観戦記事コーナー
 ◆◆◆ラウンドカバレージ◆◆◆

■準々決勝 桜井 滉貴(大阪/Elves) vs. 堀江 勇(茨城/Sneak Show)
By Takuya Natsume

 316人の参加者を集めたEternal Festival Tokyo 2013もいよいよ残すところ3ラウンドである。ベスト8に残った8人で、《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》が28枚、《Force of Will(ALL)》が28枚と相変わらずの真っ青な環境だが、そのうち唯一、青で無いデッキ、「Elves」を使用してベスト8に残ったのが桜井だ。スイスランドでは《実物提示教育/Show and Tell(USG)》デッキに当たらなかったと言うが、対戦相手の堀江のデッキはバリバリの《実物提示教育》デッキ、「Sneak Show」である。

 《実物提示教育》デッキが今のレガシーのTier 1であることには間違いない。今回のEternal Festival Tokyo 2013のベスト8には、堀江を含めて3人の《実物提示教育》デッキが残っているのだが、3人ともかなり味付けが異なるデッキレシピとなっている。デッキリストはこちら(リンク)に掲載されているので、是非参考にしてみていただきたい。なお、堀江のデッキは従来の「Sneak Show」に加えて《全知/Omniscience(M13)》が搭載されており、スイスラウンドは《全知》で5回勝っているとのこと。


(Isamu Horie)
【Game 1】
 予選ラウンド2位の堀江が先攻。その堀江はマリガン後、6枚の初手も若干悩んだものの、これをがキープする。 
 その堀江の立ち上がり、《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》から《島/Island》を持ってきて《思案/Ponder(M12)》。ライブラリーを3枚めくってみると、上から
 《グリセルブランド/Griselbrand(AVR)》
 《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》
 《沸騰する小湖》
 となかなか有望なものだったが、残念ながら欲しいものではなかったのでシャッフルを選択。

 一方の桜井は《霧深い雨林/Misty Rainforest(ZEN)》から《Bayou》を持ってきてからの《Fyndhorn Elves(ICE)》。あまり馴染みの無いカードかと思われるが、アイスエイジに収録されているカードで、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》や《エルフの神秘家/Elvish Mystic(M14)》と同様の能力を持ったカードである。先月発売された『From the Vault Twenty』に再録されたので、もしかしたらレガシーをプレイされない方でもご存じの方は居るかもしれない。

 閑話休題。

 2ターン目のドローで、堀江は待望の《実物提示教育》をドロー。次のターンに向け、ここは《沸騰する小湖》を置いて静かにターンを返す。

 桜井もここで待望のカードを引いたが、それはさておき《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith(MBS)》(X=1)をキャスト。これは堀江の《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》に阻まれ、2枚目の《Bayou》から《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman(RTR)》を出すにとどまる。

 堀江は3枚目の土地となる《山/Mountain》を置き、《実物提示教育》をキャスト。予定通り手札の《グリセルブランド》を出したのだが、桜井が出したのはさっき引いた《テラストドン/Terastodon(WWK)》! 堀江の土地を3枚破壊して後続を断ち、わずかな望みを繋ぐ。

 しかし、7/7・飛行・絆魂・よく分からないドロー能力付きのクリーチャーが対戦相手の戦場に居ることには変わり無い。桜井はあの悪魔をなんとか展開力で突破すべく、《垣間見る自然/Glimpse of Nature(CHK)》をキャストするが、これに対応して《グリセルブランド》で7枚引いた堀江の《Force of Will》がこれを通さない。やむを得ず《テラストドン》でアタックして自身が生み出した象・トークン3体と相打ちすると、《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》を追加してターン終了を宣言する。

