Round 1 松山 智 vs 田中 久也

By Yoon soohan&Naoaki Umesaki



『日本選手権東京1次予選』は参加者112名のスイスドロー7回戦と、東京で開催されるスタンダードのトーナメントとしては参加人数が少ない印象だ。

しかし、会場には『東京2次予選』に出るであろうかなりの数のプレイヤーが熱戦の様子を見に会場に来ていて会場の空気は例年以上に賑やかで盛り上がっている印象を受ける。 参加人数は少なめでも、鍛え抜かれたデッキを持ち込んだ猛者たちがしのぎを削りあう事実に変わりは無い。

これから毎ラウンド、注目の試合をレポートしていきたいと思う!

今日最初のフィーチャーマッチに招かれたのは、田中久也と松山智の対戦。

田中久也は『2003GP京都』準優勝や『世界選手権』に日本代表として出場した経験を持つ押しも押されぬ東京在住の強豪である。リミテッドのイベントで結果を残している印象が強いが、構築戦においても独自の理論で強力なデッキを構築する事で知られており、今回の使用デッキも《神の怒り/Wrath of God》などで場をコントロールしながら《炎まといの天使/Firemane Angel》《陶片のフェニックス/Shard Phoenix》など死んでも帰ってくるフィニッシャーによりじっくりと勝利を勝ち取る『青白赤コントロール』とメタゲームの外から切れ込んできている。

そんな強豪の田中に対する松山は《太陽打ちの槌/Sunforger》を軸とした『緑白青赤・多色コントール』のようだ。 松山にとっては予選初戦から強豪相手の厳しい勝負となるが頑張っていただきたい!


Game1
ダイスロールの結果、松山の先手でゲームはスタート。
ゲームの序盤は松山が《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》をプレイし、これが通って毎ターンアタックする以外はお互いアクションが無く土地をセットしてエンドの繰り返しといった落ち着いた立ち上がり。

お互いに土地が5枚並んだところで松山が《都市の樹、ヴィトゥ=ガジー/Vitu-Ghazi, the City-Tree》によるトークン製造を始め、先ほど出した《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》と一緒にコツコツ殴るが、田中も手札に溢れている《稲妻のらせん/Lightning Helix》《電解/Electrolyze》などのインスタント火力で丁寧に除去してゲームをゆったりとした物にコントロールしていく。
田中が打開策を引く事が出来ずにジワジワとライフが減ってゆくゆったりした展開が長く続くが、田中が《幻の漂い/Drift of Phantasms》を引き変成した事でゲームが大きく動き出す。

田中が変成で持ってきたのは《血染めの月/Blood Moon》!!
特殊地形に大きく頼っている4色デッキの松山にとっては非常に痛手となるカードであろう。
田中はカウンターを打つ事のできるマナを残してエンド。

返しのターン、松山は《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》をプレイしてトークンに装備してアタックするが、田中はエンドステップにその《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を《撤廃/Repeal》して事無きを得る。
そして田中のターン、もちろん《血染めの月/Blood Moon》をプレイ。

この《血染めの月/Blood Moon》によって、これまで松山がゲームの主導権を握る事のできていた理由である《都市の樹、ヴィトゥ=ガジー/Vitu-Ghazi, the City-Tree》は只の《山/Mountain》に。
しかし、田中もライフが一桁となっておりゆっくりする事なく追い討ちとばかりに、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》をプレイしてターンエンドを宣言。

古豪、田中久也

松山はこのエンドステップに《研究+開発/Research/Development》を《開発》でプレイし、田中は『3/1トークンを3体』を選択。
1/1トークン製造機である《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》が場に出ている状況ではドローさせてもらえる訳が無い。

そして松山のターン、先ほど《撤廃/Repeal》された《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》をプレイしこれが通る。田中の手札にカウンターは無かった様だ。松山は3/1トークンに《梅澤の十手》を装備して3/1トークン3体・1/1トークン・《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》2体でアタック。
田中はまず《梅澤の十手》が装備されているトークンに《撤廃/Repeal》をプレイし、《曇り鏡のメロク》によってトークンを2体場に出し、それで3/1トークンを2体ブロックして他はスルー。

このダメージを解決した段階で田中のライフは残り6。
序盤から《都市の樹、ヴィトゥ=ガジー/Vitu-Ghazi, the City-Tree》によってコツコツとライフを削られていたのがやはり響いている。

次のターン、田中は土地をプレイして、《曇り鏡のメロク》がアタックするのみでターンエンドを宣言。
場に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》が出てしまっている状況で、田中の手札には打開策が無く非常に厳しい状況だ。
松山は《桜族の長老》に《梅澤の十手》を装備してアタック。 田中は《曇り鏡のメロク》でトークンを場に出し、ブロックする事しかできない。
結構使われてますね、《開発/研究》

田中は次のターンも打開策を引く事が出来ず、前のターンと同様に土地をプレイして《曇り鏡のメロク》がアタックしてエンドを宣言するのみ。
エンドステップ、そんなジリ貧の田中に飛んでくる松山の《稲妻のらせん/Lightning Helix》!

