■Round 13: 中村修平(東京……よりもアメリカ) vs. 高橋優太(東京)

By Masami Kaneko

"プロプレイヤーであること"とは?

二人のトッププロが、このラウンドで激突した。

日本で"プロプレイヤー"といえば、"=中村"だ。
と、いえば流石に言い過ぎに聞こえるかもしれないが、中村はマジックを中心に生き方そのものが"プロプレイヤー"だ。
世界のプロツアー、グランプリを回り、勝負の世界に生き、そこで生活の糧を得る。
全マジックプレイヤーの憧れが、ここにある。

対する"あんちゃん"こと高橋優太もまた、トッププレイヤーとして生きてきたプレイヤーだ。
双頭巨人のプロツアーでの準優勝から、国内GPの二連勝。一躍トーナメントシーンに躍り出た。
名実ともにトップの実力を持つ高橋は、しかし今トッププロとしてのトーナメントシーンからは一歩引いている。今回も練習が十分ではないと語っていた。

二人のトッププロ。プロプレイヤーであることを続ける中村。プロプレイヤーとしては一線を引いたものの、マジックに対する真剣さは本物の高橋。現在の立場は違えど、それは=実力の差ではないだろう。
お互いのプロとしての力をぶつける試合が、今始まる。


●Game 1
試合前は談笑していた二人も、手札を開けた瞬間から真剣な眼差しに変わる。
この辺りの空気の変化は流石トッププロといったところか。

中村の《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》に《四肢切断》が飛ぶところからゲームはスタート。

そして3ターン目、高橋必殺の《荒廃稲妻/Blightning》。中村はこれからのプランを検討しながら《終止/Terminate》《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》という強力な2枚を捨てた。手札の強さが伺える。

プロツアー殿堂入り戦士、中村



対して中村は《タルモゴイフ/Tarmogoyf》をプレイし、場の《樹上の村/Treetop Village》と共に攻めに行く構えだ。

そしてさらに4ターン目。二度目の《荒廃稲妻/Blightning》が中村を襲い、《タルモゴイフ》の2枚目と《神無き祭殿/Godless Shrine》が落ちて、ついに手札がゼロ。高橋の優位が、この稲妻によって築かれていく。

残った《タルモゴイフ》も《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》で対処され、中村は苦しい。ボードの整理とカードアドバンテージの取り合い。それがジャンド同士の戦いだ。

カードアドバンテージにおいて完全にマウントを取った高橋。あとはボードの整理だ。中村も当然理解している。「自身は既にカードアドバンテージにおいて負けている。」そう宣言しているかのように、《樹上の村》はリリアナではなく高橋本人を攻撃する。高橋の残りのライフは4だ。もうすぐ、《稲妻》の射程圏内。《怒り狂う山峡/Raging Ravine》までも追加し、攻めきる構えだ。

しかし高橋、ここで強烈な《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》!
《樹上の村》《怒り狂う山峡》へのブロッカーを出すと共にライフを引き上げる強烈なこのアクションに、中村も困り顔。更に高橋の《血編み髪のエルフ》が《死儀礼のシャーマン》を連れてくると、中村はカードを片付け始めた。

中村 0-1 高橋

お互い仮想敵、サイドボードも非常にスムーズだ。
サイドボーディングよりもシャッフルのほうが時間がかかっているくらいの短いインターバルを経て、トッププロの争いは2ゲーム目へ。


●Game 2
《死儀礼のシャーマン》《ヴェールのリリアナ》《コジレックの審問》といった手札を見つめ、プランを検討しながらキープを宣言する中村。

高橋も《死儀礼のシャーマン》《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》土地5枚の手札を検討していたが、流石にアクティブに動けるカードが少なすぎると判断したのかマリガン。
《ヴェールのリリアナ》《四肢切断》土地の手札をキープした。

《死儀礼のシャーマン》スタートから2ターン目に《ヴェールのリリアナ》をプレイした中村。高橋も同じく《リリアナ》を所持しているため、対消滅を狙っていく。中村は土地を、高橋は《闇の腹心/Dark Confidant》を捨てた。リリアナが残っている間はクリーチャーは生き残れないため、《闇の腹心》が役立つまでには時間がかかりすぎるという判断だろう。

高橋は落ちついて自身のターンで《四肢切断》で《死儀礼のシャーマン》を排除した。

次のターンの中村の《コジレックの審問》で高橋の《ヴェールのリリアナ》《荒廃稲妻》が明かされ、中村はここから《荒廃稲妻》を落とす。予定通りに高橋の返しはリリアナで対消滅だ。

ついに攻め手が止まった中村に対して、高橋はトップデッキした《タルモゴイフ》をプレイ!……に対しては即座に中村の《終止》が飛び、《怒り狂う山峡》が攻撃。これでお互いのリソースはほぼ尽きた。あとは何が引けるかだ。現状土地で攻撃している中村が少し有利か。

が、ここで高橋は《血編み髪のエルフ》をトップデッキ!さらにそこからめくれたのはなんと現在【5/6】の《タルモゴイフ/Tarmogoyf》!

100点満点で120点のトップデッキと続唱に頭を抱える中村、《死儀礼のシャーマン》でお茶を濁してみようとするも、さらに高橋のトップデッキ《ヴェールのリリアナ》で排除されてしまう。

中村としてはなんとかトップデッキした《タルモゴイフ》で……と考えたものの、返しに高橋がフルアタックから、これまたトップデッキした《稲妻》を中村に叩きつけると、中村のライフは0を割った。

中村 0-2 高橋

"あんちゃん"高橋