Round 5 Itou Wataru vs. Aizawa Keiji
Writeen by Takahashi Jyunya & Umesaki Naoaki
第5回戦目のフィーチャーマッチは、『PWC』常連同士のマッチアップとなった。
毎週のように大会で顔をあわせているだけあって、お互いに相手のデッキを知り尽くしている模様だ。
相澤の使用デッキは、『青単トロン』。 相澤は『グランプリ京都』にて、優勝した『イゼットロン』を優勝者である渡辺と一緒に調整して作り上げた影の実力者であり、本日の使用デッキも渡辺と合作のデッキである。
『GP京都』の時のようなURではなく青単色で、フィニッシャーが《トリスケラバス/Triskelavus》《悪魔火/Demonfire》《占有/Take
Possession》といったチョイスで、《トレイリア西部/Tolaria West》の恩恵を最も受けられる単色なだけあって、そろったときの爆発力を重視して作られている。
期待の若手、伊藤航 |
対する伊藤航のデッキは、外国型の『UB発掘』である。 外国型というのは、《宝石の洞窟/Gemstone
Caverns》《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》を駆使して「turn1,Looter!」を軸にした高速型の発掘デッキである。
また、伊藤は「2年連続ジュニアチャンピオン」という立派なタイトルを持っており、関東草の根界随一の期待の星である。
Game1 和んだ空気のままダイスロールに入り、先手を取ったのは伊藤。メインボードでの戦いは激しく相性が不利である相澤の表情が曇る。 そんな伊藤の初手は、ノーランドでのマリガンを経て 、《溺れたルサルカ/Drowned Rusalka》《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar》《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》《黄泉からの橋/Bridge from Below》に加えてギルドランドが2枚、という絶好の6枚。 対する相澤は、トロンがそろえば《トリスケラバス》が間に合うかも・・といった模様。 伊藤は第1ターン、ギルドランドをアンタップインして《溺れたルサルカ》をプレイ。デッキの目的の「1ターン目ルーター」に比べれば見劣りはするが、文句なしのスタートだ。 相澤は《ウルザの鉱山》をセットするのみで、半ば諦めているような感じにターン終了を宣言。 伊藤の第2ターンは、《バザールの大魔術師》プレイ。 伊藤のそれなりに順調な展開を見ると、自身の3ターン目がくるかどうか怪しくなってきた相澤だが、手札でトロンランドが揃ったようで、祈るように《イゼットの印鑑》を出してターンを返す。 しかし、現実は厳しいものである。 当然返しのターンなど来る筈もなく・・・ 伊藤は通常ドロー・ルーターでのドローを全て発掘に置換し、墓地は凄まじい勢いで溢れかえり、《黄泉からの橋/Bridge from Below》によって生まれた十数体のトークンが、《戦慄の復活/Dread Return》された《炎の血族の盲信者/Flame-Kin Zealot》によって速攻・+1/+1修正を得て相澤のライフを一瞬にして0へと追いやった。 伊藤 1-0 相澤 |
【サイドボード】
・相澤
《鋸刃の矢/Serrated Arrows》《紅蓮地獄/Pyroclasm》《トーモッドの墓所/Tormod's
Crypt》を投入。 《トーモッドの墓所》は《トレイリア西部》の変成から持ってこれるというギミックも搭載されている。
・伊藤
《クローサの掌握/Krosan Grip》と《古えの遺恨/Ancient Grudge》を投入して、ルーターや《猿人の指導霊》の枚数を減らすサイドボード。
個人的な意見を言わせてもらえば、コンセプトに絡むカードは減らすべきではないと思うので投入するカードは《古えの遺恨》にとどめるべきだと思う。
