Quarterfinals ヘディン・ハラルドソン vs 星野 信輔

by Yoshiya Shindo 

 準々決勝2番テーブル。星野は独自のチューンによる《よりよい品物/Greater Good》デッキを操って堂々スイスラウンド2位通過。かつての日本選手権でビーストデッキを操っていた前川を思い出させる活躍っぷり。対するは7位通過、、遠くアイスランドから日本に留学中のハラルドソン。彼と筆者とは週に1回の外国人の集まるマジック例会での付き合いがある仲で、文中では呼びなれてるファーストネームの“ヘディン”で呼ばせてもらうことにする。嫁さんが美人なんだ、悔しいことに(笑)。ヘディンのデッキは白赤ウィニー。


Game 1
 先攻は星野。

 後攻ヘディンが1ターン目に《灯籠の神/Lantern Kami》を出すと。星野も2ターン目にダメランから1点食らいながら《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》。ヘディンも《灯籠の神/Lantern Kami》で攻撃して《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》と順調な動き。星野はブロッカーにならない《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を生け贄に捧げ、急いでマナを伸ばす。


赤白ウィニー、ヘディン
 星野は自分のターンで選択肢に悩むが、ダメランからの《悪夢の虚空/Nightmare Void》で相手の手を確認する道を選び、クリーチャーが並ぶ中に見えた《栄光の頌歌/Glorious Anthem》をディスカード。ヘディンは《灯籠の神/Lantern Kami》に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》装備で攻撃し、残りライフ16。土地から《陽光尾の鷹/Suntail Hawk》を場に追加する。

 星野は4マナで土地が止まる。手札には《神の怒り/Wrath of God》があるが、耐えてそのままエンド。

 ヘディンはどんどん攻める。2体で攻撃し、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》持ちの《灯籠の神/Lantern Kami》を2回パンプして全部で6ダメージ。残りは10点。土地を置いてゴー。

 さすがに星野は次のターンに、土地を出してからの《神の怒り/Wrath of God》で場を流す。もっとも白マナが1つダメランからで、ダメージ受けて残り9点。ヘディンは再び《灯籠の神/Lantern Kami》を置いて装備してエンド。

 そして星野のターン。また土地が止まる。手札には《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》がいるものの、場が5マナではいかんとも。結局、相手の手札にバーンがあったらあきらめるとばかり、ダメランからまたも1点食らいながら《死後剛直/Vigor Mortis》で《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を釣ってきてエンド。

 《稲妻のらせん/Lightning Helix》ありました。お疲れ様。星野はダメランが痛すぎたかも。

ハラルドソン 1-0 星野


Game 2
 後攻のヘディンはマリガン。その後の手札にも土地が1枚しかなく悩むが、結局キープ。まあ、1ターン目にきっちり土地引いてくるのはさすがトップ8の底力。ということで、このゲームもヘディンの《灯籠の神/Lantern Kami》に星野の《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》とどこかで見たスタート。ヘディンのアタックして《レオニンの空狩人/Leonin Skyhunter》を追加。エンドに《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》はすぐ土地になり、次のターンには《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》2号が場に出る。

 ヘディンは2体で攻撃後、もう1体追加するかを悩む。結局場に《陽光尾の鷹/Suntail Hawk》を追加してエンド。星野は《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を生け贄に捧げる。

 戻って星野4ターン目。途中で《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》が2体生け贄に捧げられているということは、このターンの土地セットで合計6マナということなわけだ。《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》様降臨。デカい。

 ヘディンは土地が2枚から動かない。手札には《栄光の頌歌/Glorious Anthem》も《黒焦げ/Char》もあるのだが、どうにもしようがない。結局何もせずゴー。

 星野は《ネクラタル/Nekrataal》のゴキブリビームで《レオニンの空狩人/Leonin Skyhunter》を撃ち落すと、いよいよ《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》で攻撃に移る。ヘディンも意地で土地を引き、《栄光の頌歌/Glorious Anthem》を出して2体攻撃。星野残り12。

 星野はかまわず2体で攻撃し、ヘディンの残りは7ライフ。さらに戦線に登場するのが、ヘディンの希望を一気に萎えさせる《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》! 星野のライフは16に戻ってしまう。ヘディンは場に《名誉の手/Hand of Honor》と《陽光尾の鷹/Suntail Hawk》を追加するが、殴り合いが不利なのは明確で殴らずゴー。一瞬の隙に期待をかける。

