Dytiscus semisulcatus
(ドイツ産ゲンゴロウモドキ)

A pair of insect collected in Germany in 2003. Male (left) and female (right).

Comparison of ventral (upper) and abdominal (lower) regions of D. semisulcatus (left) and D. sharpi validus(right)

これは、Dytiscus semisulcatusというシャープゲンゴロウモドキの姉妹種です。これは、世界的にも極めてまれな流水性ゲンゴロウモドキだそうです。採集したドイツ人の友人はベルリン郊外の小川で採集しました。アズマと同様な超希少種だそうです。Dytiscus dimidiatusは、結構な数を送ってくれましたが、このDytiscus semisulcatusはめったに採集できず、1回しか送ってもらえませんでした。しかもほとんど死着でした。
外観的には、コゲンゴロウモドキそのものです。送ってくれた友人は、シャープのシノニムではないかとまで言っており、既に遺伝子解析の結果は出ており、確かにシャープゲンゴロウモドキと近縁種といえば、そうなのですが、実はもっとシャープに近い種が身近な種にいたとは驚きです(ごめんなさい、まだ公表できません)。

確かに、アズマ-コゲンモよりも、コゲンモ-D. semisulcatusの方が形態学的には明らかに類似しており、シノニムに限りなく近いと言う印象です(ただし、幼虫期の食性は両種において、全く異なります)。遥か遠くのドイツにおいて、シャープに近いと思われる同属近縁種が現存しているとは、なんとも奇妙な気がしています。アズマはますます、特異な昆虫に感じざるを得ません。自分的には、これらシャープに近いと思われる種の行動生態や系統進化のプロセスが非常に気になります。今後の研究課題です。ですが、個体入手が一番の難関です。(^^;

いずれにせよ、遺伝子解析の結果をご期待ください。