Round7 高梨光(埼玉) vs. 砂川康裕(東京)

By Naoaki Umesaki

最終ラウンドのフィーチャーマッチは第1番テーブル、6戦全勝の砂川康裕(東京)と5勝1分の高梨光(埼玉)の対戦となった。
他に全勝・1分のプレイヤーがいない為、事実上の優勝決定戦戦となったこのマッチ。 新環境を制し、参加者101人の頂点に立つのはいったいどちらか!?



    2005年度埼玉県チャンピョン、高梨

・高梨光(埼玉)

2005年度埼玉県チャンピョンとして、埼玉のトーナメントシーンではよく知られる存在である高梨。"ローウィン"が発売されてからは一貫して青黒フェアリーを使いこんでおり、もちろん本大会の使用デッキも青黒フェアリーである。
2年前に埼玉県選手権を優勝した時のデッキカラーも青黒、自ら「青黒LOVEですね、パーソナルカラーってやつですよ。」と語る。

本大会では《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》を搭載した珍しいチューンで勝ち上がってきたが、何故このようなチューンになったのか聞いてみた。

高梨 「簡単ですよ。 《霧縛りの徒党》を《その場しのぎの人形》で釣って、ずっと俺のターン!」

一見冗談のように聞こえるが、対ヒバリ戦において《その場しのぎの人形》を絡めた《霧縛りの徒党》連打を有効に使い勝利を収めており、メタゲーム的に厳しくなっていると言われている青黒フェアリーで工夫を凝らして勝ち上がってくるのは流石といったところか。


・砂川康裕(東京)
ここまで6戦全勝と絶好調である砂川のデッキは、前環境では見なかった緑単ビックマナというデッキタイプ。 今まで見なかったデッキタイプなのでデッキ内容について現段階では謎が多いが、こんな被害報告が届いてきている。

「《苔汁の橋/Mosswort Bridge》から《夜の群れの雄叫び/Howl of the Night Pack》をインスタントタイミングで打たれて負けましたよ」

「4ターン目に出てきた《薄暮の大霊/Oversoul of Dusk》だけに殴り殺されました。除去もバウンスもできないから、厄介。」

この他にも"シャドウムーア"のカードが色々と投入されているらしく、決勝戦の試合にギャラリーの注目が集まる。
Game1
ダイスロールの結果、砂川の先攻。 お互いにマリガン無く、ゲームスタート。

砂川は2ターン目《根の壁/Wall of Roots》から、 《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》プレイ→トークン製造という立ち上がり。
そして、次のターンには、《原初の命令/Primal Command》で高梨の《島/Island》をライブラリートップに送還しながら、《薄暮の大霊/Oversoul of Dusk》をライブラリーからサーチと綺麗な回りを見せる。

対する高梨だが、カウンターするか迷うような仕草を見せるだけで、ノーアクション。
場に出てしまったら、対処する術を持たないであろう《薄暮の大霊/Oversoul of Dusk》もスルー。
ようやく起こしたアクションは《ウーナの末裔/Scion of Oona》。

高梨「いわゆる、マリガンミスってやつですね(笑)」

高梨 0-1 砂川


Game2
第1ゲームをマリガンミスで落としてしまった高梨、このゲームは《島》《人里離れた谷間》《地底の大河》《祖先の幻視》《ヴェンディリオン三人衆》《瞬間凍結》《名も無き転置》という内容の初手をキープ。
砂川も初手をキープして、ゲームスタート。

高梨は《祖先の幻視/Ancestral Vision》待機、《ヴェンディリオン三人衆》と序盤の動きを見せる。
《ヴェンディリオン三人衆》の能力によって公開された砂川の手札は、土地カードと《未開の狩り/Hunting Wilds》《トリスケラバス》《原初の命令》。
高梨は、能力によって何もライブラリーボトムに送らないことを選択して、この手札の現状維持を選択。

続くターン、砂川は《ムウォンヴーリーの酸苔》《未開の狩り》とマナブーストを試みるが、高梨にそれぞれ《ルーンのほつれ》《瞬間凍結》でカウンターされてしまい、手札の重いカードが捌きづらく動きにくい状況へと追い込まれる。

試合のペースを握った高梨、《ヴェンディリオン三人衆》で3点のダメージクロックを刻みながら、待機が明ける《祖先の幻視》でドローを進め、《祖先の幻視》2号を待機、《苦花/Bitterblossom》プレイとリードをより大きなものにすると、砂川の反撃を全てカウンターして殴りきった。

高梨 1-1 砂川


Game3
優勝を決める大一番となった第3ゲームは、戦前に高梨が語っていた勝利の方程式が炸裂する試合となった。

砂川と高梨、お互いに1マリガンの手札をキープしてゲームはスタート。
序盤戦は砂川が積極的に仕掛けて、それを高梨が受ける展開。 《北方行》→《野生語りのガラク》は、《ルーンのほつれ》でカウンター。 次のターンに仕掛けた《剃刀毛のマスティコア》は場に通り、5点のダメージクロックを刻み始めるが、高梨は2回殴られたところで《謎めいた命令/Cryptic Command》でバウンス+1ドローで対処する。

これで場は一旦平らになり、ここからは高梨の時間だった。

《苦花/Bitterblossom》を貼って反撃体制への布石を作り、《ヴェンディリオン三人衆》で相手の手札に脅威がないことを確認。 そして、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》2連打と砂川のマナを縛りアクションを許さない。
砂川のデッキは、ほとんどのカードがソーサリー速度であるである為、《霧縛りの徒党》の効果は絶大だ。

砂川は次のターンに《突風線/Squall Line》で場を一掃することには成功するのだが、高梨から突きつけられたのは《霧縛りの徒党》を対象とした《その場しのぎの人形》!

砂川に、反撃の機会は与えられなかった。

高梨 2-1 砂川


高梨 
「AKKA先生に提案されて入れてみたんですけど、《その場しのぎの人形》は半端なく強かったですね。対コントロール系には今の試合みたいに《霧縛りの徒党》連打モードを作れて強いですし、対エルフは《叫び大口》を使い回せば有利に立てるでしょうし、同系でも《ウーナの末裔》を釣ったりね。」

1日を通して大活躍、そして優勝を決める最終戦の勝利を決めたのも《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》であった。 現状のメタゲーム的では厳しいとされ、使用者数も減っている青黒フェアリーだが、工夫を凝らしてまたメタゲーム上に浮上してくることを予感させられる結末となった。

Final Result : 高梨光 is FDC64th Champion !!

また、決勝戦の結果は高梨の勝利に終わった訳だが、両者ともメタの大本命であり本大会で一番の勝ち組デッキであるヒバリデッキを切り続けて決勝戦まで勝ち上がってきたことに注目したい。 ヒバリデッキが多いのなら、高梨のデッキはもちろん、砂川のデッキも有効な選択肢と言えるだろう。

さて、6日後の『日本選手権 東京1次予選』には一体どのようなデッキが勝ち上がってくるのだろうか?


除去しずらすぎと評判の1枚


超マナブースト


試合を決めた1枚