By 高橋 純也
■フェアリー系 ・・・・・・・・・・12 ・スタンダード 6 ・マネキンタイプ 6 ■赤バーン系 ・・・・・・・・・・11 ・赤単 8 ・シグバーン 2 ■緑黒ビート系 ・・・・・・・・・・11 ・エルフ 6 ・ドラン 5 |
■ヒバリ系・・・・・・・・・・8 ・青白 4 ・青白黒 1 ・青赤白 2 ・5色 1 ■ビッグマナ系 ・・・・・・・・・7 ・緑赤 3 ・緑黒 3 ・緑白 1 |
■ドラゴンストーム ・・・・・・・・・・・・2 ・青赤 1 ・赤単 1 ■赤黒ゴブリンパクト・・・・・・・・・・3 ■少数派デック ・・・・・・・・・・合計23 |
予想の通り「何でもいる」状態であることが窺えるが、注目のシャドウムーアの導入による新しいアーキタイプは非常に数が少なく、前環境のデッキのアップデートが大勢を占めている。 環境が導入直後により不明瞭であるため、強さが証明されている前環境のデッキが無難であるという選択だろうか。しかし、メタゲーム形成の第1段階である「デッキが均等にいる」という状態は満たされているので、今回の結果がこれからの先駆けになるのは間違いないだろう。 それでは、各デッキの雑感を語ってゆきたい。 ■フェアリー系 GP静岡の段階からの変更点が基本的にないデッキ。デッキの大部分が主要パーツで固定されているため、デッキの方向性が固定されている種族デッキであることによる不自由、が理由だと考えられる。 また、赤系と同系には弱いが、その他には有利であるマネキンタイプの流行も新しいトピックだろう。フェアリーデッキの特徴である「先手後手の不利有利の変化」が極力抑えられているところも、長丁場を見据えた選択としては面白い。 |
「UB Faerie」 / Kudou Amiru 【4th・5-1-1】 |
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Main Deck | Side Board |
4《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》 2《地底の大河/Underground River》 4《涙の川/River of Tears》 5《冠雪の島/Snow-Covered Island》 4《人里離れた谷間/Secluded Glen》 3《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》 3《変わり谷/Mutavault》 4《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》 3《やっかい児/Pestermite》 4《ウーナの末裔/Scion of Oona》 4《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》 4《苦花/Bitterblossom》 4《祖先の幻視/Ancestral Vision》 4《ルーンのほつれ/Rune Snag》 4《謎めいた命令/Cryptic Command》 4《名も無き転置/Nameless Inversion》 1《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》 |
3《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》 4《誘惑蒔き/Sower of Temptation》 4《コショウ煙/Peppersmoke》 2《悪名高き群れ/Notorious Throng》 2《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》 |
■ヒバリ系 多種多様なタイプが見られるアーキタイプだ。基本的には《熟考漂い/Mulldrifter》《目覚ましヒバリ/Reveillark》《誘惑蒔き/Sower of Temptation》《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》は固定されており、その他の選択で差が出ている。具体的には「無限コンボの有無」が大きな分かれ目だ。 《影武者/Body Double》《目覚ましヒバリ》と《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》による無限循環コンボを主なる勝ち手段に据えているのが青赤白のヒバリだ。 極端にそのコンボに頼っているため、《入念な考慮/Careful Consideration》を4枚採用しているのと、採用しているクリーチャーの数が少ないのが特徴である。 そして、「無限コンボ」を不採用としているのが青白黒ヒバリと青白ヒバリで、青白に関してはシャドウムーア後の変更点がない。 逆に黒を補助色として採用しているタイプは、《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》や《くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique》で墓地対策を採用しているのが特徴的だ。 色を増やすか、増やさないか、どちらもリスクとリターンがある。そのバランスを考えて選択することが吉。 |
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「UW Reveillark Blink」 / Ebie Kunisato 【3rd・6-1】 |
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Main Deck | Side Board |
5《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》 5《冠雪の島/Snow-Covered Island》 4《秘教の門/Mystic Gate》 4《変わり谷/Mutavault》 4《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》 4《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》 4《精神石/Mind Stone》 4《ルーンのほつれ/Rune Snag》 4《一瞬の瞬き/Momentary Blink》 3《霊魂放逐/Remove Soul》 4《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》 4《誘惑蒔き/Sower of Temptation》 3《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》 4《熟考漂い/Mulldrifter》 4《目覚ましヒバリ/Reveillark》 |
