■DeckTech 青黒緑CTG:佐宗 一歩
By Daisuke Kawasaki
関東最大のレガシートーナメントAMCの主催にして、数多くのレガシーのタイトルを持つ男、「ネタ蒔き時」こと佐宗 一歩(東京)。 《炎渦竜巻/Firespout》入りCTGのオリジナル開発者であり、CTGをこよなく愛する佐宗が、同じく「CTGの化身」吉原 知基(神奈川)と共にこの大会に持ち込んできたのが、最新型CTG、青黒緑CTGだ。 レガシーで青黒緑のデッキと言えばチームアメリカがまずは想起させられるが、CTGというアプローチでどのようなデッキが完成したのだろうか。 まずは、リストを見ていただきたい。 |
「UBG CounterTopGoyf」 / Kazuho Sasou 【Best 8】 |
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Main Deck | Side Board |
5《島/Island》 1《沼/Swamp》 1《森/Forest》 4《Underground Sea》 2《Tropical Island》 4《汚染された三角州/Polluted Delta》 4《霧深い雨林/Misty Rainforest》 1《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》 4《タルモゴイフ/Tarmogoyf》 4《闇の腹心/Dark Confidant》 1《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》 2《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》 4《相殺/Counterbalance》 4《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》 3《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》 4《渦まく知識/Brainstorm》 1《呪文嵌め/Spell Snare》 1《呪文貫き/Spell Pierce》 1《対抗呪文/Counterspell》 4《Force of Will》 1《見栄え損ない/Disfigure》 1《恐ろしい死/Ghastly Demise》 1《悪魔の布告/Diabolic Edict》 1《喉首狙い/Go for the Throat》 1《四肢切断/Dismember》 |
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》 2《呪文貫き/Spell Pierce》 2《思考囲い/Thoughtseize》 1《見栄え損ない/Disfigure》 1《死の印/Deathmark》 1《非業の死/Perish》 2《自然の要求/Nature's Claim》 3《外科的摘出/Surgical Extraction》 2《破滅的な行為/Pernicious Deed》 |
−− 「やはり、黒をいれる最大のメリットは《闇の腹心/Dark Confidant》にありますか?」 佐宗 「そうですね。戦場に出して、生き残ってターンがかえってくれば、勝てる!……とまでは言えませんが、勝ちに大きく近づくことができますね」 −− 「カードアドバンテージが取りにくいCTGというデッキにとっては大きいですね」 佐宗 「そうですね。CTGはカードアドバンテージをとりにくい、というか優位を築きにくいです。有利になるのも大変だし、その優位を維持するのも大変です。だから、比較的簡単に優位を築ける《闇の腹心/Dark Confidant》はやはり強いですね」 −− 「なるほど。実際、このデッキ自体はいつ頃から構想はあった感じですか?」 佐宗 「先月の初めくらいからこの青黒緑のCTGでしたね」 −− 「その前は通常の(白青緑のバントカラーの)CTGだったんですか?」 佐宗 「いや、その前は仕事が忙しくてあまりレガシー自体をやれていなかったです。先月の頭くらいから、週休3日とれたり色々と時間を確保できるようになったので、調整を始めた感じです」 −− 「じゃあ、結構最初の段階でいきなり青黒緑の形にたどりついていた、ということですか。最初に青黒緑にしようというアイディアはどこからきたのですか?」 佐宗 「まぁ、環境的に色々解説できるんですけど、実際の話としては、Diary Noteに釣り記事として《情け知らずのガラク/Garruk Relentless(ISD)》について書いたことですかね。ただ書くだけで自分は一回も使わないっていうのも違うと思ったので、《情け知らずのガラク/Garruk Relentless(ISD)》入りのCTGを作ったのがきっかけです」 −− 「《情け知らずのガラク/Garruk Relentless(ISD)》は結局緑のカードですよね?」 佐宗 「そうですけど、役割が非常に《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》に近いんですよ。だから、白い《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》である必要がなくなったので、カードパワーの高い黒にしてみたら、結構しっくりきた、という感じです」 |
『AMC』主催者でもある佐宗。 |
−− 「黒の方が白よりカードパワーが高いですか?」 佐宗 「高いですね。でも、環境によります」 −− 「環境?ですか」 佐宗 「そうです。黒の除去ってどれも裏目があるクセの強いものばかりじゃないですか」 −− 「あぁ、たしかにそうですね。1マナの除去は弱い時ができてしまいますし、《恐怖/Terror》系になると一気に2マナ域ですからね。除去を白の《剣を鍬に/Swords to Plowshares》に頼っているCTGで、白を黒にするなら、黒の除去にも《剣を鍬に/Swords to Plowshares》並を求めることになってしまいますよね」 佐宗 「《剣を鍬に/Swords to Plowshares》は強すぎる除去ですからね。ただ、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》やハエ男(《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》)みたいにタフネス2のカードがメタの中心になったので、《見栄え損ない/Disfigure》が確定除去に近く使えるんですよね。そういう状況であれば、CTGに黒をいれることも可能だと思います」 |
−− 「やはり、CTGを復権させたのは《精神的つまづき/Mental Misstep》の禁止が大きいですか?」 佐宗 「そうですね。正直、《精神的つまづき/Mental Misstep》があったときは、《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》が通るかどうかがすでに運ゲーな上に、《精神的つまづき/Mental Misstep》が環境にあるせいで、他のデッキがどんどん遅くなっていって、結果コストが大きいカードが中心になり、《相殺/Counterbalance》でカウンターできない。もう、無理ですよ」 −− 「逆にイニストラードから入ってきたカードでCTGを強化したカードはありますか?」 佐宗 「CTGに限らないですけど《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》ですね。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》《情け知らずのガラク/Garruk Relentless(ISD)》がレガシーへの影響度ではトップ3でしょう」 −− 「他にこのデッキのポイントはありますか?」 |
佐宗 「そうですねぇ……《Force of Will》以外のカウンターや《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》あたりが1枚積みなんですよね。今、みんな墓地対策に《外科的摘出/Surgical Extraction》をとっていたりするので、1本目に《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》をみせると、サイドインしてくるんです。でも、別に手札にあったりデッキに入っていたりしないから、すり抜けられるんです」 −− 「なるほど……」 佐宗 「あと、今回いれなかったシークレットテックとして《占骨術/Skeletal Scrying》がありますね。除去を連打して、《占骨術/Skeletal Scrying》で手札を回復するっていうコントロールっぽい動きをサイド後に導入できるかなと」 −− 「今回採用しなかった理由はなんですか?」 佐宗 「どうしてもサイドに1枚スキマを作れなかったんですよね」 −− 「ちなみに、当たって苦しい相手ってどんな相手ですか?」 |
佐宗 「CTGの常で《霊気の薬瓶/AEther Vial》使うデッキと発掘はきついですけど、あんまりいないですからね……」 −− 「発掘って今、厳しいんですか?」 佐宗 「いや、むしろ発掘は今、強いと思いますよ。ただ、発掘はパーツも固有パーツばかりですし、デッキを回すのにも特有の勘が必要になるので『今、発掘強そうだから使ってみよう』って気楽に使う事ができないんですよね」 −− 「専用機になってしまうと」 佐宗 「そうですね。その上、メタられたらまったく勝てないですからね。日本人はハイリスクハイリターンが嫌いなので、どうしてもZooやバントみたいな汎用パーツが多かったりカウンターできるデッキを使いたがるんです、それが日本のメタゲームを形成している1要素なのは間違い無いでしょうね」 −− 「ありがとうございました」 |