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2015年12月26日(土曜)〜27日(日曜)開催 『Eternal Festival Tokyo 2015』カバレージページ

カバレージCaverage

■準々決勝相澤恵司(茨城)vs.永見陽一(東京)
By Naoaki Umesaki
2015年のレガシー・フォーマットを総括する上で、春に開催された『グランプリ京都 2015』を外すことは出来ないだろう。レガシーでのグランプリが日本で初めて開催されたことによって、これまでレガシーを遊んだことが無かった人もレガシーを遊ぶようになり、フォーマットに新たな風や盛り上がりを感じるようになったことはレガシー界の歴史においても大きなトピックだ。

そして、関東圏レガシー最強決定戦を謳って開催されている『Eternal Festival Tokyo 2015』においても、新しい風を感じることが出来た。レガシーを中心に遊んでいる層ではなく、スタンダードを中心に遊んでいる層の台頭である。

今から始まる準々決勝を戦う相澤恵司(茨城)と永見陽一(東京)は、両者とも関東圏で開催されているスタンダードの草の根大会において活躍しているプレイヤーで、公式ビックイベントでの戦績も十分。相澤は『The Finals 2010』Top8入賞、永見は『グランプリ横浜 2012』Top8入賞といった結果を残してきている。

参加者が300名を超える大型レガシー大会の決勝ラウンドにおいて、スタンダード草の根大会系プレイヤーが激突するという光景を見ると、改めてレガシー界が様々な層のプレイヤーが入り乱れる戦乱の時代に入ったことを実感させられる。
2016年冬にレガシーで開催される『グランプリ千葉』に向けて、もう戦いは始まっているようだ。


●相澤恵司(茨城)、戦前簡易インタビュー
−「お疲れ様です。『ANT』を使用してのTop8入賞おめでとうございました。これから行う準々決勝戦について、簡単にお話を聞かせて頂ければと思います。」

相澤「対戦相手の永見さんはいつもオリジナルデッキを使っていて、レガシーでもオリジナルデッキを持ち込んできたようです。色は青白緑で、構成は中マナ域に寄せたビートダウンデッキ。詳しい内容は分からないので、相手が動き出すよりも早くコンボを決めるといった簡単な指針くらいしか立っていません。」

−「なるほど。」

相澤「メイン戦は相手に妨害手段があまり無いと思うので、こちらが有利でしょう。サイド後、相手のデッキがどれくらいの妨害手段が入れてくるかどうか。あとは、スイスドローでの順位でこちらが先手を取れるのは大きいですね。総合すると、やや有利くらいだと思います」

−「どういったところがキーポイントになりそうですか?」

相澤「相手はオリジナルデッキなので、どんなカードが飛んでくるか分からない不安が大きい。ですので、手札破壊系の呪文や《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》で相手の手札を確認して、いかに安全にコンボを決められるかといったところが重要になってくると思います」

−「ありがとうございました」

●永見陽一(東京)、戦前簡易インタビュー
−「お疲れ様です。オリジナルの『Bant Aggro』を使用してのTop8入賞、おめでとうございました。これから行う準々決勝戦について、簡単にお話を聞かせて頂ければと思います。」

永見「コンボデッキにはあまり干渉できないデッキ構成なので、かなり厳しい戦いになると思います。相手のコンボ完成が遅いことを祈って、なるべく早く殴り切るってだけですね。」

−「サイド後はどうでしょうか?」

永見「サイドから入るのは《被覆/Envelop》《金輪際/Nevermore》《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》とかですか。あまり有用じゃないけど、メインに入ってるクリーチャー除去よりかはマシだから《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》とかも入れるのかな。まぁ、このように相手の致命傷となるようなカードも少ないので、かなり厳しい戦いですね。相性的には2:8くらいくらいだと思います。」

−「ありがとうございました」

『ANT』相澤恵司(茨城


『UWG Aggro』永見陽一(東京)




●Game 1
先手の相澤は、《強迫/Duress》2枚、《水蓮の花びら/Lotus Petal》、《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》、《冥府の教示者/Infernal Tutor》、土地2枚といった中々の初手をキープ。

対する永見は不運にもダブルマリガンでのスタートとなってしまうが、どこか涼しい顔。事前インタビューで「メイン戦は相手に干渉できるないので絶望的」と語っていたので、「どうせメインは負け勝負」と気楽に受け止めているのかもしれない。

ゲームは、相澤の《強迫/Duress》でスタート。
公開された永見の手札は、《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》、《貴族の教主/Noble Hierarch》、土地3枚。《強迫》で落とせるカードは無かったが、コンボの邪魔になる《ヴェンディリオン三人衆》の存在を事前に確認することが出来た。

そして、永見の第1ターンは《貴族の教主》で終了。

相澤の第2ターン、まずは《渦まく知識/Brainstorm》で手札を整えつつ、引いてきた2枚目の《冥府の教示者/Infernal Tutor》をライブラリーの2番目に積むと、次のターンにコンボを決めるべく《強迫/Duress》で相手の手札を再確認。永見の手札に増えているカードが《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》であまり問題がないことを確認して、終了した。