 今度は堀江が考える番だ。堀江は《グリセルブランド》でアタックし、自分のライフを17に回復させたあと小考する。悩むところは唯一点、《グリセルブランド》でカードを引くか、このままターンを返すか。桜井の手札は1枚だがライフは11あるので、殴りきるためにはあと2ターンかかる。そして、現状妨害できる手段を持っておらず、土地が破壊されてしまっているので戦力の追加も難しい。結局、堀江は7点のライフを支払ってカードを7枚引き、《水蓮の花びら》と《霧深い雨林》を置いてターンを返す。

 さて、桜井に残されたターンは、あと2ターン。桜井が先ほどのターン終了時に《死儀礼》の能力を起動したので、堀江のライフはあと8である。とりあえず《イラクサの歩哨》と《Fyndhorn Elves》でアタックして堀江のライフを5にした桜井が、第2メインフェイズに唱えたのは…《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger(VIS)》。

 《死儀礼》の能力を起動してあと3、《クウィリーオン・レインジャー》で《Bayou》を手札に戻し《死儀礼》をアンタップ、《Bayou》を出し直して《死儀礼》を起動してあと1としてターンエンド。

そして堀江のアップキープ。
 《クウィリーオン・レインジャー》で再びアンタップされた《死儀礼》が、堀江のライフを削りきった。

堀江 「(《グリセルブランド》で引いた中に)《Force of Will》無かったんだよねー…カード引かなければ良かった…」

 桜井 1-0 堀江

【Game 2】
 悔やまれる敗戦を喫した先攻の堀江は上々の手札をキープ。桜井が2ターン目にキャストした《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》に対して、《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》を経由してから《呪文貫き》。このターン土地を置けなかった桜井には1ターン目に出した《Bayou》と《死儀礼のシャーマン》しかなく、2マナを支払うことができない。
 上手く手札破壊を回避した堀江は、3ターン目に予定通り《実物提示教育》をキャスト。それに対し、桜井は《死儀礼》から「青マナ」を出すと宣言し、そこへ《被覆/Envelop(JUD)》を叩き込む!

 完全に流れを掴んだ桜井。返す刀で再び《思考囲い》で追い打ちをかける。
《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》
《グリセルブランド》
《呪文貫き》
《紅蓮地獄/Pyroclasm(7ED)》

(Tatsuo Sekimoto)

という手札から《紅蓮地獄》を落とし、《実物提示教育》や《騙し討ち/Sneak Attack(USG)》を引かれる前に殴りきる姿勢を見せる。

 その後も土地が少ないながら《イラクサの歩哨》《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》《エルフの幻想家/Elvish Visionary(M13)》《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote(SCG)》と展開していく桜井に対し、堀江は2枚目、3枚目の《エムラクール》を引いてしまい、身動きが取れない。

 結局、《陰謀団式療法/Cabal Therapy(JUD)》で妨害要素の無いことを確認した桜井が、《自然の秩序/Natural Order(VIS)》から《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth(AVR)》を呼び、準決勝への切符を手にしたのだった。

桜井 2-0 堀江


 Game 2の《被覆》について、「直前の《思考囲い》がカウンターできたので正直油断していた」とは堀江の弁。確かに、Game 1でもGame 2でも桜井は《Bayou》とフェッチランド、あと《森/Forest》しか置いておらず、見事な奇襲だった。

 筆者はElvesを使ってみたことが無かったので、桜井に対Sneak Showについてどう考えているかを聞いてみた。

桜井 「メインはかなり厳しいです。Game 1みたいに《実物提示教育》で1枚しか入ってない《テラストドン/Terastodon》を出せれば勝負になるかも、くらいで。サイドから《被覆/Envelop》や手札破壊をを併せて12枚サイドインするので、そこから勝負します。」

 決勝ラウンドに《実物提示教育》デッキが3人も残る厳しい状況の中で、見事金星を挙げた桜井。この勢いで優勝まで駆け抜けられるだろうか。
 彼の準決勝の相手は《実物提示教育》では無いが…一緒に関西からやってきた盟友、関本 達生(大阪)である。




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