■Round 7: 青柳 元彦(神奈川) vs. 橋口 健太郎(東京)

By Daisuke Kawasaki

 全勝プレイヤーは、第6ラウンド終了時で3名。そのうちのひとり、仙波は1引き分けラインの吉原と対戦することになったため、このラウンドで唯一の全勝対決となったこのマッチをフィーチャーしよう。

 仙波が吉原に負ければ、この勝者が会場唯一の全勝者となるわけで、それを除いても、このマッチの勝利はすなわちイコール決勝ラウンドへの進出確定である。

 チームアメリカを使用する橋口に対して、《集団意識/Hive Mind》型のSnTを使用する青柳はかなり不利だが、その前評判を覆して、決勝進出を決めることはできるか。

Game 1

 先手の青柳は、《汚染された三角州/Polluted Delta》を起動して《島/Island》を戦場に出し、《定業/Preordain》をプレイする。対して、橋口は《思考囲い/Thoughtseize》をプレイ。

 ここで提示された手札は、《思案/Ponder》が2枚に《渦まく知識/Brainstorm》が2枚、そして《古えの墳墓/Ancient Tomb》と《否定の契約/Pact of Negation》というもの。ここから《否定の契約/Pact of Negation》をディスカードさせた橋口は、ターンを終える。

 青柳は《不毛の大地/Wasteland》で割られるのを嫌って《古えの墳墓/Ancient Tomb》をセットせずにターンを終了。そこに橋口の《Hymn to Tourach》が突き刺さる。

 対応しての《渦まく知識/Brainstorm》で虎の子である《古えの墳墓/Ancient Tomb》と《集団意識/Hive Mind》を山札に逃がした青柳だったのだが、《渦まく知識/Brainstorm》で引いて来た《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》がディスカードさせられることとなり、結果、トップがシャッフルによってリフレッシュされてしまう。

 何とか《思案/Ponder》と《渦まく知識/Brainstorm》で手札を整理し、体制を立て直そうと画策する青柳なのだが、2枚目の《思案/Ponder》は《目くらまし/Daze》でカウンターされてしまい、なかなか思うようにゲームをすすめられない。

 だが、決して橋口も楽な体制ではない。とにかく、クロックが用意できていない状況なので、青柳がきちりと体制を整える時間を与えてしまいかねないのだ。現に、青柳はすでに《否定の契約/Pact of Negation》《タイタンの契約/Pact of the Titan》という契約2種と《集団意識/Hive Mind》は取り戻してしまっているのだ。青柳は手札に残し続けていた《古えの墳墓/Ancient Tomb》を、5マナになるという理由でセット、次のターンに土地をトップデックすれば《集団意識/Hive Mind》を撃てる形を作る。

 とはいえ、手札には2枚の《Force of Will》と《もみ消し/Stifle》を持っているので、準備は万端。トップデックしてきた《Hymn to Tourach》をプレイして、契約2種をディスカードさせ、さらに自分の時間を稼ぐ。《不毛の大地/Wasteland》が《古えの墳墓/Ancient Tomb》を破壊し、さらに時間を稼ぐ。

『Team アメリカ』、橋口

 橋口の《思考囲い/Thoughtseize》が《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》を再び捨てさせ、またも、墓地は山札に戻される。なかなか有効牌を引けないでいた橋口ではあったが、ついに《渦まく知識/Brainstorm》を引き当て、そしてフェッチをセットする。

 だが、《渦まく知識/Brainstorm》がもたらした3枚の中には、まだクロックがない。淡々と土地を並べていく青柳も有効カードを引けていないのは明らかなので、急ぐ必要はないものの、クロック無しでは均衡状態を維持するだけでしかない。

 この均衡状態を打破したのは、橋口がやっとトップデックした《墓忍び/Tombstalker》だった。青柳のライフは18点残っているので4ターンクロックではあるものの、青柳が動き始めることを強要するには十分なクロックだ。

 結局、青柳は不十分な状態ながらも《集団意識/Hive Mind》をプレイしなければならない。橋口はこれを《Force of Will》をコストにしての《Force of Will》と、まだまだ手札に余裕があることをみせるプレイで対応。《墓忍び/Tombstalker》のアタックが、青柳のライフを13にする。

 だが、青柳の手札には、二の矢、2枚目の《集団意識/Hive Mind》があった。この《集団意識/Hive Mind》をコストを払っての《Force of Will》で対処する橋口だったが、《否定の契約/Pact of Negation》でカウンター仕返されてしまい、《集団意識/Hive Mind》が着地することを許してしまう。

 これで、トップデック《タイタンの契約/Pact of the Titan》でワンチャンス逆転が生まれた、ライブラリーは青柳にこたえてくれなかった。とはいえ、そもそも橋口の手札には前述のように《もみ消し/Stifle》が握られていたのだが。

橋口 1-0 青柳

Game 2

 Game 1よろしく、1ターン目の《定業/Preordain》でゲームを開始した青柳。対する橋口も《思案/Ponder》で対抗する。

 青柳はさらに《汚染された三角州/Polluted Delta》をセットして《渦まく知識/Brainstorm》をプレイ。《実物提示教育/Show and Tell》からの《大祖始/Progenitus》というプレイへの布石を固めつつ、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》のプレイで、橋口の墓地利用へ牽制をする。

『SnT』、青柳

 だが、橋口の《Hymn to Tourach》がこのプランを崩壊させる。《Force of Will》で対抗した青柳だったが、橋口も《Force of Will》で応酬。3枚の手札から《実物提示教育/Show and Tell》と《Volcanic Island》がディスカードさせられる。

 この隙に《タルモゴイフ/Tarmogoyf》と《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》をプレイし、クロックを確保する橋口。対応して《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》の能力プレイして墓地を全てリムーブさせる青柳ではあったが、引いてくるのは2枚目の《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》と、いわゆる「具」の部分ばかりで、それを活用手段を引き当てられない。

 結局、変身した《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration(ISD)》のクロックの前に、《実物提示教育/Show and Tell》を引き当てることはできないのだった。

橋口 2-0 青柳

 結果、橋口が会場最初のトップ8入賞をほぼ確定させた。

 また、このラウンドで、仙波と吉原は引き分けているため、橋口は会場唯一の全勝者ともなったのだった。