Round6 本波友行 vs. 岡田浩己

By 清水 直樹


ここまで5戦全勝で上り詰めたのは、「ドラン」本波友行と、「エルフ」岡田 浩己だ。

右を向いても左を向いてもフェアリーが飛び回っていたこのハイライフプラザにおいて、メタ的に有利なこの2種のデッキ同士がここでぶつかるのはある種、宿命だったのかもしれない。

フェアリーに対しては緑系のビートダウンは基本的には有利だ。 特に、緑側が先手を取れれば《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》や《タルモゴイフ/Tarmogoyf》といったクリーチャーが容赦なく襲い掛かる。そしてサイドボード後は《ハリケーン/Hurricane》《突風線/Squall Line》《雲打ち/Cloudthresher》などの「妖精キラー」が連打される展開となるのである。また、《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》はその能力によって「頭でっかち」な傾向があるフェアリーの攻撃力を大幅に下げることが出来るのも見逃せない。

ドラン対エルフ、果たして軍配はどちらか? 勝った方が6−0で予選抜けをほぼ確実なものとする、緑のクリーチャー同士の激突が今幕を開ける!


Game1
先手の本波は少考ののちにマリガンを選択する。対する岡田は《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》《傲慢な完全者/Imperious Perfect》を含む初手を即キープ。

本波はタップインの《つぶやき林/Murmuring Bosk》から2ターン目に《思考囲い/Thoughtseize》をプレイ。公開された手札は非常に強く、《傲慢な完全者/Imperious Perfect》をディスカードさせるもののその脇には《不敬の命令/Profane Command》《護民官の道探し/Civic Wayfinder》もあり、こうかはいまひとつのようだ。

岡田は《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》のスタート後、《思考囲い/Thoughtseize》を本波へ。内容は3枚の《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege》!・・・と《タルモゴイフ/Tarmogoyf》。もし《タルモゴイフ/Tarmogoyf》がなければ・・・というところだがここは何事もなかったかのように《タルモゴイフ/Tarmogoyf》が墓地へ送られる。

岡田は《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》を追加して攻勢を強めると、5マナが出たところで《不敬の命令/Profane Command》で本波が希望を込めて召喚した《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》をも除去してしまう。そして、同時に《傲慢な完全者/Imperious Perfect》が復活、一気に岡田が優勢となる。

本波はなんとか4枚目の土地を引いて《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege》を呼んで応戦しようとするものの、相手にするのは《変わり谷/Mutavault》、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》、《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》、そして《傲慢な完全者/Imperious Perfect》。この状況で岡田は全軍での攻撃!

ライフが10しかない本波は《傲慢な完全者/Imperious Perfect》をブロックしたいが、ブロックするとライフが1しか残らない。「もはやこれまで」とみて本波はカードを片付け始めた。

本波 0-1 岡田

ここでサイドボーディングに注目・・・と言いたいところだが、
本波、なんとサイドボーディングなし。

◆岡田のサイドボーディング
【In】
《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》2
《叫び大口/Shriekmaw》2

【Out】
《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》
《不敬の命令/Profane Command》
《思考囲い/Thoughtseize》2

本波のデッキには手札破壊に対する強力なアンチテーゼ、《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege》があることを考えると、《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》は実質教示者能力しか使えないことになるが、消耗戦でその能力が生きてくると目論んだ岡田はこれをサイドインした。


Game2
先手となった本波の初手は土地が《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》1枚のみだが《極楽鳥/Birds of Paradise》、《名も無き転置/Nameless Inversion》、《思考囲い/Thoughtseize》を2枚というもの。土地を引きこむことができれば・・・という内容だ。しかし《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》が伝説の土地であることが非常に気にかかる。

対する岡田は1マリガン。

《極楽鳥/Birds of Paradise》→《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》と互いにマナクリーチャーを呼び合う展開になるが、2ターン目に本波は土地を引きこめない。本波は《思考囲い/Thoughtseize》で様子を伺うことにするが、その中に忌まわしき《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》が!

ドランを+2/+2

会場風景
このなかから本波は《名も無き転置/Nameless Inversion》を落とすが、続くターンには当然岡田は《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》を対消滅して《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》2体キャスト!

このままでは終わってしまうがなんとか《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》を引いた本波、更なる《思考囲い/Thoughtseize》で《不敬の命令/Profane Command》を落として長期戦を目論む。

そんな本波の思惑とは裏腹に、岡田は《タルモゴイフ/Tarmogoyf》をトップデック。本波は土地を引けないまま、これと相打つことができる《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》で応戦。

マナベースに関しては本波ほどではないものの自由とは言い切れなかった岡田であったが、《護民官の道探し/Civic Wayfinder》を引いたためその問題も解消。一方なおも土地を引けない本波は《名も無き転置/Nameless Inversion》を抱えてエンド。

そして降りかかるライブラリトップからの《名も無き転置/Nameless Inversion》が《極楽鳥/Birds of Paradise》を撃墜、同時に本波の敗北が確定した。


本波 0-2 岡田

「土地を引ければ」という初手はよくある。 だが1枚の《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》や《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》が対消滅して事故る、ということもこれまた非常によくある。

本波はこの結果を「マリガンミス」と振り返った。 もし1枚の土地が《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》ではなく、普通の土地であったなら問題はなかったのかもしれない。マジックで最も難しいのはマリガンであるとはよく言われるが、今まさにそれを思い知らされることになったのだった。


Result : 岡田 浩己 Wins!

岡田がここで勝利したことで、岡田の日本選手権予選突破はほぼ確定した。本波は次のラウンドに勝てば予選突破という形だ。是非次のラウンドも頑張ってもらいたいものである。