観戦記事コーナー
 ◆◆◆ラウンドカバレージ◆◆◆

■決勝戦 関本 達生(大阪/UWR Mirracle Control) vs 清水 俊樹(山梨/Sneak Show)
By Takuya Natsume


 Eternal Festival Tokyoはもともと「関東圏レガシー最強決定戦」というコンセプトで始まった大会だが、日本全国から腕に覚えのあるプレイヤーが集まることから、遠征勢の活躍が目立つ大会である。特に関西勢の活躍はめざましい。初年度の優勝者は大阪の服部 皓太であったし、去年も玉田 遼一(大阪)がベスト8に残り、今年もベスト8に2人を輩出した。そして今年の決勝卓に座るのは関本 達生(大阪)。「青白赤奇跡コントロール」を操る彼は、同じ新幹線で東京までやってきた桜井 滉貴(大阪)を準決勝で倒してここまで勝ち上がってきた。桜井の分まで、大阪へ3年ぶりにタイトルを持ち帰ることができるか。


(Toshiki Shimizu)


 一方の清水 俊樹(山梨)。山梨のカードショップ店員である彼は地元では知られた存在なのだが、本人曰く出不精とのことで普段はあまり大会には参加していない。とはいえ、去年のEternal Festival Tokyo 2012にも参加して6連勝したものの、7戦目、8戦目と立て続けに落とし、目前まで迫ったベスト8を逃してしまった。その悔しさをバネに練習を重ねてきた清水が駆るデッキは、去年と同じ《実物提示教育/Show and Tell(USG)》デッキ、「Snerak Show」である。

 参加者316名の頂点を決める戦いが始まった。

【Game 1】
 予選ラウンド3位の関本が先攻を選び、7枚の初手をキープ。一方の清水はマリガンを選択した。マリガン後の手札は土地が1枚しかないものの、《思案/Ponder(M12)》《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》があることから土地を引きに行けそうである。

 関本の初動は《Tundra》から《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(CHK)》。2,3年ほど前まではメジャーな動きだったが、最近はメタ・ゲームが変わったせいか、少し珍しくなったように思える。
 通常ドローで土地を引けなかった清水は、とりあえず2点のライフを支払って《ギタクシア派の調査》。これにより、関本の
・2枚目の《師範の占い独楽》
・《相殺/Counterbalance(CSP)》
・《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》
・《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》
・《平地/Plains》
 という手札が公開される。青マナを引かれると次のターンに《相殺》を置かれる可能性があり、よしんば《実物提示教育》が打ち消されなかったとしても、対応して《ヴェンディリオン》が出せる状況になってしまう。とはいえ、現状清水にできることでは無い。幸いにもこのキャントリップで無事土地を引けたため、《思案》を打ってからターンを返す。

 2ターン目のアップキープ、関本は《独楽》を起動せずにカードを引く。残念ながらここでは青マナを引き込めず、《平地》を置いてターンを返す。

 清水は2ターン目に《古えの墳墓/Ancient Tomb(TMP)》を出したことでこのターンに《実物提示教育》をキャストすることが可能になる。対戦相手は《Force of Will》を持っていない可能性が高く、手札を考えればあまり長期戦は望ましくないところではあるが、このターンは動かずにターンを返す。


 関本はターン終了時に《独楽》を起動するが、なんと青マナどころか土地を見つけられない。しかたなく何もせずにターンを終え、終了時に清水が唱えた《直観/Intuition(TMP)》も通す。清水は《Force of Will》を2枚と《誤った指図/Misdirection(MMQ)》を持ってきて、関本の選択した《誤った指図》を手札に加える。

 用意が調った清水は《実物提示教育》。関本の《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》に先ほど持ってきた《誤った指図/Misdirection(MMQ)》を合わせて押し通し、《騙し討ち/Sneak Attack(USG)》を出すことに成功する。残った《Volcanic Island(3ED)》から《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》を走らせ、関本のパーマネントをすべて吹き飛ばす。

 既に土地が詰まっていた関本にできることは無い。次のターン、清水の手札に残されていた《思案》が《直観》を見つけてくると、関本は投了した。

関本 0-1 清水


【Game 2】
《Volcanic Island》《Tundra》と静かにデュアルランドを並べる関本に対し、再び清水の《ギタクシア派の調査》からゲームが始まる。

今度の関本の手札は
・《狼狽の嵐/Flusterstorm(CMD)》
・《呪文貫き》
・《ヴェンディリオン三人衆》
・《摩耗+損耗/Wear+Tear(DGM)》
・《Volcanic Island》
といった充実した手札が公開される。

 その後もお互い土地を置いてターンを返す展開。清水のターン終了時に関本が《ヴェンディリオン》を唱えるも、これは《赤霊破/Red Elemental Blast(4ED)》で一蹴される。

 4ターン目、清水がもう一度《ギタクシア派の調査》。
・《狼狽の嵐/Flusterstorm(CMD)》
・《呪文貫き》
・《摩耗+損耗/Wear+Tear(DGM)》
・《Force of Will(ALL)》

 …よりによって《Force of Will》が増えている。
 しかし、このキャントリップで待望の《エムラクール》を引く。この時点で清水の手札は以下の通りで、クリーチャー待ちの状況だったのだ。

・《思案》
・《実物提示教育》
・《騙し討ち》2枚
・《Force of Will)》
・《裏切り者の都/City of Traitors(EXO)》

 しかし、ここでは一旦待つことを選択。《裏切り者の都》を置いてターンを返す。

 次のターン、関本が何もせずにターンを終了したのを見て、清水は意を決して《実物提示教育》。これに対して小考した関本、ひとまず《狼狽の嵐》。清水が2マナを支払った後に、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》から《狼狽の嵐》をフラッシュバックして《実物提示教育》を打ち消す。

(Tatsuo Sekimoto)


 ここで《外科的摘出/Surgical Extraction(NPH)》を引いた関本は、すぐに《実物提示教育》を対象に打つことを選ぶ。これにより《騙し討ち》が2枚ある清水の手札を確認した結果、現在の手札ではすべてに対応しきれないことも確認することとなってしまう。

 しかも5枚目のここで土地を置けなかった関本は、1枚目の《騙し討ち》こそピッチ・コストの《Force of Will》で打ち消したが、2枚目の《騙し討ち》は通さざるを得ない。

 無事《Force of Will》を使うこと無く《騙し討ち》を通した清水は、残った1マナを使って《エムラクール》を場に出す。《エムラクール》がアタックすればほぼ勝ちの状況ではあるのだが、関本のライフはあと16なので、勝つためにはあと1回アタックしなければならない。《実物提示教育》をすべて追放した関本は、この出てしまった《騙し討ち》さえ対処してしまえば、ライフ1からの大逆転が見えるのである。そのために《騙し討ち》へ《損耗/Tear》を。清水の手札に《Force of Will》があるのは分かっているため、渾身の《狼狽の嵐》で対抗するが、清水の手札から飛んできたのはもう1枚の《Force of Will》。

 この結果、関本のライフは1となり、すべての土地は吹き飛び、相手の場には《騙し討ち》が残った。

 関本が望むべくは、清水の残り1枚の手札がクリーチャーで無いことだけだったのだが。

 彼の最後の手札は残念ながら《大祖始/Progenitus(CON)》で…

 …付け加えるなら、彼の最後のドローは《エムラクール》だった。

関本 0-2 清水

Eternal Festival Tokyo 2013 優勝者は 清水 俊樹(山梨)!



『Eternal Festival Tokyo 2013』
優勝者 清水 俊樹(山梨/Sneak Show)



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