電車「奥出雲おろち号」

3両編成/定員64名/全車指定席
JR西日本米子支社所属
第7回しまね景観賞受賞
(工作物・その他部門優秀賞)

運転区間
 木次線:木次駅〜備後落合駅間
 (60.8km)
 シーズン期間のみ1日1往復。
 各駅停車。

木次線(木次〜備後落合)の区間にトロッコ列車
「奥出雲おろち号」がデビューしたのは97年のことです。
当時のパンフレットに写っていた紺と白のツートンカラーの
カッコよさに一目惚れをしたわたしは
いつかこの列車に乗りたいと思い続けていました。
しかし木次線は元々不便で使いづらいローカル路線。
余程のことがないと無理だとあきらめていましたが、ついに
この夏5年越しの夢が叶いました。
(前書きが大げさになってしまいました…。)

木次駅のおろち号
始発の木次駅。
松江から宍道経由で約1時間かかります。

先頭からの眺め 緑の中を行きます

おろち号は明治初期まで鋼を生産してきた、
たたらの地を走り抜けます。
休日は乗客がいっぱいという噂を聞いていたのですが
平日のためか人はまばらで車内はのんびりしています。

下久野駅を通過してから現れる下久野トンネルは
木次線で最長のトンネル。
暗い入口に列車が吸い込まれると車内にはひやっとした
冷気が漂います。
トンネルも半ばまで進むと鳥肌が出るほどの涼しさ。

松本清張「砂の器」の舞台として知られる亀嵩駅。
ここはおそば屋さん"扇屋"が駅業務を委託されています。
つまり駅長さんが店長さん。
駅舎にそば屋さん?
持ち帰り用のそば(500円)を買うこともできます。
亀嵩そば 電車が到着する時間にホームにお店の方がやってこられますが、
日によっては売切れてしまうこともあるようです。 あらかじめ電話予約をしておくと確実です。

どれどれ…
ずずっずずっ、美味しい!
打ちたて、茹でたてに旅情も加わって最高。
こんなことなら二人分買えばよかったかな。(ちょっぴり後悔)

出雲横田駅 八川駅
 左:出雲横田駅。
   奥出雲の駅らしく、駅舎は神社様式の建物なのだそう。ホームからではよくわかりませんでした。
 右:八川駅。
   こちらの駅前にも"八川そば"があり、美味しいおそばを食べられます。
   わたしが乗車したときにはありませんでしたが、そば弁当を売っている日もあるそうです。


銘水を汲みましょう 出雲坂根駅。
ここでは少々待ち時間があるのでホームの端に湧き出ている
「延命水」を汲みましょう。島根名水百選のひとつ。
ポリタンク入りも売られています。

駅を出発してすぐに全国でも三ヶ所しかないという
三段式スイッチバックが始まりました。
列車がバックして引込み線に入り、屋根付きのところで止まったと思ったら
また前に進み出しました。
これで170mの急坂を上がったの?
「進行方向右下を御覧下さい。駅があんな下にあります。」
車掌さんのアナウンスで窓から見ると木々の間から遥か下に見えました。

いよいよクライマックスです。
しばらく走ると今度は、おろちループ橋の登場です。
国道314号線横田町坂根(標高564m)〜三井野原(標高731m)間、約4キロを結ぶ
日本最大級の2重ループ式道路。11の橋、3つのトンネルがあります。
山々の間にとぐろを巻いたような姿はまさに大蛇(おろち)。
その景観を楽しめるよう、おろち号は速度を落としてくれます。

その全貌が見えてきました 大き過ぎて一枚に入りません

三井野原駅。
広島との県境に位置し、駅前からスキー場が広がります。
(この写真とは反対方向に見えます)
標高730m、JR西日本で一番高いところにある駅でもあります。
写っている後姿の人は車掌さん。青いシャツが眩しいです。

そして油木駅を通り過ぎるとまもなく終点。

三井野原駅

銘水を汲みましょう 備後落合駅。
約2時間のおろち号の旅が終わりました。
ここから復路でもう一度おろち号を楽しむか、芸備線で広島に出るか
一般的なのはどちらかです。

憧れのおろち号はわたしの期待を裏切りませんでした。
今度はいつになるかわかりませんが違う景色も見てみたいと思ったりして。

【乗車日:2002.8.2 天気:曇り】



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