田中の手札にカウンターは無く、田中のライフは3。

松山のターン、1/1トークンにカウンターが2個乗った《梅澤の十手》を装備してアタック。
田中は《曇り鏡のメロク》でトークンを出してブロックする事しか出来ずに、《梅澤の十手》に乗るカウンターは4個へ。
カウンターが4個乗った松山の《梅澤の十手》により田中の《曇り鏡のメロク》が除去られる事を考えると、田中に残された時間は少ない。

そして田中のターン開始時のドローは《強迫的な研究/Compulsive Research》!
未来を期待させる良いドローだ。プレイして解答策を探しに行くが、無情にも場に対する解決策を引く事は出来ず田中は土地をプレイしてターンを返す事しか出来ない。

松山はまず《梅澤の十手》のカウンターを4つ使い、田中の《曇り鏡のメロク》を除去。 田中は対応して《曇り鏡のメロク》からトークンを4体出すが、松山は更に《血染めの月/Blood Moon》を対象に《火花の結実/Seed Spark》をプレイ!
この《火花の結実/Seed Spark》を田中は《邪魔/Hinder》でカウンターするが、タップアウト状態になってしまう。

そして、何も出来ない田中に松山が手札が提示する《稲妻のらせん/Lightning Helix》。

田中「負けました」

田中は終始ドローに恵まれず、中盤までは《都市の樹、ヴィトゥ=ガジー》、終盤は《梅澤の十手》への対処が後手後手に回る展開となってしまっていたのが痛かったか。

松山1−0田中


Game2
1ゲーム目が非常に長かったのもあり、2ゲーム目が始まる段階で3ゲーム目が出来るか怪しいところだ。
この大会は参加者112名のスイスドロー7回戦。『日本選手権』の参加権利を獲得できるのは上位6名。 普通に考えたら、6勝1敗がボーダーラインであろう。5勝1敗1分や5勝0敗2分などでは上位6名に入れるか厳しいだろう。つまり、引き分けは負けにほぼ等しい物となる。
田中は残りすくない時間で2ゲームを行って、しかも勝つ事ができるのか!?

田中の先行でゲームはスタート。
時間が惜しい田中は序盤から積極的に《炎まといの天使/Firemane Angel》を展開し攻勢に出るが、松山は《神の怒り/Wrath of God》でこれをカヴァー。
しかし、田中は毎ターン《強迫的な研究》《連絡/Tidings》などのドロースペルを打ち毎ターン土地をセットし続ける。目指すは《炎まといの天使》が墓地から場に帰ってこれるようになる10マナだ。
松山も負けじと生物をカウンターさせて《太陽打ちの槌/Sunforger》を通す。

田中は10マナ揃ったターンのアップキープで小考に入る。《炎まといの天使/Firemane Angel》を場に戻す能力を使うか使わないかで悩んでいるのであろう。
松山の場には《太陽打ちの槌/Sunforger》を装備したクリーチャー。 先ほどの試合では《稲妻のらせん/Lightning Helix》を打たれている。しかし、コントロールデッキ相手だからサイドアウトしているのではないか?

田中の結論は、10マナ払って墓地から《炎まといの天使/Firemane Angel》を場に戻してエンド。

松山「じゃあ、太陽打ちの槌の能力を使ってライブラリーからスペル持ってきて打ちます」
田中「どうぞ。 火力残してるのかなー。多分、《研究/開発》だと思うんだけどなー。」
松山「では、《山伏の炎/Yamabushi's Flame》を持ってきて《炎まといの天使》に打ちます。」
田中「リムーブだっけ?」
松山「リムーブです」
田中「ささったー(汗」

田中の攻め手を予想外の一撃で凌いだ松山は逆に攻勢に出る。田中は凌ぐだけで精一杯とマッチで勝利するには2ゲーム勝たない現状を考えると厳しい展開だ。
そして、田中には無情に刺さる試合時間終了のコール。
田中はせめてこのゲームを勝ってマッチで引き分けに持ち込みたいところだが、延長の5ターンでも及ばず。このゲームは引き分けとなり松山のマッチ勝利となった。


強豪相手に勝った松山はこの勢いに乗っていけるか注目だ。 負けた田中は1敗スタートとなるが、ここからの逆襲に期待したい。

result: 松山智Win!!
Champions of Kamigawa
リムーブ火力