永見の第2ターンは土地を置いて、《ヴェンディリオン三人衆》を出せる構えにして終了。

相澤の第3ターン、いよいよゲームが本格的に動き出した。
まず相澤が《水蓮の花びら/Lotus Petal》を唱えたところで、永見が《ヴェンディリオン三人衆》をキャスト。
相澤の手札を確認して、《冥府の教示者》と《ライオンの瞳のダイアモンド》の2択から《冥府の教示者》を抜くのだが、相澤は先ほど《渦まく知識》でトップから2番目に《冥府の教示者》を隠していたので、結果的に手札の内容は変わらず。

そして、相澤は《ライオンの瞳のダイアモンド》からマナを出しての《冥府の教示者》キャスト。
サーチしてきた《むかつき/Ad Nauseam》を唱えると、これによって《炎の中の過去/Past in Flames》、《ライオンの瞳のダイアモンド》2枚、《暗黒の儀式/Dark Ritual》、《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》といったカードがめくれていく。
コンボ完成に十分な量を確認してから、相澤は《むかつき/Ad Nauseam》のStopを宣言。

2枚の《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動して、《炎の中の過去/Past in Flames》をフラッシュバック。
《暗黒の儀式》→《陰謀団の儀式》→《冥府の教示者》→《苦悶の触手/Tendrils of Agony》にて勝負あり。
教科書通りの鮮やかな手順で相澤が1本目を先取した。

相澤 1-0 永見


永見「うーん、《ヴェンディリオン三人衆》で手札を見たところ、《冥府の教示者》ではなく、《ライオンの瞳のダイアモンド》を抜くべきでした?」

相澤「《渦まく知識/Brainstorm》で何をライブラリートップに隠されてるか分からない状況だから、判断は難しいよね。どちらを抜いても裏目はある場面だったし。」

●相澤のサイドボーディング
【Out】
2《定業/Preordain》
1《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》

【In】
2《見栄え損ない/Disfigure》
1《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
●Game 2
先攻の永見、《石鍛冶の神秘家》、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》、《金輪際/Nevermore》、《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》、土地2枚といった初手をキープ。

後攻の相澤は、《暗黒の儀式》2枚、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》、《ライオンの瞳のダイアモンド》、土地3枚といった内容の手札をキープ。

永見が第2ターンに《石鍛冶の神秘家》を出し、《殴打頭蓋/Batterskull》をサーチしてくるところからゲームがスタート。

返すターン、相澤は《冥府の教示者》を引いて、手札にコンボパーツが揃ってきた。
マナが足らずこのターンで決めに行くことは出来ないが、次のターンにコンボを決めに行けるかどうか、まずは手札確認の《陰謀団式療法/Cabal Therapy》をキャスト。宣言はコンボ妨害手段の《Force of Will》だ。

しかし、公開された永見の手札に《Force of Will》はなく、あったのは《金輪際》《精神壊しの罠》といったコンボ妨害カード。
相澤はいたって冷静にメモをとるが、状況は芳しくない。

永見にターンが返り、《石鍛冶の神秘家》の能力によって戦場に登場した《殴打頭蓋/Batterskull》がアタックを開始。そして、《金輪際/Nevermore》によって《苦悶の触手/Tendrils of Agony》が禁止される。

相澤の手札にパーマネント対処手段はなく、次のターンには永見の戦場に《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》も追加される。猛烈なダメージクロックだ。

相澤はここでパーマネントに触れる《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》を引いてくるが、永見の手札に《精神壊しの罠》があることを知っており、これ1枚で逆転できる状況ではない。相澤はサイドボードに手を伸ばした。

相澤 1-1 永見

相澤は、サイドインしていた《見栄え損ない/Disfigure》の2枚目を、先ほどサイドアウトしていた《定業/Preordain》の3枚目と交換。


●Game 3
再び先攻となった相澤は、《暗黒の儀式》、《陰謀団の儀式》、《陰謀団式療法》、《渦まく知識》、《定業》、土地1枚といった初手をキープ。
《冥府の教示者》などの決め手段に繋がるカードは無いが、軽量ドロー呪文やマナ加速は十分。文句はない初手だろう。

相澤の第1ターン・第2ターンは、軽量ドロー呪文を唱えて手札を整える動き。

そして、永見が第2ターンで《石鍛冶の神秘家》をキャストして《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》をサーチした返しでゲームが動き出した。

まず、相澤は2点のライフを支払って《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》で相手の手札を確認。永見の手札に妨害手段が何もないことを確認すると、このドローで《むかつき/Ad Nauseam》をトップデッキ。欲しかった勝ち手段に向かうカードだ。

条件は全て揃った。あとの話は簡単だ。
《暗黒の儀式》の連打から、《陰謀団の儀式》。大量のマナを確保すると、《陰謀団式療法》を挟む余裕を見せながら、3マナを浮かせての《むかつき/Ad Nauseam》。

2枚の《ライオンの瞳のダイアモンド》、《暗黒の儀式》、《冥府の教示者》と見えたところで、相澤は《むかつき》のストップを宣言。
あとは、適当に《ライオンの瞳のダイアモンド》からの《冥府の教示者》で《苦悶の触手》をサーチしてきて、決めるだけだ。

永見は苦笑いで投了を宣言した。

相澤 2-1 永見

相澤恵司(茨城)、準決勝進出!