Round5 海老江邦敬 vs. 岡田浩己

By 高橋 純也



緑黒エルフでここまで全勝、岡田
全７回戦の戦いも半ばをこえて後半に突入。その中で生き残っている全勝者４人の中から、トップテーブルでのマッチアップをお届けしたい。

このトーナメントを牽引するその二人とは、海老江と岡田だ。

海老江は、最近では名前を聞く機会が減っているものの、PT参加経験もある北海道勢の強豪である。今は神奈川に引っ越してきており、多忙によりマジックにはあまり触れていないとのこと。それでも４−０ラインに顔を見せているあたり、その腕はいまだに健在と思われる。気になる使用デッキはメインから《霊魂放逐/Remove Soul》を投入している同系を意識しているUWヒバリだ。

対する岡田も最近は仕事による多忙であまり触れていないとは言っているが４−０中である、吉祥寺のアメニティーを中心に活動しているプレイヤー。今回は《不敬の命令/Profane Command》を４枚積んだオーソドックスなGBエルフを選択している。


Game1
ダイスロールによって先手を取ったのは岡田。《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》から《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を展開という最高のスタートをきる。それに対して海老江は《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》を置いてターンを返すのみ。

好調な岡田は続いて、《変わり谷/Mutavault》のセットから《傲慢な完全者/Imperious Perfect》をプレイ。システムクリーチャーに弱いヒバリにとって《傲慢な完全者/Imperious Perfect》はとても強力なクリーチャーであり、海老江は表情を曇らせる。続くターンも《樹上の村/Treetop Village》をセットし、《変わり谷/Mutavault》で攻撃と、攻撃の手をゆるめない。

海老江は、対照的にドローが芳しくないのか、序盤の3ターンは土地を置くだけに留まっている。《ルーンのほつれ/Rune Snag》を構えてはいるのだが、後手の《ルーンのほつれ/Rune Snag》の弱さには定評がある。ここにきて、先手後手のダイスロールの結果が重く海老江にのしかかる。

その《ルーンのほつれ/Rune Snag》で2体目の《傲慢な完全者/Imperious Perfect》は捕まえた海老江だったが、すでに場に出ている《傲慢な完全者/Imperious Perfect》の存在感が大きい。

しかし、海老江のキャストした《誘惑蒔き/Sower of Temptation》が場をイーブンに戻す。岡田は仕方なしにスタックでトークンを生み出し、返しのターンで《護民官の道探し/Civic Wayfinder》から待望の黒マナをチューターから《思考囲い/Thoughtseize》をプレイする。

開かれたハンドは《熟考漂い/Mulldrifter》《目覚ましヒバリ/Reveillark》《ルーンのほつれ/Rune Snag》《一瞬の瞬き/Momentary Blink》《平地/Plains》の５枚。「強すぎるよ・・・」と嘆く岡田。渋々《目覚ましヒバリ/Reveillark》を抜き去って、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を場に追加する。

海老江は勝機を逃すものかと、《熟考漂い/Mulldrifter》想起から《一瞬の瞬き/Momentary Blink》による4ドローでライブラリーを掘り進め、《目覚ましヒバリ/Reveillark》を探しに行く。

一方で、言葉通り一瞬にして不利になった岡田。状況の打開のために、《変わり谷/Mutavault》《樹上の村/Treetop Village》《護民官の道探し/Civic Wayfinder》の3体で攻撃する。《樹上の村/Treetop Village》以外はそれぞれ《変わり谷/Mutavault》と《熟考漂い/Mulldrifter》によってブロックされるものの、ライフを12にまで減らすことに成功する。《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を戦線に追加してごり押しを狙うプランだ。


青白ヒバリでここまで全勝、海老江


あなたの生物、いただきます！

《熟考漂い/Mulldrifter》で大量のカードを手に入れた海老江だが、《精神石/Mind Stone》を追加し《誘惑蒔き/Sower of Temptation》でアタックをするのみでターンエンド。

海老江の行動はあからさまに不自然なものの、ここで攻撃しないわけにもいかない岡田。トークン２体とラノワール２体とタルモゴイフで攻撃する。海老江は《一瞬の瞬き/Momentary Blink》を《誘惑蒔き/Sower of Temptation》にプレイして《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を奪い取り、ライフが８になってしまうものの、この攻勢をしのぐ。そして、《ルーンのほつれ/Rune Snag》で追加の《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を退け、後続を断つ。

