優勝者が語るコンフラックス後の『青黒フェアリー』

By Naoaki Umesaki 

 『コンフラックス』発売・解禁直後の開催となった『第73回五竜杯』。

 『コンフラックス』の特徴として、「フェアリー対策のカードが満載」という要素がよく語られており、『コンフラックス』導入後の環境で『青黒フェアリー』が生き残ってゆけるのか・どれくらい戦えるのかという点は、誰もが気になっていた点だった思う。

 そして、むかえた『第73回五竜杯』。

 参加者140人の頂点に立ったのは、『GP神戸2008』『GP静岡2008』と2008年の構築戦グランプリを『青黒フェアリー』で連覇した"妖精マスター"高橋優太(東京)。

 使用したデッキは、もちろん『青黒フェアリー』。

 ゲームカウント14勝0敗、マッチカウント7勝0敗と、1日無敗の圧倒的な成績で優勝を飾った高橋に、優勝者インタビューを兼ねて、『コンフラックス』導入後の『青黒フェアリー』について聞いてみたい。



●優勝レシピが出来るまで。
− 「優勝、おめでとうございます。」

高橋 「ありがとうございます。 ちょっと出来すぎな成績かなとは思いますが、1日引きが噛み合っていて上手く勝つことが出来ました。」

− 「優勝者インタビューも兼ねて、『青黒フェアリーの今』について色々とお伺いさせて頂きたいと思います。

高橋 「了解しました。」

 

『第73回五竜杯』優勝
高橋優太
− 「まず、『コンフラックス』は『青黒フェアリー』への対策カードが多いことが特徴の一つと言われていますが、『青黒フェアリー』側から見て、『コンフラックス』導入後の環境をどのように予想されていましたか?」

高橋 「そうですね…。 『コンフラックス』によって、新しいデッキタイプは生まれないと予想していました。 メタゲームに大きな変化はなく、『青黒フェアリー』以外のデッキが全体的に強化された程度だと考えていたので、デッキのチューンを変えて環境に対応しようかなと。」

− 「どういった風に、デッキのチューンを変えたのでしょうか?」

高橋 「『コンフラックス』で新たに入った《散弾の射手/Scattershot Archer》や《火山の流弾/Volcanic Fallout》などの対策カードは、主に《苦花》に効果のあるものです。 なので、《苦花》に頼らずとも勝てるデッキ構成を目指し、『青黒フェアリー』というより『青黒コントロール』といったようなデッキ構成に変えました。」

− 「具体的にはどういった点でしょうか?」

高橋 「《火山の流弾》の餌食となる《ウーナの末裔/Scion of Oona》などを抜き、《叫び大口/Shriekmaw》や《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》といったカードを採用しました。 あとは、場にフェアリーが並ばないと活躍しずらい《呪文づまりのスプライト》も3枚に減らしたりとかの微調整ですね。」

− 「最近は、あまり使われていなかった《ヴェンディリオン三人衆》ですが?」

高橋 「強いカードなんですけど、タフネスの低さから活躍しにくい同系対決や『白黒トークン』が増えて自然と使われなくなってましたね。 同系・『白黒トークン』の使用者が減ったので、復活させた感じです。」

− 「なるほど。 サイドボード後は、よりコントロールデッキチックな構成にデッキが変形出来るようになっていますね。 そんなサイドボードの中でも、《その場しのぎの人形》や《リリアナ・ヴェス》が目を引きますが?」

高橋 「一昨年の年末頃に流行した『青黒マネキン』を思い出し、そこからインスピレーションを得て、今日使ったようなレシピに辿り着いた感じです。 繰り返しになりますが、対策されている《苦花》に頼らないでも勝てるようにという点を強く意識しました。」

− 「最近は、『UR SwanAssault』を使用していたようですが?」

高橋 「そうですね。 『UR SwanAssault』も良いデッキだと思うですが、『UB Faerie』には勝てなかったので。 やはり、『UB Faerie』に勝てるデッキは『UB Faerie』だけだと思います。 あくまで個人的な意見ですが、『ローウィン』ブロックが落ちるまで、『UB Faerie』が最強なのは間違いないかと思います。」

そうして、デッキが完成。
「UB Faerie」 / Takahashi Yuuta
*FDC73rd Champion 7-0*
Main Deck Side Board
4《島/Island》
2《沼/Swamp》
2《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》
4《人里離れた谷間/Secluded Glen》
4《地底の大河/Underground River》
4《沈んだ廃墟/Sunken Ruins》
1《反射池/Reflecting Pool》
4《変わり谷/Mutavault》

