Round6 Ishimura Shintarou vs. Tomizawa Youhei

By Yui Takagi


石村"ライザ"信太郎

埼玉県選手権も残り2ラウンド、フィーチャーマッチは関東マジック界で名を轟かせる2人の越谷ダービーマッチが実現した。

石村信太郎は「ライザ」というハンドルネームで有名なデュエリストで、2004年高校選手権では開成高校を準優勝に導いている。
ちなみに「ライザ」という名前は《波停機/Stabilizer(SCG)》からとったもので、その起源を友人に聞いたところこんなエピソードを明かしてくれた。
それは2003年のGP横浜(オンスロートブロック限定構築)のこと、この環境はサイクリングとゴブリンの2つからなると考えた彼はある奇策に打って出た。
なんとメインから《頭脳いじり/Head Games(ONS)》《波停機/Stabilizer(SCG)》を4枚ずつ積み、サイクリングをメタったデッキで出場したのだ。
そして、このとき対戦した「ローリー」こと藤田剛史がメインからのガンメタぶりに驚き、ジャッジにデッキリストの参照を要求したという…
この日以来、彼は仲間たちから畏敬の念をもって「ライザ」と呼ばれるようになったという。
このエピソードのように、彼のデッキは独特なチューンがなされてることが多い。
今年も、彼はどんなギミックが飛び出すのか楽しみな青緑コントロールを持ち込んでいる。

一方、「スティッチ」でおなじみ富澤洋平は去年の埼玉県選手権以降、ファイナルベスト8や日本選手権出場など充実した年を送ることができた。
しかし、そのとき着ていた着ぐるみを、今日の彼は着ていない。
それは埼玉県選手権の優勝を本気で獲るという、彼の決意表明なのだろうか?
彼のデッキは赤緑ビッグマナデッキ。ただし、サイドからコンボデッキに変化するという噂を聞いている。

Game1

後手の石村がいきなりダブルマリガンを被ってしまうが、2ターン目の《肥沃な大地/Fertile Ground(LRW)》から3ターン目《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》想起につなぎ、なんとか戦えるリソース環境を作り上げる。

富澤は序盤に《樹上の村/Treetop Village(10E)》をセット、第3・第4ターンに《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》を表裏でキャストし攻めの姿勢。

石村は4ターン目に《永劫の年代史家/Aeon Chronicler(PLC)》をX=1で待機。

富澤はここで少考し、《樹上の村》込み3体アタックで石村のライフを8に落とす。さらに《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を戦線に追加。
石村は《永劫の年代史家》の待機が解けたところで長考に入る。ここは攻めるべきか、守りに入るべきか…
結局変異をプレイするのみにとどまり、本陣の守りを固める。

富澤は《調和/Harmonize(PLC)》で手札を補充して攻撃せずにエンド。そこで石村は変異《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter(TSP)》を表返し《永劫の年代史家》のコピーになることを宣言する。
さらに《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(LRW)》を追加し、土地をアンタップさせつつ別の変異を盤面に送り出す。しかし富澤は表向きの《ヴェズーヴァの多相の戦士》が3/3になったのを確認し《火葬/Incinerate(10E)》をこれに打ち込む。

富澤、ここで象2体と《タルモゴイフ》(サイズは3/4)をすべてレッドゾーンに放り込む。石村は変異と《永劫の年代史家》で象を1体ずつブロックし、変異の《ヴェズーヴァの多相の戦士》を《タルモゴイフ》に変化させ一方的に象を葬る。富澤のクリーチャーはタルモのみになり、盤面上は石村が有利になった。
しかし相手は関東でも注目の強豪・富澤、打算なく損な戦闘をするわけがない。
この戦闘で石村のライフは5に落ち込んでおり、そして富澤が手札に抱えていた打算は5点の《溶鉄の災難/Molten Disaster(FUT)》!

石村「そっか、ダブマリだったから《永劫の年代史家》あんなにちっちゃかったんだ…」


石村 0-1 富澤


左:スティッチ人形 右:スティッチ富澤

石村のサイドボーディング
【In】 【Out】
1《誘惑蒔き/Sower of Temptation(LRW)》
1《剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticore(10E)》
2《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(10E)》
1《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》
1《塩水の精霊/Brine Elemental(TSP)》
1《セロン教の隠遁者/Thelonite Hermit(TSP)》
1《影武者/Body Double(PLC)》
1《雲打ち/Cloudthresher(LRW)》
1《永劫の年代史家/Aeon Chronicler(PLC)》

富澤のサイドボーディング
【In】 【Out】
4《なだれ乗り/Avalanche Riders(TSB)》 1《活力/Vigor(LRW)》
1《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander(10E)》
1《荊景学院の戦闘魔道士/Thornscape Battlemage(TSB)》
1《溶鉄の災難/Molten Disaster(FUT)》

石村がローウィン注目のカード
として名前をあげる1枚。

Game2
今度は無事7枚で始めることができた石村。《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(10E)》《肥沃な大地》でマナをブーストし疲弊した手札を《調和》で潤す理想的展開!

富澤も《根の壁/Wall of Roots(TSB)》から《野生語りのガラク》でビーストを引っ張り出すが、石村はこれを《原初の命令/Primal Command(LRW)》でトップに返しつつ《剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticore(10E)》をサーチ!

そしてこの《剃刀毛のマスティコア》が富澤の戦線をズタズタに切り裂く。
富澤が用意できた《獣群の呼び声》の象トークンや《野生語りのガラク》のビーストトークンは、すべて射程圏内のタフネス3。
出しても出してもひとつずつ丁寧に葬られてしまい守ろうにも守れない。
一方の石村は《剃刀毛のマスティコア》に喰わせた手札を《調和》で潤し、まさに万全のマジックで勝負をタイに戻す。


石村 1-1 富澤

石村のサイドボーディング
【In】 【Out】
2《誘惑蒔き/Sower of Temptation》 2《占有/Take Possession》

富澤のサイドボーディング
【In】 【Out】
1《帰化/Naturalize》
1《荊景学院の戦闘魔道士/Thornscape Battlemage》
2《火葬/Incinerate》



石村【4勝0敗1分】
VS.
富澤【4勝1敗0分】

Game3
石村がまたマリガンを余儀なくされてしまう。

富澤が《根の壁》経由で《野生語りのガラク》を出せば、石村が同じく《根の壁》経由の《野生語りのガラク》対消滅で応え、ここまでは好ゲームを予感させた。

…しかし、石村が今度はマナカラートラブルを起こしてしまう。
場に並ぶのはどれもこれもが緑マナを生産するもの、そして手札に蓄積していく青いカード…

富澤は「苦しませずに今すぐ介錯してやる」といわんばかりに《獣群の呼び声》《なだれ乗り》《タルモゴイフ》とプレイ。
一方の石村の場には《ラノワールのエルフ》が3体ならぶのみ…
事故では勝負すらできず、石村は無念そうに投了するしかなかった…

石村 1-2 富澤

Result:富澤洋平 Wins!