■Round 8: 安田 真幸(大阪) vs. 千葉 晶生(北海道)

By Junya Takahashi

いよいよ、長かった予選ラウンドにも終わりが見えてきた。プレーオフ進出の可能性を残したプレイヤーも絞られている。このラウンドのフィーチャーマッチでは、その僅かな席を争う上位テーブルのゲームをお届けしよう。

遠路大坂からの遠征勢である安田は青赤の『Sneak Show』というコンボデッキを使っている。《実物提示教育/Show and Tell》と《騙し討ち/Sneak Attack》の2枚を軸に、《グリセルブランド/Griselbrand》と《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》を高速で展開するデッキだ。

対する千葉は、北海道から『プロツアー・ラブニカへの回帰』に向けた調整のため上京したついでに今大会に参加している。あらゆる構築フォーマットにおいて独自の調整を施したデッキで成功を収めているプレイヤーで、今回は《魔力の乱れ/Force Spike》や《戦隊の鷹/Squadron Hawk》を採用した『青白石鍛冶』の亜種で参加している。

残るラウンドは二つ。望みをつなぐのはどちらだ。

●Game 1
ダイスロールを勝利した千葉は、《思案/Ponder》を重ねてプレイし、安田の《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を《Force of Will》で弾く好調な滑り出しを見せる。

安田の1ターン目のセットランドは《Karakas》だった。その挙動を不審に見た千葉は、《師範の占い独楽》への《Force of Will》と合わせて《不毛の大地/Wasteland》でマナトラブルを咎めにいくと、その読み通りに安田の手札から2枚目の土地は置かれなかった。

だが、マナトラブルを抱えたのは安田だけでない。千葉も僅か2枚の土地で止まってしまったのだ。なんとか安田の《思案》を《魔力の乱れ》で退けて泥沼に引きずりこむが、先に水面から顔を上げたのは安田だった。

2枚目の《思案》で2枚目の土地と《水蓮の花びら/Lotus Petal》を確保したのだ。数ターン前から《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》を抱えていた千葉だったが3枚目の土地は見えず、この安田の《思案》とすれ違うように3枚目の土地にめぐり合えた。

数ターン遅れのかつての予定通りに安田のドローステップに合わせて《ヴェンディリオン三人衆》を走らせると、明かされた8枚は以下のものだった。

・《実物提示教育/Show and Tell(USG)》
・《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》
・《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》
・《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》
・《騙し討ち/Sneak Attack(USG)》
・《騙し討ち/Sneak Attack(USG)》
・《グリセルブランド/Griselbrand(AVR)》
・《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》

合計68マナである。

それはともかく、アクティブなカードは少ない。安田の場には3マナしかないため、考慮すべきは4マナ以下の4枚だろう。手札に《Force of Will》を持っていない千葉は、手札にある《拘留の宝球/Detention Sphere》を見て悩むも、《実物提示教育》を下に送った。

《ヴェンディリオン三人衆》による追加のドローは土地ではなかったようで、安田はそのままターンを返す。

大阪からの遠征、安田

この分水嶺をすぎるとゲームは一気に千葉へと傾いていった。《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》と《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》が追加され、《拘留の宝球/Detention Sphere(RTR)》が安田の《水蓮の花びら/Lotus Petal(TMP)》を取り除く。

あわやと思わせる瞬間があったものの、紙一重の差で千葉が勝利をもぎとった。

安田 0-1 千葉


●Game 2
マナトラブルに始まり、ずぶずぶの展開が目立ったGame1だったが、安田の先手番で始まったGame2は打って変わった展開を見せる。

先手2ターン目に着地した安田の《師範の占い独楽》が機能してしまったのだ。千葉の手札にはクロックがなく、ターンが過ぎ、ただ安田の手札の質だけが上がっていく。

千葉が状況を打破できるカードは《ヴェンディリオン三人衆》しかないが、《思案》を重ねてもなかなか辿り着くことができない。

むしろ安田から《ヴェンディリオン三人衆》が差し出され、窮地に追い込まれてしまう。手札の内容が暴かれたものの、安田の《実物提示教育》は無事に《Force of Will》でいなす。その交錯の間に千葉は《外科的摘出/Surgical Extraction》をプレイし、安田の手札が

・《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer(TOR)》
・《残響する真実/Echoing Truth(DST)》
・《グリセルブランド/Griselbrand(AVR)》
・《渦まく知識/Brainstorm(ICE)》

の4枚だと確認する。

当面の脅威は去ったと一息ついた千葉だったが、安田の《渦まく知識/Brainstorm》がもたらしたものは《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《騙し討ち》だった。

《Karakas》で戻そうと試みるも、戦闘前に戻すと再び《騙し討ち》され、戦闘中に戻すともう6つのパーマネントが滅殺されてしまっている。手詰まりをみた千葉は静かにカードをデッキに戻した。

安田 1-1 千葉

●Game 3
Game3にまでもつれこみ、再び先手は千葉へと移った。テンポよく《思案》から《翻弄する魔道士/Meddling Mage》(指定は《実物提示教育》)と繋いで理想的な立ち上がりを見せるが、そこに安田の《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》が待ったをかける。

これを対処できない千葉は3枚目の土地さえも見つけられずにターンを返すこととなる。当然《翻弄する魔道士》は《渋面の溶岩使い》に打ち落とされ、勝機は失われたかと思われた。

だが、幸運なことに安田の墓地にはカードが少なく、《渋面の溶岩使い》の弾数は目に見えて少ない。それを見るや千葉は《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》と《ヴェンディリオン三人衆》でなだれ込む。

安田の唯一の攻め手の《騙し討ち》は《Force of Will》で弾き、《Karakas》のバックアップを受けて安全圏に飛び立った《ヴェンディリオン三人衆》が順調に打点を刻んでいく。

途中、安田の《赤霊破/Red Elemental Blast》が刺さって2体の《ヴェンディリオン三人衆》を失うものの、安田のドローの大部分はラグでしかなく、延長最終ターンでぎりぎり残り数点のライフを削り落とした。

安田 1-2 千葉

北海道からの遠征、千葉