3《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》
2《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
4《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》
2《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》
3《叫び大口/Shriekmaw》

4《苦花/Bitterblossom》
3《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
3《苦悶のねじれ/Agony Warp》
3《思考囲い/Thoughtseize》
4《砕けた野望/Broken Ambitions》
4《謎めいた命令/Cryptic Command》
4《コショウ煙/Peppersmoke》
1《叫び大口/Shriekmaw》
3《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》
3《瞬間凍結/Flashfreeze》
2《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》
2《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》

●高橋の大会レポート
■Round 1 vs.『RB BlightningRed』
Game1 : 《ボガートの突撃隊》を《砕けた野望》でカウンターして、返しで《ジェイス・ベレレン》をプレイ。 その返しで《ラッカ・マー》を出されるも、それを除去って、後はこっちのペースで勝利。

Game2 : 相手がトリプルマリガン。 そのまま勝利。

感想 : 後攻の場合、2ターン目に《苦花/Bitterblossom》を出さずにカウンターを構えるべきですね。《苦花》のプレイは、4枚目の土地を出してからが良いかと思います。

■Round 2 vs.『UGW Yggdrasir』
Game1 : 《思考囲い》→《苦花》→《ジェイス》の良い流れから、そのまま勝利。

Game2 : 1マリガンスタート。《苦花》を引かなかったが、《リリアナ・ヴェス》でアドバンテージをとって、《叫び大口/Shriekmaw》2枚で勝利。

■Round 3 vs.『Wr Weenie』
Game1 : 1マリガンスタート、2ターン目に《苦花》。《苦悶のねじれ》で2対1をとって、そのまま勝利。

Game2 : 2ターン目に《苦花》、あとは除去コンモードでハメ勝ち。

感想 : 《天界の粛清/Celestial Purge》で《苦花》を破壊されたが、こちらの《苦花》4枚に対して《天界の粛清》を2〜3枚サイドインするというサイドボーディング(考え方)は弱いと思う。もっと効果的なサイドボードがあるはず。

Round5は、
GPチャンプ同士の対戦となった

■Round 4 vs.『RB BlightningRed』
Game1 : 《思考囲い》→《苦花》→《苦悶のねじれ》×2で除去→《霧縛りの徒党》。ブンまわりで勝利。

Game2 : 《苦花》→《苦悶のねじれ》→《謎めいた命令》→《霧縛りの徒党》の流れで勝利。

感想 : 基本的に相性の悪いマッチアップだが、『青黒フェアリー』というデッキは相性差を乗り越える『ブンまわり』がある。

■Round 5 vs.『神話 Elf』
Game1 : 《苦悶のねじれ》×2→《ヴェンディリオン三人衆》《叫び大口》の6点クロックで、そのまま勝利。

Game2 : 《苦悶のねじれ》→《謎めいた命令》→《残忍なレッドキャップ》。その後は《ハリケーン》を喰らわない攻めを展開して勝利。

感想 : このマッチアップは《苦花》が無くても《呪文づまりのスプライト》《霧縛りの徒党》が活躍出来ますし、サイドの《コショウ煙/Peppersmoke》が2対1をほぼ確定でとれるので有利ですね。
■Round 6 vs.『BR Nyxathid』
Game1 : 《荒廃稲妻》の返しに《ジェイス・ベレレン》をプレイ。そのまま、《ジェイス》のアドバンテージを活かして勝利。

Game2 : 3T目《ジェイス》→4T目《謎めいた命令》→5T目《リリアナ・ヴェス》のコントロールモードで勝利。

感想 : 『青黒コントロール』のモードだと、《火山の流弾/Volcanic Fallout》は大して効かない。 このラウンドでも《火山の流弾》を打たれたが、2対1をとられただけなので、別のところでアドバンテージを稼げれば全然勝てる。

■Round 7 vs.『WR GAPPO』
Game1 : 《ジェイス・ベレレン》に攻撃させて時間を稼ぎ、《叫び大口/Shriekmaw》から流れを引き込んで勝ち。

Game2 : 《叫び大口》《その場しのぎの人形》の除去モードが強くて勝ち。

試合について詳しくは、下記のビデオカバレッジにて!

Finals Result : 全勝優勝

 

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