■Round 14: 中村 貴稔(神奈川) vs. 江塚 悠太(東京)

By Atsushi Ito

 ついに『関東Finals2012』も14回戦目、最終ラウンドを残すのみ。

 早々とIDでトップ8を確定させる卓も出る中、残り少ない椅子を賭けてフィーチャーテーブルにて相まみえるのは、9勝3敗1分の中村 貴稔(神奈川)と、10勝3敗の江塚 悠太(東京)だ。

 中村は勝ってオポ勝負、江塚は勝てば確定抜けという大一番。緊張のせいか、カードを繰る手にも自然と力が入る。

 中村はReid Duke(USA)が原案を提供し、Owen Turtenwald(USA)がデザインしたとされる"Haunted Zoo"を目ざとくコピーして持ち込んでいる。 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》からの《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》が魅力の最新デッキだ。

 対する江塚のデッキはスタンダードのカードを流用したというラクドス(!)。だがここまで勝ち上がっているという事実からして、侮れない。

 勝ってトップ8に手をかけるのは一体どちらか。
●Game 1
 先手は中村。2枚目の土地が置けないながらも、《貴族の教主/Noble Hierarch》《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》と順調に展開。江塚も《墓所這い/Gravecrawler》《死儀礼のシャーマン》と応えるが、返しで中村の《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》が降臨する。

 脇にマナクリーチャーがおり、仮に《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》であっても処理できない。黒赤という色の組み合わせ的にかなり厳しいはずだ……と、そう思ったのも束の間。これは江塚の構築力を賞賛するべきだろう、即座に《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》で処理されてしまう。

 それでも、返しでようやく2枚目の土地を引いた中村。《稲妻/Lightning Bolt》で江塚の《死儀礼のシャーマン》を焼きつつ、淡々と2体目の《聖トラフトの霊》を送り出す。江塚、今度こそ万事休すか。

 しかし江塚のターン、4枚目の土地を置くなりプレイされたのは何と《滅び/Damnation》!



 《墓所這い》入りのビートダウンと思わせてのこの奇策によって、《聖トラフトの霊》を処理されただけでなく、マナクリーチャー2体を失い2マナに逆戻りと、完璧に嵌ってしまった格好の中村。 続けてプレイされた江塚の《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger》は、エンド前《稲妻のらせん/Lightning Helix》からの《部族の炎/Tribal Flames》でどうにか除去し、態勢を立て直そうとする。

『ラクドス』江塚。10勝3敗。

 対し、この隙に攻めたてたい江塚だったが、実は引きが芳しくないのか、土地を引き込みだした中村の《タルモゴイフ/Tarmogoyf》《未練ある魂/Lingering Souls》という連続展開を前に成す術がない。

 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》からの《悲劇的な過ち/Tragic Slip》でどうにか《タルモゴイフ》は処理するものの、《未練ある魂》をフラッシュバックされると、スピリットトークンによる蹂躙からの《部族の炎/Tribal Flames》本体5点で焼き尽くされてしまった。

中村 1-0 江塚


●Game 2
 先手の利を生かし、《墓所這い》《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》と攻めたてる江塚。《聖トラフトの霊》、《未練ある魂》2枚と《血編み髪のエルフ》、《稲妻/Lightning Bolt》という若干ゆっくりした内容の中村の手札から《聖トラフトの霊》を葬り去るが、フラッド気味で追加のクロックを用意できない。

 こうなってしまうと中村の《未練ある魂》の独壇場だ。

 頼みの綱の《死儀礼のシャーマン》は《稲妻のらせん/Lightning Helix》で即座に焼かれ、さらに《未練ある魂》が未練たっぷりにフラッシュバック。延々と増え続けるこの【1/1】飛行トークンの群れに対抗する術を持たない江塚、一応《ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocrat》こそプレイしてみるものの、【4/1】というサイズは攻防一体のスピリットトークンを前にあまりに無価値。

 それでも健気に《忌むべき者のかがり火/Bonfire of the Damned》の「奇跡」を信じて耐え続けるのだが、終ぞ江塚のデッキがそれに応えることはなかったのだった。

 人事は尽くした中村、あとはオポ勝負という天命を待つのみ!

中村 2-0 江塚


"デミゴン"中村。