Game2 今度は、相澤が先手でのスタート。 相澤、思わしくない初手を十分に悩んだ後に渋い表情でキープを宣言する。 【相澤の初手】 《撤廃》《占有》《紅蓮地獄》《鋸刃の矢》《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《島》 後手の伊藤、1マリガンの後に良い手札が来たようで笑顔のキープ。 【伊藤の初手】 《宝石の洞窟》《宝石鉱山》《臭い草のインプ》《ゴルガリの墓トロールl》《溺れたルサルカ》《思考の急使》 伊藤「ちょっと待ってください!」 …と、セットランドしようとする相澤を伊藤が制止し、宝石の洞窟(臭い草のインプをリムーブ)を特殊プレイするところからゲームスタート。 伊藤は1ターン目に《思考の急使/Thought Courier》という良い立ち上がり。 先ほど3ターンキルされた相澤は、先ほど同様順調な伊藤の展開に苦笑いしながら《島》を置くのみでターンを終了。 自身のアップキープに《思考の急使》を起動してトロールを捨ててドローで発掘する伊藤。掘り起こされたカードは思わしくなく、《墓トロール》《戦慄の復活》と有象無象達。 追加の《思考の急使》をプレイするも、そうはさせないと相澤の《差し戻し》が阻む。 相澤は更に、《撤廃》を《思考の急使》に打って伊藤の動きを止めにいく。 状況的には伊藤の動きは随分とテンポが崩されてフィニッシュが大分遅くなるだろう。相澤にも勝機が見えてきたか? 返す伊藤、通常ドローを発掘に置換。すると《ナルコメーバ》がこんにちは。 ここで場を整理すると… 【相澤】《島》《ウルザの鉱山》《ウルザの塔》 (すべてタップ状態) 【伊藤】《宝石の洞窟》《ナルコメーバ》《宝石鉱山》(カウンター1) そして伊藤の手札は、《ゴルガリの墓トロール》2、《思考の急使》2、《黄泉からの橋》、《溺れたルサルカ》といった模様。 選択を間違うと即敗着となる難しい場面。あなたなら何をプレイするだろうか? 伊藤は2分以上悩みぬいた末に、《溺れたルサルカ》をプレイした。単なる指運ではなくて考え抜いた末の正着程価値のあるものはない。 次のターン相澤は土地が止まってしまったが、《イゼットの印鑑》を経由しての《紅蓮地獄》をプレイする。 伊藤、スタックで《溺れたルサルカ》の能力で《ナルコメーバ》を生贄に捧げて手札にある《黄泉からの橋》を墓地に落とす。更にそのドローで発掘すると、追加の《黄泉からの橋》と《ナルコメーバ》が落ちる。そして出てくるゾンビトークン4体。正直出来すぎているが、出ちゃったものは仕方ない。 乗ってきた伊藤のドローステップは発掘カードが墓地にないため、通常ドロー。よりによって《炎の血族の盲信者/Flame-Kin Zealot》を引き当てる。いくらデッキの色とは違うとは言っても空気読めよ。そしてゾンビのアタックで相澤のライフが12に落ちる。 ここで気合を入れてドローした相澤の元へ3種類目のウルザ地形が舞い降りる。 しかし、揃ったはいいが何をしようか? そんな相澤の手札は《ディミーアの印鑑》2、《占有》、《鋸刃の矢》、《強迫的な研究》。 現在のクロックはゾンビトークン4体。自身のライブラリーに入っているカードで、それを退けるカードは《紅蓮地獄》、《トリスケラバス》、追加の《鋸刃の矢》といったところだろう。 相澤は少し悩み、《占有》をゾンビトークンにプレイし、《ディミーアの印鑑》を置いてエンド。 伊藤のターン、伊藤はこれまた墓地に発掘カードがなく発掘出来ないので通常ドロー。しかし、念願の2マナ目である湿った墓を引き当てる。 とりあえずゾンビトークンで攻撃して、相澤は6に。 そして、《思考の急使》を場に投下してエンド。 |
初代東京都チャンプ、相澤 |
返す相澤のターン、相澤は「さあ、逆転だ!」といわんばかりに勢い良く《強迫的な研究》をプレイするも…
《トレイリア西部》《鋸刃の矢》《ウルザの魔力炉》という、良くはない3枚のドロー。
《トレイリア西部》変成から《トーモッドの墓所》を手に入れ、即起動で伊藤の墓地を綺麗に掃除し、《鋸刃の矢》で《思考の急使》を除去するもゾンビトークンが止まっていない。
ゾンビトークンをどうにかできる手段を手に入れられない相澤に、当然待った無しで襲い掛かるゾンビ3体。
《占有》によって手にいれたゾンビで1体はブロックするも、相澤のライフが2へ。
そして、伊藤の場に追加される《思考の急使》2号。
相澤は、絶体絶命、断崖絶壁。 だがライフは2残っている。ターンは回ってきた。まだワンチャンス、なにか引けば・・・・・
結果⇒そんなに都合よく引けてたら、マジック苦労しないということで。
伊藤 1-0 相澤
Result: 伊藤航 win!