■Quarter Finals: 遠藤 亮太(埼玉) vs. 東海林 賢多(東京)

By Masami Kaneko

二日に渡って行われた『関東Finals2012』も、ついにTop8のシングルエリミネーションが始まった。
優勝候補は、224人から8人に絞られたのだ。

ここでは、ともに関東で腕を磨いている二人に注目しよう。
遠藤 亮太(埼玉)は埼玉のプレイヤーで、日々練習を積むいわゆる"若手"だ。
同じコミュニティから3人のプレイヤーが今回のTop8に進出しており、圧倒的なパフォーマンスを見せつけた。
現在プロプレイヤークラブでもゴールドレベルを保持している、いわゆる"グレイビー"のプレイヤーであり、トッププロ達も注目のニューカマーである。

東海林 賢多(東京)は秋葉原ホビーステーションの店員を務めながら関東のいわゆる草の根大会で腕を磨いている。初日の全勝対決こそ行弘 賢(和歌山)に負けてしまったが、勢いを崩さず決勝ラウンドまできた。ここで是非トロフィーを持ち帰りたいところだろう。

●Game 1
遠藤の先行。
マナクリーチャーが2枚に《セレズニアの魔除け/Selesnya Charm》、土地が4枚の手札を少し考えてキープ。

東海林の初手は、土地に不安があり即マリガンを宣言。
今度は《根囲い/Mulch》《スラーグ牙/Thragtusk》に土地が4枚の手札を、贅沢は言えずにキープ。

当然の《東屋のエルフ/Arbor Elf》スタートに対して、土地を置いて返す東海林。
遠藤は更に《東屋のエルフ》《アヴァシンの巡礼者》と連打。返しの《根囲い》は《堀葬の儀式》を墓地に送る。
遠藤、3ターン目には《絡み根の霊/Strangleroot Geist》から《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》と6マナをきっちり活用。狼トークンも盤面に追加され、十分なクロックを用意。

返しで《ロクソドンの強打者》で守ろうとするも、遠藤は《忘却の輪》をトップデッキ!
これで強打者を排除し、7点のダメージを与える。いわゆるブン回り、だ。
これには後手の東海林もどうしようもない。生きる道を探してみるも、結局カードを片付ける事になった。

遠藤 1-0 東海林

"ゴールド"クラスのプロプレイヤーとして活動中、遠藤








《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth》や《堀葬の儀式》といったリアニメイトセットを若干抜き、《突然の衰微/Abrupt Decay》《忘却の輪》《血統の切断/Sever the Bloodline》などの除去を追加した東海林。

《墓掘りの檻》などのリアニメイト対策を入れていく遠藤。

それにしても遠藤は落ち着いている。真剣にサイドボーディングをしている最中でも、カメラを向けられれば満面の笑みでピースをしてくれる。「子供の頃から『カメラを向けられたらピースをしろ』って言われてきましたからね〜」などと軽口を飛ばす余裕もある。流石グレイビー組といったところか。


●Game 2
両者即座にマリガン。お互いに6枚を見るが、今度の東海林の手札は6枚の土地。流石にこれはキープ出来ない。
遠藤は《東屋のエルフ》《ロクソドンの強打者》を含む手札に満足したようだ。

東海林は《アヴァシンの巡礼者》《静穏の天使》と土地4枚という手札を仕方なくキープ。なんとか《静穏の天使》に望みを繋ぐ。

当然のように2ターン目に出てくる遠藤の《ロクソドンの強打者》。
それに対して東海林は動くことが出来ない。

続くターンには、更に追加の《ロクソドンの強打者》をプレイし、遠藤は強いプレッシャーを与えていく。
東海林もブロッカーとしての《ロクソドンの強打者》を追加するのだが、ここで遠藤はなんと《セレズニアの魔除け》をトップデッキ! 強打者2体のみのアタックに東海林考えるもブロックしないわけにもいかず、そして当然ここには《セレズニアの魔除け》が突き刺さり、6点のダメージが東海林に入る。ライフは残り9しかない。

さらに《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger》も追加され、盤面のクロックは11点。
東海林も《ロクソドンの強打者》を追加。もしかしたら、そう、次のターンが来れば《静穏の天使/Angel of Serenity》がプレイ出来る。そう、土地を引ければ。

