Round2 北川知明 vs. 水谷直樹

By 高橋 優太



青白ヒバリ、北川

第2ラウンドでは、《目覚ましヒバリ/Reveillark》をキーカードにしたデッキ同士のマッチアップを紹介する。

北川 は青白純正2色のヒバリ。
デッキ選択理由を聞くと「《神の怒り/Wrath of God》爽快だから。攻めながら使うラスが好き」だそうだ。

筆者もそうだが、《神の怒り/Wrath of God》に愛着を持っているプレイヤーは多い。マジック発売当初からある対クリーチャーの代名詞でもあるこのカード、昔は2000円超えが当たり前だったのに、再版や褒章カード化のせいで近頃ではめっきり価値が下がってしまい、少し寂しくもある。



対する水谷 は5色ヒバリ。
《柏槙教団のレインジャー/Juniper Order Ranger》と頑強クリーチャーと《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》による、無限ライフ、無限ダメージコンボも搭載した上で、《目覚ましヒバリ/Reveillark》《影武者/Body Double》によるコンボも含めた、欲張りデッキ。

非常に独創的で、なぜこのようなデッキにしたのかと聞いたところ、「土地が綺麗だから」という、多色好きな水谷らしい答えが返ってきた。
エクステンデッドのDomain zooを回したことのある人なら、この気持ちは非常に共感できると思う。最近は土地も綺麗だし、色とりどりの土地が並ぶのは美しい。
デッキに入っている多色ランドの中では、デメリットなしに青と黒を供給してくれる《涙の川/River of Tears》が1番優秀だそうだ。


Game1
ダイスロールの結果、先行は水谷。
マリガンの後、6枚の手札をキープ。

対する北川はノーマリガン。
コントロールらしく、序盤はお互いに土地を並べあう展開。
水谷が3ターン目に《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》、《鮮烈な小川/Vivid Creek》、《反射池/Reflecting Pool》という、「綺麗な土地」から、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》をキャスト。

北川のファーストアクションは《熟考漂い/Mulldrifter》想起。ディスカードしてターンを返す。

水谷はアタックの後、お気に入りの《涙の川/River of Tears》セットから《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》キャスト。
《平地/Plains》2、《秘教の門/Mystic Gate》というマナベースを見て小考するが、手札7枚の北川に対しては2点クロックのほうが有効と判断し、ターンを返す。
実はここで、北川の小さな巧手。
《平地/Plains》2枚を先に出していたため、3ターン目に《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》の土地破壊を受けずに済んだのだ。
これからのスタンダードは、うかつに特殊地形から出してしまうと《石の雨/Stone Rain》をくらうことになるのかも知れないので、ご注意を。

返しのターン、北川は《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》セットから《誘惑蒔き/Sower of Temptation》をキャスト→《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》のコントロールを奪う。

水谷は《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》でこれを即除去、アタックの後《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》を生贄にして《秘教の門/Mystic Gate》を破壊する。

北川は《誘惑蒔き/Sower of Temptation》2号をキャストし、再び《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》を傘下に。
しかし水谷は主導権は渡さん、とばかりに《誘惑蒔き/Sower of Temptation》で北川の《誘惑蒔き/Sower of Temptation》を奪い、攻撃を続ける。

目まぐるしい攻防によって、場がややこしくなったので整理すると

水谷
《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》
《誘惑蒔き/Sower of Temptation》(水谷の)
《誘惑蒔き/Sower of Temptation》(北川の)

北川
《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》(水谷の)


北川は《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》でのブロックを考えるが、頑強クリーチャーは墓地に落ちたとき「オーナーの」コントロール下で戻るので、通さざるを得ない。

このカードを意識して、
基本地形からセットしたい

続くターン、北川は《熟考漂い/Mulldrifter》想起から「使いたかった」《神の怒り/Wrath of God》を引き込みキャストするものの、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》と《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》が場に戻り、次のターンの攻撃で、ダメランを多用した北川のライフは6。序盤に《秘教の門/Mystic Gate》を割られたのが、ここに来てジワジワと効いてきている。
《熟考漂い/Mulldrifter》を場に追加し、王手をかける水谷。


北川はダメランから1点受けながらも、三度《誘惑蒔き/Sower of Temptation》で《熟考漂い/Mulldrifter》を奪い、なんとか防衛線を張る。

水谷、返しで長考。《熟考漂い/Mulldrifter》を想起した後、《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》を即起動して《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》を破壊し、北川の青マナを攻める。

