■Round 7:萩原 雄太(埼玉) vs. 鈴木 明由(神奈川)
By Daisuke Kawasaki
五竜杯100回記念に、神奈川のPWCから祝いの花が届き、それに対して、「この看板の1を3に書き換えて来月送り返してやる!!」と主催者が声を荒げる程度には仲の良い両大会。ちなみに、PWCは来月、300回記念大会をおこなう。 他に、千葉のLMCの主催も会場に挨拶の為に顔を出していたりと、関東圏の大会の主催者たちは、交流を深めているのだが、それ以上に、各大会でスタッフをしているメンバー同士の交流は多い。LMCは千葉で開催される事が多い関係上、地理的に相互に参加するスタッフは少ないが、五竜杯とPWCは、近隣で開催される事も多いため、双方を手伝うスタッフも多いし、また、片方にはスタッフとして、もう片方にはプレイヤーとして参加する人も少なくない。 個人的にそんなウチのひとりだと思うのが、鈴木 明由(神奈川)だ。あくまでも筆者の目から見て、の判断だが、鈴木はPWCにはスタッフとして参加している事が多いが、五竜杯には、多くの場合プレイヤーで参加しているように見える。 鈴木 「そうですねぇ……オンスロートの頃が最初の参加ですけど、多分、相当最初のころですね」 鈴木もまた、東板橋体育館時代からの参加者組なのだが、一方でその頃に一度マジックを引退し、今、総合ポイントでは上位になるほど五竜杯に参加するようになったプレイヤーもいる。 それが、対戦相手の萩原 雄太(埼玉)だ。 萩原は、いわゆる「時のらせん復帰組」で、オンスロート前後に一度引退した上で、「時のらせん」の懐かしさに惹かれ、マジックを再開した層だ。 |
ニックネームは「あっきー」、鈴木 |
五竜杯常連さんの一人、ヴァラクート萩原 |
そしてローウィン頃からは本格的に大会にも出始め、近隣店舗のFNMでは少し物足りない……と、思い始めた頃に五竜杯に出会ったという。 立地的な条件と、そして、求めていたトーナメント環境であるということで萩原は五竜杯のヘビーな常連となり、大会参加数ではかなりの上位となっている。 前述の通り、PWC、LMC、そして五竜杯の3大会は主催者同士での交流によってそれぞれの大会の良いところをある程度共有している一方で、自分の大会に他の大会にない個性を与えようと考え、それに成功している。 五竜杯は「トーナメントを提供する」ことをもっとも重視している大会だ。そして、そんな五竜杯のスタンスが、萩原を五竜杯に呼び寄せるのだろう。 Game 1 先手の萩原が《怒り狂う山峡/Raging Ravine》をセットするのに対して鈴木は《思案/Ponder》をプレイする立ち上がり。 萩原が2ターン目に《カルニの心臓の探検/Khalni Heart Expedition》をプレイした事で、萩原のデッキがヴァラクートであることは明らかになったが、2ターン目に《沸騰する小湖/Scalding Tarn》をセットした鈴木のデッキはまだ確定しない。 カウンターを構えている雰囲気のある鈴木に対して、萩原はおそるおそる《不屈の自然/Rampant Growth》をプレイ。これはカウンターされず、《進化する未開地/Evolving Wilds》とあわせて、ほぼクエストを達成できそうな雰囲気。 |
しかし、ここでターンエンドに鈴木がプレイしたのは、《彼方の映像/Visions of Beyond》。さらに《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》によって萩原の手札が《探検/Explore》と《原始のタイタン/Primeval Titan》、《森/Forest》2枚だと言う事を確認すると、ターンを終える。ターンの終了に萩原は《カルニの心臓の探検/Khalni Heart Expedition》を使用してマナを6マナに伸ばす。 自身のターンに土地をセットした上で《探検/Explore》をプレイする萩原。土地を8枚まで伸ばすと、次のターンに《マナ漏出/Mana Leak》をケアして《原始のタイタン/Primeval Titan》をプレイできるため、ここはターンを返す。 一方の鈴木は4枚目の土地をセットしてターン終了。これによって《マナ漏出/Mana Leak》を2枚打つ事が可能になったため、萩原の渾身の《原始のタイタン/Primeval Titan》はカウンターされてしまう。 ここまでに《山/Mountain》を鈴木がサーチしてきていたことで、鈴木のデッキは《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》デッキだろうと目処がついていたが、ついに《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》がプレイされ、あとはカウンターを載せていくだけとなる。 だが、萩原の手札からは、2体目の《原始のタイタン/Primeval Titan》が。これによって《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》がサーチされ、一気に今度は鈴木が守勢に回る事になる。 |
