Round4 Shimono Tetsurou vs. Mochiki Kazuto

By Yui Takagi


『高校選手権2005』優勝、持木

2004・2005年度と2年連続で埼玉県選手権ベスト8入りを果たした下野哲郎と、『高校選手権2005』で城西大川越高校のリーダーとして優勝した経験を持つ持木和人の対戦となった。

持木は多くのプレイヤーが「今年の埼玉選手権を制する有力選手」に挙げるほどの逸材。
本人はここまで3連勝できたことを「今日は勝ちすぎて怖いなあ、台風がオレに直撃しちゃうんじゃないの?」と謙遜するがその姿からはプロプレイヤーが纏う、独特なオーラが漂っているように見えた。
今回彼が持ち込んだのは赤緑のBigManaと呼ばれる、ファットサイズが多く含まれたコントロールである。

一方の下野も、川越で開催される「龍王戦」で成長し日本選手権出場経験もある埼玉の古豪。
今回は青黒リアニメイトデッキを携えている。



Game1
まずは下野が《フェアリーの集会場/Faerie Conclave(10E)》、持木が《樹上の村/Treetop Village(10E)》のミシュラランドをタップイン。

下野が墓地を肥やすために繰り出す撒き餌《コー追われの物あさり/Looter il-Kor(TSP)》《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter(10E)》を、持木がそれぞれ《火葬/Incinerate(10E)》《溶鉄の災難/Molten Disaster(FUT)》で処理する序盤の攻防。

しかし、下野の繰り出した3枚目の撒き餌《マーフォークの物あさり》はそのまま生き残り、次ターン《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》を墓地に泳がせ《戦慄の復活/Dread Return(TSP)》で一本釣り!
持木も返しに《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander(10E)》を展開しプレッシャーをかける。
《ボガーダンのヘルカイト》を打ち落とすだけのマナはある。…次のターンまで生き残れば。


しかし下野は《ボガーダンのヘルカイト》を攻撃させると《フェアリーの集会場》をクリーチャーに変形させヘルカイトもろとも生贄の《戦慄の復活》フラッシュバック!(対象は《マーフォークの物あさり》)
そして手札から放たれた2枚目の《戦慄の復活》がゴブリンどもを一掃する。
持木は《ボガーダンのヘルカイト》のアタックを《雲打ち/Cloudthresher(LRW)》の瞬速ブロックで討ち取ろうとするも《造物の学者、ヴェンセール》にこれを阻まれる。
改めて自ターンメインで《雲打ち》を出すも、誘発型能力とダメランのダメージで持木のライフはすでに残り3。
そして下野の陣地に待っているのは《ボガーダンのヘルカイト》、2体の《コー追われの物あさり》と《マーフォークの物あさり》。


下野 1-0 持木


龍王様、下野

6マナ7/7の時点で、何かがオカシイ…
Game2
持木は《北方行/Into the North(CSP)》でマナを伸ばし、下野の《マーフォークの物あさり》も《根の壁/Wall of Roots(TSB)》経由の《火葬》で無事処理。

さらに《ムウォンヴーリーの酸苔/Mwonvuli Acid-Moss(TSP)》で下野の土地を叩き割りマナを伸ばすと土地を置くのみでいっぱいいっぱいの下野を尻目に、ターンエンド《雲打ち》からメイン《爆裂/Boom(PLC)》の綺麗な関節技!

あっさりと持木がゲームをタイに戻した。


下野 1-1 持木



Game3
下野が2ターン目に《コー追われの物あさり》、これに持木が《火葬》で応える。

しかし下野の3ターン目に現れたのは最近トーナメントでなかなかお目にかからない《難問のスフィンクス/Vexing Sphinx(CSP)》!
持木は《根の壁》を構え《樹上の村》を置くが、下野は《叫び大口/Shriekmaw(LRW)》で《根の壁》を葬り《難問のスフィンクス》で殴りつける。
持木は《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(LRW)》を設置しビーストトークンを出して攻めの姿勢。

下野は経年カウンターが2個載っている《難問のスフィンクス》を維持し、《野生語りのガラク》めがけて殴りトークン生産拠点をつぶす。
しかし手札は1枚、もう次の維持は無理だ。
持木は《根の壁》を再び構え、《樹上の村》とビーストトークンをレッドゾーンに放り込み、お互いにライフはこれで13となる。
下野は《難問のスフィンクス》を放棄し、通常ドローと含め手に入れた4枚のカードから《叫び大口》2号を呼び出し、ビーストトークンを葬る。
ここで持木は大長考に入る。手札には《紅蓮地獄/Pyroclasm(10E)》と《包囲攻撃の司令官》。
どっちのプランがよいのか必死に計算してはじき出した答えは、《紅蓮地獄》で一掃しての《樹上の村》攻撃。

下野は3枚目の《叫び大口》で2枚目の《根の壁》を破壊する。
返しの持木は《調和/Harmonize(PLC)》でさらなる戦力を追求する。

下野は《結ばれた奪い取り/Bonded Fetch(FUT)》《コー追われの物あさり》と追加、《叫び大口》を攻撃させ持木のライフを9へ。
返しで再び持木は長考に入る。手札には2枚の《火葬》と《包囲攻撃の司令官》。
下野のライフは10、そろそろクリーチャーを焼くのみならず本体に打ち込んでいくプランも考慮に挙がる。
いったい、どっちのプランが勝利につながるのか、そのプランのリスクはどうか?
結局持木は《樹上の村》で攻撃し、何もせずエンドすることを選択する。下野のライフは残り7。

デュエルも佳境。下野が《叫び大口》と《コー追われの物あさり》で持木のライフを5に落とすと、エンドに持木が本体に《火葬》を打ち込み下野のライフを4に引き下げる。
ここからは1つの手違いが負けにつながってしまう、厳しい盤面だ。
持木は《樹上の村》をクリーチャーにしレッドゾーンに叩きつける。
これが通れば、手札の《火葬》で勝てるアタックだが…下野の《造物の学者、ヴェンセール》が計画を打ち砕いた。
このままでは返しのフルパンで負けてしまう持木は仕方なく《叫び大口》に《火葬》を打つ。

下野はアタックで持木のライフは2へ。その後《コー追われの物あさり》の能力で《戦慄の復活》を墓地に落とし、手札からさらに《コー追われの物あさり》と《マーフォークの物あさり》を出すと、《コー追われの物あさり》以外をフラッシュバックに捧げ《難問のスフィンクス》をリアニメイト。
これで下野の場には2体の《コー追われの物あさり》と《難問のスフィンクス》と、地上じゃ止まらないクリーチャーばかりが残った。
持ち木の手札には《包囲攻撃の司令官》が控えていたが、場には7マナしかない。下野のライフは4だ。
引いてきた《調和》をキャストしライブラリーを追求したが…とうとう解決策は見つからなかった。

いぶし銀の活躍を見せた!

下野 2-1 持木

敗れはしたが、試合終了後にいったいどこにプレイングの粗があったのかしきりに反省していた持木の姿勢が、今や世界に輝く日本のトップデュエリストと重なって見えた。

Result:下野哲郎 Wins!