こういった除去合戦になると、どちらが先に必殺技《目覚ましヒバリ/Reveillark》にたどりつけるかが重要となってくるのだが・・・

先にたどりついたのは北川。想起プレイで《熟考漂い/Mulldrifter》と《誘惑蒔き/Sower of Temptation》を場に。水谷の《熟考漂い/Mulldrifter》を奪った上で2ドローと、一気にアドバンテージを取り返す。

だが、少年マンガもとい、先に必殺技を出したほうが必殺技返しをくらうのはマジックも同じ。

水谷も《目覚ましヒバリ/Reveillark》想起。北川と同じく《誘惑蒔き/Sower of Temptation》と《熟考漂い/Mulldrifter》を場に戻し、一気呵成のアタック。
ライフの少ない北川は、不利なブロックをせざるをえない。残ったライフは1。

返しで《神の怒り/Wrath of God》でなんとか命をつないだ北川だが、続くターン、水谷が手札からプレイしたのは3枚目の《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》

北川 0-1 水谷

◆サイドボード
・北川
【Out】
2《エイヴンの裂け目追い/Aven Riftwatcher》
1《目覚ましヒバリ/Reveillark(MOR)》
【In】
3《否定の契約/Pact of Negation》


・水谷
【Out】
3《思考囲い/Thoughtseize》
2《根絶/Extirpate》
1《くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique》

【In】
4《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
2《柏槙教団のレインジャー/Juniper Order Ranger》

ヒバリ対決において重要なのは、どちらが先に《目覚ましヒバリ/Reveillark》に到達するかなので、2人とも序盤用のカードを抜いて相手の妨害に特化するといった感じ。


Game2
お互いにマリガンは無し。
ファーストアクションは水谷の《思考囲い/Thoughtseize》

北川 「負けたくせぇ・・・」

公開された手札は
《島/Island》3
《神の怒り/Wrath of God》
《一瞬の瞬き/Momentary Blink》
《熟考漂い/Mulldrifter》

水谷は迷うことなく《熟考漂い/Mulldrifter》をディスカードさせる。

どすこいデッキ開発などで有名、水谷

3つ目の土地を置いた返しに水谷は《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》しかし北川の場には基本地形しかないため、そのままターンを返す。

返しのターン、北川は土地を4つタップ。
水谷「しまった!」
ここで《誘惑蒔き/Sower of Temptation》を出されてしまうと、自分の土地を割られることになってしまう。しかしキャストされたのは《予感/Foresee》。水谷はホッと胸をなでおろす。

水谷は《誘惑蒔き/Sower of Temptation》を出されてもいいように、《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》を待機。


生物除去としても、
無限ダメージ用パーツとしても
北川 「何でも入ってるなぁ・・・」
グッドスタッフ、これこそ5色の醍醐味である。

北川は《予感/Foresee(FUT)》で引き込んだ《誘惑蒔き/Sower of Temptation》を使って《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》を生贄にさせてから《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》をセット。

水谷は《虹色のレンズ/Prismatic Lens》から《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》2号を待機するものの、マナが伸び悩んでいる状況。

北川は、《目覚ましヒバリ/Reveillark》も《ルーンのほつれ/Rune Snag》でカウンターし、着々と4点クロックを刻む。そうこうするうちに、水谷のライフは3。

水谷「3か・・・幸せな数値だ。」
水谷の手札には必殺技の《影武者/Body Double》
土地さえ引けば、手札の《思考囲い/Thoughtseize》をうてるからだ。

しかしドローは・・・土地でない。
あとの無い水谷、ここで勝負に出る。
キャスト《影武者/Body Double》
北川「・・・通ります。」
墓地には《目覚ましヒバリ/Reveillark》、《熟考漂い/Mulldrifter》そして待機している《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》。ということは・・・
無限ドローコンボ、完成。

ターン終了時に、あふれる手札から《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》をディスカード。
そして、今度は《熟考漂い/Mulldrifter》ではなく《残忍なレッドキャップ/Murderous Redcap》を回すことにより、無限ダメージ。

ヒバリ対決は、水谷が多色によるメリットを活かしきった試合となった。

北川 0-2 水谷

Result : 水谷直樹 Win!