海老江は、またも《誘惑蒔き/Sower of Temptation》のアタックのみでターンを返す。岡田は「何も引いていないのか？」と問いかけるように《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》をプレイするが、《ルーンのほつれ/Rune Snag》で弾かれる。立て続けのカウンターによってゲームの流れをつかみかねている岡田を尻目に、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》が《樹上の村/Treetop Village》を戻し、《誘惑蒔き/Sower of Temptation》が悠々自適に空を飛ぶ。

そんな時間も岡田の引いてきた《名も無き転置/Nameless Inversion》によって終了する。その隙に《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》の庇護を受けて、エルフトークンと《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》が海老江に突っ込んでいき、ついにライフを４にまで追い詰める。《樹上の村/Treetop Village》もセットし、状況は万全。本当に何も引いていなかった海老江は《熟考漂い/Mulldrifter》を想起するものの、それだけにとどまり、ターンを返すことになる。

しかし、慢心か油断か。岡田は痛恨のミスを犯してしまう。岡田は《傲慢な完全者/Imperious Perfect》を盤面に追加して全員で攻撃。《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》をクリーチャー化してブロックし、《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》で《傲慢な完全者/Imperious Perfect》をバウンスするものの、どうしても通ってしまう３体のトークンの前に、海老江のライフは4。そして起きている《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》１枚。だが、岡田は海老江のライフを1残してしまったのだ。

それでも大勢は決していた。結局《目覚ましヒバリ/Reveillark》の姿を見つけられなかった海老江は、《樹上の村/Treetop Village》の起動を見てカードを片付けた。

海老江 0-1 岡田

サイドボーディングは、お互いが悩む。

《護民官の道探し/Civic Wayfinder》《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》と《不敬の命令/Profane Command》を抜いて、《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》と《原基の印章/Seal of Primordium》《雲打ち/Cloudthresher》をサイドインすることにした岡田。

一方の海老江は「サイドボードの仕方がわからん」と零しながら、《霊魂放逐/Remove Soul》《一瞬の瞬き/Momentary Blink》と《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》を抜いて、クリーチャー対策として《糾弾/Condemn》と《神の怒り/Wrath of God》を投入した。

Game2
待望の先攻を得た海老江は２ターン目に《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》を待機する。岡田は、１ターン目の動きこそなかったものの、2ターン目に《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》をプレイというまずまずのスタートに成功する。

３ターン目に青マナを使って《精神石/Mind Stone》をキャストし、《平地/Plains》を残してターンを返す海老江。さすがに怪しいでしょ？と、岡田は《思考囲い/Thoughtseize》。その注目のハンドは、《糾弾/Condemn》《誘惑蒔き/Sower of Temptation》《精神の願望/Mind's Desire》《平地/Plains》。《誘惑蒔き/Sower of Temptation》と《糾弾/Condemn》のどちらを抜くかと、やや考えていたが《糾弾/Condemn》を選択し、《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》で攻撃開始。《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を戦線に追加する。

もうすでに見えている動きなので説明するのもあれなのだが、海老江は《精神石/Mind Stone》経由《誘惑蒔き/Sower of Temptation》行の電車に乗って《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を奪う。しかし、岡田の手札には当然のように《名も無き転置/Nameless Inversion》。《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》がライフを刻んで１４。《樹上の村/Treetop Village》と《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を戦線に追加してターンエンド。

海老江は、そういえば待機されていた《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》で《タルモゴイフ/Tarmogoyf》をバウンス、更に《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》をプレイして《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》もバウンスする。攻撃するクリーチャーのいなくなってしまった岡田は、場を形成するために《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》と《傲慢な完全者/Imperious Perfect》をプレイしてターンを返す。
序盤の攻めを挫く１枚

「なにもひかねーよー」と言いながら《神の怒り/Wrath of God》をプレイする海老江。岡田は《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を展開しつつ《変わり谷/Mutavault》の攻撃でライフを１２に減らす。

海老江が何も引いていないのは本当だったらしく土地を置くだけでターンを返す。《糾弾/Condemn》で《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を除去することには成功したのだが、《不敬の命令/Profane Command》と《名も無き転置/Nameless Inversion》によってブロッカーをどかされてしまった海老江に次のターンは来なかった。

岡田 ２−０ 海老江

Result : 岡田 浩己 Win！