■Round 4: 高梨 光(埼玉) vs. 中村 肇(東京)

By Daisuke Kawasaki

 100回記念となる本大会に向けて、ここ数回の五竜杯の総合結果をまとめてみると、獲得マッチポイントで1位となっていたのが高梨 光(埼玉)だった。

 獲得マッチポイントの合計なので、大会自体の参加数、もしくは、高い勝率のどちらかを達成していれば上位に入る事は可能であり、実際、多くの2桁参加プレイヤーと、少数の一桁参加プレイヤーがランキングに名を連ねている。しかし、その中で1位になるためには、参加数と勝率を両立させなければならず、なにが言いたいかと言うと、PWCやLMCのようにポイントレースをしていなため、いわゆる「ミスター」と呼ばれるプレイヤーが存在しない五竜杯だが、あえて「ミスター」を探すなら、いまは高梨だろう、ということだ。

 というわけで、このRound 4では、「ミスターFDC(仮)」高梨のマッチをお届けしよう。
 高梨の五竜杯初参戦は、ミラディン発売頃、まだ五竜杯が東板橋体育館で開催されていた頃だとのことだ。

 といった話をしていると、聞いても無いのに、会話に対戦相手も割り込んでくる。

対戦開始前、テーブルの会話は弾んだ 

中村
 「あぁ、《頭蓋骨絞め/Skullclamp》の親和とかあった頃っすね。僕も、そのころに五竜杯参加してましたよ、たしか」

 高梨と対するは、「2代目ミスターPWC」の中村 肇(東京)。最近、私生活が充実しているためかマジックが雑になったと様々なプレイヤーに言われている中村だが、実際の所、試合開始前のトークも雑で、全体的に会話が滑っている。

 そんな滑りまくりの中村が使用するデッキは、呪文も滑る、《呪文滑り/Spellskite》入りのCaw-Blade。一方の高梨は青黒コントロール。

 環境最強のクロックパーミを、コントロール寄りに調整してきたPWCの刺客を、五竜のミスターは、典型的コントロールで打ち倒すことができるだろうか。

Game 1

 後手の中村がマリガン。高梨は《喉首狙い/Go for the Throat》2枚と《マナ漏出/Mana Leak》《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》そして、《頭蓋骨絞め/Skullclamp》ならぬ《殴打頭蓋/Batterskull》に、土地が2枚というハンドをキープする。

 互いに自分の色のミシュラ土地を置いてターンを返し、中村の2ターン目《戦隊の鷹/Squadron Hawk》を高梨が《マナ漏出/Mana Leak》という序盤の攻防を経るが、高梨は3枚目の土地を引けない。
 
6年前の禁止カード 

『青黒コントロール』高梨、対戦開始前はリラックス
 代わりにここで引き当てたのが《定業/Preordain》。山札の上2枚には土地が無かったため、下に送り込みたいところだが、《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》を見て高梨は小考、結果、この《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》をドローし、プレイする。

 すると、中村の手札には2枚目の《戦隊の鷹/Squadron Hawk》が。《呪文貫き/Spell Pierce》《剥奪/Deprive》《呪文滑り/Spellskite》×2という手札をメモし、しばらく中村が《呪文滑り/Spellskite》をプレイし、高梨は土地を置いていくというだけのゲームが続く。

 土地が4枚揃ったところで高梨は《漸増爆弾/Ratchet Bomb》をプレイ。中村は《呪文滑り/Spellskite》を2枚出しており、枚数的には損をしてしまうのだが、結果、この《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を通す。高梨の残りマナは2マナ。

 中村はここで《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》をプレイ。高梨は《マナ漏出/Mana Leak》するのだが、すでに中村の手札には《呪文貫き/Spell Pierce》があることをしっている。《マナ漏出/Mana Leak》が《呪文貫き/Spell Pierce》され、《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》をもった《呪文滑り/Spellskite》がアタックしていく。

 ここで《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》《墓所のタイタン/Grave Titan》と高梨のフィニッシャークラスを立て続けにカウンターし、《殴打頭蓋/Batterskull》も《忘却の輪/Oblivion Ring》で対処した中村。《漸増爆弾/Ratchet Bomb》の起動の返しに追加の《呪文滑り/Spellskite》を中村がプレイしたことで、このままゲームが決まってしまうかと思われたが、高梨はX=4で《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith》をたたきつける。

 この《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith》がカウンターされず、中村の《天界の列柱/Celestial Colonnade》も《地盤の際/Tectonic Edge》で対処されてしまったため、互いに決め手のないゲームが続く。

 しかし、ここで中村の手札に《戦隊の鷹/Squadron Hawk》が駆けつけた。


 山札にはあと1枚しか《戦隊の鷹/Squadron Hawk》は残っていないのだが、消耗戦を経たこの戦場には2体の鷹がいれば十分。

 続いて、2枚目の《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》を中村がプレイすると、程なくして高梨は土地を片付けた。

中村 1-0 高梨


Game 2

 先手の高梨はマリガンの末に、色マナに不安のある6枚をキープせざるを得ない。

 なんとか《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》を引き当てた高梨は、《強迫/Duress》をプレイ。これをみて、中村は、ゆっくりと手札を晒す。