遠藤に選択肢は無い。フルアタックしてライフを削る。東海林のライフは2になる。既にギルドランドではプレイ出来ない。
そして、東海林のドローは、《魂の洞窟/Cavern of Souls》。東海林の勝利のために幾度と無く活躍してきた天使が空に放たれた。

遠藤のアタッカーは全て失われた。なんとか、間に合った。この天使さえ居れば。
これで流れが変わったか、東海林は続けて《スラーグ牙/Thragtusk》をトップデッキ。ライフを7点まで回復する。

が、遠藤もただでは終わらない。
当然のように《忘却の輪》を引きこみ、天使の呪縛から3体のクリーチャーを取り戻したうえで《東屋のエルフ》《ロクソドンの強打者》と展開。
それに対して東海林。《スラーグ牙/Thragtusk》《アヴァシンの巡礼者》でアタック。

……両方?

そう、東海林の場には《大天使の霊堂/Vault of the Archangel》があるのだ。
遠藤としては継続的にライフを回復されてはたまらない、と仕方なく《ロクソドンの強打者》と《スラーグ牙》が相打つ。東海林のライフが遠いところまで回復してしまう。
そして。それが当たり前かのように、東海林は《酸のスライム/Acidic Slime》を引き込んだ。
このスライムにより《静穏の天使》は再び空に舞い上がり、遠藤のライフをついに刈り取ったのだった。

ダブルマリガンマリガン、そして怒涛の攻めという逆境に対して、的確に生き残る道を探した東海林の逆転勝利。

遠藤 1-1 東海林

『緑白黒リアニ』東海林 Fromホビステ秋葉原

遠藤 「《ロクソドンの強打者》に《セレズニアの魔除け》を打ったところではもう勝ったと思ったんですけどね〜。」

確かに遠藤としては悔しいところだろう。
しかし遠藤は続ける。

遠藤 「でも、サイドボードミスってましたね。間違えてなければ勝ってたと思います。」

自身がどうして負けたか、どうすれば勝っていたのか。マッチの途中でも反省を忘れない。
負けたゲームは、次の糧に。


●Game 3
互いにマリガンし、双方6枚のキープ。
遠藤の6枚は土地が3枚とマナクリーチャーが3枚。何か引く事に期待か。東海林は《ロクソドンの強打者》や《忌まわしい回収/Grisly Salvage》などを含む十分な手札。

遠藤の2ターン目のドローは《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》。自陣強化で盤面に対するプレッシャーとしては合格点といったところか。
さらに遠藤は3ターン目、しっかりと《ロクソドンの強打者》を引いた。3体のマナクリーチャーで攻撃のうえ、《魂の洞窟/Cavern of Souls》(ワーム宣言)のうえで《ロクソドンの強打者》を場に送る。

東海林も《忌まわしい回収》を打つものの《血統の切断/Sever the Bloodline》が落ちただけで釣りたいクリーチャーも《堀葬の儀式》も落ちなかった。《アヴァシンの巡礼者》を手札に加える。

遠藤の強烈な攻めに東海林は計算。果たしてこのシーン、どうすれば間に合うのか。既に7点のクロックが並んでいる。
とりあえずは、とブロッカーとして《ロクソドンの強打者》を用意する。
しかしこれに遠藤は完璧なドローとプランで答える。まずは《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》をセット。《ロクソドンの強打者》でアタックすれば、東海林はこれを通さざるをえない。



そして遠藤のトップデッキは、つい先程《魂の洞窟/Cavern of Souls》で宣言した、《大軍のワーム/Armada Wurm》だった。

突如10点増えたクロックに、東海林は頭を悩ませる。他に出来ることも無い、と《根囲い/Mulch》こそ打ってみるものの、解答は見つからない。一応ながら計算をしてみるものの盤面を止められず。遠藤の冷静なアタックで、東海林無念の投了。

遠藤 2-1 東海林

遠藤、準決勝進出!
準決勝では、同じコミュニティの仲間、四本が待っている。別ブロックの牛島も勝ち上がっておりコミュニティでの上位独占を狙う。
彼らの強さは、本物だ。