観戦記事コーナー
 ◆◆◆ラウンドカバレージ◆◆◆
■Round 4 Yuuki Ichikawa(Magic Online) vs. Daisuke Ozawa(神奈川)
By Takuya Natsume
 今年で4年目となったEternal Festival Tokyo。去年を大幅に上回る316名の参加者のうち、唯一の2BYE持ちが市川ユウキである。

 彼については、先月のグランプリ北九州のイベントカバレージ(『【戦略記事】 Deck Tech: 小林“kbr3”崇人のジャンドゾンビ、そしてMagic Onlineという舞台』 http://coverage.mtg-jp.com/gpkit13/article/023363/)で取り上げられていたのでご存じの方もいるかもしれない。普段Magic Onlineでプレイしている市川は普段からレガシーをプレイしているわけではないものの、3月のグランプリ横浜のサイドイベントとして行われた「レガシー日本選手権・春」(参加者387名)を友人から借りたRUG Delverで優勝すると、先月のグランプリ北九州のサイドイベントで行われた「レガシー日本選手権」(参加者205名)でも再び友人から借りたRUG Delverで優勝した。なお、今日も「72枚くらい友人に借りた」RUG Delverである。やはり持つべきものは友人なのか。

 そんな電脳世界の有名人市川に対し、横浜で普段Magicをプレイしている小澤が挑む。小澤のデッキは青赤のOmni-Tell。Omni-Tellと言うと、青単で《狡猾な願い/Cunning Wish(JUD)》を使う形が一般的だが、小澤のデッキは青赤で《燃え立つ願い/Burning Wish(JUD)》を使用している。

【Game 1】
 先攻を取った市川だが、残念ながらダブルマリガン。しかも《不毛の大地/Wasteland(TMP)》を2枚並べるピリッとしない立ち上がり。そんな市川を尻目に、小澤は順調に《島/Island》を並べていき、《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》で手札を整えていく。

(Yuuki "瀬畑" Ichikawa)

 3ターン目、残念ながら色マナが出ないままターンを返した市川に対し、小澤は勝負を決めるべく《実物提示教育/Show and Tell(USG)》をキャストする。市川は《Force of Will(ALL)》で抵抗を試みるものの、《Force of Will》を返されて万事休す。
《全知/Omniscience(M13)》が戦場に登場し、《グリセルブランド/Griselbrand(AVR)》が無償でキャストされるのを確認すると、市川は場を片付け始めた。

市川 1-0 小澤

【Game 2】
 今度は小澤がダブルマリガン。しかし、先ほどの市川とは異なり、ダブルマリガンらしからぬ動きを見せる。1ターン目から《島》《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》《思案/Ponder(M12)》と動き、2ターン目のアップキープに先攻の市川が《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》の能力の誘発に対応してキャストした《渦まく知識》を、《Force of Will》で打ち消して変身を防ぐ。さすがにダブルマリガンということもあってこれ以上後が続かなかったが、市川の《秘密を掘り下げる者》もなかなか変身することができない。

 市川が黙々と1/1で殴り続けている間に小澤は《実物提示教育》《全知》を手に入れたが、盤石の手札を持っていた市川が、ようやく変身した《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》と《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》で小澤のライフを削りきる方が早かった。

市川 1-1 小澤

【Game 3】
 3度目の正直なのか、お互い7枚でGame3が始まる。
 先攻の小澤は《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》から持ってきた《島》から《定業》、市川も《Volcanic Island》から《秘密を掘り下げる者》と、お互い先ほどの2ゲームが無かったかのような好スタート。

 小澤は2ターン目に早くも動く。《溢れかえる岸辺/Flooded Strand(ONS)》から《Volcanic Island》を持ってきてキャストしたのは《燃え立つ願い》。市川は小考するもこれを通し、小澤は《実物提示教育/Show and Tell》を手札に加える。

 相変わらずなかなか変身してくれない市川の《秘密を掘り下げる者》だったが、《不毛の大地》で小澤の土地を攻めている間に、待望の《赤霊破/Red Elemental Blast(4ED)》をめくってようやく変身する。この3/2飛行・クリーチャーで小澤にのライフを削りつつ、先ほど公開した《赤霊破》や残り4枚の手札で相手の致命的な脅威に対処するという、RUG Delverとして理想の形を作ったが、惜しむらくは市川の土地が未だに《Volcanic Island》1枚しか無いため、手札を使い切れないことか。

(Daisuke Ozawa)



 この間、《定業》で手札を整えつつ土地を並べていた小澤だが、ライフが11まで減ったところで遂に動く。まず《溢れかえる岸辺》を起動して市川の《もみ消し/Stifle(SCG)》を引き出し、市川のマナを無くしてから《実物提示教育》で勝負に出る。市川の《Force of Will》を《赤霊破》でいなし、《全知》を出すことに成功した小澤だが、残念ながら《全知》で勝負を決められるカードを持っていない。ここから手札の《定業》、《渦まく知識》を無償でキャストしていくことで、《グリセルブランド》や《燃え立つ願い》まで辿り着かねばならない。しかし運の無いことにそれらを見つけられなかった小澤は、やむを得ず《赤霊破》で《昆虫の逸脱者》を破壊してターンを返す。

 九死に一生を得た市川はここでようやく2枚目の土地を引き、千載一遇の好機と見て《赤霊破》で《全知》を破壊しに行くが、これは小澤の《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》に阻まれ成就ならず。

 ここからお互い何もできないターンが数ターン続くが、先に動いたのは市川だった。2枚目となる《秘密を掘り下げる者》を出し、次のターンで《呪文嵌め/Spell Snare(DIS)》をめくって変身させ、小澤のライフを削りに行く。

 ライフが10から7、7から4となってしまった小澤は、ここでようやく引いてきた《燃え立つ願い》で勝負を掛ける。市川の《呪文嵌め》に対して《Force of Will》で抵抗するが、これには市川渾身の《Force of Will》によって打ち消されてしまう。
 次のターンの《昆虫の逸脱者》のアタックにより小澤のライフが1としたが、このターンにあと1点を削りきることができず、市川はターンを帰す。その小澤のラストドローは…《思案》。

 祈るようにライブラリーを上から3枚見ると、そこには待望の《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》が!

 《エムラクール》を「マナ・コストを支払わずにキャスト」し、追加ターンを得た小澤の《エムラクール》が、市川のライフもパーマネントも勝利も根こそぎ奪い去った。

市川 1-2 小澤

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