なんとかキッカー込みで2枚の《噴出の稲妻/Burst Lightning》をプレイし、《原始のタイタン/Primeval Titan》を墓地に送り込みつつ、《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》にカウンターを載せる事に成功した鈴木だったのだが……萩原の手札には、3枚目の《原始のタイタン/Primeval Titan》が。 萩原 1-0 鈴木 Game 2 後手の萩原はマリガンしたものの、《怒り狂う山峡/Raging Ravine》セットから2ターン目に《不屈の自然/Rampant Growth》という立ち上がりを見せる。だが、この《不屈の自然/Rampant Growth》は《思案/Ponder》で手札を充実させていた鈴木に《マナ漏出/Mana Leak》されてしまう。 続いて《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》によって萩原の手札を確認し、《召喚の罠/Summoning Trap》と《耕作/Cultivate》に土地が3枚という状況を確認すると、返すターンに萩原がプレイした《耕作/Cultivate》を通し、先の《召喚の罠/Summoning Trap》に備える。 |
ここで萩原は《怒り狂う山峡/Raging Ravine》の能力をプレイし、アタックしようとするのだが、アタッククリーチャー宣言前に《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》がプレイされ、タップされてしまう。 そう、鈴木のデッキはサイド後に《欠片の双子/Splinter Twin》デッキに変化していたのだ! だが、この時点で赤マナが1枚もない鈴木。手札にはすでに《欠片の双子/Splinter Twin》があり、さらに十分な枚数のカウンターもあるのだが、引いても引いても、赤マナを生み出す土地にたどり着けない。 そして、《怒り狂う山峡/Raging Ravine》が鈴木のライフを削り続ける。 結局、赤マナにたどり着けなかった鈴木は、《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》をチャンプブロックに使わなければならず、そのまま、赤マナに出会うことはなかった。 萩原 2-0 鈴木 萩原 「いつもは3連勝くらいはできても、そのまま失速しちゃうんですけど……今日はもしかしたらいけるかもしれないですね」 萩原にとって、五竜杯は、身近でありながら、なによりも目標とするトーナメントだ。 萩原 「せっかく、100回記念の時に、トップ8入れそうなんですから……今日こそ優勝したいですね」 |
「両大会のスタッフは週1ペースで一緒に夕飯会してまーす」 と仲の良さをアピールする梅咲ジャッジ |
「GR Valakut」 / Yuuta Hagiwara 第100回記念 五竜杯 / Top 8 |
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Main Deck | Side Board |
10《山/Mountain》 5《森/Forest》 4《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》 3《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》 3《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》 2《進化する未開地/Evolving Wilds》 1《怒り狂う山峡/Raging Ravine》 1《極楽鳥/Birds of Paradise》 1《草茂る胸壁/Overgrown Battlement》 3《ムル・ダヤの巫女/Oracle of Mul Daya》 4《原始のタイタン/Primeval Titan》 1《業火のタイタン/Inferno Titan》 2《ゼンディカーの報復者/Avenger of Zendikar》 3《稲妻/Lightning Bolt》 2《探検/Explore》 4《不屈の自然/Rampant Growth》 4《カルニの心臓の探検/Khalni Heart Expedition》 2《耕作/Cultivate》 2《砕土/Harrow》 3《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》 |
3《焼却/Combust》 3《紅蓮地獄/Pyroclasm》 2《自然の要求/Nature's Claim》 2《召喚の罠/Summoning Trap》 1《ガイアの復讐者/Gaea's Revenge》 1《忍び寄る腐食/Creeping Corrosion》 1《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》 1《強情なベイロス/Obstinate Baloth》 1《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》 |