3《薄れ馬/Wispmare》 2《吸収するウェルク/Draining Whelk》 3《糾弾/Condemn》 3《神の怒り/Wrath of God》 4《エイヴンの裂け目追い/Aven Riftwatcher》 |
■赤系 具体的にはバーンとゴブリンパクト。そのバーンデッキには2種類のタイプが見られた。純粋な赤単バーンとシグバーンである。シグバーンは、変わり谷を採用しないことによってマナベースの安定を図った上で《ウーナのうろつく者/Oona's Prowler》《ダウスィーの殺害者/Dauthi Slayer》《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》を投入しているのが特徴。《川の殺し屋、シグ》がかの《闇の腹心/Dark Confidant》のような働きをする場面は圧巻の一言に尽きる。 赤単は《ぼろ布食いの偏執狂/Tattermunge Maniac》《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》《炎の投げ槍/Flame Javelin》などの強力なカードを確保したものの、立ちはだかる《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》には少し困りもの。ただ、今回最大勢力であったフェアリーには有利であるため、選択の余地は有り。 ゴブリンは《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》《憤怒焚きの巨人/Furystoke Giant》を手に入れたことによって強化はされたものの、かなりパーツに頼るデッキタイプなので安定性の面で不安が残る。 |
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■緑黒ビート系 エルフとドランの二つで占められているデッキタイプだが、様々なバリエーションが見受けられた。 エルフの場合は「アンセム型」「除去型」の二つが印象的である。 《狼骨のシャーマン/Wolf-Skull Shaman》と大量のエルフによる一直線な攻撃を目指す「アンセム型」と、「叫び大口」やフルに投入された《不敬の命令/Profane Command》のバックアップをもとに構成されたザ・ロックに近い構成の「除去型」だ。どちらも重要なキーカードとなっているのが《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》。 以前からも使われているカードだが、最近その強さが更に増している。ご賞味あれ。 ドランは「ビート型」と「コントロール型」で分かれている。 《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege》まで投入して《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》によるビートダウンを強化した「1・3・4デッキ」の代表が「ビート型」。それに対して大部分を除去やアドバンテージカードに割いているのが「コントロール型」。 《誘惑蒔き/Sower of Temptation》が存在する以上「ビート型」の選択はやや不利なイメージが拭えないが、エルフや赤系には滅法強いので一考の余地はあるかもしれない。 |
■ビックマナ系 今までの2つのデッキはシャドウムーアのカードが余り使われていなかったが、ビッグマナは大きな恩恵を得たデッキだ。 《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》。名は体を表すとはよく言ったもので、名前からして嫌な奴だが、当然その能力も嫌な奴。赤系のみならず、ビートダウンに対して抜群の力を見せる。ビッグマナにも様々な種類があるが、このカードの採用だけは間違いないだろう。 《炎渦竜巻/Firespout》《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》。 この2枚も見逃せない強力なカードだ。 《炎渦竜巻/Firespout》は、《硫黄破/Sulfurous Blast》よりも軽くて《火葬/Incinerate》よりも効果が高いスーパーカード。さりげなく「飛行だけ」とかもできるのが魅力的。 《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》。余り使われていない印象を受けるが、現環境においては《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》《目覚ましヒバリ/Reveillark》《タルモゴイフ/Tarmogoyf》と肩を並べるほどの強力なクリーチャーだ。僕ごときが女王様の力を語るのもおこがましいので、是非とも試していただきたい。 |
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キーカード |
■ストーム系 青赤と赤単。 どちらも「ドラゴンストーム」のデッキではあるが、青赤は《思案/Ponder》《時間の把握/Telling Time》によるコンボの安定を目指し、赤単は《巣穴からの総出/Empty the Warrens》やバーンスペルを採用することによって勝ち方のバリエーションを増やした形になっている。 「コンボ不在」の環境なので、メタゲーム上意識されなくなった瞬間に爆発的な活躍が考えられる。これからのメタゲームで期待できる逸材だ。 ■最後に 全体的にどのデッキも飽和状態にあるので、細かい部分での取捨選択やサイドボードプランなどで差が出てくる非常に繊細な環境になりそうだ。今回は少数派だったので紹介はしなかったが、シャドウムーアのカードを中心に据えた「白鳥アサルト」「420.5n」といったコンボデッキも存在しているので、これからのメタゲームの推移によっては顔を出してくる可能性はあるため注目しておきたい。 何はともあれ環境初期である。何にでも可能性はあるし、何が起こるか分からない。 |