 手札の内容は《マナ漏出/Mana Leak》《呪文貫き/Spell Pierce》《戦隊の鷹/Squadron Hawk》《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》に土地が2枚というカロリーの高いもの。高梨はここから《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》をディスカードさせる。

 中村は、自身のターンに《地盤の際/Tectonic Edge》で《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》を破壊しターンを返すが、高梨は2枚目の《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》を引き当てていた。さらに《沼/Swamp》まで引いて、色マナの不安を完全に払拭したところで、今度は《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》をプレイ。《マナ漏出/Mana Leak》を捨てさせる。

 5マナある状況の中村は《戦隊の鷹/Squadron Hawk》をプレイ。これは《冷静な反論/Stoic Rebuttal》され、《定業/Preordain》をプレイして2マナ残してターンを返す。

 ここで高梨は《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》をプレイ。今度はこのデーモンは戦場に着地することを許され、しばらく中村は無敵タイムに突入する。中村無敵タイムだ!

 返しに中村が《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》を出したため、戦場は均衡するかと思われたが、高梨は2枚目の《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》をドローしたので、プレイ。《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》でアタックする。

「五竜の優勝経験は2回」と語るKAKAO中村

勝負に入り、真剣モードの高梨

 この《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》を《未達への旅/Journey to Nowhere》で対処し、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》と合わせて7点のダメージと2個の毒カウンターを与えた中村だったのだが、高梨は3枚目の《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》をドローする。

中村 「もう、おれのライフは守れないということか……」

 2体の《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》と、《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》がにらみ合う場になる。先に打開策を引き当てたのは中村。《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》を通し、《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》に装備させようとする。

 この装備こそスタックの《喉首狙い/Go for the Throat》で対処できたものの、マナが潤沢にある中村は兵士トークンに装備させ、プロテクション黒のアタック。だが、一方の高梨も《定業/Preordain》で積み込んでおいたカードをライブラリーのトップからたたきつける。

 そのカードは、《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》。

 このタップアウトの隙に、《天界の列柱/Celestial Colonnade》に剣を持たせ、高梨のライフを4まで削った中村だったら、最後の4点が遠い。

 《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》の2体目をプレイし、後は押し込みきれるかどうかという中村。数ターン以内にゲームを決めないと、枚数のアドバンテージで盤面をいつひっくり返されてもおかしくない。

 返しのターンに、《天界の列柱/Celestial Colonnade》のクリーチャー化と、兵士トークンの特攻によって、高梨のライフを2点まで削った中村。一方の高梨は潤沢な手札があるものの、《天界の列柱/Celestial Colonnade》に《地盤の際/Tectonic Edge》を使用し、兵士トークンのうちの1体を《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》でブロックしなければならなかったため、マナが無い。

 そのため、続く中村のターンに打ち込んだ決死の《喉首狙い/Go for the Throat》に対する《マナ漏出/Mana Leak》のマナを支払う事ができなかったのだった。

中村 2-0 高梨


 なお、高梨の「ミスターFDC(仮)」の称号に、(仮)がついているのは、主催者側の「戦績は申し分ないけど、キャラが滑っているので」ミスターを名乗らせにくかったという判断があったことを、最後に付け加えておこう。
「UB Control」 / Hikaru Takanashi
Main Deck Side Board
6《島/Island》
4《沼/Swamp》
4《闇滑りの岸/Darkslick Shores》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》
4《地盤の際/Tectonic Edge》

4《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》
2《墓所のタイタン/Grave Titan》
1《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》

3《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
1《殴打頭蓋/Batterskull》

2《強迫/Duress》
4《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
4《定業/Preordain》
4《マナ漏出/Mana Leak》
1《冷静な反論/Stoic Rebuttal》
1《乱動への突入/Into the Roil》
4《喉首狙い/Go for the Throat》
3《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
1《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith》
3《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk》
3《見栄え損ない/Disfigure》
2《呪文滑り/Spellskite》
2《蔑み/Despise》
2《瞬間凍結/Flashfreeze》
2《陰惨な再演/Gruesome Encore》
1《殴打頭蓋/Batterskull》

「UW Caw-Blade」 / Hajime Nakamura
Main Deck Side Board
5《島/Island》
3《平地/Plains》
4《金属海の沿岸/Seachrome Coast》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4《天界の列柱/Celestial Colonnade》
2《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》
4《地盤の際/Tectonic Edge》

4《戦隊の鷹/Squadron Hawk》
4《呪文滑り/Spellskite》
3《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》

3《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》
2《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》

4《定業/Preordain》
3《呪文貫き/Spell Pierce》
4《マナ漏出/Mana Leak》
2《剥奪/Deprive》
2《四肢切断/Dismember》
1《未達への旅/Journey to Nowhere》
2《忘却の輪/Oblivion Ring》
4《機を見た援軍/Timely Reinforcements》
3《瞬間凍結/Flashfreeze》
2《存在の破棄/Revoke Existence》
2《審判の日/Day of Judgment》
1《未達への旅/Journey to Nowhere》
1《否認/Negate》