 星野は自分のターンに悠々と《ディミーア家の護衛/Dimir House Guard》を変成。《よりよい品物/Greater Good》を場に出して《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》が生け贄に捧げられたところでヘディンは投了。

ハラルドソン 1-1 星野

《よりよい品物》デッキで勝ち抜いてきた星野




 ここで唐突に問題。《よりよい品物/Greater Good》《けちな贈り物/Gifts Ungiven》《神の怒り/Wrath of God》《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》《悪夢の虚空/Nightmare Void》《ネクラタル/Nekrataal》《火花の結実/Seed Spark》の共通点は?

 答えはずばり、4マナ呪文。そう、《ディミーア家の護衛/Dimir House Guard》の変成ターゲットなのだ。星野の「《ディミーア家の護衛/Dimir House Guard》はラヴニカのベストコモンですよ!」の発言もうなずけるところだ。









Game 3
生物ではなく、サーチカードとして

 先攻のヘディンは、サイドボードを入れ替えてシャフルしながら、ふと手を止めてまたサイドボードを悩み始める。色々迷っているようだ。

 そしてヘディンの初手。手札は《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》《栄光の頌歌/Glorious Anthem》《黒焦げ/Char》と豪勢だが、残りが土地で肝心のクリーチャーがいない。ヘディンは大いに悩むが、自分の引きを信じてかそのままキープ。

 ヘディンは2ターン目に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を置いてエンド。星野もギルドランド縦置きから《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を呼び出す。次のターンにヘディンが《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を装備すると、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を生け贄に捧げるかどうかで大いに悩むが、結局生け贄に捧げずアンタップ。

 星野は次のターンに《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》を出して時間を稼ぎに出る。ヘディンは2マナ払って《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》で殴るが、お約束で《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》がブロックして土地に化ける。

 星野は自分のターンにさらに《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を出してブロッカーを用意し、余ったマナで《ディミーア家の護衛/Dimir House Guard》を《火花の結実/Seed Spark》に変成する。風前の灯の《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》。

 ヘディンは長考に沈む。マナを払って今殴るか、今は殴らず兵を整えるか。結局選んだのは後者で、《レオニンの空狩人/Leonin Skyhunter》《栄光の頌歌/Glorious Anthem》と並べてプレッシャーを見せる。星野は土地を置いただけでゴー。

 ヘディンは土地を置き、《レオニンの空狩人/Leonin Skyhunter》に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を移動し、2マナ払って空だけ攻撃。星野は《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》に《化膿/Putrefy》を撃ちこみ、2点は自分に通す。《火花の結実/Seed Spark》が手札にあるんだから手拍子で《レオニンの空狩人/Leonin Skyhunter》を撃ち落としそうなものだが、落ち着いている。

 そして星野のターン。セット土地からいよいよ《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》様の登場だ。

 ヘディンは《名誉の手/Hand of Honor》を出すが、次のターン、星野がついに《よりよい品物/Greater Good》を場に出す。《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》は攻撃後にすぐに生け贄に捧げられ、土地4枚と《レオニンの空狩人/Leonin Skyhunter》が縛られる。手札もリフレッシュしてますます万全だ。

 動けないヘディンは土地を置いてゴー。しかも星野にターンが戻るや、《神の怒り/Wrath of God》から《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》でライフも17まで逃げられ、どんどん態勢が固まってしまう。

 ヘディンは苦しみながらも、攻勢を取り戻すべく《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》。さらに《栄光の頌歌/Glorious Anthem》の2枚目を出すと、星野もちょっと嫌な顔。

 しかし、ここでトップから《ネクラタル/Nekrataal》を引いてくるのは、完全に流れに乗った証拠か。せめてもと《黒焦げ/Char》を《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》に叩き込むヘディンだが、これは《よりよい品物/Greater Good》でカードに化ける。

 ヘディンはセット土地から《陽光尾の鷹/Suntail Hawk》。手札は空でもう何のトリックも残っていない。しかし、星野は無常の《化膿/Putrefy》。

 星野が《死後剛直/Vigor Mortis》で《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》を釣り上げると、ヘディンは次のドローを確認し、黙って手を差し出した。

星野 2-1 ハラルドソン

Winner is 星野 信輔!