■Round 9： 吉森 奨(神奈川) vs. 中村 肇(神奈川)

By Masami Kaneko

スタンダードを好成績で切り抜けたプレイヤー達が、モダンのデッキに頭を悩ませる。 モダンのメタゲームは。会場にはどんなデッキが多いのか。どんなデッキと当たりそうなのか。自分のラインで多そうなデッキは。 色々な思惑が交錯する中、２人の強豪プレイヤーはそれぞれモダンを代表するデッキを手に、フィーチャー席に現れた。 "もりしょー"こと吉森はNaya-Podを。 "KAKAO"中村はJundタッチ白を。 どちらもこの環境のデッキを考えたときにすぐ思い浮かぶデッキだろう。強豪同士の、環境を象徴するこのマッチを見ていこう。 ●Game 1 先手の吉森、土地が《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》しか無いため即マリガン。 初手のマナがフェッチランド＋《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》の中村、悩んだ末に土地が１枚ながらキープする。 《極楽鳥/Birds of Paradise》スタートの吉森、《死儀礼のシャーマン》スタートの中村。それぞれのデッキらしい、まさに環境を象徴するスタートだ。 吉森は更に《極楽鳥》を重ねる。中村は無事土地を引けて《極楽鳥》の片方を《稲妻/Lightning Bolt》したうえで《闇の腹心/Dark Confidant》。さらには中村、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》から《タルモゴイフ/Tarmogoyf》とブン回り状態。土地が１枚でのスタートだったとは思えない。フェッチランドを連続で引き込む、まさに理想的ドローだ。

吉森も落ち着いて《根の壁/Wall of Roots》《極楽鳥》と繋げ、守りを固めつつマナを伸ばすが、しかし中村、ここで二枚目の《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》からの《突然の衰微/Abrupt Decay》！ これで吉森を守るはずだった《根の壁》は失われ、手痛いダメージを受ける。しかし吉森もただ殴られているわけではない。虎視眈々と勝利するプランを練っている。中村が《コジレックの審問》で前方確認をしてみると、落とせるカードは無いうえに、《修復の天使/Restoration Angel》《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》のコンビが揃っていた。吉森の土地は現在４枚。 戦闘中に《修復の天使/Restoration Angel》が出てきて《鏡割りのキキジキ》とのコンボにリーチだが、中村は落ち着いて《未練ある魂/Lingering Souls》をプレイしターンを返していく。それもそのはず、中村はここでもしっかりと《終止/Terminate》を構えているのだ。 土地が引けず《根の壁/Wall of Roots》をプレイした吉森に対して《終止》を《修復の天使》にプレイ。吉森は即座にカードを片付け始めた。 吉森 0-1 中村 お互い完全に想定した相手、サイドボーディングもスムーズだ。 中村の不敵な笑みに対して、吉森も笑顔で返す。 ●Game 2 《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》からゲームスタートになりそうな、スローな手札を悩んだ末にキープした吉森に対して、中村の《思考囲い/Thoughtseize》が飛ぶ。 公開された 《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》 《永遠の証人/Eternal Witness》 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》 《士気溢れる徴集兵/Zealous Conscripts》 というパワー溢れる手札に対して中村はゲームプランを検討していく。 ここからは《永遠の証人/Eternal Witness》が落とされる。

KAKAO中村。

中村はさらに２ターン目の行動も《闇の腹心/Dark Confidant》か《思考囲い》かを検討していく。 検討したうえで《思考囲い》を優先し《台所の嫌がらせ屋》を落とし、相手にクロックを作らせない。吉森の《強情なベイロス》に対しても《タルモゴイフ/Tarmogoyf》で対抗していく。 吉森は《士気溢れる徴集兵/Zealous Conscripts》で《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を奪い、《闇の腹心》をブロックに回させることに成功。 中村も《稲妻/Lightning Bolt》を構えて守りに入るが、この予定を吉森の《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》が打ち砕く。 どうにか《士気溢れる徴集兵》は打ち取り《強情なベイロス》も《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》で対処する、既に残りライフは１。 返しで出てきた《なだれ乗り/Avalanche Riders》に、最後のライフが削りきられてしまった。 吉森 1-1 中村 ●Game 3 《稲妻》《闇の腹心》《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》と必要パーツの揃った手札をキープした中村、吉森の《極楽鳥》を撃ち落としたうえで２ターン目に《闇の腹心》をプレイ。 これには吉森、《電弧の痕跡/Arc Trail》で即対処するも、《血編み髪のエルフ》が２連発されていく。 そして《悪斬の天使/Baneslayer Angel》にも即座に《終止》が飛んだうえで《タルモゴイフ》を展開。ライフもパーマネントも無い吉森に為す術は無かった。 吉森 1-2 中村

《出産の殻/Birthing Pod》デッキ、吉森

終了後、中村は２ゲーム目のプレイを悔やんでいた。 中村　「《タルモゴイフ》のサイズを勘違いしてたー。《台所の嫌がらせ屋》とか落とす必要無かったー。」 確かにそれならば、わざわざ貴重な２ターン目を費やさずに済んだ。 とはいえマッチを取ったのは安定して２枚の《血編み髪のエルフ》をプレイしていた中村だ。 中村　「いやー１本目は土地が１枚だったとは思えないブン回りですわー。」 と中村節が飛ぶ。 一方の吉森は。 一度もプレイされなかった模様。